『シドゥリ・エルデルト・フォン・ヴァーブル』
(以下、地球連邦のインタビュアーの女性取材者はイ、シドゥリはシ)
イ「本日は、インタビューをお受けして下さり、有り難う御座います」
シ「まあ、時間もあったからね」
イ「シドゥリ陛下はマスコミを遠ざけているといわれていましたので、今回インタピューを受けて頂けたのは意外だったのですが…」
シ「それは仕方ないわ。地球のマスコミは少々やりすぎだから、遠ざけないと邪魔でしょうがないもの。ストーカーでもあるまいし、人のプライベートに干渉しすぎ」
シドゥリはやや表情を引きつらせて言った。
イ「はは、そうですね。でも、その件で報道の自由や国民の知る権利を侵害していると一部で批判されていますが」
シ「それは文化と国家体制の違いだわ。それは地球のマスコミの考え方でしょう?ちなみにブリタニアの場合は、報道は国益を損ねない範囲でというのが大前提だわ」
イ「そういえば、帝国では報道は、情報省とシドゥリ教会の監査をパスしてから報道されるとの事ですが?」
シ「まあ、緊急の情報以外はそうね。報道というのはそれ自体が一種の権力だわ。世論を動かす力を持っているから、時として国益を損ねる可能性があるし」
イ「といいますと?」
シ「例えば報道で世論を動かした結果として、後で国家に悪影響を与えてもその責任問題は曖昧になるわよね?」
イ「……確かにそうですね」
取材者は頷く。
シ「権力には責任が付き物。それは皇帝や重臣だけの話ではないわ。だから責任が曖昧ならば責任がある者がしっかりと管理をするというのが帝国の考え方ね」
イ「そうですか」
シ「最も帝国の考え方を批判する人もいるかもしれないけど、そもそも時代と場所が変われば考え方が違うのは当たり前。管理局でもあるまいし、異世界人にまでそう言うのは良くないわね」
イ「管理局ですか?」
シ「ええ、管理局があんな戦争をしたのも、自分たちの魔法至上主義と質量兵器廃絶という考えを地球に無理やり押しつけようとしたから。彼等にもう少しその世界の実状を考えて対応するという穏健な考えがあれば、あんな事にはならなかったわ」
イ「確かにそうですね。やはり世界間の常識の違いというのは深刻ですね」
シ「そうね。その問題が起きないようにするために色々と配慮が必要よ。帝国も地球に自分のやり方をごり押しとかはしていないでしょう?」
イ「確かにそうですね」
帝国は色々自国では権利を制限しているが、それを他国にまで強制していない。
イ「では次の質問ですか。陛下は地球にはバカンスで来ているとか?」
シ「ええ、そうね。ついでに言えば、弟子の指導やたまに公務をしているわね」
イ「お弟子さんですか?」
シ「その辺りは公表されているでしょう」
イ「はい、そうですね」
シ「まあ、ここではゆっくり骨休みをしている訳ね」
イ「そういえば、陛下は500歳以上とは思えないほどお若いですね。人類に夢である不老不死というものを実現しているわけですが」
シ「17歳の時に覚醒者になったから姿はそのままね。でも余のは不完全な不老不死だわ。殺されれば死ぬし、それなりに問題があるから」
イ「そうなんですか?」
シ「ええ、だから帝国では覚醒者になれる者には色々と制限か掛かっているのよ。あまりにも覚醒者の数が多いと、その問題をフォローできないから。まあ帝国の建国理由の一つに覚醒者のフォローも含まれている訳ね」
イ「しかし、その事で一時期議会でも話題になってましたね」
シ「ええ、そう言うこともあったね」
シドゥリは当時を思い出す。そうあれは日本国と初めて接触したときの事。見た目では女子高生にしか見えない私が皇帝だと知って彼等は戸惑ったものだが、その後に実年齢を伝えると驚愕されたものだ。
年齢というのは時として武器となるが、何事にも例外というものはあって、年長者への礼儀などと言う主張はシドゥリには意味だ。何せ500歳以上となると、80過ぎの老人でも若造に過ぎない。逆に彼等がシドゥリに敬意を示さなければならない。いい年をした政治家達が、外見では女子高生程度にしか見えないシドゥリや帝国貴族達に礼を尽くすというのはかなりシュールな光景だ。
その後、ブリタニア帝国と接触する者は、年齢に触れる事は避けるようになった。そういう物だと割り切るしかない。彼等は精神衛生上そう考えたのだ。
イ「でも何時までも若くというのは女性の究極の夢ですからそれを求める者も多いのでは?」
シ「そうね。でも魔法資格を有する者以外はそもそも対象外だし」
イ「では陛下のお弟子さんは特別という事ですか?」
シ「そうなるわね。そもそも地球人はリンカーコア持ちが極めて少ないから、現在いる魔力を持つ地球人は突然変異にすぎないわ」
イ「なるほど、では最後に一言お願いします」
シ「地球の皆さん、我が帝国は地球との友好を求めています。これからも友好国としてお付き合いしたいと思っております」
イ「それでは陛下、今日はありがとうございました」