ブリタニア帝国記   作:ADONIS+

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異端の騎士 第六話

 海鳴市上空。そこには一人の女性と一人の少女そしてその少女に抱えられたフェレットがいた。

 

「……これはまた派手だね」

 

 海鳴の町並みを木々が蠢いていた。それらの木々は道路を家やその他の建物を壊して生えていた。魔法が存在しない世界でこんな派手な事が起こってはフォーローしようがない。

 

「リリカさんどうしましょう」

 

 その場にいたなのはは狼狽えている。

 

 今回は偶然かち合った。ジュエルシードを探している以上その現場であるのは当たり前。

 

「この規模、発動させたのは人間ね」

 

 ジュエルシードは想いに反応する。想いが強ければ強いほど強力に反応する。人間が発動させたのならばこの桁違いの規模も理解できる。

 

「やっぱりあのときの子が…」

 

 なのはが呟く。どうやら心当たりがあったようですね。

 

「なのは貴女、一般人がジュエルシードを持っていたのを知っていたの?」

「えっ、そうなのなのは?」

 

 ユーノも驚いてなのはに聞く。こいつも気付いていなかったようだ。

 

「……」

 

 私の問いかけになのはは俯く。図星か…。

 

「……まぁいいわ、取り敢えずあれを何とかしないと」

 

 余計な追求などしている場合ではない。あれを何とかしないと。

 

「町中に生えた木を一々相手にできないわ。本体を見つけて一気にカタを付けるしかないけど、これ程広範囲に広がった挙げ句に早い勢いで成長を続けているから本体の位置が分からない」

 

 ついでにジェエルシード本体は移動しているらしくサーチで位置をつかめない。

 

「となると核となる人間の方を攻撃して倒すしかないわね」

 

 発動した人間を倒せばジュエルシードを封印できるはずだ。幸い、核となった二人の人間は簡単にサーチで見つかっている。

 

「ちょっと待って!そんなことをしたら核になった人は…」

 

 なのはが反対する。

 

「でもこれが最も効率がいいわ。このままだと余計に被害が大きくなるだけ。見なさい今も木々が増殖しているわ」

 

 町のあちこちで現れた木々が増えている。このまま放置すると更に被害が拡大するだろう。

 

「駄目だよ。もっと別の方法があるはずだよ!」

「なのは貴女は反対かしら?」

「そうだよ」

 

 私の決定になのはが反対している。

 

 甘いね。世の中全てを救えるわけもない。救われない者が出るのは当たり前。

 ましては軍人である私の仕事は、殺せや死ねと命じる事。そして最悪の場合は殺される事もそれに含まれる。己の手を汚さずに済むわけがない。

 

 肝心なのは少ない犠牲でより多くの者を助けること。今回の事件でも家が壊れ道路が壊れている。これによる事故などの被害も馬鹿にならない。核となった者を攻撃することでその被害を抑えられるならば、迷わずそれを行うべきだ。

 

「……いいでしょう。そこまでいうなら今回は手を出さないわ。貴女が自分でやりなさい」

 

 でも所詮この世界は並行世界。いくら被害が出ても問題ない。ここがブリタニア本国ならばその様な選択など絶対にしないが、ここではそれもありです。

 

「えっ!」

 

 あっさり引き下がるとは思わなかったのか、なのはは一瞬戸惑うが、すぐにジュエルシードの封印に回った。

 

 

 

なのはside

 

「ああ、見つからないの!」

 

 ジュエルシード本体を探そうにもサーチできません。初めて使う魔法なのかもしれませんが、ユーノくんも無理みたいです。やっぱりリリカさんの言うようにサーチできないの?

 

「なのは、このままじゃ」

 

 ユーノくんの焦った声が聞こえます。こうしている内にも木々が広がっています。隣町にまで被害が拡大していた。

 

「何か方法は…」

 

 私は何か方法はないか考えますが、そもそも魔導師に成り立てでまともに魔法を知らない私に何も方法は思いつかない。

 

 リリカさんが言うように核となった人間を攻撃するしかない。なのはの後ろではリリカさんが黙って私を見ています。その視線がプレッシャーになっています。リリカさんのやり方に反対した為に手を出さないと言われた以上、協力してほしいといってもしてくれない。

 

「バルディシュ!」

『フェトンランサー!』

 

 幾つもの雷の矢が暴走体に降り注ぐ。

 

「なっ、なに?」

 

 私は驚いた。今の攻撃は、リリカさんでもユーノくんでもありません。そこには黒のレオタードの様な服にマントを来た綺麗な少女がいました。

 

「魔導師!何でこんなところに」

 

 ユーノくんも驚いています。

 

 

 

リリカside

 

「…どういう事ですか?貴女ならば簡単にジュエルシードを封印できるはずです」

 

 私がジュエルシードの暴走を静観している事を疑問に思ったフェイトが聞いてきた。まぁ確かに普通は疑問に思うよね。私がジュエルシードを回収している事はフェイトも知っているから。減る物でもないし説明しておくか。

 

 

 

「……というわけね」

「そうですか」

 

 フェイトは私の説明でなのはを呆れた目で見ていた。魔法は非殺傷設定が可能だから、痛みを与えることはあっても死なせない事は可能だ。それなのに攻撃を躊躇して被害を拡大していたら世話はないだろう。

 

「なら早々に片づける」

『Sealing』

 

 フェイトの放った封印を行う事に特化した魔法が炸裂する。封印され姿を現すジュエルシード。フェイトはそれに見向きもせずに私の元に来る。

 

「母さんに言われて貴女を招待にきました」

 

 ほう、やはり食いついてきたか。予想通りですね。

 

「なのは私は用事ができたのでジュエルシードの回収から離れるわ。一応私が回収して置いた物は渡しておくね」

 

 ディアボルクから五つのジュエルシードをその場に出した。

 

「えっ、えっ」

 

 戸惑っているなのはを無視して

 

「じゃフェイトいきましょうか」

「はい」

 

 私とフェイトはその場を後にした。

 

 

 

なのはside

 

 リリカさんが去った後で今回のジェエルシードとリリカさんか渡してくれたジュエルシードを回収しました。これで10個です。予想よりも多くジュエルシードが集まりました。でも私はそんなことを喜べません。

 

 ジェエルシードの核になっていた二人は無事でしたが、男の子は身体が痛むのか、女の子に支えられながら歩いていました。

 

「ユーノくん私間違っていたのかな」

「そんなことはないよ。なのはは頑張ってくれたよ」

 

 ユーノくんが必死に言ってくれます。

 

「でも、私あの子がジェエルシードを持っていることに気付いていた。こんな事になる前に止められた筈なのに…」

 

 それだけじゃない。早く解決して被害を最小限に抑えようとしたリリカさんに反対した。その結果、私が一人でやることになった。私が早く解決しなかったばかりに被害が拡大して他の町にも被害が出ています。

 

 町を歩いていると壊れた家や道路が目に付きます。今までユーノくんのお手伝いでジュエルシードを回収していましたが、これからは私自身の意志で回収しようと思いました。




後書き

 今回、ジュエルシード事件で一番海鳴市に被害を与えた事件をより大規模により甚大な被害を出すようにしました。リリカの対応は冷たいですが、本来彼女にはこの世界を守る義務はありません。あくまで任務を優先しています。
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