ブリタニア帝国記   作:ADONIS+

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銀河への進出(シドゥリ暦150年代)

 帝国建国から150年ほどが過ぎると、帝国は宇宙開発に乗り出した。それまでは、惑星ヒルデガルドでの国家運営に集中していたが、国が安定して土台がしっかりしたので、生活圏の拡大を開始していく事になった。

 また、この時期になると、ベルカから持ち込まれた各種の技術情報のフィードバックとその発展が進んでおり、文明レベルが飛躍的に高まっていた。

 既に亜光速航行とワープ航行が実用化していたので、宇宙探査は順調に乗り出せた。別の星団の探査が進み、移住が可能な惑星が次々と発見された。生活圏が広がると共に、帝国の領地と人口は増えていく。

 当時の帝国は、国力増大の為に、人口の増加政策をとっていた。さらに食料生産プラントの存在により、食料に不自由しないという状況も人口増加を後押した。

 この時期の帝国は、積極的に宇宙進出をしていたが、それはあくまでこの世界の宇宙開発であり、帝国は近隣の次元世界には全く進出しなかった。勿論、次元航行技術はあるし、次元世界の観測も可能であるにも関わらず。

 これには二つの理由があった。

 第一にコストの問題。次元世界に進出すると、次元航行機能が必要になる。それよりも通常の宇宙空間での航行の方が安い。

 また、次元空間では、ちょっとした時空のゆらぎが容赦なく船を傷める。だから次元航行船は一度の航海を終える度に、やたら手間のかかる整備をしなければならないし、船の耐久年数も概ね短い。このため次元航行は採算が合わない。ブリタニアでは、軍を除けば次元航行船を保有している者がいないのはその為だ。

 第二に他勢力との接触を避けるため。次元航行を行い、次元空間や異世界に行けば、当然ながら余所の勢力と接触が起こる。その時に、ブリタニア帝国に十分な国力と軍事力がないと侵略されかねない。

 実際に次元世界では、世界間戦争も起きていた。その為、帝国はこの世界で、ブリタニア帝国の発展に力を注いでいた。

 これらの理由から、ブリタニアだけの活動であったが、帝国にとってそれだけで十分すぎる程であった。ブリタニアにある数多の銀河系の中の、たった一つすらも完全に進出できていない当時において、ブリタニアだけでも無限ともいえるフロンティアが存在していた。

 元々、次元世界で宇宙開発があまり進んでいないのは、魔力炉を用いているからだ。例え魔力素子が十分な濃度で存在する世界でも、それは惑星上に限られる。宇宙空間では、魔力素子の濃度が激減してしまう。それなりの規模の魔力炉でないと、船のシステムを動かすこともできない為に、宇宙開発は魔法文明の盛んな次元世界では進んでいなかった。

 帝国の場合は、宇宙船の動力を核融合炉で賄っていたために、問題なかった。

 次々に新しい星団に行き、そこで移住可能な惑星を発見して植民する。それは新たなる資源の発見と技術の進歩を促していった。発展と拡張。この時代のブリタニアは、宇宙の大航海時代だった。

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