ブリタニア帝国記   作:ADONIS+

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異端の騎士 第十一話

スカリエッティside

 

「ホテルアグスタ?」

「そう、そこでロストロギアオークションがあって、そこの警備をあの機動六課がやっているんだよ」

「あら機動六課って、少数精鋭の部隊でしょ。会場の護衛なんて向いてないんじゃないかしら?」

 

 会場の護衛といえばある程度の頭数がいる。少なくとも守るという行動を取る場合、少数精鋭部隊では不向きだ。

 

「その辺りは私にも分からないよ。でもオークション会場で手に入れたい物があるんだ」

 

 スカリエッティの言葉にシンシアは少し考える。

 

「つまり手伝って欲しいと?」

「ああ、ガジェットだけでは足止めには不十分だからね」

「いいでしょう。六課には気に入らない女もいるしね」

 

 

 

機動六課side

 

 ホテルアグスタの警備。それが機動六課の任務だった。そこにガジェットが襲撃してきた。

 

「すごい。あれでリミッターがついているなんて」

 

 シグナム副隊長とヴィータ副隊長が物凄い勢いでガジェットを破壊している。

 

「私達も頑張らないとね」

「そうね」

 

 そこに魔力反応。

 

『みんな気を付けて何者かが転移してくるわ』

 

 空に展開される魔法陣。あれは古代ベルカ式魔法だ。そこから一人の女性が現れる。

 

「精々楽しませて貰いましょう」

 

 そして私達の周囲に幾つもの魔法陣が展開されてグール達が現れる。

 

「グール!」

 

 ティアナ達のそれは知っている。動く死体。それ故、痛覚がなく非殺傷設定の魔法が通用しない。

 

「くっ」

 

 魔力弾を打ち込む。幸いにもグール達は魔法を使えず、バリアジャケットも纏っていないので少ない魔力でも殺傷設定なら簡単に倒せる。空でも新たに魔法陣から現れた二人の騎士がシグナムとヴィータと戦っていた。

 

「くっ、てめーら何者だ!」

 

 ヴィータは焦っていた。

 

 相対している騎士は近代ベルカ式の使い手のようだが推定S+ランク。おまけに相手はどういうわけか魔力ブーストでも追いつかない身体能力を持っていて、凄まじい能力差に圧倒された。普通でも勝てる相手ではないのに出力リミッターがあるので絶望的だ。それはシグナムも同様だった。

 

「貴様らのようなゴミを相手に私がわざわざ戦うまでもない。お前達の処刑はこの二人の騎士で十分だ」

 

 シグナムとヴィータには勝ち目がなく倒されていく。

 

「シグナム、ヴィータ!」

 

 そこになのは達が駆け付けてきた。

 

「ぐっ、貴女達をホテルアグスタ襲撃の現行犯として逮捕します。すぐに武装を解除して投降しなさい!」

 

 フェイトがバルディッシュを突き付けた。

 

「へえ、高町なのは、フェイト・テスタロッサ、八神はやてですか。ふふふ世界が違えばこうも変わるとわね。見事に管理局の犬に成り下がっている」

 

 シンシアの嘲笑になのはは眉を顰める。

 

「まぁいいわ。私の名はシンシア・スカーレット。お前達のような蛮族如きに名乗るのも勿体ないけど一応名乗っておくわ」

 

「シンシア・スカーレット!? じゃあ、貴女がグールを作ったのですか?」

「へえ、リリカから聞いていたの? その通りよ」

「くっ! 貴女は人の命を何だと思っているんですか! 一体どれだけの人にあんな酷いことをしたんですか!」

 

 なのはが声を荒立てて怒鳴る。いつもは笑みを絶やさない彼女が珍しく怒っていた。

 

「貴女、今まで駆除したダニの数を一々覚えているのかしら?」

 

 だがシンシアにとって管理世界の人間の命などダニと変わらない。

 

「この外道が!」

 

 フェイトが我を忘れて切り掛かるが、シンシアの姿が掻き消えてフェイトを一撃で沈めた。

 

「は、早い。高速移動魔法じゃない」

「確かフェイトは高速戦闘戦を得意とする魔導師だったね。でも所詮は人間。私は人間を超えたの。人間如きがかなうものではない」

 

 神速。魔法のようにただ高速で移動するのではなく、脳のリミッターを外して知覚を加速させることで高速で行動することができる技術。

 

「ふん、この程度か。わからないわね。どうしてあの御方がお前達のようなゴミに目をかけられたのか?貴様らの始末など私が直接やるまでもないレイ、イカルド後は任せたわ」

「はい、シンシア様お任せ下さい」

 

 シンシアがその場から転移する。そしてその場に残った者達の戦いが起こった。

 

 

 

「ディバイン・バスター!」

 

 レイジングハートより放たれる砲撃だが、それはやすやすと回避される。

 

「甘い」

 

 レイのアームドデバイスの一撃をシールドで受け止めるが、はじき飛ばされる。

 

「つ、強い」

 

 相手の魔導師ランクは同程度だが、対人戦闘に特化したベルカの騎士に人外の身体能力を持っている。防御に長けている自分でも勝てない相手だ。そもそも近接戦闘が不得手である自分にかなう相手ではない。

 

 はやてちゃんはもっと拙い。広域攻撃や遠距離攻撃が主である彼女は敵に一方的に追いつめられている。元々個人での戦闘能力が低いはやてちゃんでは長くは持たない。

 

 

 

リリカside

 

 機動六課を監視していたリリカはシンシアの動きを察知してその場に転移したが、既にシンシアはその場から離れていた。

 

「紫電一閃!」

 

 一人の騎士の放つ攻撃がはやてを捕らえようとしていた。私はそこに割り込んで防いだ。

 

「なっ!」

「お前は八神りりか!」

「……貴方はそうシンシアの…。それに見たところ人間でもないようね。シンシアの屍生人(ゾンビ)か!」

「そうだ。俺達はシンシア様に蘇らせて貰ったのだ」

「成る程それなりに使えるようね。しかしグールやゾンビまで使うとはシンシアも手段を選ばないわね」

 

 帝国ではグールは勿論の事ゾンビとて魔法皇帝の許可無しには作れない。それ等はネズミ算式に増えて社会が崩壊してしまいかねない危険性を孕んでいるからだ。

 

「まぁいいわ。シンシアがすでにこの場から離れてしまったのは残念だけど、ここでお前達を始末するとしましょう」

「そうはいくか!」

 

「ふっ、ディアボルク。フルドライブ」

 

 解放される魔力。自身のリンカーコアとナノマシンデバイスの疑似リンカーコアが全力稼働する。そう言えばフルドライブを使うのは久しぶりだ。一気にケリを付ける!

 

「ぐっ」

 

 対するイガルドもフルドライブになる。激突。

 

「ぐっ、馬鹿な何故?」

 

 イガルドは押させていた。一合二合と武器を交わす内に押されている。かつては聖王教会有数の騎士であった騎士。今ではシンシアの奴隷にすぎないイガルドはあっさりとリリカに切り裂かれる。

 

「所詮ゾンビではこの程度か。じゃあ、お前も死ね」

 

 リリカはなのはを追いつめているレイに襲いかかった。

 

 

 

なのはside

 

「う、嘘!」

 

 なのはは信じられない光景だった。リリカは凄まじい魔力を放っていた。管理局に所属してベテランとなりエースオブエースと謳われたなのはが相手にもならない圧倒的な強さ。

 

「はぁ!」

 

 リリカのディアボルクが一太刀でレイの首を刎ねる。切り裂かれたレイは陽光を受けて身体が崩壊した。

 

「なっ、何故殺したのですか!」

 

 管理局員の自分の前で起きた殺人。確かにあの二人は管理局員である自分たちに襲いかかってきた犯罪者であったが、殺すことはなかったのに。

 

「あの二人はシンシアの作ったゾンビだから、とっくに死んでいるわよ。シンシアに操られている人形にすぎないわ」

 

「どういう事ですか」

「一つ教えて上げる。私の使う死者蘇生魔法は元々ゾンビを作る能力を応用した物」

「ゾンビ?」

「ゾンビとは、元は人間やその他の動物又はその死体だったものが、理性が低下して血を求めて他者を襲う化け物になったものよ。だから非殺傷設定など豆鉄砲でしかないし、生け捕りなんて不可能ね」

「それじゃ私は…」

「なのは貴女は問題ないわ。ちゃんと人間として蘇らせているから。でもゾンビとなった彼等は違うの」




解説

■イガルド&レイ
 二人とも元聖王教会の騎士。生前は共にS+ランクであったが、死後埋葬されていたのをシンシアがゾンビとして復活させた。本来はとても強いのだけど、覚醒者のリリカが強くなりすぎていたので、ザコのやられ役になってしまった。
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