シドゥリ暦615年
11年にも渡る任務の果てにシンシア・スカーレットの抹殺と石仮面の奪還を成したリリカはブリタニア帝国に帰還していた。
「そう、ご苦労だったね」
「はっ、身に余る光栄で御座います」
玉座の間ではリリカが皇帝陛下の元で跪いていた。
「で、その並行世界はどうなったの」
「それでは報告いたします」
結果として管理局の敗北に終わった。駆け付けた艦隊は間に合わず、ゆりかごの次元跳躍攻撃で壊滅した。更にゆりかごの攻撃で時空管理局本局も壊滅。
スカリエッティが管理世界中に放ったグール達は数多に犠牲者を出している。管理局崩壊直後は混乱がおこり、グールに組織だって反抗ができないという致命的な状況で多数の犠牲者がでていた。
その後、各地の管理局員は民間魔導師の力も借りて総出でグールを掃討した。
その間、帝国は不干渉を行いつつも、グールの監察を続けていた。ここまで大規模なグールの発生はなかったからデータ収集にはちょうどよかった。
管理局は本局が壊滅して、不祥事が明るみになったことで完全に世論を敵に回してしまい、解体される事になった。そうなるように仕向けたスカリエッテイ達は、本局崩壊後に姿を消した。現在でも行方不明。
「成る程ね。まあいいわ、その並行世界に関しては暫く観察を続けて用済みになったらリンクを切ることにするから。では下がって良いわ」
「はっ」
リリカが玉座の間から退出した。
「これで終わりか。ただの吸血鬼にしては良くやった方かしら?」
人払いをしてただ一人残った玉座の間からシドゥリの声が聞こえる。
「そうでしょうな」
いや、その場にはもう一人いた。黒いローブを身に纏った骸骨という姿。シドゥリを転生させた死神だった。
「それで、今回は楽しめたの?」
「ああシドゥリ。管理局崩壊後は停滞が目立って面白みに欠けていたけど、今回は楽しめた」
「ふふっ、貴方もワルね」
シドゥリは皮肉を言う。
死神は今回の事件に裏から関与していた。そもそもシンシアに石仮面の使い方を教えて、それを盗むように誘導して、クロノスシステムを不正利用する手助けもしていた。更にグールの作成法も教えておくなど、色々と仕込みを行っている。シドゥリは件の手引きした者をその口封じを兼ねて速攻で始末した。
「それで、ここまで手間の掛かる劇に付き合わされる方は大変だったわ」
シドゥリがリリカ単独でやらせたのはその方が楽しめるからだ。さすがに大規模な人員を投入しては呆気なく終わるから。
「まぁその変わりに約束の物を渡すよ」
「それは良かったわ。あれがあったら更に面白くなるわね」
「ええ、貴女には生き甲斐は死活問題でしたね」
シドゥリは既に600年以上生きていたので、生きることに飽きが来ていた。
かつては『魔法少女リリカルなのは』の世界を自分の好きなように変える事を楽しみにしていたが、管理局を崩壊させて、なのはとフェイトを娶ってからはやり甲斐が無くなった。
既にブリタニア帝国は次元世界最高の世界だ。未だ混乱状態の旧管理世界群やかつて帝国が技術支援(但しかなり規制をしていて限定的な物)をしてあげた地球などでは帝国の相手にはならない。
だからこそ、新たなる楽しみを、生き甲斐を、刺激を求めていた。あれはそれを満たすことができる筈だ。シドゥリは新たなる時代の到来に心躍らせていた。
後書き
異端に騎士はこれで終わりです。ちなみにこの話は『トリッパー列伝』や『超戦士伝説』ともリンクしているので、あえて死神とシドゥリの取引の詳細は伏せています。