この時代に地球連邦という第97管理外世界の統一国家が誕生した最大の理由は、管理局の行った管理局戦争と地球近郊会戦であるのは間違いない。管理局に滅ばされかけた地球は、生存のために管理局を打倒することを目指していた。
実のところ地球連邦は、同盟国のブリタニア帝国を完全に信頼している訳ではなかった。というのもブリタニア帝国の体制が、連邦にとって異質過ぎたからだ。
人を超えた覚醒者が皇族・貴族として平民である人を支配する。宗教をも利用した神権政治にして絶対帝政。民主主義が主流の地球では異質な国家体制である。
地球連邦はある意味では、ブリタニア帝国を不気味に思っていたのだ。しかし、有力な味方が欲しい状況であるし、管理局と敵対している地球が次元世界で有力な同盟国と言えば、帝国以外見つけようがないのだ。
それに帝国は閉鎖的である。建国以来、彼等は自分たちの世界に閉じこもり次元世界への干渉を避けてきた。というよりも干渉する必要がないのだ。資源、エネルギー、そして地球型惑星さえもブリタニアだけで十分賄えるのだから。
彼等がこちらと同盟関係を持つようになったのも、管理局が次元世界に干渉し捲っているから、何れ来るであろう管理局のブリタニアへ干渉に対抗するためらしい。
最もこれには疑問がある。地球近郊会戦で見せたブリタニア帝国の力があれば、管理局を電撃作戦で崩壊させることも十分可能なのに、それを一向にやろうとしない。やり方がやたらと回りくどいのだ。何か別の目的があるとしか思えない。
実は帝国は、連邦国内に大使館や領事館を建てても、帝国内部に大使館などは建てさせていない。というよりもブリタニアには地球連邦の人間は一人もいない。
それどころかブリタニアの正確な位置すらも同盟国でありながら教えて貰っていない。全て彼等から一方的に来て関わっているだけである。まぁ連邦には帝国に行けるだけの技術は無いから行きようがないし、仕方ないだろうが。
技術提供も限定的な物で、次元航行技術やミットチルダと同レベル程度の魔法技術等を提供していたが、それ以上の物は提供して貰っていない。最もタダで貰っているのだから、これに文句を言うのは可笑しいが。
帝国が地球に提供する技術レベルを意図的に低くしたのは、地球から管理局に技術が流出してしまうことを恐れたためであった。
ギル・グレアムのように管理局に与している者もいる。そうでなくても地球は管理世界から近すぎるから観測による漏洩の恐れがあった。
科学技術と魔法技術は共に例え管理局に漏洩しても技術的なブレイクスルーが起きないように注意する必要があったのだ。
しかし帝国は管理局と違い、こちらにあれこれ言ってこない。自分たちの支配下に入れだの、質量兵器を廃棄しろとか、言ってこない。ただ支援をしてくれるだけだ。
支援だけして口を出さないという、とても有り難い存在なのだ。とはいえ連邦の首脳陣も、帝国が単なる善意でこんな事をしてくれるとは思っていない。だがその意図がつかめないのだ。それが戸惑いの原因となっていた。だからこそ帝国に守って貰えば安全だ、などと思ってはいない。何とか自ら力を付けねばならなかった。
帝国からの限定的な技術提供も役に立った。先の会戦で帝国から提供された管理局の次元航行艦を徹底的に調査して、独自の次元航行艦の開発に力を入れていた。
また『敵が保有する戦力と同種の戦力は対抗上必要』という軍事常識を元に要求していた魔導師部隊の創立も進んでいた。
しかし、この魔導師の育成には問題があった。民衆や他の部隊がこの魔導師を嫌ったからだ。それでも一応用意できたのはさすがといえた。だが魔導師達はなのは達のように帝国に保証されていた訳ではないので、冷遇の対象となっていたのだ。
この件に関しては、帝国も下手をすると管理局に寝返る者が現れるのでは?と心配するほどだった。
彼等の中には帝国に移住することを望む者もいたが、よほどの事がない限りそれは許可されなかった。やはり身分制度や宗教などの問題もあり、帝国はとても慎重だった。そもそも無理に移民を受け入れなければならないほど帝国は人手に困っていない。だからよほどのコネクションがないと移民が許可されなかった。