ブリタニア帝国記   作:ADONIS+

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地球連邦の暴走(シドゥリ暦610年代)

 この当時、地球は158もの植民惑星を保有していた。地球は様々な問題を移民で誤魔化していたので、それぞれの惑星は同じ民族、同じ宗教で構成されることが多かった。とにかく区分けがされた。

 

 人々もあえて異宗教や違う民族と無駄に交流することを望んでいなかった。地球にいたときは仕方ないのでやっていたにすぎなかったのだ。だが、あまりにも急速に拡大した生活圏は連邦の管理能力を超えつつあり、行政は末端まで行き届かず、所々で官僚の腐敗が社会問題化していた。

 

 各地の植民惑星でも独立の気運が高まりつつあり、このままでは地球連邦は崩壊してしまうと先見の明を持つ者の多くは予想していた。そんな中で新たな問題が発生していた。魔導師犯罪の激化である。

 

 元々、旧管理世界群では管理局崩壊後は戦乱状態となっていたが、秩序が乱れた多くの世界では犯罪が蔓延り、それが地球にも影響を与えたのだった。

 

 異世界から侵入してくる魔導師犯罪者。地球連邦は深刻な社会問題となっていたそれを逆に利用することにした。

 

 連邦各地では政府主導で反魔導師運動が起こる。これは元々魔導師という存在が地球人に嫌われていたこともあり、効果絶大だった。かつて中華人民共和国という国が国内の不満から目を逸らすために反日運動を盛んに行ったように、地球連邦は、魔導師を悪魔のごとく、諸悪の根元のように扱う。これに宗教関係者が飛びついて狂気じみて反魔導師運動は激化した。

 

 そもそも宗教関係者によって、魔法技術その物が気に入らなかった。あくまで科学技術の一形態にすぎない物が、奇跡のように振るわれるなどあってはならない。奇跡は神が起こす物という価値観から宗教家たちは反魔導師運動を煽る。

 

『現代の魔女狩り』

 

 そう揶揄される魔導師狩りが行われることになる。

 

 最初に狩られたのが地球連邦のリンカーコア持ちだった。対魔導師部隊として用意された地球連邦内の魔導師部隊。彼等は即座に葬られた。

 

 そもそも彼等は対管理局用に創設されたのだが、敵手たる管理局崩壊後は存在意義を疑問視されていた。それでも次元世界に存在する魔導師に対処するためとして存在していたが、ここにいたっては邪魔でしかなかった。

 

 地球連邦は軍備増強して、魔法文明の存在する各地の次元世界に侵攻した。そして、そこに住まう魔導師達を狩り立てていく。最早その魔導師が犯罪者かどうかなど地球連邦軍にはどうでも良かった。魔導師であるというその一点だけで駆除するに十分だった。

 

 駆逐ではなく駆除。地球では魔導師は人間ではなく人の姿をした化け物である、という主張が堂々とまかり通っていた。魔導師を庇い立てする者は魔導師でなくても容赦なく殺される。次元世界は地球連邦軍という新時代の十字軍の狂気を受けることとなる。

 

 これによって地球連邦が次元世界の動乱に巻き込まれ、百年以上も混沌とした時代が続くこととなる。

 

 そして、この地球の行動は当時のブリタニア帝国との関係悪化を招いた。言うまでもなくブリタニア帝国の上層部は騎士(魔導師)であり、狂気じみた反魔導師運動は反ブリタニア運動にまで発展してしまう。

 

 これには時空管理局という重石が無くなっていたので、親ブリタニア外交をする必要性が薄れてしまったという理由もあった。

 

 さすがにこの事態にシドゥリもこれ以上の地球と国交を持つことは無理と判断して、地球連邦との国交途絶を決断した。かくしてシドゥリ暦618年、地球連邦とブリタニア帝国の国交が途絶した。

 

 当時、ブリタニア帝国は地球から必要なノウハウ等は十分に得ており、これ以上地球と交流しても得る物が少なかったし、この時代に置いては帝国と地球はそれほど交流を進めてはいなかった事もあり、特に問題なく実行できた。更にシドゥリは監察軍の創設準備にかかっており、この世界の地球と関わらずとも他の下位世界の地球ならいくらでも存在していたので、この下位世界の地球に固執する必要がなかった。

 

 こうしてブリタニア帝国は地球や旧管理世界を含めた次元世界群には不干渉政策をとることになった。

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