ブリタニア帝国記   作:ADONIS+

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封建貴族 第二話(シドゥリ暦665年)

 パルディー星系は、五つの有人惑星が存在していて総人口82億人にも上る帝国有数の星系だ。パルディー星系自体は、シドゥリ歴187年に入植が始まり、500年には人口が50億人を超えていた。そのため、パルディー星系は公爵領に格上げされたが、初代パルディー公爵は生きるのにあきて自殺してしまう。

 

 そのため一旦は皇帝領星系になり、星系開拓省が代官を派遣して管理していたが、次の領主として貴族に選ばれたばかりの彼女にパルディー星系を与えられて、パルディー星系の二代目領主となった。だから彼女は軍を退役したら、いきなり公爵となった。正直、アークライン星系なんか与えられた私とは雲泥の差だ。

 

 

 

 宇宙港についた。帝国の物流システムは、同じ星系領地内部の都市間を機械式の転送魔法のネットワークで繋げ、人と物の物流をほとんどタイムラグなしに大量に捌けるようになっていた。このシステムは大型化されており、それなりの規模施設で、現在でいえば小規模な空港の様な構成となっている。

 

 以前も言ったが帝国では小型の転送装置は規制されている。特に厳しく規制されているのが個人携帯用の転送装置だ。船などに搭載されているワープエンジンは民間でも使用が許可されているが、テレポートドライバーの様な戦闘機サイズでも使える転移装置は軍以外では規制されている。もちろん帝国がその気になれば大がかりな施設などなくても個人レベルで転送技術を使い人や物を好きな場所にリアルタイムで送り込める。

 

 しかし、それでは必ず悪用されてしまう。だから帝国は不便を我慢してそれを規制していた。

 

 更に恒星間の物流は一般的に転送魔法のネットワークではなく、宇宙船で運搬していた。その理由としては、領地を繋げることを貴族達が嫌がったことと、技術的に問題あったことが上げられる。

 

 当然、そうなると各星系間の物流は宇宙船で運ぶということになる。だから宇宙港が栄えることとなった。

 

 ちなみに宇宙港は『銀河英雄伝説』のフェザーンみたいに軌道エレベータ方式で、この方式ならオゾン層に対して被害が少ない。

 

 その宇宙港はパーティの出席者で賑わっていた。さすがに五つも有人惑星を抱えているだけに、領内の要人を呼ぶにしても宇宙船を使わないといけない。大変な事ですね、と私は人事として受け止めていた。

 

 実は、私は宇宙船を使ってはいない。個人レベルの転移魔法を使ってこちらに来ていた。もちろん宇宙船を使うという方法もあるだろうが、私の場合はそれが出来なかった。なぜなら私は宇宙船を保有していないからだ。

 

 プラズマのおかげで私の領地は普通の宇宙船が使えない。下手に上空に上がるとプラズマの猛威を受ける。だからアークライン星系に存在する有人惑星のラグランジュポイントにはスペースコロニー『ヘラクレス』が存在しており、そこが宇宙港として機能していた。

 

 ヘラクレスから転送魔法で領地の各都市に人と物を転送していた。幸いヘラクレスは有人惑星から近いこともあり魔導炉も問題なく使えた。

 

 

 

 転送技術の規制は、魔導師や騎士に対しては穴がある。とはいえ帝国で魔法の使用を認められた魔法資格者でも、平民は転送魔法を非常時以外は無許可で使用ができないというか、そもそも貴族以外は転送魔法を教えて貰えない。これも悪用されないためである。転移魔法を無許可で使用できるというのも貴族が持つ特権の一つであった。

 

 それに魔法資格者の場合は魔力波長が登録されるから、魔法を使えば観測されて使用者が特定される。だからすぐにばれるので、貴族以外は誰も使わない。

 

 ちなみに未登録者の反応がでたら犯罪者として即座に治安担当者が動く。ここで、なぜ貴族が特権でそれが認められているかというと、貴族ならばテロを起こす危険がないからだ。いうまでもなく貴族は特権階級で皇帝を守る※1『藩屏(はんぺい)』だ。

 

 ※1守護するもの。特に王家を守護するもの。

 

 貴族達にとって皇帝と帝国は絶対的なもので、反乱を起こしたりはしない。仮に反旗を翻したとしても部下が付いてこないし、仮に帝国を簒奪したとしても他の貴族や平民達をまとめるための権威がないと帝国を統治できない。

 

 そもそも貴族が特権を与えられ領地と領民を治める権利を得ている大義名分は、皇帝を守護する藩屏という理由と、皇帝に仕える特別な巫女として面が大きく、魔法皇帝シドゥリという強力無比な権威によって特権階級として君臨していた。そんなことはバカでも分かるので、貴族達にとってテロや反乱を起こす理由は存在しないのだ。

 

 事実これまで貴族による反乱は一度も起きていないので、認めても問題なかった。(ただし、領民による反乱や、共和主義者などが起こした騒動はおきたことがある)

 

 

 

「さすがに帝国有数の領地なだけはありますね」

 

 目の前に広がる大都市、それはパルディー公爵領の豊かさを示していた。セバスチャンの言葉は最もで、リリカもこれまで何度となく来てはいるが、その度にそう思う。

 

「別に構わないわ」

 

 リリカはさらりと流す。

 

 今のリリカは美しいパーティドレスに身を包んでいた。リリカのドレスは、薄いピンク色の飾り気の少ないシンプルなもので、派手さはないが清楚さが醸し出していた。

 

 ちなみに大概の封建貴族は普段からドレスを着ることが多いが、パーティの時はパーティ用のドレスを着る。ついでに装飾品を付けて化粧もしているので補正効果もバッチリ!

 

 リリカはあまり着飾るのを好まないが見栄えも重視される貴族社会では、ある程度は着飾る必要もあるので仕方がない。リリカも貴族だけあって元は良いのだ。(容姿やプロポーションが悪い者は貴族には選ばれない)

 

 リリカは封建貴族の中では貧しい方だが、それでもアークライン星系の領地経営はそれなりに上手く行っているので余計な贅沢をしなければなんとかなる。(領地の税収ではなく囚人の管理報酬が主な収入源)

 

 セバスチャンに地上車の運転をして貰いパルディー公爵邸に向かう。地上車は宇宙港でレンタルしたレンタカーである。どうせ今日しか使わないからレンタカーで十分だ。

 

 宇宙港から30分ほどでパルディー公爵邸についた。門を通って車を進めるが庭が広すぎて館が見えない。

 

 しかし、相変わらずバカみたいに広い庭である。ここまで庭が広いと維持管理も大変だろうに、と下らないことを考えてしまう。

 

 そしてやっと公爵邸が見えてきた。相変わらずの豪邸である。まぁ豪邸と言うよりも城、それも戦争のための物ではなく華やかさを追求した優雅な城だろう。リリカは地上車から降りて公爵邸に向かう。

 

 

 

 封建貴族はいずれも一つの星系を領地としていて最低でも一つの有人惑星を保有しているのだ。つまり地球型惑星を一つ、もしくは二つ三つと存在する太陽系を丸ごと領地として持っているわけで、その領地の規模は地球の王侯貴族とは桁が違う。それだけ広いと庭の広さだけでは貴族の裕福さは分かりにくい。

 

 かつての地球とは異なり人口に対する土地は有り余っている。だから土地の広さ=富とはならない。

 

 しかし、そこは帝国貴族でも高位の公爵。その豊かさは相当なものだ。まぁそれはこの公爵邸に飾れている装飾品を見れば一目瞭然だった。ハッキリ言って凄くリッチだよ。

 

 どれもかなり金がかかっているのが分かる。私も仮にも貴族なので、その手の目利きは出来る。もちろん私の男爵邸もそれなりに豪勢であるが、ここに比べればかなり質素な方だろう。私はセバスチャンと共に公爵邸にて招待状を見せて入場した。

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