ブリタニア帝国記   作:ADONIS+

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封建貴族 第四話(シドゥリ暦665年)

「男爵、わざわざすみません」

「いえ、かまいません」

 

 案内された公爵邸の一室にて、パルディー公爵の他にもルードリッヒ子爵までいた。

 

「それで話とは?」

 

 前置きを省いておく、リリカは無意味な挨拶など好まない。

 

「ええ、実は監察軍の事です」

「監察軍ですか」

 

 リリカは眉を顰める。

 

 監察軍とは三千世界を調査するための組織。元々帝国はこの次元世界の並行世界に干渉する技術を持っていたが、五十年ほど前にこの次元世界とは全く異なる異世界とそこの並行世界に移動できるようになった。普通ならば政府主導で調査機関が造られるはずだが、皇帝陛下は何故か監察軍という組織を造り、三千世界を任せていた。

 

 ここで問題となるのが監察軍を幹部達の多くが、ブリタニア人ではなく異世界人達であるということだった。

 

 名目上は皇帝直轄ということになっているが、彼等は一つの星系を自治区として構築していた。とはいえ彼等のいる星系は、有人惑星も有力な資源もないので任せても問題ない場所だった。

 

 だが三千世界にも問題があった。この次元世界の並行世界を除いた世界では魔法が一切使えなかったのだ。これはこちらの魔法が次元世界という他の世界と比べても特異すぎる特性に特化していた為と考えられている。魔法や魔術は汎用性がない使い勝手が悪い技術であるが、貴族の魔法との相性は特に酷かった。その為、貴族は三千世界に関わるのを嫌がり、監察軍が三千世界を担当させて自分たちはスポンサーとして知識、技術、情報を手に入れる事に対する反発が少なかった。

 

 帝国の役職は軍部を除くと貴族が独占しているとはいえ例外もある。社会秩序維持局の局長がそうである。

 

 社会秩序維持局は、国内の反乱分子や他国のスパイの対応を専門に行う秘密警察だ。それだけに平民から嫌われており、政府からも汚れ仕事と思われていた。だが必要であるから、貴族ではなく平民にやらせていた。

 

 監察軍は汚れ仕事ではない。いくら三千世界は貴族には不便とはいえ異世界人に任せて良いのか?と疑問に思う者もいる。まぁこれは皇帝のごり押しで決まったようなものだ。

 

「私が知りたいのは何故皇帝陛下が監察軍などという組織を作って異世界人に任せているかです」

「私もそれは知らないのよ」

 

 子爵がそれを補填する。

 

 しかし、封建貴族の公爵が知らないのはわかりますが、宮廷貴族の子爵まで知らないとはね。

 

「陛下の寵姫である貴女なら何か知っているのではなくて?」

 

 寵姫。皇帝陛下は女性であるが同性愛者であったので二人の皇妃がいるが、それ以外にも複数の妾がいる。そうした者は寵姫と呼ばれていた。帝国宰相ローデス公爵もそうだし私もそうだ。

 

 貴族の中には皇帝陛下の寵愛を求めて自ら寵姫となることを望む者もいる。リリカの場合は、若い頃のはやてが髪を伸ばしてスタイルを良くした感じなので、割と気に入ったのか陛下の方から伽に誘われていた。だからリリカは陛下の寵愛を受けていると周囲かも認識されていた。

 

「監察軍のトップや幹部に異世界人を用いているのは理由があります」

「理由ですか?」

「ええ、実は……」

 

 

 

 この世界を含めて様々な世界は神々によって造られた世界。そして、それらの世界が創造された時の反作用が存在していた。

 

 創造の反作用、すなわち『破壊』。『破壊』はある程度蓄積されると様々な世界をその並行世界ごと破壊してしまう。だから反作用を中和する必要がある。

 

 シドゥリ陛下は調査の結果、特殊なレアスキルを持つ者だけが、それを中和できると分かった。

 

 そのレアスキル所有者たちは様々な世界に存在する。彼等が効率よく、反作用を中和できる様に様々な支援を行う。監察軍とはその為の組織であり、いわばレアスキル所有者たちが協力し合うための物だ。その為、監察軍の上層部はレアスキル所有者で構成する。この次元世界では、シドゥリ陛下と私の母の八神はやての二人が該当する。

 

 シドゥリ陛下は監察軍のスポンサーとなりその者たちの支援をするが、勿論スポンサーとなる帝国もただ支援するだけではなく、監察軍が手に入れた知識、技術、情報を手に入れるというシステムになっている。なお破壊の件は民に余計な心配させないために極秘事項とする。

 

「……というわけね」

「そ、それは本当なのですか?」

 

 私の話を聞いた公爵と子爵は動揺していた。どうやら初耳だったらしい。まぁ私も初めて聞いた時は驚いた物だが。

 

「ええ、私が陛下から直接聞いた事です」とハッキリという。

 

 最も陛下が私にすべてを言っているとは限らない。まだ何か隠している様な気がするが、それを検索するのは危険なのでやっていない。

 

「そ、そんなことが…」

「ついでに陛下はこうも言っていました『彼らが足りなくなると世界が危うくなる』と」

「つまり、彼らがある程度いないといけないので、様々な支援をしているというわけですね?」

 

 質問をしつつも公爵が何か考え込んでいるようだ。

 

 もしかして監察軍とそれによって優遇されている監察軍のメンバーを苦々しく思っていたのだろうか? だが好き嫌いは別にして彼等は必要なのだ。排除などと主張されたらたまらない。

 

 しかし、監察軍は帝国と密接に協力関係にある。軍部、情報省、総合技術省など関係は決して浅くはない。簡単に切れないし、切ったら切ったで問題になる。破壊によって次元世界その物が消滅させられたら目も当てられない。

 

 陛下が言うには『破壊』は帝国軍でも歯が立たないほどの強さらしい。そんなに強いのか? 一体どんな化け物だよ、と突っ込みたくなる。

 

「いずれにしても監察軍は、この次元世界だけではなく数多の世界にも重大な影響を与えるため慎重に対応した方がいいでしょう」

 

 念の為に釘を刺しておきます。ここまで言えば二人も慎重になるでしょうから。リリカの言葉に二人は頷いた。ふう、これで一安心ですね。




おまけ

 監察軍本部の一室、特殊認識能力者こと、トリッパーたちが秘密の会合をしていた。ここで話されることはトリッパー以外には秘密である。

「そういえばさ。破壊神ベヅァーって、どれぐらい強いの?」

 何気ない一言。

「ゴールデンフリーザの100億倍ぐらいかな」
「えっ、マジ!?」

 トリッパー達の表情が強張る。

『ドラゴンボール』は格闘漫画であるが、その文明レベルは下位世界の中でもかなり高い。そんな世界にあって生物の能力が文明の技術力を凌駕しているのだ。

 例えば宇宙の帝王フリーザさんも個人戦闘能力の高さで頂点に君臨していました。あの世界では兵器は戦士の前ではおもちゃ扱い。そんな中でもゴールデンフリーザは戦闘力1垓(10の20乗)というキチガイ染みた強さを誇る。その100億倍の強さ。うん、手に負えないね。

「それじゃ対応は無理ね」

 トリッパーの一人が匙を投げる。まぁどう考えても対応できないのだから仕方がない。

「幸い、トリッパーが下位世界にいれば反作用を中和できるし、ベヅァーを出現も阻止できる」
「結局それしかないわね」

 消極的な方法だが他に手がないから仕方ない。まぁ何とか出来るならとっくに死神たちが何とかしているだろう。

「なら私達の活躍が重要になるね」と気張るように言う。

 私達トリッパーの使命は重いが、そもそも、この世界は私達上位世界人が創造した物だが、同時に破壊をも作り出してしまった。ならば私達がなんとかしないと。



後書き

 今回は貴族の話です。監察軍に対して貴族たちがどう思っているか書いてみました。そしてトリッパーの役割に付いてもふれています。監察軍に関しては色々と極秘事項が多いので、貴族も知らないことが多く、リリカにしても実は肝心なことは知りません。

 ちなみにレアスキル所有者というはのトリッパーの隠語ですね。トリッパーの存在を隠すために、彼等は世界を安定させる特殊なレアスキルを保有する能力者と説明しています。これならトリッパーや上位世界の事を伏せているだけで嘘はいっていないから辻褄があいます。

 ちなみにドラゴンボールの戦闘力に関してはフリーザ編以降は公式発表がないのでADONISが自分で決めています。
 戦闘力比較表
 完全体セル:800億
 魔人ブウ(デブ):1兆
 ゴールデンフリーザ:1垓(1垓=10の20乗)
 破壊神ベヅァー(フルパワー):100穣(1穣=10の28乗)
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