ブリタニア帝国記   作:ADONIS+

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究極の生命体 第四話(シドゥリ暦788年)

 ブリタニア帝国 ヴァーブル星系 惑星ヒルデガルド。『魔法少女リリカルなのは』が具現化された下位世界の並行世界の一つで、その次元世界の一つブリタニアに私の帝国を築き上げた。

 

 ブリタニアはほんの800年前までは文明どころか名すらない未開世界だった。しかし、いまでは下位世界有数の星間国家となっている。

 

 このヴァーブル星系は、恒星ヴァーブルを中心に首都星ヒルデガルドを含めて幾つかの惑星が存在する星系。このブリタニアに来た私はこの世界はブリタニアと名付けて、居住する惑星に母の名前を付け、その惑星が存在する星系に自分の家名ヴァーブルと名付けた。

 

 その後、大規模宇宙進出の大航海時代の到来で、様々な星系の名前が貴族の家名となった。

 

 この星系は余のお膝元だから、下手に貴族に任せることはできず、新たに守護獣のウズメを造り管理させることにした。自分の守護獣ならば謀反をおこす心配はないし、他の封建貴族との不均等を気にしなくていい。また首都である以上、必要な時はヴァーブル星系で権力を振るわなければならないし、そうなると、主の物は主の物、守護獣の物は主の物、というジャイアニズムが可能な主と守護獣という立場は好都合だった。

 

 上位世界の日本で例えるなら、封建貴族は地方の県知事で、予の守護獣ウズメが東京都知事に近い。それだけにヴァーブル星系の統治者は、都合が良くて信頼できる者でないといけない。余は、シドゥリ教会とヴァーブル星系、帝国を支える二つの要職は守護獣が握ることで盤石の体勢を築いた。

 

 ブリタニアは次元世界でもドが付くほどの辺境地帯だった。その辺境ブリタニア近隣の世界は、人の住んでいない無人世界ばかりであった。

 

 地球、ベルカ、ミッドチルダなど『魔法少女リリカルなのは』の有名どころの世界からかけ離れており、古代ベルカ全盛期の次元航行船でも航行には三ヶ月もかかるほどだ。

 古代ベルカに比べて技術レベルが大きく遅れている新暦75年の時空管理局ならば、ゆうに一年以上はかかる。

 

 そして古代ベルカ時代の文明を継承して爆発的に発達させた今の帝国でも次元航行では地球からミッドチルダに移動するには一ヶ月はかかる。

 

 帝国が地球との間を問題なく行き来できるのは、帝国が独占している虚数空間航行技術の賜物であった。時間がかかる次元航行ではなく、次元世界の距離を無視できる虚数空間航行こそが帝国の優位を保っていた。当然ながらこの技術は管理世界だけでなく友好国であった地球連邦にすら秘匿していた。技術の流出は安全保障にも影響するから当然の処置だった。

 

 

 

 ヒルデガルド レーゲンブルク宮殿

 

「ふむ、帝国の知識は興味深いな」

 

 カーズが感心していた。彼は帝国の科学技術、魔法技術、芸術、文化など様々な知識や技術を調べていた。

 

「そうでしょうね」

 

 原始的に生活をしていた彼等からすれば珍しいだろう。まぁ彼等からすれば文明はそれほど必要ではない。カーズにしても知的好奇心が満たされる程度の意味しかないだろう。

 

 ブリタニア帝国は、膨大な知識と技術の集結地。ブリタニア帝国自体が元々『魔法少女リリカルなのは』の中でも極めて高度な魔法文明を築いた古代ベルカをベースとして、それを継承して更に発展させた文明だ。更に監察軍の下位世界の調査により様々な知識と技術が蒐集されていた。

 

 

 

 ここはブリタニア帝国首都星ヒルデガルドにあるレーゲンブルク宮殿。ジュラ、カーズ、エシディシの三人は現在ブリタニア帝国の国賓として扱われていた。正確には余の客という扱いだ。

 

 こうした余の客というのは監察軍絡みが多い。この世界では余は最高権力者だし、ここの地球とは交流が途絶していた。だから余の客は監察軍に所属するトリッパーや、他の下位世界の住民ばかり。特にトリッパーは、何かと余に気安く接するので臣下から反感を買っているらしい。

 

 トリッパーの大半は民主主義国の日本出身者であり、彼等は身分制度とは馴染みが薄かった。いくら皇帝といっても平伏することはしない。ましてや同族ともなれば尚更だ。彼等から見れば余は他より成功しただけのトリッパーに過ぎないのだろう。そういう事情もあり監察軍関係の客は貴族たちの間でもあまり評判はよくない。

 

 その中でもジュラたちの評判は特に悪い。貴族からは未開世界の亜人として見られていた。確かにジュラ達のいる地球は四大文明が発祥する遥か昔なので、原始時代というしかない。だがそれで原始人と見るのは良くないと思うのだが、ブリタニアはなまじ高度な文明を持つだけに文明レベルを目安にしがちなのだ。

 

 極めつけが、彼等が来た理由だろう。〝覚醒者の危険の有無を確認する″まるで格下の者を見るかのような扱いだ。例えブリタニア至上主義者でなくても、覚醒者として誇りを持つ貴族には我慢ならないだろう。

 

 さすがに拙いので貴族たちにはジュラたちには関わらないように命令した。反感を持った貴族にもめ事を起こされてはたまらない。

 

 そんな彼等だが高度な学習能力でベルカ語をさっさと覚えると書物がデータを見始めた。原作でも描かれていたが、彼等の学習能力は人間を遥かに凌駕している。

 

 ちなみにシドゥリが彼等と会話が出来たのも、彼等がベルカ語をあっさりと修得したからだ。彼等の能力には驚かされる。ベルカ聖王家出身のシドゥリも高度な学習能力を有するが、言語習得能力は彼等には及ばない。

 

 シドゥリの能力は生体強化、つまり遺伝子操作技術の賜物だが、彼等の場合は種族として人間よりも優れていた。

 

『この様に空戦時においては……』

 

 カーズが空間ディスプレイに表示された騎士教導の資料を鑑賞していた。

 

「ふむ、魔法とは変わった技術だな。しかし、この世界の魔法は余所の世界では使えないようだな」

 

 カーズは『魔法少女リリカルなのは』の魔法に感心する一方で呆れてもいたが、カーズはブリタニア帝国の魔法に並々ならぬ関心を抱いていた。それはジュラが魔法によって究極の生命体になったことと無関係ではないだろう。

 

 恐らくカーズはジュラと同じように太陽を克服したいと思っているはず。その為には余の協力を得ることが一番良いのだろうが、プライドの高いカーズが予に頭を下げて頼んでくるとは思えない。下げてきても、困るけどね。余はカーズやエシディシを究極の生命体にするつもりはない。適当に煙にまいておくに限る。

 

 取り敢えず余はカーズとエシディシを名目通りに畜産業の関連する場所を案内した。牧場、精肉加工場など。更に帝国の国家体制や政治、経済の仕組みなども教えて置いた。

 

 当初彼等は想像を遥かに上回るブリタニア帝国に規模に驚愕していた。それはそうだろう。建国してから800年近くたったこの時期の帝国では10,025もの有人惑星と各地の資源惑星、資源衛星等を領地としており、総人口は7,059億人にたっしている。

 

 帝国は既に銀河の大部分に進出していた。未だに帝国はブリタニア以外では領地を持たないが、それでも他を圧倒している。ここまでの規模となると他の下位世界でも早々存在しないだろう。

 

 ちなみに帝国は、時空管理局が崩壊した今でも次元世界に積極的に進出していない。理由はコストが釣り合わないからだ。次元世界よりも宇宙に進出して惑星開発をした方が採算はいい。

 

 勿論、帝国政府は次元航行船を少数ながらも保有していたが、民間で次元航行船を保有している者は余程の物好きだけだろう。

 

 帝国が並行世界や余所の下位世界に進出しないのも同様の理由だった。リスクとコストが釣り合わないのだ。

 

 実はこの世界の魔法は余所の世界では案外役に立たなかった。世界法則が違いすぎて魔法の術式が対応できなかったし、魔力素子自体が見つからなかった。今でも監察軍が様々な世界を調査をしているが、『魔法少女リリカルなのは』と『とらいあんぐるハート』の世界以外では使用不可能だった。

 

 この結果は、貴族たちを大いにガッカリさせ、なまじ高ランクの騎士であるため彼女たちは他の下位世界を敬遠して興味を持たなくなった。

 

 これは余にとって好都合だ。下位世界の調査と各世界のトリッパーの支援は、その仕事の内容から貴族たちに関わらせたくなかったからだ。

 

「できれば映像ではなく実際にいろいろな魔法を見ておきたいのだがな」

「それなら、今度の強化合宿に見学に来ますか?」

「合宿?」

 

 カーズたちが尋ねる。

 

「ええ、宮殿で働いている宮廷貴族や、領主として地方星系を統治している封建貴族は、軍人貴族と違って政治で忙しいから、騎士としての能力を腐らせかねない。だからそれを防ぐためにも強化合宿みたいなイベントも用意しているわ」

 

 宮廷貴族も封建貴族も最低限の自主トレーニングぐらいはしている。それでもまとまって訓練を受けている訳ではないから、戦闘力の低下は否めない。それを防ぐために軍人貴族の特殊戦技教導隊に教導を依頼するか、数日の強化合宿を行うという方法が主流だ。

 

「面白そうだな、見学しよう」

 

 カーズが面白そうにいった。

 

 それじゃ他の宮廷貴族も呼ぶとしますか。どうせやるなら派手にやろう。

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