シドゥリ暦461年に、時空管理局が設立され新暦が始まった。この時空管理局の登場で、ブリタニア帝国では一気に緊張が高まった。管理局は魔法至上主義を掲げて、質量兵器を廃絶していた。一方、ブリタニア帝国は、魔法技術は保有しているものの、軍隊や警察は質量兵器を主力に使っている。
魔法は個々の才能に大きく左右される上に、数を揃えるのに不向きで、大規模な運用がしにくい。これはブリタニアでは常識です。
帝国から見れば、魔導師だけで軍事と治安維持を行うなど正気の沙汰ではない。
実際、ブリタニアでは、魔法の使い手であるベルカの騎士は、軍の特殊部隊としてしか活動していない。けして主力ではない。だから時空管理局の主張する質量兵器廃絶など受け入れられなかった。
帝国の仮想敵は時空管理局となった。主義主張が相容れない上に、管理局はあちこちの世界に干渉しているので、いずれは帝国とも対立することが予測されていた。
帝国では、数年前からミッドチルダ周辺世界に諜報活動を行っている。だから時空管理局の情報は入手できていた。
そして、時空管理局との戦争を想定して、大規模な軍備拡張に乗り出す。
これに歓喜したのが、ブリタニア帝国軍部だ。
軍というのは、何ら民生に寄与しない。だから国力を無視して大軍拡を行えば、国家を衰退させてしまう。ましては、ブリタニアを統一している帝国には外敵が存在しないどころか、建国以来まともな戦争自体したことが無いのに、過剰な戦力を持っても仕方がない。他にも納税者である臣民の反発、軍部の暴走など数えるだけでも厄介な事だらけ。
それでも次元犯罪者の来襲、災害救助、非常時の治安維持等、様々な問題が起こることも想定して、軍備は国防ができる最低限度は整えていたし、軍事技術の研究も進めてはいた。だが国策として帝国は、国力の増強と科学技術の進歩を優先していたので、軍部は冷や飯を食っている。
こうして軍拡を開始した帝国は、各星団で造船所を作り、次世代型の虚数空間航行艦を建造していった。
これまでの研究、そして広範囲に宇宙開発したことで得られた豊富な資源は、それを大いに助けることとなった。
更に軍部には、時空管理局と管理世界との大規模な戦闘を想定しての戦略・戦術の研究を行うように勅命が下った。
一方で帝国政府の方でも、情報省が管理局と管理世界に対して裏工作を開始した。隠密性を強化した虚数空間航行輸送艦を使って、質量兵器を各管理世界のテロリストや反管理局勢力に秘密裏に流した。
この質量兵器は、親管理局派の管理世界の規格で作り、内部不和の種を仕掛けていた。ブリタニア帝国の関与を疑わせない一方で、仲間割れを誘発させる工作です。
ここで、管理局が情報を重視していれば帝国もやりにくかったが、魔導師至上主義に走り、情報を軽視する彼等にはそれを防ぐことはできなかった。
陸の一部にはこの問題を重要視し、情報機関の強化を求める者もいたが、海の上層部は裏方としか思えない情報機関などわざわざ作ろうとはしなかった。
こうして管理局の地上部隊は、帝国の質量兵器のばらまきによる治安悪化に困るようになり、この質量兵器を製造していると疑われている世界に敵意を持つことになる。この裏には、帝国の情報操作があったのは言うまでもない。