『陛下、あのような計画を了承して本当によろしかったのですか?』
余の忠実なるスーパーAIのカグヤが確認してきた。
「カグヤそれは仕方がないわ。余とていつまでも健在とは限らんのだ。それにこのブリタニア帝国が存続しているかも保証はできまい。現に第一次ベヅァー戦争ではかなり危うかったからな」
『……そうかもしれません』
余とカグヤの付き合いは古い、それこそブリタニア建国前のベルカ時代まで遡るほどだ。そんな両者が問題としていたのが、三千世界監察軍のトレーズが提出してきた計画だった。
それは、大雑把に言えばトリッパーの、トリッパーによる、トリッパーのための国を二つ建国するというもので、一つは理想の日本を作り上げる計画で、もう一つは全く新しい新国家の建設する計画だった。
「確かにこの計画はブリタニア一国の国益だけをみるなら不利益だ」
ブリタニアはこれまで数多の異世界から多くの知識や技術を収集発展させて文明を発達させてきた。またそれらの成果を独占して他国に漏らさないようにしてきた事で、圧倒的に有利な立場を確保できていたのだ。
そうした独占主義によって監察軍をブリタニア本国で囲い込んでいたが、これが第一次ベヅァー戦争で大いに裏目に出た。なまじトリッパーたちがブリタニアに集中していた為にまとめて壊滅させられてしまった。
またベヅァーの強さがシドゥリの想定を遥かに上回っていたのも痛かった。ベヅァーは最終兵器として期待していた超16号を瞬殺し、超サイヤ人4のミズナですら圧倒したのだ。
何とかベヅァーに対抗しうる戦力を得ようとするが、そんなもの容易に手に入るものではない。おまけにベヅァーを押さえつける役割を担うトリッパー達の人員補填にはかなりの手間がかかっている。
「でも、またベヅァーが出現したら監察軍というシステムだけではなく、それを支える国家体制すらも、本当にすべてが終わりかねない。それだけは何としても防がないといけない。だから速やかにトリッパーを大量増員する体制に入らないといけないわ」
再び現れるであろうベヅァーという脅威、そしてそれがもたらす被害に対する保険を用意するには、従来の独占主義を捨てて監察軍というシステムとそれを支える国家を分散させるしかなかった。
勿論、それはブリタニアに対抗しうる国家を作るという事であり、最悪の場合その二ヵ国がブリタニアの敵対国家になってしまうという恐れもあるが、背に腹を変えられない。
「ブリタニアが国家として国益を追求できるのも世界が安定していなければ意味がない。世界そもそもがベヅァーに破壊されてしまったら国益も糞もない。ここで優先順位を間違えてはいけない」
目先の国益よりもベヅァー対策をしっかりして足場を固めておかないと後々痛い目にあうだろう。
『なるほど国という単位ではなく数多の下位世界全体を考えれば有効ですね。監察軍を分散させておけば例えベヅァーが再び現れても一度に殲滅させられることもないでしょうし』
「そういうことよ。最悪の場合に備えて保険は用意しないとね」
現在ブリタニアは大いに発展している。そんな時にブリタニアが滅亡してしまう事を考えないといけないのは誰しも嫌な事だろう。しかし、君主として君臨しているシドゥリはそれを避けるワケにはいかなかった。
真に不老不死の人間が存在しないように不滅の国家も存在しない。あのベルカでさえ滅びたのだ。ブリタニアが滅びないという保証など何処にもないのだ。
「まぁこの三ヵ国体制が有効に機能するのは最低でも数千年はかかるわね」
『そうですか?』
「カグヤ考えても見なさい。我がブリタニアも順調に発展を続けているわ。監察軍が全面的に支援してもブリタニアに追いつくにはかなりの時間がかかるわよ」
『そうですね。支援を受けても国家を発展させるには時間がかかるでしょう』
「そう、だからある程度追いついてまともに国交を持てるようになったら、現在のブリタニア一極体制から三ヵ国の列強の協力体制に移行するというワケね」
このシドゥリの予想通り、ブリタニア帝国の一極支配が終焉を迎え、列強三ヵ国による三千世界の管理体制に移行するのは約一万年後のことであった。
完
解説
■シドゥリ・エルデルト・フォン・ヴァーブル
身長162㎝、体重48㎏、スリーサイズ88/58/86(17歳の時に覚醒して、それ以来変化なし)金色の髪を膝の辺りまで伸ばしたオッドアイの美少女。
転生特典
①魔力値SSS+
赤子の状態ではS+で、成長と共に魔力が増加するようにしており、16歳の時にはSSS+になった。
②IQ400(究極の生命体になったカーズと同じ)
この頭脳で石仮面の解析に成功して、これを改良した魔法を編み出した。
③聖王の鎧の強化(吸血鬼時)
聖王の鎧の異常なほどのパワーアップは当初は吸血鬼化の影響と思われていたが、実は吸血鬼になるという条件を満たすと発動する隠し特典だった。事実シドゥリの娘たちは吸血鬼化しても聖王の鎧が強化されていない。
このSSのオリジナル主人公。死神によって古代ベルカに転生して、後に石仮面を入手するように仕組まれていた。これによってDIOのように石仮面の吸血鬼となって古代ベルカで大暴れするという死神の予想に反して、石仮面の仕組みを解析して改良した吸血鬼になる方法を編み出した上に、古代ベルカを出て遠く離れた未開世界で自らの帝国を築き上げるという想像の斜め上を遥かに突き抜けた行動をした。その後、彼女が作り上げたブリタニア帝国が高度な文明を有する星間国家に成長した事で、構想段階であったトリッパー支援組織の母体として使えると判断した死神がシドゥリと接触して、三千世界監察軍が結成させる事になった。巨大帝国の皇帝という強大な権力を有する上に、吸血鬼としての卓越した能力に、膨大な魔力とIQ400という優れた頭脳によって様々な魔法を編み出しており〝ブリタニアの魔法皇帝″と言う肩書に相応しい実力者である。とはいえ、あくまでそれはリリカル世界の基準であり、化け物揃いな監察軍の基準ではおせじでも中堅級辺りの能力でしかないだろう。