「誰か助けてっ!!」
子供の悲鳴が森に響く。そこでは、二人の子供が狼の群に囲まれていた。森で遊んでいた子供達にとって、狼の群と遭遇してしまったのは不運だった。そのまま狼たちの餌食となるであろう子供達であるが、その運命が変わることになる。
「へえ、やっと人を見つけたわ」
その場に一人に女性の声が聞こえた。
「えっ」
子供達が見ると、そこには金色の髪を膝の辺りまで伸ばした色違いの瞳を持つ17歳ほどの少女がいた。
「狼か、取り敢えず邪魔ね」
そう言うと、少女の長い髪がいきなり伸びて、一瞬で狼たちに絡まる。
「「「ギャッ、ギャッン!!!」」」
拘束され、もだえ苦しんでいた狼たちは、見る見るうちにひからびて死んでいく。いや髪の毛から命を吸い取られていた。
「やはり狼程度でもそれなりの糧にはなるわね。さて貴方達大丈夫かしら?」
髪の長さを元に戻して、私は子供たちに話しかける。
「「は、はい」」
「そう、翻訳魔法は問題なかったようね。言葉が通じるなら好都合だわ」
私が子供達と当たり障りのない会話をしていると、男達がやって来た。男達は石器の槍を持っている。やはり文明レベルは以前の調査と同じようだ。状況から見ると、どうやらこの子達と同じ集落の人間だろう。彼等は狼達の死体を見ると、次に私に注目した。
まぁ無理もないだろう。私は髪と肌と瞳の色が違うし、着ている衣服が根本的に違う。彼等の基準からすると明らかに怪しいだろう。
ここで事を荒立てるのは得策ではない。穏便に事を治めるにはどうするべきか。私がそう考えていると、先程の子供達は自分たちが狼たちに襲われていた時に、私に助けて貰ったと男達に必死に話していた。それで男達の表情とその場の空気が変わった。
「どうも有り難う。子供達を助けてくれたようだな」
男の一人が進み出て私に話す。この男は、この場の男達の中でも体格が良く結構強そうだ。
「偶然よ。たまたま子供達が襲われていたから助けただけ」
「とはいえ、礼はせねばならんだろう。ついてきてくれるか?」
「ええ、わかったわ」
男達は、私が始末した狼たちの死体を持って歩いていく。おそらく狼の毛皮を利用して、肉を食料にするのだろう。私も男達に付いていく。
「そういえば、あんたの名は?俺はテリーというのだが」
「私はシドゥリ、シドゥリ・エルデルト・フォン・ヴァーブルよ」
「変わった名前だな、それにやけに長い」
「そうね。中間名や称号名があるから長くなるわ。やはりこの世界では家名も存在しないか」
これは想像できた事。この世界の様に文明レベルが低い場合は、わざわざ家名をつける風習もないところが多い。
「まあいいでしょう。テリー、私の事はシドゥリと呼べばいいわ」
「そうかい、ならそう呼ばせてもらおう」
私は彼等の家とも言えない住処に案内された。そこは家ではなく洞穴。彼等はその洞穴に住み着いていた。そこに住む人間達は、日本人に近い顔立ちをしている。髪や瞳の色が黒で統一されていたから、尚更そう思えた。彼等は動物の毛皮で衣服を作って身に纏っていた。
私は彼等から歓迎された。どうやら私が助けた子供達は彼等の長、便宜上『村長』とでも呼ぶべきかな? その村長の子供だった。だから集落をあげての歓迎となった。
その歓迎の最中で、テリーが私と勝負がしたいと言ってきた。どうやら狼の群を一人で始末したことで、私を強者と判断したんだろう。実際には彼等とは次元違いの最強の騎士なのだが。私のテリーの申し出を受ける。
ここで断ると、私の評価が落ちる。言うまでもないが、今の私は集落の者達に注目されている。この状況で臆病だの弱いだのという印象を与えると、後々不具合が出てくる。
テリーと私が表に出る。観客は集落の人間全員。ここでお互い武器を持たずに腕試しを行うことになった。
先制を取って私に殴りかかるテリー。私はそれを難無く手で受け止める。ふむ、魔力ブーストもしていない人間の力にしてはなかなかだね。しかし私が相手では弱すぎる。圧倒的なパワーで押さえ込まれたテリーは、私の蹴りを入れようとする。
しかし、その時には私はテリーの手を離して身を離していた。
「まぁ、こんなものか」
テリーは力自慢だったのだろう。私に力負けしたのに愕然としていたが、それでも私に殴りかかる。私は『プラズマアーム』を使用して、テリーを倒した。プラズマアームは、腕に電気変換した魔力を纏わせて攻撃する格闘戦魔法だ。テリーは、魔力ダメージを受けてノックダウンした。
今の私では、力技でやると相手を殺しかねない。だからあえて魔力ダメージで倒すという選択をした。これなら、暫くすれば起きられるはずだ。
集落の人間は大騒ぎとなった。テリーは集落で最強だったらしい。確かに人間にしてはなかなかだったしね。
そして、その後の歓迎も進んでいった。
翌日、私の元に村長が来て、自分たちは私に従うと言ってきた。どうやら昨日の恩と、私の実力に私に従うことにしたらしい。
当時の彼等の生活は、洞窟や洞穴に住み、狩りや木の実などを食べて生活していた。食べ物がなくなると、別の場所に移動する移動型の生活だ。これでは生活が安定しない。この集落も、そろそろ移住を検討していたらしい。私は丁度いいので、彼等を私の都市に招く事にした。
この惑星ヒルデガルドにたどり着いた私は、条件の良い場所に都市を築くことにした。都市と言ってもそれは簡素な物だった。取り敢えず必要だと思われる物を揃えていたという所だ。そこでは魔力駆動式のロボットが家畜の飼育と作物の栽培を行っており、既に十分な食料をまかなえるようになっていた。
私はこの都市の外れにある輸送船『シリウス号』から、この都市をシリウスシティと名付けていた。
このシリウスシティ周辺は、以前私が邪魔な肉食動物を徹底的に狩ったので、熊や狼などは残っていない。丁度吸血鬼になったばかりであったので糧にした。とはいえ肉食動物は移動することも多いので、今後はまた現れることも考えておくべきだろう。
この世界の動植物は地球のそれによく似ている。狼や熊だけでなくネコとかもいたしね。
シリウスシティに着いた彼等は愕然としていた。それはそうだろう、彼等にとっては何もかもが初めて見る物だった。
私も彼等に都市の機能や使い方を一から教えていくのはやたら大変だった。彼等は驚きながらも、私から学んでいく。
生活は一変する。それまで衣服は動物の毛皮を着ていたのが、綿や絹の服となり、食べ物は肉や魚、野菜など沢山増えた。道具も、それまで石器の槍を使っていたのが、自動小銃を使うようになった。
ちなみに火薬の材料が豊富に有ったので、自動小銃〝AK-47アサルトライフル″を製作していたのだ。目が回るほどに忙しく、瞬く間に三ヶ月が過ぎていった。
解説
シドゥリ・エルデルト・フォン・ヴァーブル
身長162㎝、体重48㎏、スリーサイズ88/58/86(17歳の時に覚醒して、それ以来変化なし)金色の髪を膝の辺りまで伸ばしたオッドアイの美少女。
このSSのオリジナル主人公。前世は日本人男性で転生によってTSしている。その為、男嫌いで百合になっている。というかTSした主人公が、それなりの理由も無しにいきなり男性を好きになったらそれはそれでキモい。好みの女性は外見年齢が16歳~18歳ぐらいの美少女。ちなみに凹凸の乏しい貧乳や、大きすぎる巨乳は好みではない。全体的に身体のバランスがとれていて、形の美しい美乳が好み。始まりの覚醒者であり、死神の干渉で凄い才能の持ち主となっている。その後の長い人生で経験を付けていく。