ゴブリンスレイヤー THE ROGUE ONE 作:赤狼一号
果たして神はいるのか。
いるならば是非に会いたい。
この残酷な世界に産み落としてくれた事に感謝しよう。
この薄汚い魂を与え賜うた事に感謝しよう。
この皮肉に満ち満ちた運命を用意してくれた事に感謝しよう。
吾輩に祈りは無用。そして願いは唯一つ。
謝礼をしたいのだ。過分な宿業に対する謝礼を。
さりとてそれは現世にあっては叶わぬこと。
なればこそ、この世においては宿業に殉じるとしよう。
ああ、臓腑が燃え尽きるほどに憎らしい。
我が親愛なる血族の諸君は、苦悩する吾輩を差し置いて、浅ましくも己が本能と衝動の命ずるままに、欲望と生を満喫するのだ。
なんと妬ましきかな、我が同胞は。
吾輩が苦痛と恐怖と後悔に苛まれる間、彼らは情欲と快楽と愉悦に酔うのだから。
こんな事が赦されようか。
こんな事が認められようか。
否、断じて否である。
あらゆる神が赦そうと、あらゆる法が認めようと、吾輩はその全てに叛逆しよう。
弓、槍、長柄、剣、盾、無手、我が全てを以って鏖殺し、山野の全てを屍で埋めて、河川尽くを血に染めよう。
殺して、殺して、殺して、積んで、積みて重ねて山と積み。
血と屍で築いた山嶺は、いずれ天へと至るであろう。
その日こそが我が願い。
唯一の宿願にして、唯一つの希望。
さあ、神々よ! 呪わしき
からりころり、と何処かで骰の転がる音を聞いた気がした。
地上を明るく照らす太陽の光も、薄闇の支配する洞窟の奥までは届かない。
よどんだ空気の中に混じる様々なにおい。カビと土、女の甘い体臭と糞虫どもの汚臭。
女の絶望を伴った悲鳴とともに、今日も薄汚い糞虫がこの世に生れ落ちた。
ギャアギャアとやかましい下卑た歓声のなか、女の顔が恐怖と嫌悪に歪む。
そんな女を遠巻きに、楽し気にはやし立てる「父親達」は、皆が一様に絶対的な弱者への嘲りという嗜虐的な遊戯を堪能している。
『お前の生まれた日を呪う』
絶望と諦観に染まり切った女の眼が、最後に残った憎悪を灯してそう言っていた。
懐かしい
思えば吾輩が「吾輩」などと言う仰々しい自称を使うようになったのも、生まれ落ちたその瞬間に「吾輩はゴブリンである。名前はまだない」などと言う戯言が頭に浮かんだのが最初である。
吾輩もこんな顔をした母に対面し、同じような糞虫共の視線の中で生まれたのだ。
「人間ではない」生まれて数刻のうちに吾輩が学んだ教訓の一つだ。人間の子供程度の背丈と膂力、そして生まれ落ちたその瞬間から湧き上がる自己中心的な思考と残忍さ。
「……ゴブリン」
女が弱弱しくつぶやく。感慨深いことに生まれて初めて聞いた母の言葉と同じときたもんだ。どうも、こういう状況においては人間の語彙は著しく少なくなるらしい。
ともすれば、それは吾輩を含めた、ここにいる全ての糞虫どもの呼び名というわけだ。
この世界の底に溜まった汚濁をこね回し、残酷さの鋳型でもって型をとり、嫉妬の炎で焼成した醜悪極まる害虫共。
その誕生が祝福されようはずもない。刹那に上がった耳障りな産声、薄闇の中に浮かび上がる醜く矮小な影。
息も絶え絶えな女の口から絶望に満ちた悲鳴が上がる。
その悲しみと屈辱に満ちた響きに、周りの糞虫共が歓声を上げ、手をたたいて喜んだ。
なんとも現世の底の底といった風景である。女は祈っているのだろうか。その場で蹲って動かない。
死んでいるのだろうか。そうであれば素晴らしい。死はいつとて安息と救いをもたらす。
だが、残念ながら女は生きているようだった。呻くような啜り泣きの声がわずかに聞こえる。
人間ならば、この光景を見て何と言うだろうか。猛り狂って糞虫共を皆殺しにするのか。女を介抱してやろうとするか。
それともいっそ、この残酷な世界から解放したのち、神への祈りを捧げるのか。
糞喰らえである。神が賽を投げた結果がこの有様なのだ。
ゆえに吾輩は祈らぬ。神になど願いはせぬ。
ともすれば吾輩は
吾輩はローグ。ゴブリンである。
女は祈っていた。
今すぐどんな邪神でも邪霊でもおりしませ、と。
このおぞましいゴブリンたちの息の根を止めてくれたまえ、と。
それが叶わぬなら、せめて今すぐに自分の息の根を止めてくれ、と。
女は心底から祈っていた。
産褥と屈辱と恐怖に体力を奪われ、朦朧とした意識の中で、いったいどれほどの時間がたっただろうか。
長いようでもあり、たいして経っていないようにも感じる。
望まぬ出産を経て、女は己の胎から這い出てきたそれらの存在を確かに感じていた。成体のゴブリンよりは小柄なそれらが己の股の間で蠢く。
また、絶え間ない凌辱が繰り返されるのか。そしてこのおぞましい出産が。
いつ終わるとも知れぬ地獄の中で、女の精神は摩耗しきっていた。
だからこそ、女は唐突に起きた事態が全く理解できなかった。
闇の中から伸びたブーツの靴底が、生まれたばかりのゴブリンを踏み潰したのだ。
そのままゴリゴリと地面を削るようにブーツは念入りにゴブリンを踏みにじる。
甲高い悲鳴を背景に、ぐじゅぐじゅと水気を帯びた音の中に、ぽきぽきと小さな何かが砕ける音が混じる。
悲鳴を聞いて最初は笑っていたゴブリン達も2匹目の悲鳴を聞くときにはどうも異常を察知したようで、あたりは唐突に静まり返った。
闇の中に感じる長身の影。
女は
鋼線を編み上げたような強くしなやかな筋肉を持つ手足。厚い胸板を覆う薄汚い甲冑。そして盗賊を思わせる野卑な武装の数々。乙女の窮地を救う騎士と言うにはいささか泥臭い。
妙にガニ股の両脚には、蜜蝋で硬く煮込まれた厚革の脛当。内股に革片が継ぎ当てられたぼろぼろの乗馬ズボン。
ウエストの引き締まったデザインの銅鎧は、黒革に鋼板の小片を裏打ちした
腰の剣帯に吊られた十字の鍔を持つ片刃の
その内側に締めた長い
また一匹、ブーツがゴブリンの赤子を踏みつける。悲鳴、肉と骨がひしゃげる音。
ごりごりとゴブリンの赤子を踏みにじるたびに、広い肩の上で鉄片を革ベルトでつないだ簡素な
両腕を覆う皮籠手はところどころ鉄片で強化されており、鋼片が縫い付けられた厚手の皮手袋を嵌めた手には、柄を短く切り詰めた槍が握られている。
どう見ても山賊か、よくて性質の悪い盗賊騎士といった風体であろう。
呆気にとられたように固まる小鬼達をあざ笑うように、その盗賊騎士もどきは槍の石突を生まれて間もない小鬼の頭に叩きつけた。
スイカをたたき割るような音がして、女の足の間で蠢いていたおぞましい生き物が頭を砕かれて痙攣する。女は何故だか笑いが込み上げて来るのを感じた。
狂ったように笑いつづける女を一瞥するとその盗賊だか山賊だかわからない何かは小鬼たちに向けて槍の穂先を繰り出した。
まるで果物でも収穫するように、淡々と槍の穂先が小鬼の胸を貫き、引き抜かれては別の腹へと潜り、臓腑を引き裂く。
鋭い穂先は毒蛇のように縦横に獲物に喰らい付いては、致命の傷を与えていた。心臓を貫かれ、そのまま倒れ痙攣するもの。引き裂かれた臓腑を腹からはみ出させたまま転げまわるもの。
闇に閉ざされた洞窟がゴブリン共の血の匂いと悲鳴で満たされていく。
死んでいく。ゴブリン達が、あの理不尽の権化のような醜い生き物がのた打ち回って苦んでいるのが分かる。
胸が悪くなるような匂いの中で、不思議と女の心は澄み渡っていくようだった。
もっと殺して、もっと殺して、女は心の中で呟いた。理不尽に自分を攫い凌辱と暴虐の限りを尽くした小鬼たちが理不尽な暴力によって殺されていく。
殺戮の音と悲鳴と臓物と血の匂い、朦朧とする意識の中で女は快哉を上げた。
ふと視界の隅で、バチバチと火花が飛ぶのが見えた。薄闇の中で呪術師風のゴブリンがなにやら唱えているのが辛うじて目に入る。あぶない、そう叫ぼうとしたが悲鳴と絶叫で枯れ切った喉から出るのは乾いた吐息ばかり。
一瞬の閃光が女の視界を遮った。直後、女の目に入ってきたのは砕け散った槍と、弱々しく膝を付いたつかの間の希望の姿だった。小鬼呪術師がいやらしい笑みを浮かべているのが見える。
やっと垣間見えた希望の光があまりに無残に潰えたのを見て、女は意識を手放した。
癪に障る笑みを浮かべた
≪ざまあみろ、図々しい裏切者め。じっくりいたぶり殺してやる≫
小鬼呪術師が勝ち誇った言葉とともに斧を振り上げる。抵抗しようにも雷撃の魔法に打たれた吾輩には手も足も出ない。まさに調理台の上のキャベツ。絶体絶命である。
とでも思っているのだろう馬鹿め。
吾輩は腰に付けた
ばらばらと抜け落ちた歯が、血反吐と共に地面に落ちた。
小鬼呪術師が耳障りな悲鳴を上げながら、地面にうずくまる。
≪なぜ、魔法、当たったはず≫
小鬼呪術師が呻きながら呟く。ふと砕けた槍に目をやり、顔をゆがませた。
≪ペテン、嘘つき、死んだふり、卑怯者≫
糞虫が、ようやくとっさに槍を投げて身代わりにした事に気づいたらしい。今更気づいたところで後の祭りである。
ゴブリンという連中は自分たちがやることは相手もやってくるとは考えない。だから平気で略奪に殺しもするし、女も襲う。
なにせゴブリンは本能と衝動によって動く。その衝動がもたらす快楽に逆らえないのだ。
せっかく孕み袋にした女も世話を怠ったり、その場の気分で殺してしまう。何かしらの計画があったとしても、目の前に女や嬲れそうな何かがあればすぐに頭から抜け落ちる。
そして、今まで絶対に有利だと調子に乗っていた相手が、無残に追い詰められ、手も足も出なくなるという光景。ゴブリンにとっては、まさに垂涎の景観だ。
衝動を掻き立て、なけなしの知性を吹き飛ばす絶景なのである。
ちょっとばかり胡散臭く感じても、その直前に仲間を散々殺した相手が、自分の一手で一転して追い詰められたという事実への愉悦が警戒心をかき消すのだ。
まあ、
今回は賽の目がうまく出たようで、大成功と相成ったわけである。
ともあれゴブリンにとって、己とはこの世界において至高の存在であり、己以外の他者とは、愚かで蹂躙されて当然の存在であるからだ。
本当に反吐の出る害虫共である。吾輩がこの糞虫共を殺戮する事に喜びを感じるのも、至極当然の事と言えよう。
そんなことを考えながら、吾輩は小鬼呪術師の顔面にブーツのつま先を叩き込んだ。
≪あがぁっ、ひい、やめろ≫
つま先に鉄板の入ったブーツの一撃を受け、地面に転がった
≪待でっ! ごろずなっ!!≫
吾輩の足の下で必死でもがきながら、小鬼呪術師が猫なで声で命乞いをする。
≪群れか、群れが欲しいのか!? お前にやるッ! お、女も、女もやろう!!≫
小鬼呪術師が必死で倒れている女の方を指さす。
≪そうだ、女だぞ。ハラミ袋だ、群れ! お前の群れだ!!≫
吾輩が興味を引かれたと思ったのか。足の下で小鬼呪術師が必死でもがきブーツの足底から逃れようと必死で押し返そうとする。
≪表に来てた間抜けな冒険者共にも、女がいたぞ、え、みんな捕えれば、大きな群れ、村だって襲える。
足に体重を掛ける。重さに耐えかねたか、骨の折れた感触がした。
ゴブリンにとって女は数少ない娯楽の一つだ。だが、吾輩にとってはそうではない。
吾輩にとって女は快楽とともに多くの苦痛をもたらす存在だ。この糞虫共と同じ存在に落ちる苦痛。前世の同族を蹂躙する事への躊躇と葛藤。
そんな葛藤を吾輩がしているというのに、この糞虫共は本能の赴くまま快楽を謳歌しているのだ。なんと妬ましいことか。吾輩とて本能のままに犯し殺し嬲ることを楽しめれば、なんと幸福な生だったことか。
しかし、吾輩にはそれが出来ない。だからせめて心の底から生を謳歌する同胞たちへの贈り物として、苦痛に満ちた死を分け隔てなく与えることにしたのだ。
そんな事を思いながら、吾輩はさらに足に体重をかけた。ミシミシと圧力が高まり小鬼呪術師がカエルのようなうめき声をあげる。
この苦痛の表情が何とも言えず楽しい。そして、吾輩が嬲るのに付け込んで巣の入口へ向かった別動隊が帰ってくる時間を稼ごうという姑息さもまた好みだ。すべて台無しにするのだから。
≪あ、がぁ、ぎいぃ、群れ、大きな群れぇ! ぎぇあっ!!≫
糞虫が価値のない戯言を壊れたカラクリのごとく繰り返す。お楽しみはほどほどにしよう。まだ、糞虫共は残っているのだ。
≪だずげでぐぇ、
血反吐を吐き散らしながら、小鬼呪術師がわめく。吾輩は腰から片手斧を抜くと小鬼呪術師の頭に刃を合わせ、肩に担ぐように構えた。
≪吾輩は
≪までぇ、やめぇあああッ!!≫
≪吾輩は、
小鬼呪術師の頭に向かって押し出すように斧を振り下ろす。薄刃の斧頭が頭蓋を叩き割る感触がして、直後に末期の痙攣が手に伝わってくる。最高の気分だった。
巣穴の主として幸福の最中にいるゴブリンを殺す。まったくもって愉快痛快である。
吾輩は小鬼呪術師の頭から片手斧を引き抜くと、
さて、吾輩の仕事を手伝ってくれた間抜けな
吾輩は巣穴の入り口に向かって歩き出した。この部屋に残っているのはハラミ袋の女だけ。あとは全て皆殺しにした。
愛すべき
吾輩はローグ。
頑張って作中で描写したつもりですがですが、一応用語解説です。
小鬼悪漢≪ゴブリンローグ≫
ゴブリンに転生した主人公というのは最初から決めていました。
ゴブリンスレイヤーの鏡写しのような人物として「ゴブリンでありながらゴブリンを殺す」ゴブリンという種族の理から外れ、むしろその運命に反逆する。というコンセプトで作りました。
ですので作中でも書きましたが感性はかなりゴブリンよりです。人間は敵の敵程度にしか思っていませんし。特に冒険者を助けたいとも思っていません。というか平気でおとりにしたり巻き添えにします。冒険者っぽい恰好をしているのも冒険者から襲われるのを避けるためです。
ですが、その中で捨てきれない人間性に苦しみ、葛藤させていきたいと思っています。
「ローグ」は反乱者または悪漢、悪人、悪党、詐欺師、破落戸など、基本的には悪い人を指します(スターウォーズのローグワンは一反乱者というタイトルなわけですね)。
ゴブリンの中の悪党という事で特殊なクラスを作ろうと考えていて、どういう名前にしようか悩んだ結果こうなりました。
「アウトロー」と「ローグ」と最後まで悩んだんですが原作「イヤーワン」とかけたタイトルにできるので「ローグ」を採用しました。当て字も悪党にするか悪漢にするかで悩んだんですが「悪漢」のほうがより孤独感があるなと思い「悪漢」にしました
一人だけの悪漢。この世界で圧倒的に孤独に悪を貫く、そんな意味を絡めることが出来たので気に入ってます。
身長はゴブリンスレイヤーさんより頭一つ高く、ゴブスレさんが170㎝くらいだとするとだいたい190㎝くらいです。
蜥蜴僧侶さんよりはちょっと背が低いくらいかな(ちなみに作者の中ではホブと蜥蜴僧侶さんが大体同じくらいの2mオーバーと言う想定です)
持っている武器は身軽さを重視して身長の割には短めです。原作作中でも言われてますが武器の長い短いの感覚は使う人の体格に大きく左右されます。ゴブリンスレイヤーさんにとって中途半端な長さの剣はゴブリンにとってはちょうどいい長さの剣なわけです。
力は体格と同じでホブよりちょっと下です。ホブと腕相撲したら普通に負けます。まあ「腕相撲しようぜ」と言って腕組んだ瞬間に、ダガーで滅多刺しにするような主人公ですが。
知力と集中力に優れているので、学習能力がめちゃくちゃ高いです。でも魔法は使えません。
もともとは巣穴を渡りながら冒険者を観察したり、その後ゴブスレさんのように師匠について武器の扱いを学びました。ちなみに渡り歩いた巣穴は全部壊滅しています。
盗賊胴≪ブリガンダイン≫
金属の小片を布や革などに鋲で裏から止めた甲冑。
可動性が良く軽量で防御力も高い上に補修がしやすいため、歩兵や盗賊などの比較的お金の無い層から身軽にしたい騎士まで広く愛用された。
当時は歩兵=すぐ略奪したり盗賊になったりする人たちなのと、主人公のアウトローな感じを出したかったのであえて「盗賊銅」と訳しました。
鉄帽子《ケトルハット》
アフリカ探検隊の帽子みたいなヘルメットを思い浮かべていただけると分かりやすいかもしれません。ようは鉄でできた麦わら帽子です。
視界が良く安価で頑丈ですが、オープンヘルムなので顔面や首周りの防御はないのでホウバーグ(鎖で綴った頭巾)や作中のように鎖を綴って顔を覆ったりして防御を稼ぎます。
小盾≪バックラー≫
直径40㎝ほどの円形盾で中央にセンターボスという金属のボールを逆さにかぶせた様なナックルガードがついてます。構造は単純で円形の板の中央に拳二回り大ほどの穴をあけて。穴を橋渡しするようにグリップがついています。センターボスは握っている拳を守るためにあるわけです。
歴史はとても古くなんと古代ローマにまでさかのぼります。後の時代のヴァイキングシールドもこれより大きいですが、ほぼ同じ構造になっています。
構造が単純なので頑丈で安価、携帯性にも優れていたので、盗賊から騎士まで幅広い層に用いられました。
そして小さな盾なので基本的には殴ります。というか突き出して相手の武器の進路を邪魔するのですが、結果殴ります。
髭刃の片手斧《ビアードアックス》
柄と刃の部分にノルディックパターンの浮彫が施された片手斧。柄から斧頭までは80㎝あります。
「髭刃」または「髭」とは柄を地面に垂直に立てた時に斧刃の下の部分が長くなっているものの事を言います。ものに引っ掛たり、刃を長くしつつ軽量化するためです。
ちなみに明らかに対人戦闘をメインで考えられている斧の刃は巻き割り用などと比較して薄い傾向にあります。とは言っても日本の鉈と同じくらいの刃の厚みはあります。
ゴッドオブウォー4作目で主人公が使っている氷の斧の小さいやつをイメージしていただけると分かりやすいかも。
要はヴァイキング風の片手斧なんですが、ヴァイキングの片手斧はフランキスカと言って投擲によく使っていたという別の形の手斧がありまして、そちらと差別化するためにあえて髭斧(ビアードアックス)と充ててます。実際には斧の刃の形状をさす言葉なので片手斧にも両手斧にもビアードアックスはあります。本当はデーンアックスと当てたかったんですが、どうもデーンアックスは明確に両手使いの斧を指すようなので、あきらめました。
なんで、そんなややこしいもの選んだかって? 好きなんだよ。
実は当初の設定では主人公の装備はヴァイキングスタイルでした。その頃の名残です。ヴァイキングスタイルだとアウトローというよりは蛮族なのでちょっとテイストが違うかと思って断念しました。作中では主人公の師からもらった思い出の品という設定が一応あります。
山刀≪メッサー≫
刃長70㎝柄長20㎝の剣鉈。いわゆる片手の直剣よりも全体的に身幅が広めで薄くなっています。薄いといっても一番厚いところは4mm程度ありますので、本当にペラペラというわけではありません。薄いのは軽量化もありますが、切断力を高めるという目的もあります。
そのものずばり鉈が大型化した剣なので剣先の尖っているものから丸いものまで多種多様な形があります。主人公が使っているものは当然ポイントが尖っていて突きにも使えるものです。
重心が先端よりなので重量感がありますが、短いので取り回しはかなり良いです。