「何度も何度も、しつこい連中だな」
寄りかかっていた木から離れた青年は遠くから聞こえてくる声にあきれながら森を歩く
「いうことを聞かないなら実力行使っか。だから政府ってのは嫌いなんだ」
森から出ると、武装した集団ががぜんに広がる
「“剣聖”氷室悠一、これが最後通告です。私たちとともに来なさい」
「トップの誰かが来るとは思ってはいたが、よりにもよっててめぇか赤座。地獄のどん底まで落ちたっていうのにまた上がってくるなんて大した執念だ」
「ぬふふふふ、一度蜜の味を知ってしまうとまた味わいたくなるものでしてね。さて、もう一度言います我々に従いなさい。そうすれば今までのことは帳消しにし、貴方の奥方や子には手を出さないと誓います」
「・・・そうだな・・・じゃあ答えよう。俺の答えは・・・」
「っ!?」
「これだ」
青年は男との距離を一瞬で詰めると握った刀を振るい、男を斬り裂いた
「一度とはいえ、お前たち政府は俺の大事なものに手をかけた。まぁ、ぎりぎりで俺が間に合ったから未遂で終わったが・・・ともかく、そんな奴らの言うことを聞く義理は俺にはない」
「い、いいのですか?私たちに、歯向かう、ということは、この国に歯向かうということ、この場を、退けられたとしても、貴方たち、家族に、待つのは、絶望だけなのですよ?」
深く斬られたせいか男は過呼吸をしながら青年を睨みつけいう
「あいつらなら俺が最も信頼する人のところに送った。たとえ俺がここで死んだとして何の問題もない」
そういうと青年は抜刀の構えをとる
「覚悟ができた奴からかかってこい!」
こうして青年対組織の戦いが始まった。熾烈を極める戦いだとその場にいた誰もが感じたが、予想とは反し、青年はわずか半日で集団を壊滅させた。それから1か月、次々とやってくる刺客たちを倒し、組織はある2人を青年にぶつけることを決めた
「成程、化け物には化け物を・・か。まぁ、道理だな」
「・・・・氷室さん」
「1か月も戦い続けて傷があまりないなんて、相変わらず化け物じみてるわね」
「っは。闘神リーグに比べればかわいいもんだった。疲れがないっていえば嘘になるが。まさか、俺に向けられた最後の刺客がお前たち2人とわな。顔を合わせるのはお前たちの結婚式に以来になるな。元気そうで安心したぜ、黒鉄。婿養子に近い形だから、肩身の狭い思いをしてると思ったんだがな?」
「あはは、それが毎日、お義父さんや国民たちに襲い掛かられているんですよ」
「そうか。さて、話はここまでにしてさっさと始めるか」
「引く気はない・・・みたいね」
「当然だ何せ上役を斬って宣戦布告したんだからな」
「・・・・・・」
青年に言われ、黒髪の青年と赤髪の女性はそれぞれ刀と大剣を構える。風が舞い鳥が羽ばたくのを合図に青年と2人の戦いが始まった。戦いは三日三晩続き、勝利したのは
「がふ!?あ~~~負けちまったか」
黒髪の青年と赤髪の女性だった
「氷室さん・・・僕は・・」
「・・・そんな顔をするな。こうなると解って戦いを挑んだのは俺だ。悔いは・・・・沢山あるな」
「あるんですか!?」
「そりゃあなぁ。まぁ、最後、の最後に、満足のいく戦いができた。それで、よしと、するさ。黒鉄、これを」
青年は最後の力を振り絞って、黒髪の青年にペンダントを渡した
「本当は、俺が、自分で、渡せれば、よかったん、だが、無理、見たい、だから、な。お前が、かわりに、渡して、くれ。あいつらは、OOOOに、いる。それと、あいつらに、伝えて、くれ。お前らと、出会えて、よかっ、たってな」
「伝えます、必ず」
黒髪の青年は青年が持つペンダントを持つ手を両手で握り、誓った
「ありがと・・・な」
答えを聞くと青年は雲一つない空を見上げながら満足そうな顔でこときれた。これが青年の2回目の人生の終わり
『己、人間ごときが神である私に逆らうか!?』
「神は神でも邪神だろうに。世に災いを招く神なんていなくなっちまったほうがいい」
『図に乗るなよ人間が』
こうして青年と神の戦いが始まった。神であることから様々な大魔法を繰り出してくるが、幾度となく死戦を潜り抜けてきた青年にとっては軽く、決着はすぐについた
「勝負は見えたな。もう1人のほうも今頃あいつが倒してるころだろう。あいつの逆鱗に触れたんだ、楽には死ねないだろうがな」
『ま、待て!わ、私が悪かった。今までのようなことは決してせず、心を入れ替え、この世界の者たちを見守っていく!だから、命だけは』
「・・・・あのお人好しで、疑うことを知らないバカ勇者ならともかく、長い間人を、この世界に生きる者たちをゲーム感覚で殺してきたお前の言葉を信じるほど、俺は優しくないし、お人よしでもない。永久に眠れ」
青年は神の命乞いをバッサリと斬り捨て、両断した。これが青年の3回目の生
「OOOO!OOOO!OOOO!OOOOO!OOO!OOOを連れて逃げろ!そして、何があっても生きろ!」
「OOOO!?」
少女は5人の従者に抱えられ青年の名を叫ぶが、青年は振り返ることはせず、迫りくる大群を見据える
「なんかデジャヴを感じるが・・・まぁいい。お前らの身体に叩き込んでやるよ、手負いの獣がどれだけ恐ろしいかをな」
獰猛な笑みを浮かべた青年は愛刀を構え、迫りくる大群に突撃した。そして、
「変な音が外から聞こえてきたから気になって出てみたら、なんで男の子がうちの庭で血だらけで倒れてるんや!?」
これは“剣聖”“神殺しの剣士”と呼ばれた転生者“氷室悠一”の4回目の転生譚