「ふぅ~~~いい湯だったぜ」
風呂にゆっくり浸かり一日の疲れをとった悠一は風呂上がりの牛乳を飲みながらのんびりしていると、携帯がなった
「相手は忍さん?・・・はい、もしもし?」
『大変よ悠一君!』
「・・・・・な、なにが大変なんですか忍さん?」
あまりの大声に悠一は頭痛を感じた
『すずかが、すずかが』
「また誘拐されたんですか?」
『違うの!すずかが急に家を飛び出していったのよ!!』
「・・・姉妹喧嘩でもしたんですか?」
『してないわよ!一緒にお茶を飲んでいたら急に立ち上がって、飛び出て行ったの!時間が時間だから恭也に頼もうと電話したんだけど、恭也のほうも急に家から飛び出て行ったなのはちゃんを探すのに忙しいから無理だって言われて』
「それで俺に?」
『そう。一応君はすずかのナイトだからね』
「ナイトになった記憶はないんですけどね~~。解りました、すずかちゃんにはとあるものを肌身離さず持ち歩くよう言ってますので、すぐに見つけて家にお届けします。それじゃあ」
通話を切ると、悠一は服を着替え、入浴中のはやてに声をかける
「はやて、野暮用ができたから少し出てくる」
『はいな~~あんまり遅くまで出歩いて警察のお世話にならんようにな~』
「ならねーよ」
はやてとのコントを終えると悠一は外に出て屋根に跳び上がる
「すずかちゃんの気配は・・・・・・・掴んだ。“界穿”」
目をつむりすずかの気配を察知した悠一は目の前の空間に穴を開け、その穴を通った
「あり?」
到着した場所を見て悠一は目を点にした
「おっかしいな~~~。すずかちゃんに渡したネックレスに仕込んだ魔力を頼りに来たんだが」
悠一はボロボロになった建物を見る
「帰る途中でなのはちゃん達が見つけたフェレットを預けた動物病院だよな?なんでこんなにボロボロになってるんだ?ん?」
月よの光で瓦礫の下で何かが光ったのを見た悠一は瓦礫をどかすと、そこにはネックレスがあった
「これは、俺がすずかちゃんに渡したネックレス。これがここにあるってことはすずかちゃんはここにいた。そして何らかの拍子でひもが切れて落としたって所か」
仮説を立てた悠一はため息を吐くと気配感知を行い、すずかを探す
「結構近いな。それになのはちゃんとアリサちゃんも一緒か。何かから逃げてるのか?行けば解るな」
ここにいてもしょうがないと解った悠一は感知を頼りにすずか達の捜索を再開した
「もぅ~~~~何なのよあれは!!」
「お、落ち着いてアリサちゃん!」
「こ・ん・な状況で落ち着けられるわけないでしょうが!!」
わき目も降らずに一心不乱に走るなのは、すずか、アリサの3人。そんな3人を追うように雲のような形をした怪物が追いかけながら3人を攻撃する
「きゃあーー!?」
「シャレになってないわよ!?」
「(家を飛び出る前に悠一さんに電話をしておけばよかった)」
怪物の攻撃で塀が壊れ、地面に穴が開く。そんな攻撃が直撃すれば自分たちはどうなるのか考えるまでもなく理解した3人は走るが、所詮は人間、それも子供、限界はすぐに訪れる
「はぁ、はぁ・・・もうダメ」
3人の中で運動神経(とあるもの以外)が一番低いなのはの走る速度が落ち始める
「止まるんじゃないわよなのは!止まったら死ぬわよ!!」
「頑張ってなのはちゃん!」
「そ、そんな、こと、いわ、れても」
アリサとすずかの2人から激高を受けるが既になのはは限界だった。そんななのはに怪物の攻撃が迫る
「「なのは/ちゃん!?」」
「あ」
攻撃が迫る中、なのははすべての事象がスローモーションになるのを感じた。そして、いろいろなことを思い出す。怪物の攻撃がなのはに届くまであと数メートルといったところに一つの影が間に入り、怪物の攻撃を打ち消した
「これは一体何の冗談だ?」
悠一は目の前の現象にため息を吐く。その右腕には膨大な量の電気が帯電していた
「ゆ、悠一お兄ちゃん?」
「よぅ、なのはちゃん、アリサちゃんにすずかちゃんも。小学生が随伴もいないで夜遅くに出歩いちゃダメだって先生やご両親に言われなかったか?」
「あ、あなたは一体?」
「通りすがりの一般市民だ・・・って、今のは誰の声だ?」
返答してから聞こえてきた声が聞き覚えのない者のだと解ったあたりを見回す
「あの~~僕です」
「・・・・・・」
なのはの腕に抱かれているフェレットが前足を掲げながら申し訳ないような声で話す
「ただのフェレットじゃないってことは解ってはいたが、まさか喋るとはな」
「え?そ、それだけですか?」
あまり驚かない悠一にフェレットは困惑気味に尋ねる
「お前以外に喋れる動物を知ってるからな。所でお前はあれが何なのか知ってるのか?」
悠一は唸り声のようなものを上げる怪物を指さしながら聞く
「はい。それで無理を承知で貴方にお願いがあります!少しの間、あれを食い止めてください」
「・・・何か手があるみたいだな。いいだろう。“絶界”」
悠一はなのは達に手を向け、不可視の空間遮断型の防御結界を展開する
「3人はそのフェレットが言う手とやらが終わるまでここでおとなしくししてろ」
3人に一声かけると悠一は殴られ、数が増えた異形を見る
「なんか増えてるし。まぁいい・・・やりますか」
悠一は身体強化を施すと一瞬で異形との距離を詰め、拳を振るうも、突き出された拳は怪物に風穴を開けるだけだった
「(見た目通り雲みたいなやつだから打撃は意味をなさないな、斬撃もやめたほうがいいな、下手をすると数を増やしかねないな。奴に効果のあるのはこれだな)」
今の攻撃で状況を理解した悠一は右手を異形に向け
「“黒渦”」
悠一が呟くと、異形達のいる場所の力場が変わり、異形達を地に押しつぶす
「準備とやらができるまでそこでおとなしくしてろ・・・ん?どうやら準備完了みたいだな」
後方が一瞬明るくなったのを見て、準備ができたのだと理解し、振り返ると
「なのは・・・ちゃん?」
「な、な、な、なにこれ~~~~!?」
両手に見慣れない杖をもって空に浮かぶなのはが目に映った。そして当の本人は何が起こったのか分からないでいた
「なのは!杖をあれに向けてさっき教えた心に浮かんだ呪文を唱えて封印するんだ!」
「・・・・ユ、ユーノ君、い、言わなくちゃダメなの?」
「?熟練の魔導士は必要ないけどなのはは初めて魔法を使うから言葉を紡がないといけないんだ」
「う、うぅうう~~~リリカル・マジカル!ジュエルシード封印!」
観念したのかなのはは赤面しながら呪文を唱える。唱え終えるとなのはの持っている杖から放たれた閃光が凍っている怪物にあたる。光が収まると怪物のいた場所に青い宝石のようなものが地面に落ちていた
「(拝啓、高町恭也さん。貴方の妹さんはどうやら魔法少女になったみたいですよ?)」
悠一は今頃、必死でなのはのことを探しているであろう恭也に向け、何とも言えない言葉を送りながら赤面し、悶えているなのはの写真を撮って、恭也に高値で売れるかどうか考えていた