「こんな物騒なものが後19個、この町とその周辺にあるねぇ」
翌日の昼休み、悠一はユーノから大まかな事情を聞いていた
「んで?お前は、紛失という知らせを聞き危険なものを発見した責任を感じて一人で捜索に来たってわけだ?」
「はい」
「初対面の相手にこんなこと言うのは気が引けるがあえて言わせて貰う。お前馬鹿だろう?危険だっていうことは百も承知なんだろうが、あまりにも無謀すぎる。実際、あの怪物に返り討ちに合ったようだしな」
「・・返す言葉もありません」
悠一の言葉にユーノは落ち込むが
「だが、その意思は見事だ」
「・・え?」
「危険だと解っていながらもよその星に迷惑をかけないために動いた。いうことは簡単だが、行動で示そうとするのは中々できないからな」
「・・氷室さん」
「だけど、その行動で死にそうになったってことだけは覚えておけ。この話、なのはちゃん達には?」
「なのはには一応、昨日の夜にしました。残りの2人には今日話す予定です。魔力が回復するまで休ませて貰ったらジュエルシードの捜索を続けると言ったらなのはが“自分も手伝う”って言いだして」
「あの2人も言いそうだな」
ユーノを話を聞き、悠一はユーノが何に悩んでいるのかを理解した。いくら魔法が使えたからといってもなのは達3人は子供、昨日のような危険もあるし、最悪命を落としかねないかもしれない。そんな場所に連れてはいけないとユーノは思っているのだ
「まぁ、そうそうに事件なんておきはしないだろう。ゆっくりと考えろ、自分と相手にとって一番いい答えは何なのかを・・・な」
そういうと悠一は仕事に戻っていった
「そうそう事件は起きない。そう言った矢先にこれか」
昨夜、なのはを見つけてくれた礼だと言って、いつもより早めに仕事を終えた悠一はコンビニで買った肉まんを食べながら歩いているとすずかからのSOSメールを受信し、急いで現場に向かい、そこで見たのは犬獣と戦う、なのは、アリサ、すずかの3人だった
「氷室さん」
「これどういう状況?」
「えっと、帰りにジュエルシードが発動して子犬をあの犬獣に変えたんです。最初はなのはが1人で戦っていたんですが、防戦一方で、どうしようか悩んでいるとジュエルシードと一緒に発掘された2つのデバイスがひとりでに起動して・・・」
「そのあとは言わんでいい。大体わかった」
悠一はため息を吐くと、戦いの場へ向け歩き出す
「た、戦うんですか!?」
「女の子、それも素人だけを戦わせるわけにはいかないだろう?」
ユーノの問いに答えると悠一は瞬身の術で犬獣との距離を詰めると拳骨を犬獣の頭部に振り下ろす
「「「悠一お兄ちゃん/さん」」」
「3人とも離れてろ。あとは俺がやる」
「で、でも、悠一お兄ちゃんは魔法をつかえな・・」
「色んなことが起こりすぎてよく見てなかったみたいだな?使えるぞ魔法」
「「「・・・え?」」」
悠一の返答に3人は眼を点にする
「っといっても、なのはちゃん達が使う魔法とはちょっと違うけどな。装束展開」
悠一が言葉を紡ぐと悠一の来ている服が私服姿から戦闘用の服へと変わった
「来い“天狼”」
名を紡ぐと1本の大太刀が虚空から現れ、鞘から引き抜く
「グルウウウウ!」
犬獣は悠一がただ者でないと本能で察したのか唸り声を上げ威嚇すると背中に生えた突起から無数の針を悠一めがけて飛ばす。悠一は慌てずに大太刀を振るうと、風が吹き、その風が壁となって無数の針を吹き飛ばし、逆に犬獣に突き刺さった
「うわぁ~~~あれはいてぇな」
自分の攻撃でのたうち回る犬獣をよそに悠一は大太刀に雷を帯びさせ、八相の構えをとる
「肆の型・雷電斬光!」
そして、犬獣との間合いを瞬時に詰めると、大太刀を一気に振り下ろして犬獣を斬り、地を斬った
「・・・・」
悠一は残身を行うと大太刀を鞘に戻し、虚空へと戻した
「・・・・・・っは!なのは!封印を!」
「う、うん!」
あまりの出来事になのは、アリサ、すずか、ユーノの4人は眼を見開いて固まっていたが、いち早く気を取り直したユーノの指示でなのはは杖を犬獣に向け、封印の呪文を紡ぎ、ジュエルシードを封印した
「(氷室さん・・・あなたは一体、何者なんですか?)」
ユーノは悠一の尋常ではない強さに疑問と一種の不安を感じた