「ただいま~~~」
「あらなのは、お帰り」
翠屋のドアが開き制服姿のなのはが元気よく入ってきた
「お帰りなのはちゃん」
テーブルの後片付けをしていた悠一も桃子、同様、なのはを出迎えた
「怪我のほうは大丈夫か?」
「はい。悠一お兄ちゃんがくれた薬を飲んで、ぐっすり寝たら治ってました。あれってどこで買ったんですか?」
「あれは俺、特製の薬だ。どこにも売ってない」
「へぇ~~~。何を入れてるんですか」
薬の材料が気になったなのはが尋ねると
「聞きたいか?」
「や、やっぱりいいです」
あくどい笑みを浮かべる悠一に焦り、なのはは薬の材料を聞くのをやめた
「まぁ、体の害になる物は使ってないから、それだけは安心していいぞ。いらっしゃいませ~~」
来客を知らせる鈴の音が鳴り、悠一が出迎える。だが、やってきたのはお客ではなく
「なのは~~~来たわよ~~」
「なのはちゃん」
「アリサちゃんにすずかちゃんか、いらっしゃい」
アリサとすずかだった。私服姿からみて一度家に戻ってから翠屋に来たようだ。2人は悠一に挨拶をすると、なのはが座っている席に行き、鞄からノートと紙を取り出した
「(宿題か。そろそろあれが出来上がるし、持って行ってあげるかね)」
勉強を始めた3人を見ながら悠一は厨房へと入っていった
「勉強、お疲れさん。これは俺からのサービスだ」
悠一は人数分の紅茶ととあるものをなのは達に差し出す
「これって」
「アップルパイ?」
「あれ?うちのお店にアップルパイなんてあったかな?」
差し出されたアップルパイを見てなのはは首を傾げる
「このアップルパイは俺が作ったもんだ。久しぶりに食べたくなってね、桃子さんに許可を貰って作ったのさ」
「これ、悠一さんが作ったんですか!?」
「まぁな。久しぶりに作ったからうまくできたか解らないが、食べてみてくれ」
「じゃ、じゃあ・・」
「「「いただきます」」」
3人はフォークを手に取り、出来立てであろうアップルパイを口に入れる
「こ、これは!?」
「中は砂糖煮のリンゴでしっとり、外はサクッと香ばしく」
「リンゴは甘さとほろ苦さの塩梅が見事に調和して」
「「「おいしい~~~」」」
「本当ね」
「これ、うちのメニューに加えてもいいんじゃないかな?」
「いつ帰ってきたんですか美由紀さん?」
3人に混ざりカウンターで桃花といつの間にか帰ってきていた美由紀がアップルパイを高く評価し、店のメニューいれようかどうか相談し始めた
「それじゃあ、お先に失礼します」
「お疲れ様悠一君。また明日もお願いね」
「はい。なのはちゃん達もまたな」
仕事も終わり、桃花やなのは達に別れの挨拶をすると、悠一は家へと帰る。普段なら・・・店から出ると悠一は携帯を取り出し、地図に切り替えると矢印が表示される
「こっちか」
悠一は表示される矢印の指示通りに歩き出した
「ここ・・・みたいだな」
地図と矢印を頼りに悠一がたどり着いたのは高級マンションの前
「とにかく行ってみるか」
自動ドアを潜りマンション内に入った悠一だったが、防犯のためかカギを持っていないと中には入れないようになっており、どうしようか悩んでいると、丁度、住んでいる人が出かけるために自動ドアを開けたため、悠一はそれに便乗して中に入り、エレベーターで気配がする階のボタンを押し上に上がっていく。目的の階に到着し、エレベーターから降りて、数歩歩いた先の部屋のインターホンを鳴らす
「は~~い、どちらさ・・・ん?」
「よぉ」
「あ、あんたは!?」
ドアを開けた人物は悠一を見ると数秒固まるが、慌てて開けたドアを閉めようとするが
「お邪魔しま~~す」
それよりも早く、悠一が家の中へと入る
「アルフ?いったい誰が来た・・・の?」
「どうしたのフェイト?いったい誰が・・・へ?」
リビングらしきところに着く、フェイトとアリシアがおり、悠一を見て目を見開く
「ずいぶんいいところに住んでるなお前ら」
「あんた!一体何しに来たんだい!?」
悠一に追いついたアルフが拳を構えながら訪ねる
「何って・・・陣中見舞いだけど?それよりフェイト、なんだその手は?」
アルフの問いに答えた悠一はギブスのように包帯を巻かれているフェイトの手を指さす
「何って包帯を巻いた状態だけど」
「・・・誰が巻いたんだ?」
「あたしだよ」
悠一の問いにアルフが自信満々に答える
「はぁ~~~俺が巻きなおしてやる」
悠一は持ってきた紙袋をテーブルに置くと、フェイトの手を取り、ソファーまで連れて行くと座らせ、巻かれた包帯を外し、巻く前に手の状態を確認する
「言った通り、ちゃんと薬は塗ってるみたいだな」
「う、うん。言われた通り、朝と寝る前に塗ったよ」
「ならいい。アリシア、こっちに来て俺が包帯を巻くのを見ておけ。あの狼に任せたらさっきみたいになるからな」
「はいは~~い」
悠一はアリシアに声をかけ、近くまでやってくるのを確認すると、包帯を巻き始めた。包帯を巻く作業は数分とかからずに終わった
「これで終わりっと。どうだ、さっきよりかは動かしやすいだろう?」
「うん」
フェイトは手を握っては開きを繰り返し、感触を確かめながら答えた
「んじゃあ、俺は帰る」
「え?もう帰るの?」
「陣中見舞いに来ただけだからな。あの紙袋の中にはケーキが入ってる。3人で仲良く食べな。それとお前たちがここに住んでるってことはあの3人には言わないから安心しろ。じゃあな~~」
そういうと悠一はフェイト達の家からおいとまし、家に戻った。そして、フェイトとアリシアはせっかくだからと悠一が持ってきたアップルパイを頂き、そのおいしさに心を鷲掴みされた。最初こそは“敵の持ってきたものなんて食べれるか”と言っていたアルフだったが、フェイトからもらった一口で心を鷲掴みされ、自分の分を食べ始めた
「う~~~ん、ユウ君が作ったこのアップルパイほんまにおいしいな~~」
「そんなに食べると夕飯食べれなくなるぞ?」
「大丈夫、女の子にとってケーキは別腹や」
「さいですか」
そして、八神家では、はやてが至福の笑みを浮かべながらアップルパイを食べていた