「う、うぅぅぅぅぅ・・・・こ、ここは?」
「あ~~~気が付いたみたいだな」
女の子が目を覚ますと隣には見知らぬ少年が座っていた
「あ、あなたは?」
「ん?偶々、君の誘拐される現場にいて、それを目撃したって理由で連れてこられた少年だ」
「!?ご、ごめんなさい。私のせいで関係のないあなたまで・・」
「謝らなくていい。誘拐されるところを見て、助けを呼ばずただぼーっとしてた俺の自己責任だ」
誤ってくる女の子に少年は気にするなという
「これも何かの縁だ。とりあえず自己紹介でもしようや。俺は氷室悠一だ」
「わ、私は月村すずかです」
互いに自己紹介をすると悠一とすずか
「月村は誘拐されそうな心当たりあるか?」
「えっと、いろいろとありすぎて答えられません」
「(金持ちだっていう以外で何かあるのか)」
普通の者たちからその返答を聞き流すが、悠一は聞き流さずにそれについて問おうとしたが、簡単に聞けるような話ではないと直感で感じ取り胸の内にしまった
「(さ~~~てこれからどうしようかね~?この子を連れて逃げるくらい訳ないけど、追ってこられるのもやだからな~)」
「あ、あの」
「ん?」
「こ、怖くないんですか?」
「怖いって何が?」
「だって、私達誘拐されたんですよ?もしかしたらこ、殺されるかもしれないですから」
「(あ~~確かに普通の子供なら怖がる場面だな)」
すずかの問いに納得する悠一。だが、悠一にとって誘拐程度では恐怖しない。何故なら
「(怒ったあいつらのほうが誘拐犯よりも万倍怖いからな)」
悠一はこれよりも怖いものを知っているからだ
「助けがくるって信じてるからな。まぁ、それまでの間は生き残ることだけを考えるのがベストだ」
「・・生き残ること」
「そう。まぁ、安心しろ、助けが来るまでは俺が君を守る」
もっともなことを言った悠一は少しでもすずかを安心させようとガラにもないセリフをいうと、ドアが開き、全身黒で装飾された数人の男と、誰が見ても裕福といった感じの男が入ってきた
「久しぶりやな、月村家当主の妹よ」
「あ、あなたは」
「(知り合いか?)」
すずかの反応で目の前にいる男と知り合いなのだと悠一が考えていると。男は悠一のほうを見る
「おい、ワシは娘だけを連れて来いとゆうたはずやで?」
「す、すいません。ターゲットを連れて行こうとした際、このガキに誘拐する場面を見られてしまい、やむを得なく連れてきました」
「・・・まぁええ。連れていけ」
「はい」
男の指示で黒服の男がすずかを立ち上がらせる
「まて、連れていくなら俺を連れていけ」
「悪いがワシが用があるのはこの娘だけや。後は任せたで」
「はい」
男はすずかを連れて部屋から出て行った。そして、残った男は懐から拳銃を取り出し、銃口を悠一に向ける
「坊主には悪いがここで消えてもらう。・・・恨むなら運のない自分を恨むんだな」
男は引き金に指を添え、何の戸惑いもなく撃った
「指定された場所はここね」
とある廃墟に2人の女性と1人の青年がやってきた。女性の1人の名前は月村忍、誘拐されたすずかの姉、メイド服を着た女性はノエル・K・エーアリヒカイト、誘拐の際すずかのそばにいたメイド、ファリン・K・エーアリヒカイトの姉、青年の名前は高町恭也、忍の恋人である
「ですが、いったい誰がすずかお嬢様を・・・」
「・・・思い当たる節がいろいろとありすぎて困るけど、私の予想が正しければあの男だわ・・きっと」
「忍、あの男というと」
「えぇ。私やすずかの叔父にあたる男・・・月村安次郎よ」
恭也の問いにすずかは苦虫を噛みつぶしたような表情になる
「相手がワシだと解った上でくるとはの~~よほどこれが大事らしいな」
3人が声のするほうに振り向くとすずかを誘拐した者たちのボスである男、月村安次郎がおり、隣には手足を縄で縛られたすずかが横たわっていた
「数年ぶりやの月村家現当主殿とその伴侶。そして自動人形」
「やっぱり貴方だったのね。捕まっていないことは知っていたけど、まさか堂々とこの町に戻ってくるなんて」
「ワシにもそれなりのコネはあるからの。じゃが、金銭も切れ掛かってきたさかい、賭けにでることにしたんや。指定したものは持ってきてるんやろうな?」
「・・・・えぇ」
忍はポケットからUSBスティックを取り出し、安次郎に見せる
「私が解析した自動人形のデータと製造法が入っているスティックよ」
「ちゃんと持ってきてくれたようで安心したわ。ほれ、とっととそれをワシに渡せ」
「すずかの解放が先よ!」
「いいやそのデータが先や。いうことを聞かんと関係ない者がさきに死ぬで?」
「どういうこと?」
忍が問うと
「何、この娘を誘拐する際、運悪く誘拐現場にいたガキも一緒に連れてきたんやそうや。そのガキは別のところに監禁しとる。言ってる意味が分かるな?」
「っ!?」
その子供を生かすも殺すも自分次第だと言っているのが理解した忍は歯を食いしばる
「理解したらデータを渡してもらおうか?」
「・・・・・解ったわ」
観念した忍はデータの入ったメモリを安次郎の部下の男に渡す。メモリを受け取った男は安次郎の元に戻り、メモリを渡す
「ふふふ、これや、これ。これさえあればワシは・・・」
「データは渡したわ。すずかと一緒に誘拐した子を解放して」
「約束やからな解放したる。あの世へとな」
安次郎が笑みを浮かべながら言うと、物陰から武装した集団が現れ、忍たちに銃を向ける
「どういうことかしら?話が違うじゃない」
「違くないで解放したるんや。この世にある色々なしがらみからな」
忍を守るべく恭也が動こうとするが足元に銃弾を撃ち込まれ、動くことができない
「あぁ、それと一緒に連れてきたガキやけど。一足先にあの世に行ってるで」
「っ!?」
安次郎が言ったガキが誰のことか理解したすずかは眼を見開く
「下種が」
「なんとでもいいや。勝てば官軍なんやからな。やれ」
安次郎の指示で男たちが一斉に引き金を引こうとした。その瞬間
「うわぁ~~~~!?」
「な、なんだこれは!?」
小規模な竜巻が発生し武装した集団はその竜巻に飲み込まれ、宙に投げ飛ばされ、次々と地面に落ちる
「な、なんやこれは!?」
突然の出来事に安次郎は驚き、忍たちも同様に驚いていた。そして、一陣の風が安次郎たちの間を吹き抜けると、側にいた男は吹き飛び、安次郎が持っていたメモリがなくなり、縛られ動けなかったすずかが消えた
「あそこだ」
この中で動体視力の良い恭也が指さす場所を全員が見るとそこには、私服姿から戦闘用の服に変った悠一がすずかを抱えた状態で月の光に照らされていた