「ようこそおいでくださいました」
翌日、悠一は昨晩のことで話をするために再び月村家を訪れるとノエルとすずかを守ろうとしたメイドが出迎えた
「どうも。えっと」
「初めましてファリン・K・エーアリヒカイトといいます。昨日はすずかちゃ・・・すずかお嬢様を助けてくださってありがとうございます」
「どうぞこちらへ。お嬢様達のところへご案内します」
ノエルとファリンに案内され、悠一は月村家へにお邪魔し
「ようこそ月村家へ。昨日はぐっすり眠れたかしら?」
忍、恭也、すずかが待つリビングへと連れてこられた
「YesかNoで答えるならYesですね。久しぶりに運動したからよく眠れましたよ」
「あれが運動って」
事後処理のために残った忍は安次郎が雇った男たちに起こった惨状を思い出す。木に縛られ動けない者、壁にめり込まれ気を失ったもの、悪夢でも見ているかのようにうなされているもの、様々な者たちがいた
「・・・とりあえず立ち話もなんだかな、座って頂戴。ノエル、彼に飲み物を」
「はい。何になされますか?」
「ファンタがあるならファンタで」
「畏まりました」
「(・・・あるんだ)」
お金持ちの家だからファンタはないと思っていた悠一だったがあることに驚いた
「君の名前はすずかから聞いたけど、直接聞かせてもらえないかしら?」
「人に名を尋ねるときはまずは自分から尋ねるのが礼儀じゃないですか?」
「確かにそうね。私の名前は月村忍。貴方が昨日助けてくれたすずかの姉よ。こっちは私の彼氏の・・」
「高町恭也だ」
「そして私たちの後ろに控えているのが・・・・」
「お嬢様、私とファリンはもう自己紹介いたしました」
「そうなの。それじゃあこれで全員ね。では改めて君の名前を教えてもらえるかしら?」
「氷室悠一。特別な力を持った以外はどこにでもいる普通の少年です」
「夜の一族、吸血鬼ですか」
自己紹介を終えると悠一は忍から自分たち夜の一族について教えられた
「(爺さんめずいぶんとファンタジーな世界に転生させたな。いや待てよ?俺がいた世界もそれなりにファンタジー世界に入るな)」
「あの、氷室さん」
「ん?なんだ月村?」
「わ、私たちのこと怖くないんですか?」
「なんで?」
「だって、私やお姉ちゃんは吸血鬼・・・」
「だから?」
「え?」
すずかの問いに悠一はそれがどうかしたのかといわんばかりの口調と表情で返す
「月村は月村だろう?俺としては初めて見た吸血鬼が月村みたいなかわいい子でラッキーだと思ってるぜ?」
本当は真祖返りと呼ばれた存在に会ったことがある悠一だったが、見た目は少女でも中身は
『それはマナー違反』
「(空耳か?今OOの声が聞こえて気がしたんだが?)」
「っ!?」
「(すずかったらあんなに顔を赤くしちゃって。これは面白いことになりそうね)」
悠一の発言にすずかは顔を真っ赤にして俯き、それを見た忍は人知れず笑みを浮かべる
「さて、氷室君。私たちのことを知ってしまった以上、あなたには2つの選択肢があるわ。1つは私達こと、吸血鬼だということを貴方の記憶から消去する。2つ目は秘密を共有して生涯連れ添う関係になる、簡単に言えばすずかの婚約者になることになるわね」
「・・・はい?」
悠一は自分が考えていた予想の斜め上の選択肢に柄にもなく目を点にする
「忍、すずかちゃんも彼もまだ小学生だぞ?それはいくら何でも早すぎると思うぞ?」
「そうかしら?私情も含めて将来すずかはかなりの美人になると思うわ。それに私の見立てでは氷室君は恭也レベルだと思うわ」
「すずかちゃんの気持ちを無視して決めるようなことじゃないだろう?まずは友達という関係から始め、お互いのことをよく知ってから決めればいい。功を焦っても何もいいことなどない」
「お嬢様、私も恭也様の意見に賛成です。すずかお嬢様の一生を決める大事なことなのですから」
「む~~~~解ったわよ。こう言うことになったけど貴方はどうすずか?」
恋人である恭也と従者であるノエルに論され、忍は渋々と2人の案を採用し、すずかに尋ねる
「う、うん。私もそれがいいと思う。さすがにお姉ちゃんや恭也さんのような関係はそのまだ早いと思うし・・・」
「思うってことは、私達みたいな関係になりたいっていう願望はあるのね?」
「あぅ」
初めて見る妹の乙女な表情に忍は満足げに頷く。そして議論の結果、記憶を消さず友達という関係から始めるということになった。なお、悠一が飛び級で大学を卒業し、社会人1年目だと知った忍たちは大声を上げたとか