俺の大学受験も無事終わり、近くの大学に進学することができた。
バンドサークルがあったので見学に行ったら『invidia』のファンという人がいて照れてしまった。
あまり活動には参加できないが、たまに顔を出す程度でいいからと入部することになった。
軽音部のコーチとしてはもう何度かお邪魔している、今は新歓に向けての練習中だ。
まぁ、梓ちゃんが無事合格したから一人は確定してるんだけどね。
どうせならもう一つバンド組めるぐらい人が集まるといいよね。
『invidia』の活動ももちろんしている。
音源も作成できたので、今はコンテストに応募しているところだ。
グランプリを取れれば、有名なフェスに出演することができるらしいので頑張りたい。
一次の音源審査は通ったので、次はネットでの一般投票、そして上位10バンドが実際にライブを行って、グランプリを決めるらしい。
正直メンツ的には残ってもおかしくないと思っているので、あとはジャンル的に一般受けするかといったところだ。
まぁ、なるようにしかならないと思うので、そこまで気にしてはいない。
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「……なるほど、で、今のところ梓ちゃんしか捕まえられていないと」
大学の方がいろいろ落ちついたので、新歓ライブが近いという軽音部を見に来た。
なぜかキグルミで出迎えられた。
「ちなみになんでキグルミ着てるの?誰がどれ?」
「かわいいからだよ!」
「おっけー、唯ちゃんはわかった」
話が一番通じる澪ちゃんに事情を聞くと、姉さんが持ってきたらしい。
バカじゃねぇの?
ちなみに、二番目に話が通じるのは以外にも律ちゃん、根は真面目らしい。
唯ちゃんとムギちゃんはネジ飛んじゃってる時がたまにある。
「……すいませーん」
「お邪魔します……あれ、男の一人だ」
後ろから声がしたので振り向いてみると、そこには憂ちゃんと見知らぬ癖っ毛ツインテールの子がいた。
事情を聞いてみたところ、どうやらあまりにも人がいないことを心配した憂ちゃんが友達を連れてきたらしい。
友達は純ちゃんというらしく、ベース志望らしい。
できた妹だ、……というか憂ちゃんは入部しないのだろうか?
「よし!それじゃあコーチ!よろしくお願いします!」
「……ごめん聞いてなかった、もう一回お願い」
「えー?だからー、1年生にカッコいい演奏を見せてあげてくださいってー」
「いや、とりあえず放課後ティータイムの演奏見せてあげなよ」
「そうだよりっちゃん!私達、先輩なんだからね!!」
そりゃそうだ、あくまでコーチですからね。
まぁ、コーチの腕が心配だから弾いてみろって言われたら弾くけど。
せっかく1年生が入ってくれそうなら、先輩達のカッコいいところを見て決めて欲しい。
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「……お姉ちゃんカッコいい!」
「……すごかったです!」
しっかり後輩の心を掴めたらしい。
純ちゃんは後半澪ちゃんに釘付けだった、澪ちゃん背高いし姿勢もいいからベースが映えるよね。
これなら純ちゃんも軽音部に入ってくれそうかな?
「……失礼します、……あれ、演奏終わっちゃいましたか?」
「あ、あずにゃん」
「はい、友達を連れてきたんですけど……」
「やるなあずさ!大丈夫大丈夫、これからトシさんが演奏してくれるから!」
なに言ってんだこの子、いやグッじゃなくて。
「本当ですか!?よかった!ほら、春香も聴くでしょ?」
「トシさんってあずさが教わってる人だよね?……じゃあ聴いてみようかな」
……気がついたときには、すでにやるしかない空気が出来上がっていた。
いつの間にやら唯ちゃんのギターを渡され、1年生は椅子に座り、2年生がその後ろに控えている。
もう にげられ ない。
「……はい、じゃあ弾きます」
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「……とまぁ、こんな感じかな?」
7弦じゃないので、前回の『bell』は弾けなかった。
仕方ないので、みんなが知っているであろうプリンセスオブモノノケから、アシタカせっ記を弾いてみた。
反応は上々だ。
「さすがあずさの師匠……あの曲ってギター一本で弾けるんだ……」
「トシさんは普段はオリジナルバンドでギターボーカルしてるから、歌もすごく上手いんだよ」
あずさちゃんあんまりハードル上げないでお願い。
純ちゃんは大丈夫かな?固まってるけど。
「すごかったです、ね!……純ちゃん?」
「……決めた、私軽音部入る」
お気に召したらしい、よかったよかった。
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