やはり転生オリ主の青春ラブコメもまちがっている。(リメイク)   作:ヒラメもち

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第19話 『一年の計は元旦にあり』って言われても やはり俺の青春は行き当たりばったりである。

年越しした瞬間、SNSで『あけおめ』を言い合うのは平成の文化である。リア充であるほど忙しい行事だ。忙しいということはリア充だ。

 

礼儀正しい文章のやり取りをして、キラッ☆とした文章にあっさりとした文章を返しておいた。比較的話すクラスメイトにもさらっと挨拶しておく。朝8時になって返信する先輩は今年も先輩らしい。

 

また、特に仲の良い者たちとはそのまま朝まで携帯で会話するケースも多い。

 

 

初詣で直接会うことも求める。

 

「みなさんあけましておめでとうございます!」

 

「「「あけましてやっはろー!」」」

「……あけましておめでとう。」

 

「おめでとさん。ところで君たち何その挨拶。雪ノ下が新年早々呆れてるんだが。」

 

やはり先輩のツッコミは冴え渡っている。

 

電車を使って辿り着いたのは浅間(せんげん)神社である。市内で一番大きいし、多くの人で賑わっている。総武高校に近いこともあって、総武高生も多いことだろう。

 

元々は先輩の妹である小町さんの誘いであって、俺やいろはは由比ヶ浜先輩経由で同行することになった。

 

「そう言えば、一色さんと小町さんって初対面なんじゃない?」

 

「そうですね。はじめまして、美少女生徒会長であって総武高のアイドル、1年の一色いろはです♪」

 

「新年早々 自分で美少女言うのかよ、この自称アイドル……」

「お兄ちゃんうるさい。はじめまして、比企谷小町です。いやー、お兄ちゃんのお知り合いにこんな綺麗な生徒会長さんがいたとは、小町 盲点でしたー。」

 

「なにこの()可愛い……。私を姉だと思ってなんでも言って。だからお姉ちゃんって呼んで!」

 

「はい、お姉ちゃん♪」

 

「はぅ……先輩、妹さんを私にください認められなくても貰っていきます。」

 

そう言って手を繋いでルンルンと歩いていく様子は姉妹のように見える。そこにしっかり者である長女とちょっと抜けている次女が加われば、美少女4姉妹の完成である。

 

ポケットに手を入れて彼女たちの後ろを追いかけていく俺たちが、ストーカーに見えないか心配である。

 

 

多くの出店があって賑わっているだけで、境内まで来れば混雑具合は緩和される。ちゃんと列になってサクサクとお参りするのは日本人らしさが表れている。

 

俺たちもその文化に漏れず並ぶ。

 

「みんなは何をお願いするの?」

 

「初詣ってそういうのじゃねぇだろ。七夕じゃないんだから。」

「そうね。別にお願いしてそれを叶えてもらうような即物的なものではないわね。誓うっていうニュアンスが近いかしら。」

 

「うわー、お兄ちゃんたちつまんなー。」

 

「私は、成績があがりますようにとかー、生徒会の仕事が楽になりますようにとかですかね。」

 

「十分楽してるだろ。月村こき使ってるだろ。」

 

「素敵な上司がいると働きがいがあるものなんですよ。」

 

「ほへぇー、お姉ちゃんってすごいなー。ていうかお兄さんなんか変わりましたね。」

 

「あの頃はいろいろあったから。あと、比企谷先輩が泣きそうだからお兄さん呼びはやめようね。」

 

比企谷先輩に(たた)られそうなくらい睨まれている。

 

「ていうか、ホントの願いは 人に言うと叶わなくなっちゃうって言いますよね。」

 

「え、そうなの!? じゃ、じゃあゼッタイ言わない……」

「そうっすね、死なないためにも譲れません。」

 

「いや、必死すぎでしょ……」

 

 

お賽銭を入れた4姉妹が仲良く鈴を鳴らして、二礼二拍手。

そして、願う(誓う)。

 

俺たちも続いて、切実に願う。

 

(交 通 安 全、それだけです。)

 

《その願い、叶えてしんぜよう》

 

脳内にお爺さんの声が響く。

なにこのパワフルプロ野球的展開。

 

 

 

 

おみくじで一喜一憂した後は、屋台を回る。

 

いろはや小町さんはわたあめを仲良く食べている。

俺や雪ノ下先輩は射的の屋台の景品であるパンさんのぬいぐるみを見つめている。

 

「頭を撃ち抜くか、地道に押し出すしかないですかね。」

 

「そんなこと……私にはできないわ。」

 

人質を取られたパンさんが敵の攻撃を耐え続けるシーンは、子どもたちや雪ノ下先輩の涙をもたらした。傷だらけになりながらもヒロインを守ろうとする雄姿は俺の胸にも焼き付いている。

 

 

「ていうか、なんかちがくないですか?」

「違和感があるわね。目つきがいつもと違うわ。まさか私の知らないパンさんがいたなんて。」

「パチモンなのでは。」

「パチモンですって……?そんなこと、許されるはずがないわ。」

「パンさんの名を騙って悪事を働く新たな刺客かもしれません。」

「負けないでパンさん……。」

 

パチモンが出るくらい人気なパンさんは流石の一言である。

 

 

「ちょっとちょっとあんたらパンさん好きすぎでしょ。話飛躍してるから。」

「あら、助けを呼ばないといけないわ。」

「いや、俺は怪人でもオシマイダーでもないから。」

「入社したけれど、戦う女の子たちに発情するのでしょう、かませ谷君。」

「俺はそもそも働きたくないし、初期メンバーも芸能事務所でがんばってるからね?」

 

 

「ていうか、意外に知ってるんだな。」

「たまたまよ。ルールーさんを見ているだけだわ。勘違いしないでくれる、ロリコン君。」

「えみる好きなのはお見通しかよ……ってなんだよその残念そうな顔。」

 

 

「それで、由比ヶ浜さんたちは?」

「三浦たちに会ってる。」

 

先輩が顎で指し示した方向を見る。

三浦先輩や海老名先輩、加えて戸部先輩とその友達が合流している。いろはや由比ヶ浜先輩、そして小町さんとガールズトークをしている。対して、彼らは紙コップの甘酒を片手に騒いでいた。大学で居酒屋にのめり込みそうな人たちである。

 

 

「葉山先輩はいないんですね。」

「葉山君の家は昔からそういう家よ。」

「……ほー。」

 

雪ノ下先輩は事情を知っているようだ。お正月を家族と過ごす場合も考えられるが、行事的なことをやってそうである。奉仕部の予定を聞いたときには雪ノ下先輩も用事があると言っていたし、強制力はそこまでないものなのだろうか。

 

まあ、本人的にも優先順位を考えて先輩たちのところへ来ているのだろう。

 

 

雪ノ下先輩を一瞥したものの、三浦先輩はガールズトークに戻る。

 

 

腕時計代わりのスマホを見れば、ちょうど11時。

昼ご飯に行くかどうかという話題は次第に変わる。三浦先輩と雪ノ下先輩はあまり親しい関係ではないらしい。雪ノ下先輩や先輩は受験生である小町さんを伴って帰ろうとする。いろはや俺も、家族と過ごす時間を選ぶ。

 

 

しばしの別れを告げ、二手に分かれる。

通って来た道はいまだに賑わっている。乗る電車は違うけれど、駅までの道を一緒に歩いていく。神社に向かう人混みの中に何人か見知った顔もあるが、オフの日であるし親を連れているし、お互いに会話を交わすことはない。

 

駅の改札前まで来れば、そう簡単には会わないだろう。

 

「小町ったらお守りを買い忘れてしまいました!」

「そうですね、絵馬も書かないといけませんねー。」

「それじゃ先輩、俺たち行って来ますんで!」

 

まるで打ち合わせたような連携技である。

 

「じゃあ、お守りなら俺も……」

 

お兄ちゃん、何言ってるの。バカ!ボケナス!八幡!

先輩、チャンスなんですよ!?

 

「ちょっと待て八幡は悪口じゃない。一色のそれって俺が刺されるというチャンスなのか?」

 

言い寄られてタジタジになった先輩を置いて、2人は手を繋いで駆けだす。あざとく振り向いて、あざとく手を振っている。

 

「「それじゃあ、よろしくでーす!」」

 

 

「小町が、毒されていく……」

「俺が付き添うんで、そこでクスクス笑っている雪ノ下先輩はお願いします。」

「いや、俺が小町を……」

「ほら、俺って雪ノ下先輩のお家知らないですし 案内できませんってー。」

 

「お前も毒されてるのかよ。」

 

方向音痴な雪ノ下先輩を任せて、2人を走って追いかける。

 

 

 

「いやー、ご協力感謝です。感謝感激です!」

「だんし……先輩の扱いなんてどうってことないよ!」

「やっぱりいろはさんって憧れるなぁー。」

「ありがとう。私も小町ちゃん好きだよ。」

 

紛れもない本心での会話だ。

会ったばかりの人に、いろはがここまで自分を出すのは珍しい。

 

 

「でも、お二人はいいんですかー?」

「まだ内緒にしてるの。私ももっと自慢するものだと思ったんだけどねー。伊月ってあざといんですよ。例えばー、……」

 

今まで家族にしか言わなかった惚気話が始まる。

ちゃんと話を聴く人懐っこい性格が本音を引き出しているのだろう。

 

 

 

「ほへぇー。私も月村さんみたいな彼氏できるかな。」

 

「小町ちゃんなら見つけられるよ♪ だって先輩を知ってるんだもんね。」

 

いろははそう言って、ヨシヨシと小町さんの頭を撫でる。

千葉のこの兄妹はお互いに幸せを願うけれども、時に自分を隠す。過ごした時間は長くて、例えば幼馴染の立場よりもずっとお互いを理解している。

 

「小町、ゼッタイ合格しますね。」

 

高校へ憧れているから。

兄が好きだから。

 

「うん、待ってるね。」

 

 

合格祈願のお守りを2人で買ってあげる。

俺といろはは交通安全のお守りを交換し合う。

 

 

猪の絵馬は3つ重なり合っていた。

 

 

 

「ところで伊月も先輩も巫女さんちらちら見すぎです。」

「なぜバレたし。」

「来年晴れ着見せてあげますよ。巫女さんのバイトもいいですかねー。」

「いろはには敵わないな。」

「そうですか♪ ではでは、お母さんたちと福袋買いにいきますよ。」

「荷物持ちは俺たちに任せな、、」

 

 

今年もまた1年が始まる。

しかし俺にとっては新年は本来失われたものだ。

 

 

だから、

『神様。いろはやこの世界と出会えた奇跡をありがとうございます。』

 

 

 




※※※


改めまして、
あけましておめでとうございます。

年明けから心ぴょんぴょんしました。ごちうさ最高ですね。あやねるボイスにも癒されました。

いろはの巫女服や着物の公式イラスト及び投稿イラストを見ながらお正月を過ごしております。俺ガイル5周年ですよ。普段髪下ろしている美少女が編みこみしたり結んだりしたら新鮮で可愛いに決まっている。

今年も俺ガイル原作への愛と、皆さんのコメントや閲覧を活力にして、のんびり執筆していきます。

個人的なことですが、他の作者さんの作品を一層読んでいきたいですね。3年間毎日作品漁っておりますし、捜索掲示板にも出没する所存です。

ではでは長文失礼しました。
よいお年を!!
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