やはり転生オリ主の青春ラブコメもまちがっている。(リメイク)   作:ヒラメもち

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第22話 ガールズトーク

 

 

放課後の校庭は とーーーーーっても寒い。

 

ウィンドジャケットかコートに、ネックウォーマーに、手袋やタイツ。

どの女子も防寒しつつ、オシャレを欠かさない。

 

 

ていうか、学校指定のジャージは通気性が良すぎ。

冬の体育は、とてもイヤな時間だ。

 

今度の委員会を使って……

じゃなくて、会議で提案しようかなーと思いつつ、目的の人に近づく。

 

 

「あれー? 三浦先輩 こんなところでどうしたんですか?」

 

オレンジのモッズコートが似合う系な三浦先輩に声をかける。

 

騒ぎの中心なとこに女王はどっしりと構えていたし、理由も知ってて聞いているんだけどね。暖房の効いた生徒会室からも、寒空の校庭の様子は見えていた。葉山先輩や狙い目な部員の『応援(仮)』に来ている女子が本当にうじゃうじゃしてる。

 

「……あんたこそ、何してんの?」

 

三浦先輩が見せている呆れた顔は、知っているのに聞くな、って感じですかね。

 

「私って、サッカー部のマネージャーなんですよ。」

 

今日は働くつもりないけどね。

 

 

「それ、答えになってないっつの。」

 

「えー、そうですかー? よいしょっと」

 

誤魔化しつつ、隣に座る。

ますます呆れた顔になってくれてペースはこっちのものだ。

 

 

「おや、一色さんも来たんだ。」

 

ベージュのボアコートはミステリアスさを引き立てている。

 

ちっ、策士タイプの人か。

トイレかなにかで席を外していただけで、三浦先輩の付き添いをしているのだろう。

 

 

「はい、お邪魔してます。海老名先輩。」

 

世間話で、

ありのままに話す三浦先輩を挟んで、

互いに牽制する。

 

海老名先輩は、葉山先輩と同じくグループがバラバラになることを恐れている。先輩たちがの修学旅行でもそういうことあったみたいだし。

 

2人も、そして伊月も過去に囚われている。

確かな繋がりを作ることを求めているのに、変わらない関係を求めてしまうから、関係を変えることを選べない。

 

 

「隼人、なんか無理してる……」

 

三浦先輩って、ずっと目で追ってますもんね。

 

「こんなにギャラリーが多いとね……。」

 

「そうなんですよー、サッカー部としてもいい迷惑なんですよね。」

 

3年が明日明後日のセンター試験に向けてがんばってるのに、浮かれすぎ。

 

 

葉山先輩の人気ぶりは周知のことで、キャプテンとしての人望もあるし、部員たちの不満はギャラリーに向かっている。葉山先輩のせいにしないってところがいい人たちだよね。だから葉山先輩以外にもアタックかけに来ているようなんだけど。

 

特に、温かい校舎で待機しているやつらとか許せない。

 

 

「それって一色さんが言えることなのかな。」

 

海老名先輩の苦笑いには、微笑みを返しておく。

確かに葉山先輩のために入部したり、葉山先輩のためにマネージャーの仕事がんばったりしてたけど、それはもう昔のこと。

 

 

「ほらほら、戸部先輩とか超張り切っちゃってますよ! いつもの3倍くらい実力発揮してますよ。」

 

「とべっちはいいや。」

 

「ま、そうなんですけどね。」

 

ぶっちゃけ私たちに応援されてるとか勘違いしちゃってる人なんてどうでもいい。

 

だけど、海老名先輩はたまに視界に入れている。

大事なときにしかちゃんと空気読まないけど、黙ってサッカーやってたら案外カッコいいし。

 

 

「それよりもあの1年生の3人、なかなかだね。」

 

「クラスではいつも一緒にいますね。」

 

「三角関係か……腐腐」

 

いきなりキャラ変わりすぎなんじゃないかな。

ボッチ状態でいきなりニヤリとする先輩とか、罵倒を愉しむ雪ノ下先輩とかに通ずるものがある。

 

もっといろいろ隠してるだろうし、

はたして戸部先輩は彼女の素に出会えるのだろうか~~。

 

 

「海老名、鼻血拭けし。 そう言えば、月村は?」

 

「まるでいつも彼と一緒みたいな言い方ですねー。」

 

「へぇー、いつも一緒にいんの? あれ、それって……」

 

ありのままに言葉を受け取られるとは思わなかった。

まぁ、この2人なら言いふらさないだろうし、囃し立てないだろう。

 

「はい♪ 付き合ってますよ。」

 

「マジ?」

「それはまた……」

 

あまり話すことはないけど、海老名先輩にもバレてなかったのか。恋愛とかあんまり考えたくないのかもしれないけど。

 

「伊月なら、マラソン大会の試走です。」

 

「ああ、あの来週の。」

 

1月末に予定されているマラソン大会のコース確認に、走りに行っている。

 

先輩が一緒にいることを知ったら海老名先輩が興奮しそうなので黙っておく。

 

 

 

「あんた、隼人のこと、その、……好き、だったんじゃ?」

 

顔を赤くして尋ねてくるあたり、あまり恋愛慣れしてなさそう。

 

「そのためにいろいろやりましたし、前は好きでしたよ。」

 

寒さや暗さから校舎に次第に避難しているギャラリ―と同じで、ずっと一方通行だったけど。

 

 

 

「……葉山先輩って、いつもはもっと生き生きしてるんですよね。肩の力が抜けてるっていうか、純粋に青春を楽しんでるっていうか。」

 

 

「隼人、ずっと悩んでたんだ、今だけじゃなく。」

 

グラウンドの葉山先輩を目で追いかけるのをやめて、俯く。

 

「あーし、隼人とは入学してからずっと一緒だって、ずっと近くにいたって思ってたんだけど……、隼人にちゃんと向き合ってなかった、わかってるって勘違いしちゃってた。」

 

私も三浦先輩も想いは一方通行。

葉山先輩を傷つけてきて、これからも傷つける。

 

いつもの威厳たっぷりなのに、今はしおらしい。

 

これなら葉山先輩でもドキッときそう。

 

 

「三浦先輩って、まっすぐですよね。」

 

「……どういう意味だし。」

 

「ありのままをちゃんと見せてる、ってことですかね。誇っていいことですよ。」

 

いろんな私を好きになってくれるけど、

わたしはちゃんと『本物』を見せるのが簡単じゃない。

 

 

「わたし、『本物』が見つかったんですよ。」

 

「『本物』って……何言ってんの?」

 

「わたしにとっては、ちゃんと自分を出せる関係ですかね。でも、自分なりに解釈するべきだと思います。お二人が本当に欲しいものを考えてみてください。他の誰でもない自分だけの『本物』を……。」

 

「本当に欲しいもの……。」

 

「まっ、誰かさんの受け売りなんですけどねー。」

 

先輩がいなかったら、ずっと手探りで、間違い続けていたんだろう。

 

 

「ていうか、葉山先輩も中途半端でめんどくさいですよね。ガツンと言ってやったらいいんですよ、ちゃんとしろーって。」

 

「でも、葉山君はそれでも選ばないんじゃない?」

 

葉山先輩を中心としたグループは壊れることを恐れて、変わることを誰もが選ばない。このまま、『なあなあ』を続けて傷つけ合うのだろう。

 

でも、三浦先輩なら、傷ついても 自分のしたいことすべきことができると思う。

 

「そこは根比べですかねー。少しずつゆっくり近くなっていくのが葉山先輩の攻略法ですよ♪ 三浦先輩らしく引っ張っていってあげるべきかと。」

 

「あーし、らしく……。」

 

それは海老名先輩の攻略法でもあるんだけどね。

ソースはいつのまにか攻略されていた私。

 

 

「ほらほら、練習終わったみたいですし、行きますよ♪」

 

元ライバルとしては応援したいものなんですよ

 

「ちょっ、自分で行くし!」

 

三浦先輩の手を引いて、葉山先輩に誰よりも先に近づいていく。

 

 

 

ああ、ついでに言うなら、

戸部先輩がすれ違っていきました。

 

 

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