やはり転生オリ主の青春ラブコメもまちがっている。(リメイク)   作:ヒラメもち

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多人数って難しいですよね。
どうしても、会話中心となりますし、行数も増える。



第29話 乙女たちの戦いに向けて

来訪者は、三浦先輩と海老名先輩。

由比ヶ浜先輩とはよく行動していて、比企谷先輩のクラスメイトでもある。

 

「なんていうの? 手作りチョコ、とか作ってみたいんだけど……。来年受験だし。最後の機会かも、しれないし…。」

 

このギャップ、葉山先輩も動揺すると思う。

頬を朱に染めつつ、依頼について述べた。

 

「でも、葉山君って今年も受け取らないんじゃない?」

 

「どういうことですか?」

 

由比ヶ浜先輩の発言に俺やいろはも首を傾げる。

 

「えっとね、トラブルを避けるっているか。」

 

「あー、なるほど。」

 

「明言してるんですね。」

 

深く考えずに、生意気だとみなす男子は心が狭いのではないだろうかとも思ったが、それも感情論にすぎないのだろう。

 

「名言じゃないと思うけど?」

 

そんなことを言う由比ヶ浜先輩は今はスルーしておこう。

 

たぶん中学時代にでも問題になったのだろう。

チョコの持参を学校側に禁止されたとしても、密かに持ってきたとかで。

 

その責任を彼が背負ったままなのだ。

 

 

「隼人、そういうの気にするっていうか……」

 

「作り方だけじゃなくて、場も整えてほしいってことですね。」

 

俺が確認を取るために聞いてみる。

いつもよりしおらしい三浦先輩が、ちょっとだけ頷いてくれる。

 

 

「そうだ、比企谷君なら受け取ってくれるじゃん!」

 

「いや、あたかも当たり前のように言わないでくれません……」

 

「男子同士ならセーフ、いや最高だと思うよ。」

 

 

 

その温度差に困っていた時、再び扉がノックされる。

青っぽく見えなくもない、黒髪のポニーテールが印象深い川崎先輩だ。俺は一度先輩と一緒にサイゼで会ったくらいだし、あまり面識はない。部室を見渡しているし、たぶん奉仕部に来るのも初めてなのではないだろうか。

 

高身長、鋭い目つきな彼女にいろはがちょっと怯えている。

三浦先輩と険悪な雰囲気も見せているし。

 

 

しかし雪ノ下先輩の淹れた紅茶に対して、目を見開く姿はよく似ていた。

 

「妹が保育園でバレンタインの話聞いてきたみたいなんだけど、子どもでもできるのはあるかっていう、相談……。」

 

「へー、でもサキサキって料理得意じゃなかったっけ。」

 

三浦先輩と同じくオカン属性ありそうだし、そんなに警戒する必要はないようだ。

 

「その、あたしの作るの、地味っていうか。」

 

「どんなのだ?」

 

「さ、里芋の煮っころがし……」

 

「難しいのによくできますね。」

 

皮剥きも大変だったり、中が煮えなかったり。

冷凍のものを使えばそれなりには楽だろうが、味付けも難しい。

 

「そ、そう?」

 

「はい。」

 

いろはがむっとしている。

あなたも料理上手だけど、あまり和食には手を出しませんからね。

 

「あんた、料理できるんだ。やるじゃん。」

 

「うん、まぁ……。」

 

「それで、小さい子どもにも作れるチョコですよね。」

 

とりあえず、依頼内容を確認する。

 

「そうなるね。」

 

「あたしも!あたしも知りたい!」

 

身を乗り出して、挙手しつつ提案する。

 

「それは、どうかしら。」

「ゆきのん、正直すぎ!」

 

「で、どうするんだ?」

「えっと、どうすればいいかしら?」

 

顔を見合わせて、尋ね合っている2人は置いておいて。

 

さて、この2つの依頼、似ているようで少し異なる。

三浦先輩は葉山先輩向け、川崎先輩は妹さん向け、それぞれの作り方を教える必要がある。そこに葉山先輩が表立って受け取ることのできる場を整えるという難題が生じる。個人的に家に呼び出すのは、意外と純情な乙女にとってまだハードルが高いだろうし。

 

 

「……試食、ならどうだ?」

 

先輩に視線が集まる。

 

「さっき一色が言っていただろうが。月村と一緒に作るって。忌々しいことだ。」

 

「あっ、なるほどです。」

 

華麗にスルーして、いろはは先輩の言いたいことがわかったようだ。

 

 

「それだったら、生徒会にお任せあれ。雪ノ下先輩が直接、手取り……とにかく教えてもらえるでしょうしー!」

 

「それは構わないけれど……」

 

全員が具体的な内容を求めている。

 

「そうですね。お料理教室を浮かべてもらえるといいでしょう。マラソン大会のように生徒会主催の行事として行います。」

 

「なるほど。でも、みんな来ちゃうかもよ?」

 

海老名先輩の言う通り、あまり大きな場を作るのは、混乱を招きかねない。

 

「はい。ですので、試験的なものにするのはどうでしょう。それか、他校とのパートナーシップ…いえ交流を図るためというか、とにかくそんな理由で告知はしません。」

 

「海浜でも巻き込んじゃいますかねー。」

 

「えっと…?」

 

「身内だけのイベントをするっていうことです。」

 

「そういうことです!」

 

胸を張って同意してくれる。

いろはではなく、まさか俺がそんなことを言うとは思わなかったようで、先輩たちは苦笑いである。

 

意 味 不 明な理由、独善的、もはや横領、そんなイベントが許されるのかどうか、しかしそれが意外と許される。他校との交流のためとすれば、かのクリスマスパーティーのように許可が出るのだ。総武高は生徒の自主性を重んじる傾向があるし。かつて、最後まで存在理由を実感できなかったボランティア団体がソースだ。

 

ていうか、仕事頑張っているのだから、少しくらい遊んだっていいじゃないか。

 

 

「まあ、お前らがそう言うんなら。」

 

依頼が簡単に解決することに、少し呆気なさを感じているというか。

じゃあ、そんな先輩にも書類仕事を手伝ってもらおう。

 

女子と一部の男子が主役の行事だし、そういうものだ。

先輩も1ヶ月後に意識を向けるべきだろう。

 

 

「顔が広くても、呼ぶのは最低限にしてくださいね。で、こんなところでいいですか?」

 

「教えてもらえるんだったら、いいよ。」

 

「それなら、隼人に渡せそうだし。」

 

「では、そういうことで進めるわね。」

 

「ああ、そうだな。」

 

 

「日にちは、3連休のどこか、月曜にでもしますかね。葉山先輩の予定次第ですけど。」

 

「うん、聞いておくよ。」

 

これで、方針は決まった。

やることは山積みだけれど、あの時とは違ってこっちが初めから主役だ。

 

 

 

 

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