やはり転生オリ主の青春ラブコメもまちがっている。(リメイク)   作:ヒラメもち

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文化祭3: 俺たちだけの文化祭

総武高には1クラスが調理実習できるほどの家庭科室がある。しかし喫茶店をするクラスも多いし、外にも屋台が並ぶ文化祭では基本的に満員である。たった1つの机を使うことすら上級生に遠慮してしまう。

 

だから、物理室なのだ。普段の授業では使わないガス栓がいくつもあって、水道や換気扇も完備されている。昔は化学実験室としての役割があったのかもしれない。保健所にも学校側にも、ここを使うための交渉と検査には骨が折れた。

 

 

「そろそろ、全部ですね。」

 

「そうだな。」

 

早朝から、

エプロンと三角巾を身に付けた調理班は、各中華料理の仕込みをして、次々と蒸していった。

 

 

男子だけで作ったのはジャパリまんである。

遊戯部所属の相模たちが案を出してくれた。

 

ベーシックな肉の他に、カレーやピザソースや焼きそばなどなど。具材は食べてみないとわからないというやつだ。

 

 

「あとは売り子次第だな。ていうか、一色さんもまさかこっちに来るとはな。」

 

「まあ、結構やりたい女子がいましたからね。」

 

中華喫茶『パンダカフェ』のなのだから、チャイナ服を着て、気になる男子にアピールできる。

 

 

「でもでも、こういうのも、結構ありですし。」

 

これくらいあざとくないとなぁ。

手作りによる低コスト生産が、最大の目的である。

 

俺たち男子も、それに関しては強いられた。

 

「小籠包やごま団子作れるのって、そうはいないよな。」

 

一色さんは小籠包までマスターして、藤沢さんたちのサポートを受けつつ作成していった。

 

 

「なんですか、料理できるアピールが気になる人に成功したみたいですけどそれはお互い様ですしでも今はすきな人がいるのでごめんなさい!」

 

畳んだ水色のエプロンを握った手を振りながら、ほとんど聞き取れないくらいの早口である。

 

 

「ていうか、葉山先輩の劇、始まっちゃいますよ!」

 

「行ってらっしゃい。」

 

「なにいってるんですか、サッカー部の先輩なんですし、行きますよ。」

 

「えっ、いや、エプロンまだ着てるんだけど……」

 

「はやくはやくー」

 

 

すでに満員のF組の劇を、一緒に見に行く。

男の娘が実在していたのかって、感じた。

 

―――今日くらい、いいよな?

 

校外の人も来ていて、一緒に歩いていても、目立たない。

 

 

 

 

****

 

文化祭も佳境に入り、このライブが終われば閉会式である。

調理場の後片付けをしていたので最後尾から見ている。

 

 

一色さんまで付き合ってくれた。

葉山先輩のバンド演奏、最前列で見たかっただろうに。

 

 

上着のポケットに入れていた携帯が、同時に振動する。

 

「うわぁ、これって、そういうことなんですかね……?」

 

グループラインの差出人は葉山先輩であり、サッカー部に対して相模先輩の目撃情報がないかの確認である。

 

「たぶんな。」

 

文実しか真意を理解できないが、委員長の失踪である。

雪ノ下先輩と比較され続けたことで……、

 

いや今はどこにいるかを考えるべきだ。

 

「ちょっと、探しに行く。」

 

それだけ告げて、体育館から出た。

 

 

たぶん、誰かがどうにかする。

でも、ちゃんとしたいって思えたから。

 

 

「待ってください! わたしも手伝います。」

 

「……いいのか?」

 

「はい。でも、うーん、なんでだろ……。まあ、こういうのって、ポイント高いですよね♪」

 

「一色さんらしいな。……さて」

 

どうにかして、雪ノ下先輩たちが時間を繋ぐだろう。

それでも、残り時間はないに等しい。

 

 

「女子トイレ。可能な限りでいいから、見てきてくれるか?」

 

「了解です!」

 

「サンキュ。」

 

二手に分かれ、俺は闇雲に走って探す。

後片付けに追われる人を上手く避けていく。

 

 

校内で独りきりになれるところ、いや人のいないところの候補なんて、限られている。

 

 

階段を駆け上がる。

普段は閉められているけれども、文化祭ということで大量の横断幕を設置するために、鍵を借りたままのはずだ。

 

 

「あっちかよ!?」

 

校舎の屋上に上がったものの、特別棟に2人の人影が見えた。

息を整えながら、携帯を取り出す。

 

まずは一色さんに、次にサッカー部のグループラインにメッセージを送り、そして雪ノ下先輩宛てにメールを送った。

 

 

 

そして、再びまた走り始める。

 

 

「月村君!」

 

「メッセージ…見たのか…」

 

珍しく髪がちょっと乱れている一色さんと合流できた。

二人して息を整えながら、手摺を使って階段を上がっていく。

 

 

「ちょっ、葉山先輩!?」

 

あの先輩のシャツの襟を掴んで、壁に押し当てていたのを、葉山先輩はやめる。

 

 

「なにあいつ、てかだれ?」

「まじでキモいね。」

「あんなの気にすることないよ。」

 

そんな言葉を投げかけて、友達は相模先輩に付き添って去っていく。

 

 

体育館に行ってくれるだろう。

―――ちゃんと、見てくれたのだし

 

 

おかげで、成長できただろう。

前に出ることもしたし、周囲の協力もあったし、挫折も味わえたし。

 

 

「どうして、そんなやり方しかできないんだ……」

 

「さ、先に、行きますねー。」

 

憤りを抑えてゆっくりと去っていく葉山先輩に、一色さんが付いていく。

 

 

 

 

まだまだ夕暮れは遠く、晴れ晴れとした空である。

 

「……はぁ」

 

ずるずると、壁に寄りかかっていく。

 

 

「……なんだ?」

 

立ち去らない俺を疑問に思ったようだ。

同情とか憐れみとか、助けたいだとか、そんなことは思ってない。

 

 

たった数日だったけど、もっと見ていたいというか。

 

 

「月村伊月です。先輩の名前、教えてもらってもいいですか?」

 

「……比企谷、八幡」

 

「じゃあ先輩。後輩第一号として、今後ともよろしくお願いしますね。」

 

「……はぁ、さいですか。」

 

影に隠されているけれども、瞳はいつもとは確かに違った。

 

 

「ロクなことにならないぞ?」

 

「言ったじゃないですか、慣れてるって。」

 

だから、変わりたい。

 

 

 

 

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