ブリタニア帝国記 If編   作:ADONIS+

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第一話

 第一管理世界ミッドチルダ。ミッドチルダ式魔法と時空管理局発祥の地であり、管理局地上本部が存在する世界であったこの世界は戦火に包まれていた。第97管理外世界『地球』の侵攻を受けていたのだ。

 

 

 

 そんな中で俺は小銃を片手にかつての管理局地上本部跡にいた。

 

 ミッドチルダの首都クラナガンには、時空管理局地上本部が存在していたが、当然ながらそれは真っ先に攻撃対象となった。地上本部は敵が転送した爆弾で完全に破壊されていた。その周りの建物もかなり被害を受けたが、それでも無事な建物も多い。

 

 俺の名は、グラード・ミューカム。これでも管理局の一等陸尉だ。魔導師ランクは陸戦Aで、所属は質量兵器保管課だ。

 

 質量兵器保管課とは、犯罪者やテロリストから押収した質量兵器の保管と調査を行う部署だ。質量兵器を使った犯罪に対応するためにそれを調査して訓練するのだが、当然ながら管理局特に本局では評判が極めて悪かった。

 

 つまり冷遇される部署であるが、これは普通に考えればおかしいだろう。通常、犯罪者は魔法や質量兵器を使う物だ。となると質量兵器を相手に戦う訓練をするにしても研究は必要なのに、それを怠り個人の魔導師ランクの向上にばかり目を向けている。

 

 だが俺達は周囲に馬鹿にされながらも、質量兵器の調査を行い、対策を研究していた。海の連中があんな戦争なんか起こすまではな。

 

 

 

 事の始まりは、第97管理外世界で魔法反応を感知したことだ。調査の結果、それは古代ベルカ式魔法である事がわかった。

 

 それは地球の複数の国の研究所で研究が進んでいた。更に地球側が建造した次元航行の実験艦を、管理局が発見した事で事態は動く。

 

 当時の管理局は、JS事件の混乱で管理局が揺れていたのだ。その為、引き締めのために第97管理外世界を外敵として用意する事にした。要するに問題から目をそらすために敵を求めただけだった。第97管理外世界はそれには絶好の相手だった。

 

 本局の管理局強硬派は、第97管理外世界に質量兵器の廃絶や管理世界に入ることなどの様々な要求をごり押しした。地球側は当然これを拒否した。結果、第97管理外世界にいた次元航行艦は侵攻を開始したが、あっさりと撃沈された。

 

 これが第97管理外世界との戦闘の最初の被害だった。

 

 この時管理局は知る由もなかったが、未だに管理局の知らないブリタニアという世界を統一しているブリタニア帝国と第97管理外世界は同盟を結んでいたのだ。そのため、管理局はブリタニアと第97管理外世界と戦端を開いた。

 

 それがケチの付け初めだった。

 

 管理局の本局はいきなり大量破壊兵器の転送で消滅して、各地の次元航行艦は次々に沈められた。更に管理局の次元航行艦隊が壊滅すると、50もの管理世界が管理局から分離独立して、第97管理外世界とブリタニアと手を組み管理局と敵対しだしたのだ。

 

 そして、ブリタニアはミッドチルダを初めとする管理局に従う管理世界に対してマジックキャンセラーを打ち込んだ。これは致命的だった。各管理世界は、惑星規模で魔法が全てキャンセルされて大混乱になったのだ。

 

 管理世界は都市を賄うエネルギーは魔力炉に依存していたし、物流・通信・治安維持さえも魔法に依存していたのだ。それが一切無効化された。

 

 インフラが整っている世界ほど多くの被害を受けた。都市機能や工場などの停止。食料の生産すらも満足にできず、転送魔法による物流も遮断されて、人・物・金の流れが止まる。

 

 それは、エネルギー不足と経済の破綻を意味している。

 

 管理局は本局と各地の支部を破壊されてバラバラになり、組織だった動きができなくなってしまう。

 

 魔導師はマジックキャンセラーにより、バリアジャケットの展開はおろか念話すらできない有様であり、それを好期と考えた反管理局組織の攻勢や、質量兵器で武装した犯罪者に叩きのめされた。何せ、魔法が一切使えない魔導師など何の役にも立たない。戦力を魔導師のみに制限していた管理局はそれに対応できなかった。

 

 そこに第97管理外世界の国連軍の侵攻を受けた。満足に抵抗もできず、次々に陥落していく管理世界。そして、国連軍はミッドチルダにも侵攻していた。

 

 時に新暦76年1月の事であった。

 

 

 

「本局の連中が勝手に始めた戦争で、何で俺達が貧乏くじを引かなきゃなんねえんだよ」

 

 本局の連中は早々に敵に壊滅させられており、現在絶望的な抵抗を続けているのが、主に地上部隊だった為にグラードがむかつくのも当然だった。

 

 現在の陸士部隊は質量兵器を持っていたが、その装備の種類は統一性がなくバラバラだった。本来これは望ましくない。普通は軍では銃火器の類はある程度種類を絞るものだ。

 

 しかし、彼等の装備は、元々犯罪者達から押収した物に過ぎず、当然ながらその種類は統一されていない。だから補給と整備性や熟練度などに悪影響がでる。ましてや質量兵器を扱うノウハウを持たない管理局では尚更だから色々と問題が出ていた。ぶっちゃけると武器を持っていてもまともに使えない者が多いのだ。

 

 それでも、魔法が全てキャンセルされている以上質量兵器で戦うしかない。

 

 今にして思えば、第97管理外世界を無理やり管理世界にしようとしたのは無理だっただろう。戦争が始まってから、第97管理外世界の情報を調べて、機動六課の隊長達から話を聞くなどした結果としてそう思わざるを得ない。

 

 それにグラードは、第97管理外世界が戦争を起こしてまで管理局入りを拒んだのも理解できた。

 

 第97管理外世界は極稀に突然変異で強い魔力を持つ人間が生まれる事があるものの、殆どの住民が魔力を持たないのだ。これでは質量兵器を廃棄して魔法文明を持つように言っても無理だろう。

 

 管理世界の魔法文明は、管理局だけでなく民間にもかなりの数の魔導師を必要とする。第97管理外世界を管理世界にすれば、治安維持や社会活動に必要とされる人材を確保できずに自滅するだけだ。

 

 おまけに魔法だけに依存した社会の脆弱さは、我々が今証明してしまっている。彼等はそれを知っているから管理局を拒んだのだろう。

 

 ついでにいうと六課の隊長達はあまり参考にならなかった。あいつらは自分の出身世界の情勢も満足に把握していなかったのだ。話を聞くと学校すら満足に行っていなかったらしい。

 

 それはいいとして、実はあいつらは第97管理外世界を管理世界にするのには賛成で、支持していたらしい。本局の魔法至上主義に染まった彼女たちは、第97管理外世界の質量兵器を危険視していた。それがこんな結果を招くとはな。

 

 ちなみに高町なのはと八神はやては、第97管理外世界では母国を裏切った管理局のスパイだったと第97管理外世界では喧伝されていた。

 

 これには日本政府の思惑があった。戸籍などの公文書を偽造して偽造して日本に居座っていたリンディやフェイト達とは違い、なのはとはやては日本人である。自国民から管理局員になった者がいるとなると、日本政府は他国からその事を追求されかねない。おまけに二人は管理世界では有名な為に隠しきれないのだ。だから日本政府は二人を裏切り者として大々的に公表して追求をかわすしかなかった。

 

 これが二人の逃げ道を防ぐこととなった。これまで多くの管理局員は余りの劣勢に国連軍に降伏する者が多かったが、二人は降伏すらできないのだ。

 

 

 

 グラードにとってそんなことはどうでも良かった。問題なのは、この戦いに勝ち目がないと言うことだ。勿論自分たち質量兵器保管課のメンバーは質量兵器の扱いを研究していたから使えるが、運用・装備・人員・練度全ての面で国連軍とは差がありすぎるのだ。犯罪者やテロリスト相手ならば、グラードたち質量兵器保管課の奮戦で何とかなったが、強力な質量兵器の開発運用に特化している第97管理外世界の正規軍に勝てるわけがない。

 

 マジックキャンセラー影響下では質量兵器が最も有効だ。戦闘機人という例外もあるが、あれは魔法というよりも機械と人間の融合体だ。倫理的な問題や量産・整備・運用等を総合的に考えると、質量兵器の方が優れているのは間違いない。

 

「だか、やらねばならん」

 

 グラードにとって嫌なことに、ミッド地上にいる管理局上層部の生き残りが降伏ではなく、徹底抗戦を主張しているのだ。一番嫌なのが、あの八神はやてが徹底抗戦派の筆頭な事だ。ミッド地上部隊はJS事件でレジアス中将を失い、国連軍の攻撃で地上本部が消滅した今では、八神はやて一等陸佐(JS事件の功績で昇進)が最高位だ。上官権限のごり押しというものだ。

 

 グラード本人は降伏が妥当だと思っていた。勝ち目のない戦いを行っても、無駄に人や街に被害を与えるだけだ。あの女は理想に目が眩んで現実が見えていないのか?

 

 グラードは間近に迫る国連軍の攻勢に戦慄していた。




解説

■マジックキャンセラー
 ブリタニア帝国が開発したリリカルなのはの魔法を無効化する装置。このマジックキャンセラーによる惑星規模の魔法封印は、ガ○ダムS○EDのNジ○マーを参考にしています。このSSでは、管理世界はインフラのエネルギー源を魔力炉に依存しているという設定(中世ヨーロッパの様に、文明レベルが低い管理世界を除く)。原子炉は論外であるが、火力発電も質量兵器に繋がるとして規制されており、魔力炉は資源を使わずクリーンで安全という触れ込みで普及しているわけです。しかし、魔法という一つの要素を絶対視してそれだけに依存する体制であったために、肝心の魔法を封印されると、とても脆いという訳です。今回帝国が使ったマジックキャンセラーは地面を掘り進むためのドリル付きで、地中数百メートルまで自動的に埋没します。純粋科学技術の優れた帝国ならば兎も角、魔法文明の管理世界では始末・回収は困難です。有効範囲はかなり広く、数十発打ち込むだけで地球規模の惑星全土をカバーできます。



後書き

 このSSでは地球連邦は誕生していません。あれは管理局戦争の被害の大きさから地球が統一していったというもので、このSSではそこまで地球の国々は団結していません。その変わりアメリカなどの大国は無事です。
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