広大な宇宙空間。戦艦、巡洋艦、駆逐艦、空母、ミサイル艦などで構成されるアズライトが指揮する二万隻が存在している。
ブリタニア帝国では正規艦隊が通常二万隻で構成されている。艦隊の構成は有人艦が戦艦千隻、ミサイル艦千隻、空母四千隻、巡洋艦六千隻、無人艦はアガメムノン級駆逐艦とサラミス級駆逐艦が四千隻ずつになっている。これに空母に搭載された艦載機約十六万機が加わっている。
このアズライト艦隊に距離二千万㎞の位置で相対するのは、同じく二万隻の敵艦隊。艦艇の性能と艦隊構成はまったく同じで、唯一艦載機の配分だけは違う。
『敵艦隊よりミサイル多数射出されました。全弾反応弾のようです』
「アガメムノン級はレーザー迎撃をせよ」
アズライトは、オペレーターの報告にレーザー迎撃を命じた。四千隻のアガメムノン級駆逐艦が一斉にレーザー砲を放ちミサイルを打ち落としていく。本来ならグラビティブラストで迎撃しておきたいが、あれは射程距離がどうしてもレーザー砲に劣る。よほどミサイルが近づかないと役に立たない。
『少数のミサイルが接近中です』
「サラミス級は、ガトリングレールガンで迎撃せよ!」
グラビティブラストを打てばレーザーがねじ曲げられてしまう。当然、そうなるとこちらのレーザー迎撃ができなくなるのでガトリングレールガンを使う。
四千隻のサラミス級がガトリングレールガンでミサイルを打ち落としていく。ミサイルは撃破したが、これは初手に過ぎない。
『敵艦隊、最大戦速でこちらに突っ込んできます』
「くるぞ! 全艦敵の砲撃に備えよ」
『敵艦隊、距離百万にまで接近、砲撃来ます』
「よし、こちらも撃て!」
双方の艦隊がグラビティブラストを打ち合う。砲撃がお互いの艦艇に向かう。それらはお互いの艦艇が展開しているディストーションフィールドで防がれそう容易く撃沈しないのだが、ディストーションフィールドを展開していない艦艇はそうはいかない。
ディストーションフィールドではなく陽電子フィールドを展開していた無人駆逐艦は、グラビティブラストに耐えられず、重力波に潰されて撃沈していく。
「ちっ、やはり陽電子フィールドではグラビティブラストの打ち合いに使えないわね」
『仕方ありません、元々駆逐艦はその為の有人艦になれなかったのですから』
ブリタニア帝国艦隊が主兵装としているグラビティブラストは陽電子フィールドでは防げません。
ブリタニア帝国における駆逐艦の役割は艦隊の防空である。つまり艦隊決戦の最中に、ミサイルや機動兵器を迎撃しなければならない。ならば駆逐艦には陽電子フィールドではなく、ディストーションフィールドを装備させればいいわけであるが、そうもいかない。
ここでディストーションフィールドの問題点が響いた。ディストーションフィールドはこちらが攻撃する時は展開できない。つまり防空のためにミサイルや機動兵器を迎撃しようとすると、こちらが無防備になってしまう。このリスクを避けるために、防御力に劣っていても防空を担当できる艦艇が必要になった。
陽電子フィールドはディストーションフィールドとは異なり、防御バリアを展開していてもこちらから攻撃可能であるし、質量兵器に関してはディストーションフィールドよりも防御力は高いので駆逐艦に採用されている。
しかし、こうしたグラビティブラストの打ち合いになると無力で、次々と撃沈してしまうので駆逐艦を無人艦にするしかなかった。
『敵、機動兵器を射出。ルシファーおよそ十六万!』
「出し惜しみ無しで、一気に出してきたわね」
グラビティブラストの打ち合いとなって5時間が経ち、敵が動き出した。一個艦隊が保有する機動兵器はおよそ十六万機なので、これは全機出撃したと見るべきだろう。
『こちらも機動兵器を射出しますか?』
「いや、乱戦になるとこっちが砲撃できなくなる。ここはあくまで艦隊で迎撃しろ。アガメムノン級とサラミス級にはルシファーを落とせと伝えろ。五十万㎞で相転移砲を叩き込んで!」
『はっ!』
戦艦と巡洋艦は敵艦隊と絶賛砲戦中なので動かせない。下手に動かして陣形を乱すと敵に付け入れられてしまう。
『敵、相転移砲の射程距離に入りました』
「よし、撃て!」
『はっ!』
一千隻のイズモ級戦艦から次々に打ち込まれる相転移砲。それらがルシファーを飲み込んでいく。
『撃ち漏らした敵機が接近中です!』
「迎撃しろ!」
ガトリングレールガンなどの対空兵器が火を噴く。ルシファーのその驚異的な機動性から命中率があまり良くないが、それでも着実に敵機を落としていった。
ちなみに艦隊に配備しているそれぞれの兵器は当然有効射程距離が異なる。ミサイルは二千五百万㎞、レーザー砲は一千万㎞、グラビティブラストは百万㎞、相転移砲は五十万㎞、ガトリングレールガンは1000㎞といった所である。
「イーグル部隊は?」
『攻撃まで後180秒です』
「なら、これで王手ね!」
イーグル部隊は、無人対艦攻撃機イーグルで構成された部隊である。イーグルは、現実世界のF-15イーグルの外見を参考にしており、対艦ミサイル『ランサーダード』を四発搭載していた。
このランサーダードはイーグルが十分な加速を行った状態で発射すれば、ディストーションフィールドを展開している艦艇でも容易く撃破できるが、敵のレーダーに発見されてから攻撃に入る時間が長すぎて袋叩きになってしまうので、イーグルによる対艦攻撃はあまり効果を上げていない。
しかし、アズライトは艦載機の大半をルシファーではなく、このイーグルで構成していた。
作戦としては、最初にイーグル部隊をすべて射出してある程度距離の離れたアステロイドなどに潜伏させる。次にあえて艦隊決戦を行い、グラビティブラストの打ち合いで敵のレーダーを撹乱する。後はイーグル部隊を加速させて敵艦隊に攻撃させるという物だった。
敵艦隊のレーダーレンジは5億㎞にも達する。しかし、これはあくまで通常時の場合である。グラビティブラストの打ち合いになると酷く空間が荒れてしまい、まともにレーダーが使えなくなる。この場合レーダー有効範囲は100万㎞が限界であった。
最大加速秒速3万㎞で突っ走るイーグル部隊の第一派四万機は、レーダーに発見されてから敵に肉薄するのに約33秒とかなり時間が短縮されている。これでは、艦隊決戦の最中の敵艦隊は早々対応できない。あっという間に敵艦隊側面に接近したイーグル部隊はランサーダードを放った。
秒速三万㎞という馬鹿げた速度まで加速された対艦ミサイルはディストーションフィールドを安々と貫き、艦艇に命中した。艦艇は超合金ニューZαをエネルギー変換装甲で更に強化しているという反則的な物で、更にディストーション・ブロックで各ブロックをガードしていたが、それでも持ちこたえる事はできない。
命中時に発生する運動エネルギーによって発生した絶大なる破壊力は、宇宙空間用に改良した核兵器『反応弾』をも凌駕した。それらは戦艦、巡洋艦、空母などを次々に消滅させていく。
『続いて第二派攻撃に入ります』
「そう、第三派が攻撃完了次第、一気に攻勢に出ます」
全部で12万機のイーグルによる対艦攻撃で敵艦隊は壊滅状態だ。残っているのは駆逐艦ばかり。駆逐艦が残っているのは優先対象から外していたからだ。
対艦ミサイルによる質量攻撃は確かにディストーションフィールドには効果的であるが、陽電子フィールドには相性が悪い。
それに駆逐艦ならば戦艦や巡洋艦の相手にならないから残しても脅威にはならない。
「よし敵を殲滅せよ。それと待機させていたルシファーをすべて射出させて残存の敵艦載機を撃破しなさい」
『はっ!』
グラビティブラストが敵の駆逐艦を次々に撃破していく。そして航空戦でもルシファー同士の戦闘が激化していた。
『敵艦隊壊滅、敵の組織的抵抗は終わりました』
「敵の掃討を行いなさい」
『はっ!』
アズライト艦隊は、その後の数時間に渡る掃討戦で敵艦隊を撃滅した。
「戦術シミュレーションクリア。スサノオ今回は私の勝ちね」
『……うん、まいったよ』
そう、先程の戦闘はすべて戦術シミュレーションで、アズライトとスサノオがそれで対戦していたわけであった。
『艦隊を囮にして攻撃機で艦隊攻撃するなんて、相変わらず奇策を好むんだね』
「あら攻撃機で艦隊を攻撃するのは、そんなにおかしい戦術ではないよ」
実際、太平洋戦争以降は航空機が海戦の主導権を握っていたのだ。大艦巨砲主義が主流であるブリタニア帝国では一般的ではないけどね。
『でも、ブリタニア帝国では機動兵器は補助戦力に過ぎないよ』
艦艇の性能向上に伴い、機動兵器は戦場の主役から蹴落とされていた。
「兵器の優劣が勝敗を決するとは限らない。要は使い方ね」
『確かにそうなんだけどね』と溜息でも聞こえそうな返事が返ってきた。
ブリタニア帝国軍は実戦経験が極めて乏しい。そもそも帝国軍とまともに戦闘が出来る勢力は次元世界に存在しないし、わざわざ他の下位世界に戦いを仕掛けに行くこともないからだ。
勿論、その気になれば『銀河英雄伝説』の銀河帝国や、『超時空要塞マクロス』のゼントラーディ軍のような艦隊決戦が可能な敵に戦いを仕掛ける事はできるが、そんなことをすればコストが馬鹿にならない。とてもじゃないが実戦経験を積むという名目だけでそんな戦争はできない。
結果として訓練や戦術シミュレーションを重ねるばかりの軍隊となってしまった。
ブリタニア帝国は、平和の中で安定を続けている一方で、軍部はその副作用に四苦八苦しながら対応していた。その為、異世界で実戦を行う機会が多い監察軍が戦術シミュレーションを改良しており、アズライトがその戦術シミュレーションを多用するようになった。
「守るべき空母を危険にさらすのはあまり好ましくないから、出来れば艦載機だけで敵艦隊叩ければ理想的なんだけどね」
アウトレンジアタックというのが理想的だ。まあ、格下ならばともかく、同じブリタニア帝国軍には技術的にそれが不可能に近い。となるとやっぱり艦隊決戦が主流になる。本当に頭の痛いことである。
解説
■イズモ級戦艦
・外見モデル:イズモ級宇宙戦艦(機動戦士ガンダムSEED)
・全長:520m
・装甲材質:超合金ニューZα(マジンカイザー)
・主機関:縮退炉×1(トップをねらえ!)
・補助機関:常温対消滅機関×1(ふしぎの海のナディア)
・攻撃兵装
グラビティブラスト×1(機動戦艦ナデシコ)
二連装相転移砲×1(機動戦艦ナデシコ)
225㎝二連装マイクロブラックホールキャノン×2
75㎜六連装対空ガトリングレールガン×16
・防御兵装
ディストーションフィールド(機動戦艦ナデシコ)
ディストーションブロック(機動戦艦ナデシコ)
エネルギー転換装甲(マクロスF)
◇説明
イズモ級を純粋な戦艦として再設計して、ミサイルとカタパルトと格納庫の撤去などを行っている。
■ユメミヅキB級ミサイル艦
・外見モデル:ゆめみづき木連式戦艦(機動戦艦ナデシコ)
・全長:580m
・装甲材質:超合金ニューZα(マジンカイザー)
・主機関:縮退炉×1(トップをねらえ!)
・補助機関:常温対消滅機関×1(ふしぎの海のナディア)
・攻撃兵装
110㎝単装リニアカノン×1
光子魚雷(トップをねらえ!)
反応弾(マクロスF)
フレイア(コードギアス 反逆のルルーシュ)
対空ミサイル
75mm単装対空ガトリングレールガン×24
・防御兵装
ディストーションフィールド(機動戦艦ナデシコ)
ディストーションブロック(機動戦艦ナデシコ)
エネルギー転換装甲(マクロスF)
◇説明
超高効率原子変換による弾薬製造機構を備えており、艦内で弾薬類の自給自足が可能になっている。
■グァンダナモ級空母
・外見モデル:グァンタナモ級宇宙空母(マクロスF)
・全長:400m
・装甲材質:超合金ニューZα(マジンカイザー)
・主機関:縮退炉×1(トップをねらえ!)
・補助機関:常温対消滅機関×1(ふしぎの海のナディア)
・防御兵装
ディストーションフィールド(機動戦艦ナデシコ)
ディストーションブロック(機動戦艦ナデシコ)
エネルギー転換装甲(マクロスF)
◇説明
菱形の艦断面を持ち、4面の飛行甲板を備えている。搭載機数は40~45機。
■リアトリスB級巡洋艦
・外見モデル:新リアトリス級戦艦(機動戦艦ナデシコ -The prince of darkness-)
・全長:325m
・装甲材質:超合金ニューZα(マジンカイザー)
・主機関:縮退炉×1(トップをねらえ!)
・補助機関:常温対消滅機関×1(ふしぎの海のナディア)
・攻撃兵装
グラビティブラスト×2(機動戦艦ナデシコ)
・防御兵装
ディストーションフィールド(機動戦艦ナデシコ)
ディストーションブロック(機動戦艦ナデシコ)
エネルギー転換装甲(マクロスF)
◇説明
300m級とオリジナルよりも全長を大きくしている。以前無人艦として開発されたリアトリス級を、有人艦として再開発した巡洋艦。
■アガメムノン級駆逐艦
・外見モデル:アガメムノン級戦艦(機動戦士ガンダムSEED)
・全長:130m
・装甲材質:超合金ニューZα(マジンカイザー)
・主機関:常温対消滅機関×1(ふしぎの海のナディア)
・攻撃兵装
155mm二連装メガ粒子砲×2
単装対空レーザー砲×8
・防御兵装
陽電子フィールド
エネルギー転換装甲(マクロスF)
◇説明
原作では全長300mの宇宙母艦として登場していたが、監察軍はこれをモデルに130m級の無人駆逐艦として建造している。艦隊においてはレーザー砲による防空を担当しており、ミサイル迎撃やディストーションフィールドを装備していない機動兵器の迎撃を担当している。
■サラミス級駆逐艦
・外見モデル:サラミス級巡洋艦(機動戦士ガンダム)
・全長:130m
・装甲材質:超合金ニューZα(マジンカイザー)
・主機関:常温対消滅機関×1(ふしぎの海のナディア)
・攻撃兵装
155mm二連装レールカノン×2
75mm六連装対空ガトリングレールガン×8
・防御兵装
陽電子フィールド
エネルギー転換装甲(マクロスF)
◇説明
原作では巡洋艦として登場していたが、監察軍はこれをモデルに130m級の無人駆逐艦として建造している。艦隊においては質量兵器による防空を担当しており、ミサイル迎撃やディストーションフィールドを装備した機動兵器の迎撃を担当している。
■可変戦闘機ルシファー
・外見モデル:VF-27ルシファー(マクロスF)
・全長:18.8m(ファイター)
・装甲材質:超合金ニューZα(マジンカイザー)
・主機関:トロニウムエンジン×1(スーパーロボット大戦α)
・攻撃兵装
20mmビーム機銃×2
内蔵型マイクロミサイル×4
20mmビームマシンガン×1
トロニウムバスターキャノン×1
20mmガトリングレールガン×1
120mmレールカノン×1
アサルトナイフ×1
・防御兵装
防弾シールド×1
ディストーションフィールド(機動戦艦ナデシコ)
エネルギー転換装甲(マクロスF)
アクティブステルス(マクロスF)
チャフ・フレアー・スモークディスチャージャー(マクロスF)
・換装装備
スーパーフォールドブースター(マクロスF)
スーパーパーツ(マクロスF)
・特殊装置
ゼロシステム(新機動戦記ガンダムW)
◇説明
基本的に原作機よりも武装を減らしているが、その変わり主力部にディストーションフィールドを装備するなど防御力を向上させている。専用ISエクスギアとの併用を前提としている。またISの技術やゼロシステムの採用で性能を飛躍的に向上させており、生身の人間でも機械限界まで機動性を発揮することができる。ISの量子変換技術を採用しているので武装やオプションパーツを瞬時に切り替える事ができ、これを応用してマイクロミサイルを補充している。
■無人対艦攻撃機イーグル
・外見モデル:F-15イーグル(現実の航空自衛隊)
・全長:18.4m(ファイター)
・装甲材質:超合金ニューZα(マジンカイザー)
・主機関:トロニウムエンジン×1(スーパーロボット大戦α)
・攻撃兵装
ランサーダート×4
・防御兵装
ディストーションフィールド(機動戦艦ナデシコ)
エネルギー転換装甲(マクロスF)
ピンポイントバリア(マクロスF)
アクティブステルス(マクロスF)
チャフ・フレアー・スモークディスチャージャー(マクロスF)
◇説明
ディストーションフィールドを利用して亜光速まで加速してから敵艦に対艦ミサイルを叩き込むというコンセプトの攻撃機であるが、ブリタニア帝国軍艦艇は、通常時はレーダーの有効範囲が非常に長いので、攻撃する前に袋叩きにされてしまう。それゆえ敵のレーダーを撹乱するなどの工夫をしないと有効に使えない。また、相対速度が速すぎる為に敵の質量兵器が脅威となり損傷率が極めて高いという欠点と、障害物の少ない宇宙空間で加速して対艦ミサイルを放つだけというある意味単純な役割の為に無人化されている。
あとがき
帝国軍は、技術が発展していった結果、大艦巨砲主義になってしまっています。障害物の少ない広大な宇宙空間では、艦載機よりも大規模な装備を搭載できる艦艇の方が高性能を発揮できるというワケです。