ブリタニア帝国記 If編   作:ADONIS+

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第二話

 管理世界の中でも、管理局に反感を持っている世界は多い。管理局の砲戦外交や侵略で無理やり管理世界にされた世界や、管理局員の横暴に反感を持つ者など、枚挙にいとまがない。

 

 管理局の力で無理やり押さえつけられていた彼等は、独自に管理局からの分離独立を目指す動きが発生した。その流れは、彼等にブリタニア帝国と第97管理外世界が接触してその支援を受けることで加速することになる。

 

 だが彼等は慎重だった。即座に決起するのではなく、好機を待つことにしたのだ。そんな彼等が、管理局が第97管理外世界を管理世界にしようとする動きがあることを知る。

 

 ここで、彼等は帝国と国連との間で密約を交わす。戦況に応じて、そちらに荷担するというものだ。つまり勝ち馬に乗るというものであるが、国家としては負ける方に付くわけにはいかないのでそれは当然である。そして帝国もそれを受け入れた。何故ならば、管理局如きに手間取るものではないのだ。

 

 その後、管理局の戦力が壊滅し、他の管理世界がマジックキャンセラーで凄まじい被害を受けて大勢が決まると彼等は決起した。

 

 かくして、ブリタニア軍に本局と破壊され主力の艦隊を壊滅されられた管理局に、とんでもない訃報が届くことになった。50もの管理世界が、管理局からの脱退を宣言して敵に付いたのだ。

 

 これを知った他の管理世界にも動揺が走った。

 

 

 

 

 

「なんで食料をまわせないの!?」

 

 高町なのはがとんでもない話に陸士に詰め寄る。

 

「備蓄が少ない。大体こんな事になったのは、お前ら本局の所為じゃねえか!これ以上、本局の部隊に回す食料はない」

 

 陸士の言葉になのはは沈黙する。

 

 機動六課は本局上層部の後見を受けて、地上本部の反対を押し切って無理やり設立された部隊だ。更に部隊長や隊長達は本局の派閥だ。

 

 名目では地上部隊となってはいるが、実体は地上本部の管轄を侵害する本局の部隊でしかない。元々嫌われていたのだが、現在の情勢で更に酷くなった。

 

 最も食料がないのも事実だ。マジックキャンセラーによる惑星規模の魔法封印は食料の輸送を阻み、電気などのインフラも使用不能になったから食材の保存もできない。ぶっちゃけると冷蔵庫も使えないから、保存食以外はすぐに全滅した。更に日持ちする保存食の備蓄もそれほど多くはない。

 

 食料を増やそうにも、クラナガンは大都市であるが故に、人口に対する食料生産能力の比率がとても低く、更にインフラの停止で全く生産できないのだ。

 

 

 

「なのはちゃん、気にせんでええで」

 

 陸士が機動六課の隊舎から出ていくと、はやてがなのはを慰める。

 

「でもはやてちゃん、このままじゃ…」

「その事なんやけどうちに考えがあるんや。みんなも聞いて欲しい」

 

 その場には六課の主要メンバーが揃っていた。

 

「うちはクラナガンから脱出しようと思うとるんや」

「なんですと、主はやて本気ですか?」

 

 はやての言葉にシグナムが驚く。

 

「このままやと勝てへん。せやからひとまず引くんや。ブリタニア帝国も何時までも魔法の封印ができるわけあらへんやろ。好機を探るんや」

 

 はやてのその言葉に皆が考える。確かに魔法が使えない現状では戦えない。好機を待つというのも一つの選択だろう。

 

「それになのはちゃん、地球はブリタニア帝国に操られておるんや。せやから地球を帝国から解放せなあかん」

 

 はやては地球が自分たちを拒んだとは、思いたくなかった。だから現状は帝国の陰謀によるものだと勝手に決めつけたのだ。確かに魔法文明を持たない第97管理外世界が魔法技術を手に入れて次元航行艦まで建造できたのは帝国の支援を受けたからだから、こうなった原因の一つが帝国にあった。

 

「うん、そうだね」

 

 なのはも同意する。彼女は自分が正しいと思っていた。というよりも自分の理想が正しくて、それに反する者は力ずくで叩き潰してきた。

 

 通常そう言う考えは受け入れられないものだが、管理局という次元世界最大の組織がその考えであったし、彼女はその思想をどっぶりと染まってしまっていた。つまり管理局の強大な権力の元でそれが肯定されてしまい、矯正されることはなかった。

 

 これには彼女たちの幼少期の孤独も影響していた。それで人格が歪み、自分が手に入れた特別な力である魔法という力に依存する。だからそれを支持する管理局に心酔してしまう。なのはが同意し、彼女たちの意見が纏まるのに時間は必要ではなかった。

 

 だが彼女たちは、それが前線で戦う陸士達に対する裏切り行為であるとは、意識していなかった。というよりも低ランク魔導師や非魔導師揃いの陸が、自分たちに対してやたらと敵対的な行動をとるので嫌っていたのだ。所詮彼女たちは高ランク魔導師。綺麗事を言っていても無意識に非魔導師や低ランク魔導師を格下として見下していた。

 

 ブリタニアによる魔法封印で、魔法という物が至上の物ではないと証明されているにも関わらず、彼女たちの魔導師至上主義は未だに揺るぎない物だった。

 

 そうして、機動六課主要メンバーは、明日にも起こるだろう国連軍の攻勢に対して避難民に偽装して脱出すると事となった。

 

 

 

 そして、開始された国連軍の大攻勢。グラード達陸士達は必死で戦うが、想定通り勝てる相手ではなかった。

 

「畜生、分かっちゃいたけどたまらないぜ」

 

 とんでもない火力だ。空爆から始まり、自走砲やミサイルの嵐。突き進む戦車群。自分たちのちゃちな個人携帯火器で勝てる相手ではない。

 

 魔法資質を持たない市民達の多くは既に避難している。だが、それでも多くの市民達が攻撃に巻き込まれる。既に同僚の多くがやられている。最早、これまでか。覚悟を決めたグラードは敵に対して決死の特攻をした。

 

 ミッドチルダ政府が、第97管理外世界及びブリタニアに対して無条件降伏をしたのはそれからすぐのことであった。

 

 

 

シドゥリside

 

「呆気ないわね」

 

 陥落したクラナガンを一隻の超弩級戦艦から見つめるシドゥリはそう零す。

 

「陛下、ミッドチルダを初め抵抗していた管理世界は全て降伏しました。しかし、それらの世界が食料の支援を求めています」

「ふ、ふふふっ、あははははっ!それは傑作ね。今まで散々威張り散らしていた管理世界の連中が、敵に物乞いをするまでに落ちぶれる何てね」

 

 本当に笑える。

 

「まあ、余は別に餓死者が出てもかまわないけど、一応その辺りは国連と話しておきましょう」

 

 今回の管理局並びに管理世界との戦争は、帝国が管理局の次元航行艦を初めとする主力と各地の拠点を壊滅させる。次に帝国がマジックキャンセラーで魔導師を無力化して、抵抗を続ける管理世界を国連軍が制圧するという役割分担をしていた。

 

 ちなみに国連軍を管理世界に輸送したりする後方支援は帝国がしていた。敵対する管理世界の制圧は、主に国連軍にやらせているわけであるが、それぐらいはやってくれないとこちらも困りますからね。同盟国だけが戦い、当事者たる国連が何もしないでは体面が悪すぎます。

 

 ついでにいえば、「帝国は管理世界の技術、資源、土地、人材などは一切いらないので、その辺りの取り分は地球各国で話し合うように」と言うと、各国は目の色を変えて管理世界の制圧に力を入れた。

 

 事実上の奪い放題ですから、まるで大航海時代のヨーロッパの様になるでしょうね。制圧した管理世界は植民地という訳です。とはいえ現代でそこまで露骨にやるわけにはいかないでしょう。だから何らかの名目を付けて、美味い汁を吸うという所かな?

 

 さて、制圧した元管理世界の事後処理は国連に押しつけるとして、問題は管理局から離反した反管理局派の世界ですが、それらの世界とは事前の話し合いで、お互いの世界には基本的に不干渉という事になっていますが、一応国連と共に話しておく必要があるでしょうね。意見のすり合わせは大切です。




後書き

 管理局が崩壊しました。いやブリタニア帝国と地球が手を組んだらこうなるかなと思ったんですよね。
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