自分の目が信じられなかった。目の前にいる女性は宙に浮かんでいる。しかも微妙に透けて見える。
「操緒、浮いてる浮いてる」
そしてその女性が浮いていることに何の驚きも見せずに、そのことを指摘しているもう一人もよくわからない。拾ったのは崩壊しかかった魔女の結界の中、グリーフシードを持っていたから魔法少女かとも考えたが、ソウルジェムも指輪も身に着けてはいなかった。
「あー、やっぱり気を抜くとすぐ浮いちゃうんだよねー」
「透けてるだけでも目立ってるんだから気を付けて」
そして、彼女たちの持っていたグリーフシードにも問題がある。今にも崩れそうなのだ。少しでも力を込めてつまむだけで砕け散って砂になりそうなほどに透き通り、あまつさえ一部は消えだしている。
「それで、あなた達は何者なのかしら?」
そんなよくわからないイレギュラーを拾いこんでしまったという思いが、質問を詰問調に変えていく。
「んー、悪魔使いと使い魔かなぁ、それか救世主!」
透けている方が能天気な声で答えを返してくる。
「いや、普通に
あきれたような口調で、もう一人が訂正を入れる。魔法少女という答えを期待していた私にとっては、どちらの答えも満足のいく回答ではなかったが。
「そう、それじゃ、これは何?」
そう言ってグリーフシードを差し出す。ほとんど消えかかったそれは、まだ辛うじてグリーフシードの外見を保っていた。
「うわ、非在化してる。トモ、これ何かわかる?」
「操緒が知らないものを僕が知ってるわけないだろ。宝石みたいにも見えるし、非在化してるんなら
また、私の知らない単語が出てきた。グリーフシードを宝石というその感性とともに、この二人が私の知らない魔法少女ではない、もっと別の何かだということへの確信を深めた。
「そう、この現象は非在化っていうのね。これはグリーフシード、魔女の卵よ」
その言葉に透けている方はぽかんとし、もう片方はあからさまにいやそうな顔をする。
「また厄介ごとに巻き込まれるのか、僕は」
そんなつぶやきも聞こえてきた。
「とりあえず、魔女の結界で倒れていたあなたを助けてここまで連れてきたのは私よ。そっちの透けている貴女は一体いつこの家に入ってきたのかしら?」
「んー、私は厳密にはここにいないから、いつ来たかって質問には答えられないかなー」
……だから透けているのだろうか。
「それで、私はあなたが行き倒れた魔法少女だと思ってここに連れてきたわけだけれど、本当にあなたは魔法少女じゃないのね?」
「あーうん。そもそも僕は男だし、魔法少女はアニメの世界のことでしょ?」
「いいえ、この世界には魔法少女が存在するわ。私のようにね。あなたが魔法少女だったのなら協力を仰ぎたかったのだけれど、違うのならいいわ」
ただ、気になることが多すぎる。今後のためにも情報は多く仕入れておきたい。
「で、あなた達、行き倒れていただけなら、少しの間休んでいきなさい。その代りと言っては何だけれど、あなたたちのことをもっとよく教えてくれないかしら?」
久々の繰り返す世界の狭間で執筆に、自身の過去の書き方が分からなくなっていたので、語りががらりと変わってしまいました。