このおかしな仲間に祝福を!   作:俊海

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この素晴らしい教会に祝福を!

 あれからゆんゆんとあてもなく街をプラプラと歩きながら、俺は何か面白そうなものはないかと辺りを見回していた。

 あちこちに水路が張り巡らされ、随分と清潔そうな街並み。

 魔王討伐を目標にせず、日常生活を送るのであれば住み易そうな良い街だが……。

 

 

「あだっ!?」

 

 

 物思いに耽っていたせいか、行きかう人の波の中で、俺は誰かと肩をぶつけてしまった。

 ただ、ぶつかっただけにしては、肩へのダメージがとんでもないことになっている。

 一瞬、脱臼したかと思ったくらいだ。

 

 あまりの痛みに涙目になりながらも、俺はぶつけてしまった相手に謝罪をしようと顔を向けて、

 

 

「っとと、すみませんでし……た……」

 

「あ゛あ゛っ!? 何暢気なことを言ってんだお前は!?」

 

 

 その相手の顔を見て後悔した。

 歴戦の戦士並みに鍛え上げられた厳つい体付き、見る者全てを威圧するかのような迫力の顔、怒髪天を衝くという言葉のように逆立った頭髪。

 見るからに堅気のものではないお兄さんがそこにいらっしゃった。

 

 ヤバイ、言葉の雰囲気からしてメチャクチャ怒ってる感じだ。

 しかも俺の方にずんずん近づいて来てやがる。

 え、どうしたらいい? 逃げるか? 全力の土下座か? 金は払うから見逃してくださいって言うか?

 そんな風に軽く混乱している俺に向かってその男は、

 

 

「俺に謝るより前に、てめえの身体の心配をしやがれ! 俺の身体にぶつかっちまって、てめえの肩が腫れてんじゃねえか! おい、他に痛ぇ所はねえか? そっちの嬢ちゃんはどうだ?」

 

「え、えっと、他は無事です。はい……」

 

「わ、私も全然へっちゃらです……」

 

 

 なんか、怪我の心配をしてきた。

 

 ……まさか、この人って。

 

 

「ちょっと待ってろ! そこの店で肩を冷やすための氷を買ってきてやる! 治療費なんかも掛かるってんなら、俺が全部出すから、後で医者かプリーストのとこに行け!」

 

「い、いやいやそこまでしてもらわなくてもこれくらい!」

 

 

 とっさに俺は自分の肩に『ヒール』をかけて、水と氷結の魔法で氷嚢を作る。

 

 

「自分でどうにかできますから。そこまでしてもらわなくても……!」

 

「……そうか、それなら良かった。いや、悪かったな兄ちゃん。こっちがよそ見してたせいで余計な手間をかけさせたみてえでよ」

 

 

 そう言って男は俺に向かって頭を下げた。

 

 

「その、ぶつかったのはこっちも悪いんですから、そこまで謝らなくても……」

 

「いいや! 『自分が悪いことをしたと思ったら、即座に謝まってしまいましょう。その場で謝らないと絶対に後悔するし、すごくモヤモヤしたものが心に残るのだから』というアクア様の教えに従ったまでだ! 確かにお互いの不注意でぶつかったが、怪我をしたのはてめえだけ! なら確実に俺の方が悪いに決まってらぁ!」

 

 

 ……やっぱ、アクシズ教の信者だったか。

 なんか、こんな見た目的には怖いお兄さんでも、アクアの教えに従うというのにはギャップがあるな。

 

 

「まあまあ、本当に大丈夫ですから。こっちもぶつかってすみませんでした。それじゃあ、連れが待ってるんで失礼しますね」

 

 

「ああ、引き止めちまって悪かったな。じゃ、今度は互いに気を付けて歩こうぜ! そいじゃ、アクア様の祝福があらんことをってな!」

 

 

 あの一文は別れの挨拶か何かなのだろうか。

 アクシズ教の集団と別れる時も似たようなことを言われた気がするが。

 

 

 

 

 

―――………

 

 

 

 

 

 それからというものの。

 

 

「あらあら、そこのお嬢さん。この肌寒い季節の中そんな薄着じゃ風邪をひくわよ? 私の店で売ってるホットドリンクをあげるから飲んでみて? 体の底からポッカポカになるわよ」

 

「え、あ、ありがとうございます! それで、お値段は……」

 

「お代は要らないわ。初回だけのサービスとでも思ってちょうだい。どうしてもって言うなら、また今度あたしの店に来てくれたら嬉しいわ。他にもたくさん美味しいドリンクがあるの。それを飲んで気に入ってくれればの話だけどね? あ、そちらの彼氏も一本いかが?」

 

「それなら、一本だけ……」

 

 

 なんかオネエの人に、ホットドリンクを貰ったり、

 

 

「ちょいとそこのお兄さん! 悪いんだがこの串焼きを貰っちゃくれねえか? 勿論お代はいらねえからよ!」

 

「え? なんでだよおっちゃん? なんかあったのか?」

 

「それがちと形が悪い肉で焼いちまったもんだから商品になりゃしねえんだ。味や品質の方は問題ねえから遠慮なく持って行ってくれ!」

 

「……ちょっと歪んでるだけですよね? これで正規品にならないんですか?」

 

「その通りなんだよなぁ! いやー俺も焼きが回っちまったもんだぜ! ついつい賄い用にとっておいた肉を焼いちまうとはな! でも焼いちまったもんはしょうがねえさ! ほら嬢ちゃんも一本どうだ?」

 

 

 なんかわざとらしさマシマシで、屋台のおっちゃんから串焼きを貰ったり。

 

 

「……そこの人、ちょっといいですか?」

 

「なん……うわおぅ!?」

 

「ちょ、ちょっとカズマさん、失礼ですよ!?」

 

「……お気になさらず。私の姿を見てビックリされるのは普通の人には無理のないことですから」

 

「あ、いや、悪かったです。それで、何の用ですか?」

 

「嫌でしたら断ってくれて構わないのですが、こちらの試供品を食べていただけないでしょうか? ああ、安全面では完全にクリアしてますからそちらの心配は無用です」

 

「……えっと、代金は」

 

「もちろんいりませんよ。云わば貴方達でサンプルをとるようなものですからね」

 

「そういうことなら……うおっ!? 何だこれ冷たっ!?」

 

「え? これ見た目が明らかに焼き鳥なのにですか?」

 

「はい。実はそれアイスクリームで出来てるんですよ。貴方の驚愕の悪感情、ありがたく頂戴いたしますね」

 

「……悪感情? それってどういうことなんだ?」

 

「私、悪魔でして。こうして人間たちのサプライズ的な驚きの感情を食べて生きているのですよ」

 

「……やっぱりさぁ、こうやって本拠地に悪魔が入り込んじまってるのって宗教としてどうなんだ?」

 

「私に聞かれても……」

 

 

 頭が猫の形をした悪魔(?)に焼き鳥の形をしたアイスクリームを貰ったり。

 

 

 

 

「……なあゆんゆん、ちょっと休憩しないか? 今俺腹がパンパンで……」

 

「わ、私も丁度そう言いたかったところです……」

 

 

 そうやって何かにつけて飲食物を手渡されまくった俺達は、胃袋が許容限界を迎えてしまいグッタリしていたのだった。

 噴水の近くに設置されていたベンチに腰掛けた俺達は。

 

 

「ふう、やっと一息付けた。……ゆんゆん、屋台とか出店って普通は、こう、相場よりも高い物とかが売ってて、それに文句を言いながらもついついあれこれ食べちまうとかそういう雰囲気だった気がするんだが」

 

「……私達、全然お金とか払ってないですよね。初回だからサービスだ、とか、うっかりしてて、とか、趣味だから、とか言われて」

 

「大丈夫なのかあれ? いくらなんでも無償で商品を提供してたら生活が成り立たないだろ?」

 

 

 先ほどの歓待の嵐について話し合い始めた。

 まるで田舎に行った時の爺さん婆さんのごとく、ポンポン手渡されたのだ。

 なんでそんな慈善事業のようなことをしているのか不思議でしょうがない。

 アクアだって『何かしたら必ず見返りを貰いなさい。タダでしてあげるとお互いに碌なことになりません。ただし本人に無理のない範疇のものを貰いなさい』って言ってたくらいなんだから。

 

 

「……どうなってんだこの街は。と言うか、あの周辺の屋台は何なんだ」

 

 

 これでは、この街全体がダメ人間製造機みたいじゃないか。

 なんなの? アクシズ教って堕落することが目的なの?

 ……ヤバイ。アクアの普段の言動からして、それを否定する材料が全くない。

 

 そうやって戦々恐々としている俺の目の前まで、てててっと駆け寄ってくる一人の女の子。

 年の頃は十歳位だろうか。

 そんな女の子が、目の前までやってきて、

 

 

「ねえ、お兄ちゃん、お姉ちゃん。しんどそうだけど大丈夫? お熱とかない?」

 

「……いいや、俺達は大丈夫だよ。心配してくれてありがとな」

 

「そう? なら良かった! でも、病気にならないように気を付けてね? 最近急に寒くなってきちゃったし、ちゃんと体を温めてから寝ないとダメだよ?」

 

 

 ……やっぱりここに長居してはいけないような気がしてきた。

 こんな子供まで、俺達の世話を焼きたがるなんて、何処までも堕落してしまいそうだ。

 

 

 

 

 

―――………

 

 

 

 

 

「うわぁ……すっごく綺麗……」

 

 

 ゆんゆんの口から出てきた感想に、俺も心の中で同意した。

 確かに、この造形だけでも観光の名所としては十分価値があるだろうと納得できてしまう。

 神聖な雰囲気は感じさせながらも、決して厳格なものではない。

 どちらかというと、近くにいると安心できるような空気を漂わせている。

 

 

「……やっぱり、アクアを祀ってる教会なだけあるな」

 

 

 アクシズ教の本部である教会に俺達は来ていた。

 というのも、ゆんゆんが後日めぐみんと来るときのために下見をしておきたいとのことで。

 俺もアクシズ教の教会なんて一度もお目にかかったことがないから、多少なりとも興味はあったのだが、

 

 

「でも、めぐみんってこんな教会なんかに来たりするのか? あいつだったら、宗教になんか興味を示さないような気が」

 

 

 ……いや、めぐみんはある意味では魔法に対する狂信者とも言えなくもないか。

 

 

「ここには図書館も併設されてますから。きっとめぐみんも気に入ると思います」

 

「ああ、そういうことか」

 

 

 研究や考察なんかのために色々な本を読んでいるめぐみんの姿を見たことが何度かある。

 あいつが間借りしている馬小屋の部屋には、どうやってここまで運んできたんだって言うほどの魔導書や論文が山のように積みあがっているし、そんなめぐみんならアルカンレティアの図書館は宝の山に等しいはず。

 それなら、普段からめぐみんには魔法で世話になっている俺としても異論はない。

 いざ教会の中へと入ろうとした時、

 

 

「おや、もしかしてお二方はこの教会を見学なさるつもりですかな?」

 

 

 入口の前で掃除をしていたおじさんに声をかけられた。

 

 

「そのつもりですけど……もしかして今日はもう入れないとかします?」

 

「いやいや、そのようなことはございませんよ。ここの教会は迷える子羊たちのために24時間365日年中無休ですからな」

 

 

 コンビニかよ。

 

 

「それよりも、もしよろしければ教会の案内でも承ろうかと声をかけさせていただいたのですよ。この教会、実はあちこち増築しまくっておりまして、中が大規模なダンジョンのようになっている始末でしてな。ある人物なんかは一度入って出てくるまでに18時間かかったとか」

 

「……なんか駅の改修工事みたいな話だな」

 

「はて? そこまで巨大な駅なんて聞いたことはありませんが……」

 

「ああいえ、こっちの話です」

 

 

 そうだった。

 こっちで言う駅は、馬の乗り継ぎ場みたいなものだったか。

 

 

「それに、この教会の中には怒るとものすごく恐ろしい女プリーストが居りまして、下手にあちこち無作法に触って壊そうものなら、それはもう魔王の所に単騎で突撃する方がマシなんじゃないかってくらいに激怒するのですよ」

 

 

 うわ、確かにそれは嫌だな。

 元より迷惑をかけるつもりはないけれど、うっかり何かをしでかしたら目も当てられない。

 俺は軽くゆんゆんと目配せをして、

 

 

「そういうことならお願いします。……でも、掃除の仕事があるんじゃ?」

 

「ああ、これは私が趣味でやってるだけで、仕事でも何でもないからご心配なく」

 

「それじゃあよろしくお願いします!」

 

 

 俺とゆんゆんは、そのおじさんに頭を下げた。

 

 

 

 

 

 

 

「まずは礼拝堂ですね。ここでは、所謂ミサ的なことをしております」

 

 

 うわ、滅茶苦茶広い!

 俺は今まで教会なんかに行ったことはなかったけど、この広さは相当な規模のものだろう。

 三階部分まで吹き抜けになっているここは、司祭の人が立つであろう場所の壁に飾られているステンドグラスからの光で輝いているかのようだ。

 魔法的な道具によるものなのか、何処からか爽やかな空気が循環し、適度な空調が保たれている。

 その脇にある噴水も、アクアが水の女神であることから来ているのかもしれない。

 

 ……まあ、そんな俺の感想は置いておいて、今この人なんかえらく大雑把な言葉を口にしたような。

 

 

「ミサ的ってどういうことですか? そこは普通にミサでいいのでは」

 

「それは、ここの司祭がえらく適当な人でしてな。正直話している内容がアクシズ教の教えよりも、最近の世間話とか身の上で苦労している話ばっかりで『はたしてこれをミサと言っていいのか?』というものだからですよ」

 

「おい、アクシズ教の本拠地の司祭がそれで大丈夫なのかよ」

 

「これが意外と皆様には受けているのですから困ります。なんか『一番偉い人がこんだけ力抜いてるんだから、自分達も無理しない程度でほどほどに頑張ろう』って気になるとか」

 

 

 この街全体で大丈夫なのかが気になってくるんだが。

 やっぱりこの街にいるとだめな人間になりそうで恐ろしい。

 

 

「で、でも、これだけ大きい場所が必要なくらいには司祭の人は親しまれているってことですよね?」

 

「いえ、それはここの住民やプリースト達が『アクア様は祭りが大好きなのだから、礼拝堂は、アクア様を模したステンドグラスの御前で祭りが開催できるくらいに広く作った方がいいんじゃね?』『でも焼き物系の煙とか篭ったらあらゆる意味で大惨事では? そもそも礼拝堂が汚くなるのも問題だ』『そこはほら、天井まで吹き抜けにして縦にも広さを確保、送風の魔法道具で煙は外部に排出、更には噴水とかも設置しておけばいつでも汚れを洗い流せるじゃん』『お前天才だな! じゃあそういう感じで設計するわ!』とかいうあれであって、司祭が云々は関係ないんですねこれが」

 

 

 さっき俺が感動していた造詣が、祭りをするためのものだと聞いて、俺はなんだかガッカリした。

 ……それを聞いても、この礼拝堂が素晴らしいものに見えるのが始末に悪い。

 どんだけしょうもないことに全力を尽くしてるんだよ、ここの建築家たちは。

 

 

「えっと……じゃあ実際にここで祭りとかやったりするんですか?」

 

「やりますとも。というか、月毎に行われるミサが開会式の挨拶のようなものでして、それもあってか『その話は先月も聞きましたよ! 早く終わらせて祭りの開始宣言をしろ司祭!』『やかましいわ! こっちだって早く酒が飲みたいのを我慢して、それでも何とか形だけは取り繕ってやってんだから余計な水を注すんじゃあない! 誰かあ奴を退場させろ!』『あー! 司祭様がアクア様への奉納の言葉を形だけは取り繕ってるとか言ってやんのー! この罰当たりー!』『はぁ!? アクア様の慈悲深さをなめてるのか貴様は! というかアクア様だって堅苦しい言葉よりも楽しい時間を提供された方が喜ぶに決まっている! という訳でもう祭りは開始する! おい酒持ってこい酒! 樽ごとだぞ!』と、いつもいつも大乱闘状態に」

 

 

 荒れる成人式かなにかかよ。

 

 

「表でもご覧になられたでしょう? あの出店、実はここでの祭りに出店している者たちの商品開発も兼ねているのですよ。後々ここの教会から材料費や人件費が出されているので、代金もほとんどとられなかったのではないですかな?」

 

「ああ、あれはそういう……。でも、あれだけの店があったら教会側が持たないのでは?」

 

「ご心配なく。信者たちの寄付や、温泉や祭りでの収入からすれば微々たるものですからな。アクア様に捧げる祭りですから、そのようなところでケチっては罰当たりというものです」

 

 

 成程、宗教的な意味があっての出店だったのか。

 景気が良い地域じゃないと出来そうもないが、観光地も兼ねているこのアルカンレティアだからこそ実現可能だったというわけね。

 

 

「では、次の所に参りますか。次はこのアクシズ教の成り立ちについて記された資料が並んでいる展示室で」

 

 

 そこまでおじさんが言ったところで、

 

 

「ああ、こんなところに居ましたか。探しましたよ」

 

 

 服装からしてプリーストなお姉さんがこちらに近づいてきた。

 俺達の知り合いではない以上、恐らくはこの人が声をかけた相手はこのおじさんだ。

 なんだなんだ? もしかして掃除を抜け出したことを怒りに来たのか?

 

 

「うん? いったいどうした? 今私はこの人達を案内しているところなのだが」

 

「失礼なのは重々承知しておりますが、どうしても耳にお入れしたいことがありまして……」

 

「それは今すぐでなければいけないことなのだろうな?」

 

「ええ、それはもちろんです」

 

 

 え、なんだ?

 やたらとプリーストの人がおじさんに対して腰が低いんだけど。

 もしかしてこの人、滅茶苦茶偉い人なのか?

 いや、そんなまさか……。

 

 

「ふむ、そうか……。ではお二方、申し訳ないがこれにして失礼させてもらってもよろしいですかな? 案内には他の者をつけさせましょう。おい、誰か手の空いているプリーストを……」

 

「あ、いえ、お構いなく! 俺達の事は気にしなくて結構です!」

 

「は、はい! 私達、これでも方向感覚はばっちりですので!」

 

 

 話している内容からして立場の高そうなことを宣うおじさんに、俺達はすっかり恐縮してしまっていた。

 いやだって、アクシズ教の本拠地であるアルカンレティアのプリーストに命令できるような立場の人って言ったら、結構な人物であるはずだ。

 そんな人の時間を奪うなんて、申し訳なくてしょうがない。

 

 

「そうですか……。では、こちらの案内図だけでも渡しておきましょう。私が持っているものは最新版なので間違いはないはずです。それでは、貴方達にもアクア様の祝福があらんことを」

 

「本当にお邪魔をしてすみません。このお詫びは後程に……、では会議室までお急ぎください、ゼスタ様」

 

 

 そう言い残して二人は急ぎ足でこの場を離れていった。

 様付けってことは、あの人本当に偉い人だったんだな……。

 じゃあ折角もらったんだし案内図を……。

 

 

「あれ? どうしましたかカズマさん?」

 

「……ゆんゆん、お前の力を借りることになりそうだ」

 

「それはどういう……え」

 

 

 俺の広げた案内図を覗き込んだゆんゆんが絶句した。

 そこにはものの見事なダンジョンマップが形成されていたからだ。

 いやマジで? この教会地上だけでも十二階建てなのに、地下が五階まであるんだけど。

 階段も一つ間違えれば元居た場所に戻れなくなるし、時間帯によっては通行禁止になる場所なんかもあったりする。

 同じ階層で繋がってない場所もあるし、工事中とかで道が塞がれているところも……。

 

 

「……これ、さっきの脱出ゲームの方がよっぽど簡単ですよね。あっちはアイテム探しとか謎解きをするだけでしたし」

 

「……そう言えば、ここに来るまでも相当変な通路を通っていたような気が」

 

 

 今日、果たして俺達は帰ることができるのだろうか……。




今回出てきた悪魔は原作には存在しません。
私が勝手に作った悪魔です。
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