このおかしな仲間に祝福を!   作:俊海

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この素晴らしい葛藤に祝福を!

「カズマ、おかえりなさい。あれ? ……どうしたんです? 何やら気分が悪そうですが」

 

「いや、何でもない。……なんでも、ないんだ」

 

 

 屋敷に戻った俺を、めぐみんが出迎えてくれた。

 軽く自己嫌悪に陥ってる俺の表情を見てか、どうも訝し気なめぐみん。

 だがしかし、このようなところでバレるわけには!

 

 

「……あの、めぐみん? どうかしたか? なんか変な臭いでも?」

 

 

 そう意気込んでいると、めぐみんが鼻をフンフンしながら近づいてくる。

 ……あ、いや待て、確かこいつって。

 

 

「……カズマ、もしかして一人でクエストに行ったのですか? そこまで強力なものではないですが、悪魔っぽい魔力の匂いが染みついてますよ」

 

 

 やっべぇ!?

 そうだよ、こいつって匂いでも魔力の質が判別できるんだった!

 いやいや落ち着け俺。まだサキュバスだってバレてるわけじゃあない。

 ここは何とか誤魔化して……。

 

 

「あ、ああ。よく分かったな。ちょっとダンジョンで湧いてきたグレムリンを討伐するクエストが貼り出されててさ。それくらいなら一人で大丈夫だと思って、暇だから受けてきてたんだよ」

 

「なるほど。今のカズマなら、下級のダンジョンくらい一人で踏破できますもんね。クエストクリア、お疲れさまでした」

 

 

 めぐみんのねぎらいの言葉で心が痛い!

 罪悪感で心が折れそうになるけど、かといって真実を話すわけにもいかないし。

 一人打ちひしがれていると、アクアが満面の笑みを浮かべて駆け寄ってきた。

 

 

「カズマ、お帰りなさい! 今日の晩御飯は豪勢よ! なんと、あの霜降り赤ガニの超上物なの! なんでも、ダクネスの実家の人からの贈り物とかでお酒と一緒に送られてきたのよ! 『あのダクネスの面倒を見てくれてることへのお礼も込めて』なんて、手紙には書いてあったし、ダクネスってご両親に愛されてるのね!」

 

 

 霜降り赤ガニって、この間アクアがウィズに詫びの品として送ってた奴だったっけ。

 日本でもカニと言うのは高級食材としてその名を知られているが、どうもこの世界でも同様らしい。

 ……なんでこの世界は、食材の常識をあれこれ外してくるのに、こういうところだけは踏襲しているのか。

 

 

「そ、それにしても霜降り赤ガニを食べられる日が来ようとは……。冒険者になる前は、このような高級品、一生縁なんかないとすら思ってたというのに……」

 

「そりゃ、すっごい値段だったもんな……」

 

 

 あまりにも当然のようにアクアがウィズに手渡していたが、高級赤ガニはそんな気安く渡せるような価値のものではない。

 それなりに貯蓄がある現状でも、手を出すのはちょっと躊躇うレベルだし。

 しかも、ダクネスの実家から送られてきたのは、超上物。

 いったいどれほどのものなのか。

 

 

「そのような物が我が眼前に……! これを食べる代わりに魔法の研究を休めと言われたら、大喜びで休んで、その翌日に補充したカニ成分でもって倍の速さで研究してやりますよ!」

 

「めぐみんが研究を休むほどなのかよ……。いや待て、なんなんだよ、カニ成分ってのは」

 

 

 俺とめぐみんが、そんなしょうもないことを話していると、広間のテーブルに調理済みのカニが並べられていく。

 ゆんゆんが食器を並べ、アクアが高級酒をグラスに注ぐ。

 これほど皆が期待するとは、一体どれほどの味なのか。

 小気味よくパキッと割れたカニの足から、身を取り出し、軽く酢をつけて一気に頬張る。

 

 

「…………!!」

 

 

 人間、本当に美味しいものを食べた時には、語彙力が消滅するというのは事実だったようだ。

 何とも、このカニの美味さを言語化するのは難しい。

 もし、このカニの美味さを説明しろと言われたなら、『いいから食ってみろ』と返してしまうだろう。

 俺の貧弱な語彙力で解説するより、その方が遥かに手っ取り早い。

 

 皆がカニの美味さに夢中になって静まり返った中、アクアが俺の肩を叩き、

 

 

「ねえねえカズマ、ここにティンダーを頂戴。この高級酒をもっとおいしくする方法を教えてあげるから」

 

 

 小鍋と金網で作った、即席の七輪のようなものに炭を入れる。

 するめのようなおつまみでも炙るのかと思いながらも、火をつけると、アクアはその上に少しだけカニ味噌を残した甲羅を置いた。

 さらにそこにお酒を注ぎ、甲羅に軽く焦げ目がつくまで炙り、熱燗にしたそれを上品な様子で啜って、

 

 

「はぁ……美味し」

 

 

 実に美味そうに息を吐いた。

 そこまでか、そこまで美味しいのか。

 ならば、俺もやらねばなるまいと皆と同じように動き始めた瞬間に思い出す。

 

 ……あれ? そういえばサキュバスのお姉さんが、あまり酒は飲むなって言ってなかったか?

 なんか、泥酔して意識が無かったら、夢を見せることができないとかで。

 

 まずい!

 カニの美味さですっかり忘れてしまっていたが、俺はこの後素晴らしい体験をする予定なんだ。

 こんな誘惑に負けるような男では……!

 

 

「!? これは確かに美味い! このような飲み方があったなんて!」

 

 

 やばい心が折れそうだ。

 ダクネスの声色が、本当に美味い物を口にしたそれで惑わされそうになる。

 飲みたい。とても飲みたいけれど、これを飲み始めてしまえばその先止まることはないだろう。

 ……でも、ちょっとくらいなら。

 

 

「……すみません。ちょっと、ほんの一口だけ飲んでみたいんですけど……」

 

「うーん……しょうがないわね。本当に一口だけよ?」

 

「あ、ありがとうございます! ……! 美味しい! これ、本当に美味しいよめぐみん!」

 

 

 普段なら自制できるはずのゆんゆんまでもが、二人の雰囲気に敗北してしまった。

 お酒の味も分からないような、そんな年齢のゆんゆんがあそこまで言うということは、この組み合わせはまさに悪魔的なのだろう。

 ……あかん! 一滴足りとも飲んで堪るか!

 口にしてしまえば、ズルズルと深い沼に引き込まれるだけだ!

 

 

「私はできればお酒は遠慮したいんですが……。頭がパーになると言いますし、私って酔っぱらうと醜態をさらしやすくなるみたいなので」

 

「それでも飲んでみた方がいいよ! 絶対に後悔はしないから!」

 

「ゆんゆんがそこまで言うなら……!? ……前言撤回しましょう。これはとてもいい物です!」

 

 

 ダメだ! あのめぐみんさえも陥落してしまった!

 というか、普段のダクネスならまだまだ幼い二人の飲酒など断固として止めるはずなのに、そういった声が出てこないあたり本当にやばい!

 そんなに美味しいのか。そこまで美味しいのか、そのカニと酒の組み合わせは!

 

 

「カズマカズマ、これは凄いですよ! 飲んだら世界が変わるに等しい衝撃が走ります!」

 

 

 やめろめぐみん、誘惑するな!

 ほとんど飲酒したいという欲求に流されそうになっている俺の顔を見たダクネスが、

 

 

「……どうしたんだカズマ? なんだか調子が悪そうだが……もしかして、カニは嫌いだったのか?」

 

 

 そう俺を心配しながら、ちょっと陰鬱そうな表情を浮かべた。

 ちがう。ちがうんですよダクネスさん。

 カニは本当に美味しいんだ。

 

 

「いやいやそんなことはないぞ! カニはとても美味い! ただ、実は今日、ギルドの酒場でダストたちと酒を飲んできててさ。ちょっと肝臓を休めたいかなってだけで! そうだ、酒は明日貰うよ」

 

「そうだったのか。いや、カズマの事をそっちのけで我々が楽しんでいることに気が引けていただけだ。そういうことなら仕方が無いな。今日の所は養生すると良い」

 

 

 俺の言い訳で、安心した様に笑みを浮かべるダクネス。

 いや、本当にやめて。

 そうやって俺の良心を攻撃しないで!

 

 

「そうだったの? もしかして、このカニ料理も今のカズマのお腹にはきつかったりする? ……あ! それならカニ雑炊なんかはどう? この間のバイトでカモネギのネギも貰えちゃったし。それも使って、私が最高のカニ雑炊を食べさせてあげるわ!」

 

「そこまで心配されるほど体調は悪くないから大丈夫だ。もしかしたら明日に響くかもってくらいだし。……それはそれとして雑炊は作ってもらえるならありがたいかなって」

 

 

 どうしよう、死にたくなってきた。

 アクアの優しさに身を焦がされる思いだ。

 

 けれど、アクアの作ったカニ雑炊はぜひとも頂きたいところである。

 ギルドの酒場で、バイトしているアクアが作ったつまみは素晴らしい物だったし、雑炊の方も期待できるだろう。

 

 

「その組み合わせは絶対に美味しい奴じゃないですか! 私も、私にも雑炊を恵んでください!」

 

「勿論よ。それじゃあちょっと作ってくるわね。えーっと、卵と、お出汁と……」

 

「あ、雑炊は後からでも……行ってしまいましたか……」

 

 

 めぐみんからの要望もあり、厨房へと足を向けるアクア。

 ……わざわざ食事を中断してまで作ってくれるとは、申し訳なさがピークに達しそうだ。

 

 

「いやぁ、カズマもタイミングが悪かったですね。こんな日にお酒を飲んで帰ってきてしまうとは」

 

「本当に、今日じゃなければ浴びるように飲みたかったわ」

 

 

 なんでサキュバスの店に行った日に、こんな仕打ちを受けるのか。

 むしろ、行ったからか?

 

 

「お酒は、カズマさんの分も残しておきますから。また飲んでくださいね」

 

「ああ、ありがとうゆんゆん。……今日は酔っぱらわないんだな」

 

 

 この間酔っぱらった時は、ダクネス以外の三人がとんでもないことになってたからな。

 一度飲んだことで、自分の限度を図れるようになったのか。

 

 

「……その、カズマさんの体調が悪いなら、羽目を外し過ぎたら迷惑かなって思いまして。カズマさんって、いつも私達の面倒を見てくれてますし、今日お酒を飲んだのもカズマさんがいればって気持ちもあったんですよ。……私達、甘えすぎてましたね」

 

 

 はい、止め止め。

 この話はやめにしよう。

 そんなの、俺だってサキュバスの店に行かなかったら、どんとこいでしたとも。

 なので暗い顔をしないでください。本当に。

 

 

「普通に食事はできるんですよね? でしたら、どんどん食べてください。私の買ってきた赤ガニではありませんがね」

 

「……そうだな。せめて、どんどん食べてくれ。日頃世話になっている礼だ」

 

 

 めぐみんとダクネスの言葉に、後ろめたさのあまりに涙が出そうになる。

 もういっそ、俺も酒を飲んでしまえばいいのではないだろうか。

 夢が見られない程度なんだっていうんだ。

 精気を吸い取られるってことは、現実にすっきりはするんだろう。

 もう、それでいいじゃないか。

 今日の所は皆楽しく飲んで、また別の日に頼めばいいんだし。

 

 そうだ、アンケートに書かれたことを夢として体験できるだけなんだ。

 しかも、今回だけのチャンスって訳でもない。

 サキュバスのお姉さんには、精気を吸ってもらうだけにしてもらおう。

 

 こちらを気遣ってくれている三人の顔を見ろ。

 そして、この赤ガニの値段とあの店で払った五千エリスを思い出せ。

 俺が今大切にすべきなのはどっちなのか考えろ!

 

 そう、最初から結論なんてわかり切っていたんだ。

 俺は目の前にあるカニ味噌を味わうと、小鍋を取り出し。

 

 

「よし! ちょっと体調が良くなってきたし、俺もアクアがやってた酒の飲み方を試してみるか! めぐみんとゆんゆんももうちょっとだけ飲みたいだろ? 俺の奴を分けてやるよ」

 

 

 俺はもう何も迷う事なく、鍋に入れた炭に向けて、ティンダーを放った。

 

 

 

 

 

―――………

 

 

 

 

 

 これは冷静に考えた結果なんだ。

 考えても見ろ。

 いくら男の夢を体験できると言っても、その値段はたったの五千エリスだ。

 安い。あまりにも安すぎる。

 一度くらいふいにしても懐が痛まない程度に。

 

 それに対して、こちらはどうだ。

 この赤ガニと高級酒、これらはサキュバスの店に一週間通ってもまだ足りないほどの値段なのは嫌と言うほど知っている。

 それに加えて、俺が苦悶することによって妨げられてしまう、アクア達の楽しい夕食の雰囲気。

 どちらが大切かなんて、比較するまでもない。

 

 事実、カニ味噌の入った熱燗は最高だったし、アクアの作ってくれた雑炊の味たるや。

 何を俺は意地になっていたのやら。

 サキュバスのお姉さんには、また今度別の機会でお世話になるとしよう。

 

 

「ほれ、めぐみん、部屋についたぞ。枕元に水とタライを置いとくし、気分が悪くなったら使えよ」

 

「はい……すみません。お酒をなめててすみません……」

 

 

 いつかの日のように、俺に謝り続けるめぐみん。

 謝りたいのは俺の方だってのに。

 

 ゆんゆんもまた、おかしな電波を拾ってたし、この二人は本当に世話が焼けるな。

 ダクネスは平気そうに自室に戻ってたってのに。

 ……一回だけでいいから、あいつが酔っ払ったところが見てみたい気も。

 

 

「カズマ、お疲れ様。はいお水」

 

「ああ、ありがとうなアクア」

 

 

 水でも飲もうかと思い、一旦食堂に戻ると、今回は泥酔していないのか、しゃんとしたアクアが俺を待ち受けていた。

 火照った体に、アクアから貰った水が染み渡る。

 

 

「お酒の方は大丈夫? 無理してない?」

 

「いやー、それがもう全然平気だ。酔ってはいるけど、何ともないぞ」

 

 

 そうじゃないと、屋敷から脱出するときに下手をこくかもしれないからな。

 指定した時刻は後数時間後。

 それまでに宿屋までに行かないといけないが、どうせならアクアとダクネスが眠った後に抜け出そう。

 

 

「ところでカズマ」

 

 

 そんな決意をしていると、少し俯き気味のアクアから声をかけられ。

 

 

「ん? どうかしたか?」

 

「今日、悪魔の討伐をしたんですってね。それは大丈夫なの?」

 

 

 ……その言葉に、少しだけ背筋が寒くなった。

 いやー、冬も深くなると急に寒気が来るなー。

 

 って、んなこと言ってる場合じゃねえ!

 大丈夫、ばれてない……はずだ。

 おそらく、めぐみんあたりから聞いたんだろう。

 

 

「ああ、グレムリンの事な。それなら弱かったからなんともない。あれくらいでやられるような俺じゃないっての」

 

「そう、それならいいの。それはそれとしてカズマさん、ちょっと歯を食いしばりなさい」

 

 

 あ、この反応、完全にバレてますねこれ。

 え、どうしようこれ。

 どうしたらいいんだこれ!?

 

 

「待ってくれアクア、いやアクアさん! 一先ず俺の話を!」

 

「問答無用!」

 

 

 あの懺悔室で俺がやらかした時のようにビンタでも飛んでくるのだろうか。

 アクアの事だから、そこまで酷い目には合わないだろうけど、ダメージへの覚悟をしなければ。

 そう予測しながら、来るであろう衝撃に備えていると。

 

 

「『セイクリッド・ブレイクスペル』!」

 

「……え?」

 

 

 予想だにしない言葉が、アクアの口から飛び出した。

 今のって、確かダクネスのかけられた呪いを解除するためのものだった気が。

 なんでそんなものを俺に?

 

 

「どう、カズマ。体に異変はない?」

 

「な、なにもないけど……」

 

「そう、それならいいわ。……はー、良かった。カズマが操られてたわけじゃなくて!」

 

 

 操られて……?

 どうも話が見えてこない。

 

 

「実はさっきめぐみんから『なんかカズマからサキュバスっぽい魔力を感じたので、一回診察してあげてください』って言われてたから、魅了の魔法でも掛けられてるのかと思ってたのよ。その様子だと、そういうのじゃないみたいね」

 

 

 あいつ、本当は気づいてやがったのか!

 めぐみんの奴、よくもアクアにチクってくれやがったな!

 

 

「怒らないであげてね。めぐみんも、カズマがクエストでサキュバスに襲われたんじゃないかって心配して、私に教えてくれた訳だし。めぐみんにはサキュバスのお店の事はちゃんと黙っておくから、ね?」

 

「それはありがた……」

 

 

 今アクアはなんて言った?

 サキュバスの店って口走ったような。

 

 

「……アクアさん? もしかして、サキュバスがいるってこと、知ってたんですか?」

 

「そりゃ悪魔の気配くらい分かるわよ。この世界に来た時から、『あ、なんかこの街にサキュバスがいるなー』って感づいてたし」

 

 

 こういうのを天網恢恢疎にして漏らさずって言うんだな……。

 

 

「それで直接お店の人に話を聞いたら、誰も殺してないみたいだし、適度に冒険者たちの欲求の解消にもなってたし、まあいいんじゃないかなってなったけどね。そのとき、向こうからはすっごい怖がられてたけど」

 

 

 当たり前である。

 人間で言えば、裏稼業してる最中に警視総監が直接乗り込んできたレベルなんだから。

 というか、いつの間にそんなところに行ってたんだ。

 

 

「それでサキュバスの魔力っていうから、その店関係かクエストでサキュバスと戦ったかってことだし、こうして呪いを解く魔法を掛けたのよ」

 

「そういうことか。……あのさ。その、アクアは、俺がそういう店に行くのには反対しないのか?」

 

「なんで私が反対しなきゃいけないの?」

 

 

 キョトンとした顔で問い返してくるアクア。

 そう聞かれても、こっちが困るというか。

 

 

「だって夢を見せてもらうだけでしょ? 直接触れ合う訳でもないし、それくらいで目くじらなんか立てないわよ」

 

「それでも、ほら、精気とかも持ってかれるわけだしさ……」

 

「そういう鬱憤を溜めに溜めて、ふとした瞬間に犯罪を犯しちゃう方がよっぽどまずいと思うの」

 

 

 ごもっともです。

 

 

「ちゃんと相手がいるのに、それでも彼女よりも優先するなら考え物だけど、カズマはそういう訳でもないし。……こっちこそごめんね? そういうことに気遣ってあげられてなくて……」

 

「その気持ちだけで十分ありがたいので、あまり突っつかないでいただけると嬉しいです……」

 

 

 罵倒されるより、気遣われる方がダメージがでかいってどういうことですか。

 そんなことで申し訳なさそうな表情を浮かべないでくれ!

 こっちがいたたまれなくなる!

 

 

「そういうことだから、カズマは全然行って来てくれて構わないわよ。なんなら、ないと思うけど、もしサキュバスのせいで干乾びにされるのが怖かったりしたら、朝まで付き添ってもあげるし……」

 

「……勘弁してください」

 

 

 その後、結局俺はアクアに見送られて、借りていた宿屋に向かうことになったのであった。

 ……酒に酔っていたせいか、アクアにバレていたという事実のせいか、アンケートに希望した夢を見ることはできなかったけれど。

 

 

「……まあ、すっきりはできたからいいか」

 

 

 そんな風に朝日の光を浴びながら、どこか達観したようなセリフを口にしていると。

 

 

『デストロイヤー警報! デストロイヤー警報です! 機動要塞デストロイヤーがこの街に接近しています! 冒険者の方々は直ちにギルドまで集合してください! 並びに、住人の方々は避難の準備を開始してください!!』

 

 

 そんな、やたらと緊迫したアナウンスが流れてきた。

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