このおかしな仲間に祝福を!   作:俊海

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この素晴らしいスキルに祝福を!

 なぜ、こんなことになっているのだろうか。

 おそらくは同じようなことを、俺の隣で一緒に正座している盗賊風な女の子――クリスも考えているのだろう。

 

 

「ちょっと、聞いてるの二人とも! ちゃんと反省してる?」

 

「いや、でも俺のは不可抗力じゃん。俺だって狙って下着を『スティール』した訳では……」

 

「そこは仕方ないとは思うわよ。互いに納得したうえでの勝負なんだから、何を盗んだかの是非を問う気はないわ。なんならそのまま下着を持って帰ったところで怒る気なんてなかったくらい」

 

「あ、アクア先輩!?」

 

「だったら……」

 

「だからって、公衆の目があるところで、叫び声を上げながら下着をぶんぶん振り回すのはダメでしょうが!」

 

 

 おっしゃる通りです。

 

 あの後俺は、盗賊スキルを教えてもらえるとのことで、ダクネスの連れであったクリスに、人気のない広場に連れられ、そこで『敵感知』『潜伏』『窃盗』の三つのスキルを習得することができた。

 

 新たに手にした力に少しばかり興奮していた俺に、クリスが勝負を挑んできた。

 俺は自分の財布と引き換えに、クリスから『スティール』で何かを奪う権利を得る。それで何を盗られてもクリスは文句は言わない。ただし俺の財布はどんな結果でもクリスの物。

 なんというか、荒くれた冒険者同士の勝負みたいでノリノリだった俺はその勝負に乗った。乗ってしまった。

 

 

 結果、俺はクリスのぱんつをスティールしてしまった。

 

 俺は歓喜し、クリスは涙目で絶叫する。

 クリスが泣きながらいくらでも払うからぱんつを返してというので、ぱんつの値段は自分で決めろと言ってやったところ、俺の叫び声か、クリスの泣き声か、もしくはその両方か聞きつけてアクアがやってきてしまったのだ。

 そして、その現場を見たアクアは、俺達二人に正座で座らせて説教し始めた。ということだ。

 

 

「なんでそんな変質者みたいな真似をしたの? ここが人気がない広場だったからいいけど、誰かに見られたら通報もんよ。それに、戦利品だからって必要以上に相手に恥ずかしい思いをさせるのは良くないでしょ。 カズマだって、もしも下半身丸出しにされて『ここに露出狂の変態がいますよー!』ってその相手に叫ばれたらどう思うの?」

 

「はい……それはもうその通りです……」

 

 

 女の子だから優しくしろ。とか言われたら、いかにアクア相手でも全力で歯向かうところだったが、一般論で言われると頭を下げるしかなくなってしまう。

 確かにテンションが上がって、ついついはっちゃけてしまった俺が悪かったところもある。

 そこは反省しよう。

 

 

「それからクリス――いえ、エリス(・・・)、貴女は何をやってるの?」

 

「しーっ! しーっ!ですよ先輩!」

 

 

 何と驚くことに、この盗賊の少女の正体は、この世界の女神様らしい。

 アクアとは先輩後輩の仲で、結構仲がいいそうだ。

 

 

「それならクリスって呼ぶわよ。で、何やってるの? まだ駆け出しの冒険者相手に、勝負に同意した後で『実は小石をいっぱい持ってましたー』ってネタばらしするのってどうなの? カズマの運が良かったからちゃんと勝負になったけど、貴女って幸運の女神でもあるんでしょ? 普通の人間じゃ勝ち目なんかないじゃない」

 

「そ、それは……人間として活動できるから、少しはっちゃけてたと言いますか……」

 

「ったく……なんで貴女って普段は良い子で真面目なのに、時たまはじけたりするのかしら。私みたいに適当にだらけたりすればいいのに」

 

「センパイが適当……?」

 

 

 アクアの言葉にクリスは首を傾げた。

 うん、アクアが適当とかまずありえない。

 人間相手でも自分の責務を全うしようとするし、今でもこうやって間違ったことをした俺達に叱りつけている。

 天界での様子だと真面目に仕事もしていたようだし、真面目でないちゃらんぽらんなアクアなんて存在がいるのなら、一度見てみたいもんだ。

 

 

「……なんだろう、少し寒気が」

 

「どうしたのよカズマ、風邪?」

 

「いや、何でもない」

 

 

 さっきからおかしいな。なんでありもしない恐怖におびえているんだろうか。

 

 

「あんまり私からどうこう言うつもりはないけど、クリスはもう初心者を騙すようなことは控えなさい。カズマも、もうこの世界じゃ社会人なんだから、自分の行動が周りからどう見られるのか客観視する事。いい?」

 

「「はい……」」

 

 

 アクアが、お母さんに見えてきた。

 真面目で、しっかりした、子供を叱りつける母親のように。

 

 ……そういえば、元の世界の俺の母親は元気なんだろうか。

 

 

「ところでカズマ」

 

「ん?」

 

 

 少し郷愁の念にかられていると、先ほどまでの口一文字にしていた表情はどこへやら、アクアが悪戯っぽい笑顔でちょいちょいと俺を呼び寄せる。

 

 

「この子のぱんつをスティールした感想は?」

 

「せ、センパイっ!?」

 

「控えめに言って最高の気分でした」

 

「カズマさんまで!?」

 

「いやいやエ……クリス、これは貴女にとっても名誉なことじゃないかしら? 貴方が魅力的な女の子だからこそ、カズマだってこうやって喜んでいるんだから」

 

「そうだぞクリス。いっそのこと、それを売りつけずに家宝にする予定まであったくらいなんだからな。もっと自信を持てよ」

 

「そ、そういう問題じゃ……」

 

「なになに? カズマさんってばこういう子がタイプなの? その気持ちは分かる、大いに分かるわ! 私も妹がいたらこんな感じなのかなーって思うもの。そういえばこの間の癒し系女神を決める大会で断トツじゃなかったかしら?」

 

「マジかよすげえなクリス! あー、俺も癒されたい。現世の苦しみや辛さから解放されて、クリスに膝枕されたい」

 

「あ……あううう……」

 

 

 俺達二人のセリフにアワアワと顔を赤らめるこの世界の女神様。

 その純粋な反応に可愛いなこの人。という感情と、うっわこの人チョロすぎ。という感情が同時にこみあげてくる。

 ……よく考えたら、アクアもそんな感じだったな。

 女神って大体そういう性格になる宿命でも背負ってるんだろうか。

 

 

「やーねーもー! 本当クリスってば可愛いんだからー! そうだ、せっかく再会できたんだし何か奢るわよ! 好きなものを注文してちょうだい!」

 

「そんな、先輩にそこまでしてもらわなくても……」

 

「遠慮なんてなしなし! カズマにスキルを教えてくれたお礼と、さっき余計なこと言っちゃったお詫びみたいなもんだから気にしないの。あ、それと私の事は先輩じゃなくてアクアって呼んで。先輩とかだったら変な話になっちゃうし」

 

「じ、じゃあアクア……さんで」

 

 

 どのような世界であっても、美少女同士のキャッキャウフフというのは心が洗われるものだ。

 俺は手に持っていたクリスのぱんつを懐に収めながらしみじみとそう思うのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ようやく自分の下半身が無防備であることを思い出したクリスにより臨時収入を得た俺は、ほくほく顔でギルドの酒場に戻った。

 その後、めぐみんに対してスティールをお披露目してやったんだが、なぜかまたもやぱんつを奪い取ってしまったのは割愛する。

 

 ……なんで、こんな変態のようなものばかり盗んでしまうのか。

 

 

「カズマの性根が変態だからじゃないですか?」

 

「それはない。もし万が一変態だったとして、望んだものが盗める場合であっても、お前からぱんつを奪うくらいなら、お前の後ろに隠れてるゆんゆん相手に発動するわ」

 

「ヒッ!?」

 

「待て、落ち着けゆんゆん。実際にはやんねーから。そんなに怯えんなって」

 

「下着泥棒を簡単にできる人間がそんなことを言っても説得力なんか欠片もないと思うのだが……」

 

「でも本当に大丈夫だと思うわよ。カズマってヘタ……いえ、奥手だし、超えちゃいけないラインは超えないようにしてるから」

 

「おいアクア、今ヘタレって言おうとしたか? 俺はやるときはやる男だぞ。真の男女平等主義者な俺は、女の子相手にもドロップキックを食らわせられるんだからな」

 

「そ、それは自慢げに言えるような内容ではないと思うのですが……」

 

 

 帰ってきてからというものの、臆病なゆんゆんがめぐみんの陰に隠れて俺を警戒してくる。

 そりゃ無理もないとは思うけれど、こうも信用がないと軽くへこむ。

 

 

「はぁ……ゆんゆんは、仲間――いや『友達』の言葉も信じてくれないのか?」

 

「……!」

 

 

 お、反応した。

 これはこのまま押し切れるな。

 

 

「いや、仕方がない。俺達は出会って間もないくらいの関係だ。なんなら、今からでも赤の他人として扱われたって文句は言えないぐらい付き合いは短い。でも俺は、ゆんゆんは弱い人間の気持ちは分かってくれる優しい女の子だと信じてるんだ。そう、決して『友達』は見捨てないような、そんな子だと――」

 

「大丈夫ですよカズマさん! 私は、カズマさんが誰から見捨てられても、ずっと信じ続けるから! だからそんな悲しいことを言わないでください!」

 

 

 少し涙目になりながら、ゆんゆんが俺の手を握り、顔を近づけて主張してきた。

 なんなんだ、紅魔族っていうのは顔を近づけないと会話ができないような種族なのか。

 

 

「分かった、分かったから! 顔が近い! 離れろ!」

 

「ね? 大丈夫でしょ?」

 

「「あー……」」

 

 

 少しばかり必死になってゆんゆんを引きはがそうとしていると、めぐみんとダクネスがアクアの言葉に深い納得をしたかのような声を出す。

 おい、なんだ、何に納得したんだ。

 

 

「最後の一歩でヘタレることに納得したんですよ」

 

「今もゆんゆんに顔を近づけられただけで顔を真っ赤にさせていたしな。……カズマは女性と接したことが少ないのか?」

 

「ば、バカ言うんじゃねーよ!? だだだだだだれが童貞だって証拠だよ!?」

 

「そこまでは言ってないぞ!?」

 

 

 くそっ! 俺に味方が少なすぎる!

 というか、なんで俺のパーティに来る奴は揃いも揃って女ばっかりなんだ!

 一人くらいは男が来たっていいんじゃないか?

 

 見ろよこの四人。ロリキャラから年上属性、小さいのから大きいのまで取り揃えてるんだぞ。

 しかも全員美少女ばかりだ。それ目当てに来たっておかしくないはずだろ。

 

 こうやって実際に転生する前までは、ハーレムパーティを作って冒険するのが夢だったのは確かだけれども、こうして体験してみると、夢は夢のままで終わらせた方がいいことも多いってことに気づかされた。

 

 だってすっごい居心地悪いんだもの。

 男同士で馬鹿をやるっていうのが、どれだけ心が安らぐものだったのか、今にして理解できた。

 

 

「どうしたのカズマ、なんだかおもしろい顔をしてるわよ?」

 

「いや、この先俺の立場がこのパーティ内でどんどん下落していくことに戦慄してただけだ」

 

「なんでよ? 三人とも良い子ばっかりじゃない。虐めとかそういうのはないと思うわよ?」

 

 

 うん、それは分かるんだ。

 めぐみんもゆんゆんもダクネスも、そういう陰湿な性格ではないってのは理解してる。

 でも、やっぱり同性の理解者ってのは欲しいわけなんです。

 

 

「……そういや、お前ってどこまで俺に付き合ってくれるんだ?」

 

「どういうこと?」

 

「いやな、確かに俺はお前を特典として選んだけど、天界に帰らなくっちゃいかん限界とかってあるだろ? いつまでもアクアの天界での仕事を他人に任せっきりってわけにもいかんし、俺だっていつ死ぬのかもわからない。それで、アクアがこの世界に居られるのはいつまでなのか聞いておきたいんだよ」

 

 

 特典の内容的に、魔王を倒すことが出来たらアクアは天界に帰れるんだろうが、この世界の厳しい現実を知った俺には、魔王を倒すという気はほとんどない。

 だから、いつの日かアクアが居なくなった時のことも考えて、冒険者稼業の予定を立てなくてはいけない。

 しかし、どれくらいだろうか。

 俺の年齢から考えるに、長くて五年くらいか?

 三十路を超えても付き従ってくれるとは思えないし……。

 

 

「そんなの、魔王を倒すまでに決まってるじゃない」

 

「だから、それが達成されるのはだいぶ先になるから……」

 

カズマがどうなっても関係ないの(・・・・・・・・・・・・・・・)。魔王を倒すための特典でこの世界に来たんだから、それが成されない限り天界には帰れないわ」

 

 

 ……なんだって?

 

 

「もしかしたらエリスに頼めば帰られるかもしれないけど、そんなことをしては女神の名折れ。そうでなくても私にはカズマがこの世界でどうやって生きていくのかを見守る義務があるの。少なくともカズマがこの世界を去る、その時までは私は貴方から離れないわよ」

 

 

 俺は、とんでもないことをしてしまったのではないだろうか。

 あまりにもアクアが気にしなかったせいで深く考えていなかったが、俺はアクアの自由を奪い取ってしまったということになる。

 事実として、アクアは何とも思っていないのだとは思う。そういう嘘をつくのが苦手なのはこれまで接していて分かっている。

 魔王と戦いたくない。この街で悠々自適に暮らしたいと言えば、きっとアクアは笑って受け入れてくれるとも思う。

 あの構いたがりな性格からして、多分どこまでも甘やかしてくれるのだろう。この女神は俺が死ぬまでその全ての我儘を叶えてくれるに違いない。

 

 ――だが、だからこそ。

 

 

「おい、三人とも聞いてくれ。実は俺達はガチで魔王を倒そうと考えている」

 

「ちょっと、カズマ!?」

 

 

 後ろからアクアが何か言ってくるが構わない。

 何となくで仲間になった三人に、その覚悟があるのかを問わなくっちゃいけないんだから。

 

 

「俺とアクアはどうあっても魔王を倒したい。そのために冒険者になったんだ。という訳で、俺達の冒険は過酷なものになることだろう。特にダクネス、お前なんか女騎士なんだから一番とんでもない目にあわされる役どころだぞ」

 

「ああ、全くその通りだ! 弱者の盾になり、敵の猛攻をその身一つで受けきる! だからこそ滾るというものだ! やはり、このパーティを選んだ私の目に狂いはなかった!」

 

「えっ!? ……あれっ!?」

 

「えっ? ……なんだ? 私は何か、おかしなことを言ったか?」

 

 

 いや、間違ってはいないはずだ。

 ただ、なんで酷い目にあわされるというところに食いついてきたのかが気になるだけで。

 ま、まあこいつはおいておこう。

 

 

「めぐみんやゆんゆんはどうなんだ? この世で最強の存在に喧嘩を売ろうってんだよ。例え俺達二人だけでも成し遂げて見せるから、無理して着いてこなくても……」

 

 

 途端。

 めぐみんとゆんゆんが、椅子を蹴って立ち上がった。

 

 

「我が名はめぐみん! 紅魔族随一の魔法の使い手にして爆裂魔法を操りし者! 我を差し置き最強を名乗る魔王! そんな存在は我が最強魔法で消し飛ばして見せましょう!」

 

「さっきも言ったはずです! 私はカズマさん達を見捨てたりなんかしないって! だって、見捨てられるって本当につらいんだもの! そんな苦しみを味わわせるつもりなんかありません!」

 

 

 二人ともむしろやる気になってくれた。

 子供のころから運は良い俺だけど、こんなところでも発揮されたらしい。

 こんな素晴らしい仲間に恵まれたんだから。

 そんな感慨にふけっていると。

 

 

『緊急クエスト! 緊急クエストです! 街の中にいる冒険者の方々は、至急冒険者ギルドに集まってください!』

 

 

 街中に響き渡るアナウンス。

 魔法の道具的な物でやっているのだろうが、そんなことよりも俺が気になるのはただ一つ。

 

 

「おい、緊急クエストってなんなんだ? モンスターが街に襲撃に来たのか? なんかデカいモンスターでもこっちに進撃でもしてんのか?」

 

 

 何が起こっているのかまるで把握できておらずただただ狼狽えている俺とは違い、俺以外のパーティメンバーはどことなく嬉しそうというか、期待に満ちた表情になっている。

 それを見てさらに訳が分からなくなった俺に気づいたのか、ゆんゆんがこっそりと俺に耳打ちしてきた。

 

 

「多分、キャベツの収穫ですよ。そろそろ収穫の季節ですし」

 

「は? キャベツ? その、キャベツって緑の野菜の事だよな? 珍しいモンスターの名前だったり、そういう仇名がついている奴じゃなくて?」

 

「はい。そのキャベツで合ってるかと。とっても美味しいんですよ」

 

「いやいや、なんでたかがキャベツの収穫でこんなにも大々的にギルドが街中にアナウンスするんだ? そんなもん農家の人にでも任せておけば……」

 

「皆さん、突然のお呼び出しすいません! 今年もキャベツの収穫時期がやってまいりました! 今年のキャベツは例年よりも出来が良いため、一玉の収穫につき一万エリスになりますが、その分危険度も高くなっております! すでに街中の住民は怪我をされないように家に避難して頂いておりますので、全力で収穫に取り組んでいただけるかと! では冒険者の皆さん、できるだけ多くのキャベツを捕まえてください! くれぐれもキャベツに逆襲されて怪我をしないようにお気をつけて!」

 

 

 …………今、キャベツの収穫を呼びかけるアナウンスにしては、決してそれらとは関連づけられない単語がいくつも出てきたんだが。

 住民の避難が完了した? キャベツに『逆襲』されるだと?

 なんだ、その街中に唐突に猪の群れが現れたかのような対処方法は。

 

 その時、冒険者ギルドの外で歓声が巻き起こった。

 こうなったら実際にその目で見た方が早いと判断し、冒険者たちの視線の先を見てみると、そこには飛び回る丸い緑色の何かが。

 ……おい、あの飛んでるのって、もしかして。

 

 

「カズマ、実はこの世界のキャベツは空を飛ぶのよ。キャベツ達の栄養価が高まってはいよいよ収穫の時期って頃になると、まるで食べられて堪るかと言わんばかりにあちらこちらを飛び回るの。そして最後には人間に知られていない秘境の奥で誰にも食べられず、ひっそりと息を引き取るとか」

 

「おい。異世界の食材ってのは、意表を突かなきゃいけないって決まりでもあるのか?」

 

 

 バナナが川でとれたり、秋刀魚が畑で育ってたり、なんでちょくちょく外してくるんだ。

 せめて元の世界にあるものと全く違う見た目であって欲しかった。なまじ知ってる食料が俺の常識と乖離した行動をするせいでなおのことそう思ってしまう。

 

 先程入れたはずの冒険者生活への気力が、アクアの解説を聞いたことで、目の前を飛び回っているキャベツの如く、どこか遠いところに飛び去ってしまった気さえしてくるのは俺のせいではないはずだ。

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