転生者迷走録(仮)   作:ARUM
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恋姫の新作、出るらしいですね。

恋姫二次再ブーム来るか!?






第四十四話 仮宿

 

「なに?」

 

 ジオン公国において、おそらくはもっともセキュリティが厳しい場所と言ったら、多くの者が候補に挙げるであろう場所の一つ。総帥府。

 総帥府と言っても、サイド3には関連施設が数多く存在する。それが首都コロニーであるズムシティであれば、なおのこと。そしてその中で更に警備が厳しいとなると、元からコロニーという閉鎖空間であることを鑑みても、数は限られてくる。

 議会、ザビ家邸、そしておそらく、総帥府本部。

 

 宇宙に浮かぶコロニーで無ければ、きっと誰もが明日は雨だと言うだろう。総帥府本部に執務室を構える、ジオンの実質的トップ、ギレン・ザビが、人の目にわかる形で驚きを露わにしたというのだから。

 

「間違い無いのか?」

 

 確認を取る相手は秘書である、セシリア・アイリーン。女性的な恵まれた身体付きをしている、総帥府でもファンの多い女性である。金髪を上向きにまとめた独創的な髪型をしている。

 ギレンの秘書官長ということもあり、触れることのできる機密のレベルは高い。その彼女が、直接伝えに来た内容に、

 

「はい。定時連絡が途絶えた為部下を向かわせたところ、もぬけの殻でした」

「その部下というのは?」

「行方不明です。現場に血痕など争った形跡はありませんでした」

「彼処にはそれなりの人数がいたはずだ。それが全員いなくなったと?」

「はい」

「……手落ちだな」

「申し訳ありません」

「ふむ……」

 

 ギレンは目を閉じ、黙考に入る。椅子に深く座って机の上で手を組んだその姿勢は、答えを探しているというより、答えを出し渋っているようにも見えた。

 

「……ズムシティを出る船は全て監視していたな?」

「はい。行き先のサイド内外問わず、全ての便に目は付けています」

「ソロモン、グラナダ方面を強めろ。軍民問わずだ。発見次第身柄を押さえろ。親衛隊のMS隊を動かしてもかまわん」

「了解しました。直ちに手配します」

「うむ……」

 

 セシリアがギレンの署名の入った書類をファイルに収め、部屋から退室していく。残されたのは、ギレン一人。

 しばらく椅子に腰掛けたままであったが、やおら立ち上がり、窓の方へと歩いて行く。

 壁の端末に手を触れ、降りていたブラインドを上げれば、そこには円筒形の大地がある。空の無い、天地に繋がる丸い大地。

 

「この期に及んで国を割る気か、サスロ……」

 

 ギレンの呟きは、誰に聞かれることもなく消えて行った。

 

 

 

  ◆

 

 

 

ザンジバルに乗り、降下地点から北に向けて移動すること数日。辿り着いたのは中央アジアはヒマラヤ山脈の麓の一つのとある街。

正確には、ザンジバルが二隻着陸できる場所となると限られる為、街からは離れた場所に一度艦を下ろしてヘリを乗り継いだ訳だが……偵察ヘリ様々である。

 

 さて、ドズルから言い渡された任務は、地上にいる優秀な人材と人脈をつくることであるから、一地方都市を訪れたのにも理由がある。ある人物に会う為に、厳密にはさらにその上の人物と繋ぎを作る為だ。

現地の部隊を中継してその人物にアポを取ったが、その人物がいないということで現地に宿を借り更に待つこと数日。土地の風土とはいささか様相を事にする欧風の屋敷の応接間に通されていた。

所属も違う冬彦であるが、対応はしっかりとしたものだった。とはいえ、突然の来訪者であるから、好奇の目で見る者もどうしても出てくる。

そんな手合いを気にすることなく、出された紅茶を茶請けのビスケットを食いつぶした頃に、その人物がやって来た。

 立ち上がり、敬礼して出迎える。

 

「ヒダカ中佐、お待たせした」

「いえいえ、突然やって来て会いたいなどと無理を言って申し訳ない。お会いいただけて光栄です。パッカード大佐殿」

 

 ノリス・パッカード。階級は大佐。ギニアス・サハリン少将の懐刀であり、おそらく戦力という意味では最強のカード。がっしりとした身体付きと、頭頂部以外の髪を刈り上げた髪型が特徴的である

 ギニアスへの忠義は厚く、ジオンのMSパイロットの中でもベテランに多い武人のような考え方をする人物で、ノリスも例に漏れずその有り様はどこかの自称よりも余程騎士らしい。

 そんなノリスに、冬彦は会いに来たのだ。

 

「しかし、わざわざこんな辺境に噂の梟が訪ねてくるとはな」

「噂ばかりが一人歩きしてしまいまして。私自身はたいした事はありません」

「謙遜するな。戦果は聞いている。私も会戦には参加していた」

「は、ありがとうございます」

 

 挨拶ともそこそこに、差し向かいに座り“交渉”を始める。

 

「さて、用件については直接話すということだったが?」

「ええ、幾つかお願いしたいことがありまして」

 

 まだ、雰囲気はそれほど悪くは無い。どちらもMSパイロット、同じ戦場にいたこともあるとなれば、シンパシーもある。

 

「まず、ラサ基地か、もしくはギニアス少将閣下の影響圏にある基地の一つを間借りさせていただきたい。」

「ほう?」

「私の部隊は規模としてはそれなりですが、地上での拠点と呼べるような場所がありません。基地を作るにしても、母艦を整備するほどの施設を仮に設えるだけでも相当かかる」

「それで、こちらの基地の設備を借りたいというわけか。だが、補給物資はどうする。そう多くは融通できんぞ」

 

 ジオンを悩ませた多くの問題の内、大きな割合を占めるのが資源についての問題がある。オデッサに代表されるように、ジオンが重点を置いた制圧拠点には資源確保の意味合いを持つ場合が多いのだ。

 冬彦の部隊の場合、冬彦自身が部隊規模をそれなり、母艦もあると言っている以上、必要とされる物資も相応の物になるとノリスには伝わっている。いきなりポンとそんな部隊が出てきても、それを養うだけの物資を急に用意することは難しいのだ。

 だが、その事に対しては既に手が打ってある。

 

「それについてはご心配なく。腰を据える場所さえ出来れば、軌道上から投下してもらえる手はずになっています」

 

 何せ、準備期間は相当あったし、今はバックについているドズルの存在が強い。現状、バックアップを十全に受け入れる為に必要なのは、後は受け皿だけなのだ。

 ノリスは、得心したとばかりに一つ頷いた。

 

「なるほど、そういうことならそちらの面で問題はないだろう。ではもう一つ質問したい。仮に基地設備を貸し出したとして、指揮権はどうなるのか。中佐の部隊は、そのままこちらの指示に指示に従うのか」

 

 指揮権の確立。これも、避けては通れない問題であるが、これも答えというか、落としどころは考えている。

 

「いえ、そうなるとドズル閣下からの特務に支障が出ます。私も欧州方面に一度回らねばなりません。ですが、基地の防衛や物資の管理のために部隊の半数以上を基地に残します。

そちらに要請を回していただければ、可能な範囲である程度戦力を回せるかと。機密性の高いコンテナもあるので、基地を空にすることはできませんし、あくまで要請に応じるという形になるので、指揮権自体はこちらのままですが」

「戦力とは、具体的には?」

「MSを少なくとも六機以上。ザンジバルも一隻残します」

 

 ここで、ノリスはしばし長考に入る。フユヒコ・ヒダカと言えば、ドズル麾下のパイロットとして、赤い彗星や青い巨星ほどでないにしろ、比較的知られた名である。

 スピード出世に対するやっかみもあるが……その戦果は確かに華々しい物がある。大物食いと言わんばかりの艦船狙いの戦法に、それに追いついていくことができる練度の部隊。一時噂を聞かなくなったが、地上にいたというのなら納得も行く。しかし、宇宙攻撃軍の人間が部隊ごと出張るほど特務とは一体何なのか。

 練度の高い部隊を一時的とはいえ組み込めるというのは、利点になる。使いどころもないではないだろうし、特異な装備を運用しているという噂もあるため、そちらも気にはなっていた。

 外縁にある基地の一つであればどうかと検討し始めたあたりで、ノリスは自身の思考が前向きな物であることに気づき、結論を出した。

 

「よかろう。ギニアス閣下に申しあげておこう。おそらくは通るはずだ。他にまだ何かあるか」

「はい。どちらかと言えば、こちらが本題になります」

「む?」

「何でも、ラサ基地で極秘裏にMAを開発しているとか」

「……誰から聞いた?」

 

 一転、ノリスの気配が剣呑な物になる。完全に敵対者を見る目で、凄む。歴戦の兵であるノリスからの圧迫感はかなりの物。しかし、冬彦も内心はどうあれ、表面上は動じない。割と短いスパンで、偉い人を相手にしてきたりやってられない任務をこなしてきた成果である。

 厳しい視線をするりと受け流し、余裕ありげに右手を上げて、後ろに立つフランシェスカの方を見る。

 

「フランシェスカ、アレを」

「はい」

 

 フランシェスカが、黒いトランクケースをテーブルの上に置いた。

 旅行鞄と言っても差し支えない大きさで、材質は硬化プラスチック。

 中身は、先日ドズルが寄越した、機密コンテナの中身の一部。

 つまりは、黄金のインゴットである。

 キーを打ち込み鍵を外し、開いて向こうへズッと押しやったなら、さしものノリスを目を剥いた。

 

「宇宙攻撃軍には、それを支援する用意があるとご理解いただきたい」

「ぬっ……」

 

 言外、下手な質問はするなと言っているようにとれなくもない。言葉にしない、しかし察しろという手法はずっと昔の旧世紀から存在する手法だ。

 だがしかし、アプサラス計画。どこから漏れたのか。出所をはっきりさせるべきだと戦士の勘が告げている。だが、それをすればどうなるか。

 支援と言うが、手付けで金塊を寄越した辺り、本気であるのは間違い無い。ブラフに使い捨てるには額が額であるし、余りに性急にすぎる。

 

「……話は伝えよう。だが、判断を下すのはあくまでギニアス様だ。それは……持ち帰り願おう」

「わかりました。私の部隊は当面北の峡谷にいます。通信周波数はこちらに」

「確かに受け取った」

 

 メモカードを一枚差し出し、代わりにフランシェスカが引き戻したトランクケースを閉じる。元あったように蓋を閉じ、両手で持ち上げる。相当な重さだからか、すぐに足下に置いているが。

 

 冬彦とフランシェスカが退室した後、ノリスの部下が入れ替わるように部屋に入った。

 

「大佐、監視をつけますか」

「いらん。つけて何かえられるわけでもなかろう」

「はっ」

「……狗と鷹、王に先に殺されたのはどちらであったか」

「はっ?」

「何でも無い。それより、ヘリの準備をしろ。ラサ基地へ行く」

「了解しました」

 

 

 

 

 

 

  ◆蛇足

 

 

 

~~マーケットにて~~

 

「米だ! 米を買わねば!」

「中佐!? 突然何を!?」

 

 

 

 




蛇足にはあんまり意味はない。

あと最近新しい一次の構想を練ってます。
練るだけなら楽しいです。







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