努力家と天才の茨道 〜Season2   作:椿姫

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・和都「Season2…まさか続編でるとは思ってなかったぞ」
・紗夜「私もですよ。まさか続編が出るなんて思いもしませんでした」
・日菜「おねーちゃん、その手に持ってるプラカード何?」
・和都「『続編バンザイ!!』はは……」

はい、そんなこんなで続編始まります!



Episode01 新たな始まり

 

〜華宮邸〜

 

「……よし。行ってくる」

「いってらっしゃいませ、坊っちゃま」

 

通っている羽丘の制服に着替えて爺や使用人の人達に見送られながら家の門を出る。いつもならこのまま真っ直ぐ学校に向かうが今日からはいつもじゃない。俺は鼻歌混じりに待ち合わせ場所に向かっていく。

 

「ちょっと早く来すぎたかな…」

 

短く切った髪を触りながら身だしなみを確認する。前までは長くしてた髪をポニテにしたりしてたけど思い切って短髪にした訳だが…

 

「…変じゃねぇよな?」

「和都」

 

髪を気にしてると不意に声を掛けられる。振り向くとそこに居たのは羽丘とは違う花咲川の制服を身に纏い、長く綺麗な青緑の髪を靡かせている女子高生いや、女性と言うべきだ。そしてこの度交際をする事になった俺の彼女でもある。

 

「遅くなってすみません。約束の時間はすぎてないかしら?」

「ん?だいじょぶ俺も今来たとこだから」

「それなら良かったです」

「じゃあ、行こうぜ?紗夜」

 

俺はそう言って紗夜の前に手を差し伸べる。

 

「…和都?」

「いや、その…手、繋いでみようかって紗夜が前言ってたからそれを実行しようとしてるだけで…」

 

目を逸らし照れながらも紗夜にそう言うと紗夜は恥ずかしがりながら俺の手を取る。

 

「じ、自分で言っておきながら言うのもなんだけど恥ずかしい…」

「なんで紗夜が俺より照れるんだよ…手差し伸べてた俺の方が恥ずかしいってーの」

 

紗夜の綺麗な手を優しく握る。こ、これが女子の手…すっげー柔らかい。

 

「わ、和都…さっきから私の手をじっと見てるのだけど…」

「へぇっ!?いやっ…紗夜の手が綺麗だったからつい…」

「す、少しは私の顔も見て欲しい……です。そうじゃないと和都が手フェチにみえるので」

「ぶふっ!?」

 

紗夜の唐突の発言に思わず吹き出す。

 

「はっ!?お、俺が手フェチだと!?誰がそんなこと言ってた!?」

「ちょっと声大きいです…」

「わ、悪ぃ…」

 

声のボリュームを落とし、改めて紗夜に話し掛ける。

 

「なんで俺が手フェチってことになってる?」

「今井さんが言ってました。『練習してる時とか手伝いを頼んだ時ってよく手を見られたりするんだよねー♪もしかしたら手フェチかも♪』って」

「リサあの野郎…余計な事吹き込みやがって…」

「それで、和都は手フェチなんですか?」

 

本題に入ってきた紗夜に俺はハッキリ断言する。

 

「俺は手フェチじゃねぇよ…見蕩れてただけだって」

「見蕩れ…そ、そう言ってくれると嬉しいです」

 

ったくリサ、幾ら幼馴染でも言っていい事悪いことぐらいわかってるだろーが。まぁそれは友希那にも言えた事なんだが猫が絡むと友希那は喋り方が軟化してポンコツになるからなんとも言えん。

 

…おっと、初めての読者諸君にわかりやすく説明すると俺と友希那とリサは1歳違いの幼馴染だ、同じ羽丘学園に通っていてガールズバンド「Roselia」を結成してる。紗夜も属していて担当はギター。友希那はボーカル、リサはベースだ。他にも、紗夜と同じ花咲川に通っている燐子さんはキーボードを、ドラムは燐子さんと仲がいいメンバー最年少中学3年のあこ。

 

誰も彼もがトップクラスの腕を兼ね備えていてRoseliaでしか奏でられない最高の音楽を求めていく。俺は半ば強引に連れられて(主に友希那)だがRoseliaの練習を見てアドバイスをしたり、俺の楽器を使って演奏してイメトレさせられたりとやる事は様々。別に嫌だってわけじゃないしこれで紗夜や友希那達が成長できるならまぁ、それでいいって思ってる。

 

そして俺はそのRoseliaメンバーの紗夜へ告白し、正式に交際をすることとなったのだ。友希那達からは、「おめでとう」とか感謝の言葉を貰えて凄く嬉しかった。めっちゃ恥ずかしかったけども。紗夜と二人で歩いていくうちに分かれ道に辿り着いた。

 

「あ……私はこっちなので」

「え?あ、そうだな…」

 

紗夜も俺も名残惜しそうに握っていた手を離す。ここから登校先は別々になっているから仕方がないと言えば仕方ないがやはりお互いにまだ手の感触を感じていたかった。

 

「では…また後で」

「お、おう…」

 

そう言って紗夜は花咲川の方へ歩いていった。歩いていく紗夜の後ろ姿を見てから俺も羽丘の方に向けて歩きを進めた。

 

「……まだ、紗夜の手の感触残ってる…」

 

初めて待ち合わせをして途中まで登校してみたわけだが…正直めっちゃ恥ずかしかった。だって紗夜めっちゃ指絡めてきてんだぞ!?おお、落ち着け俺!

 

「ふぅ…ふぅ…落ち着いt」

「ワ〜トっ!何そんなに朝から息切らしてんの〜♪」

「おうわっ!?」

 

言葉を遮るように俺の背中が勢いよく押される。こんなふうに朝からちょっかいを掛けてくる人は幼馴染以外にいない、と言うかそういう事するのは1人だけと決まっている。

 

「痛てて…朝っぱらからいきなり何すんだよリサ!」

「おっはよ〜ワト☆朝から紗夜とらぶらぶだったね〜♪いいねいいね青春してるねぇ♪」

 

ちょっかいを出してきたのは幼馴染の今井リサだ。同じ羽丘に通っていて上記で説明した通り、Roseliaのベース担当。見た目がギャルっぽいが実はめちゃくちゃ面倒みが良くて菓子作りにも長けている。クラスの男子曰く『リサさんはコミュ力のガチ勢』との事。

 

「…リサ、私眠いからあまり大きな声で話さないで欲しいのだけど…」

「ごめん友希那〜また新しい曲作り?」

「ええ、そうよ」

 

欠伸をしながらリサに注意をしているのがもう1人の幼馴染。湊友希那、Roseliaのリーダーだ。

 

「まーた新曲に手こずってたのかお前は?」

「ええ…お陰様で眠すぎるわ」

「あんま無茶しねー方がいいんじゃね?」

「ライブが迫ってるからそうとも言えないのよ」

 

友希那はそう言いながら眠たそうな目を開けようとしてる。

 

「友希那、せっかくワトが心配してくれてるんだからさ〜♪素直になった方がいいんじゃい?学校終わったらカフェ行こ、ね?」

「で、でも曲とバンドの練習も…」

 

友希那はリサからのカフェの誘いに少し戸惑う。

 

「たまにはいーんじゃね?少しくらいリラックスしとけや。身体ぶっ壊すしてからじゃ遅いんだからよ」

「和都とリサがそう言うなら…」

 

友希那は渋々ながらもリサとのカフェを承諾する。

 

「友希那とカフェ楽しみだな〜♪それはそれとして…ふふふ、ワト〜♪」

「な、なんだよ…」

「さっき紗夜と手繋いで歩いてたでしょ〜♪」

「ぶふぉあっ!?」

 

リサの爆弾発言に思わず俺は吹き出す。見られていたのが恥ずかしい。と、言うか…

 

「いつから見てたんだよっ!?」

「紗夜と待ち合わせしてた時から後ろにいたよ〜友希那も一緒にね☆」

「はぁぁっ!?リサお前ナズェミデルンディス!!」

 

だいぶ見られていたと思うと恥ずかしくなり舌を噛んだ。めっちゃ痛い。

 

「わ、ワト大丈夫…?今めっちゃ舌噛まなかった?」

「し、舌超痛てぇ…」

 

苦痛に耐えながらも俺は学校へと向かった。

 

 

紗夜side

 

 

(和都の手の感触がまだある…あたたかい)

 

先程まで手を繋いでいた自分の手をきゅっと握りしめる。

 

(初めて待ち合わせをしてみたけれど…これが恋人同士って事なのね…)

 

思わず私は和都に告白された日のことを思い出す。まさか両想いでしかも本当に付き合うことになるとは思ってもなかった。しかも帰り際に私からキスまでしてしまうなんて…しかも帰ってから日菜に和都と交際することを話したら喜びなのか悲しいのかよく分からない感じになってたわ。あんな日菜を見たのは初めてかもね…

 

(今思い出すと私がした事って…ず、随分と大胆だったような気がしますね/////)

 

誰かを好きになるなんて当時の私には無いと思っていたけど何が起きるか分からないわね。異性と付き合うことに関してまだ知らない事が多いけど和都となら…とても充実したひと時を過ごせる、そんなことを思いながら私は学校に向かっていった。

 

学校に着いてからは自分のクラスに行き、ギターや道具を置いて風紀員の仕事に向かう。今日は整容点検があるから和都に頼んで待ち合わせ時間を僅かに早めてもらった。初めての待ち合わせがこんな感じでいいのかと私は言ったけど和都は

 

『俺は全然構わねぇよ。どういう形であれ紗夜と一緒に入れるならな』

 

って言ってくれたので安心しました。点検を終えてからは自分のクラスに戻りホームルームを終えて授業に取り組む。もう時期試験もあるので気を引き締め無ければいけないし、同時期にSPACEでの新曲披露LIVEも迫ってきている。

 

(和都の事で浮かれすぎるわけにもいかないし勉強もバンドも両立できるようにしっかりしなきゃ…)

 

委員会の仕事や日直用ノートを先生に提出したりするとあっという間に放課後になった。練習の為にギターを背負って教室を出て行こうとすると白金さんに呼び止められる。

 

「ひ、氷川さん…」

「白金さん、どうしました?」

「その…友希那さんからなんですけど『今日の練習は休みだから各自での練習を』だそうです」

「そうですか。わざわざありがとうございます」

 

私は白金さんのお礼を言って教室を出て行く。練習が無くなりそのまま家に帰って今日はギターの練習をしようかと思いながら帰路を歩いていたその時、和都からLIN●が届く。内容は『恋人同士になって初めてのデートはどこにする?』と、いうものだった。唐突の話題に足を止めて私は赤面してしまう。

 

「は、初デート……」

 

どこがいいか?と聞かれてもそういう事を殆ど知らないからなんて言ったらいいか分からない私は『ちょっと待ってください』と一言返信して家に入った。そのまま階段を駆け上がり自分の部屋に入るや否、ギターを置いてベッドにダイブする。

 

(デートとかを体験したことのある人に相談するのが1番ですよね?…だったら思い当たるのは…)

 

私はある人に相談にのってもらうために電話を掛けた。

 

「あ、もしもし…はい。氷川紗夜です、ちょっと相談したいことがあるんですけど…今時間空いてますか?」




前作『努力家と天才の茨道〜歌姫を添えて』の完結から約8ヶ月程でしょうか?続編を投稿する事に決めました。この小説を前読んでいたって方はお久しぶりです、そう出ない初見の皆さんは初めまして、椿姫と申します。

主人公の事について軽く紹介しておきます。
華宮和都(はなみや わと)
イメージCV:鈴木達央

・緑色の短髪が特徴的、華宮家の一人息子で大金持ち。前作最終回にて氷川紗夜への告白に成功し晴れて恋人同士となった。幼少期からの英才教育により大抵の事はなんでも出来る完璧人間、ただし虫が大嫌い。

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