艦これ短編集――艦娘のごった煮――   作:fire-cat

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乱れ髪 襦袢の奥に 月隠れ 酔いのまどろみ 夢か現か
涼月モデルでこの和歌に似合うイラスト作って。

とAIに作ってもらったら、涼月の双月が危なかった。

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後書きに提督のイメージ記載しています。







第2部:月のまどろみ

 静かに夜の帳が下りた自室で、涼月はゆっくりと目を開けた。

 まだ夢の淵をさまよい、自分が今どこにいるのか、一瞬わからなくなる。

 

「ここは……」

 

 障子越しの月光が、まるで彼女を呼び覚ますように、肌を淡く照らし、部屋の輪郭を浮かび上がらせていた。部屋には、想い人の穏やかな寝息だけが聞こえていた。

 隣の想い人を起こさぬよう、そっと床を離れ、隣室に移った。

 隣室へ移ると、窓の外には先ほどよりもなお一層、満月が煌々と輝いていた。

 

 ― 乱れ髪 襦袢の奥に 月隠れ ―

 

 銀の髪が乱れ、肩から滑り落ちた襦袢の隙間から、月が雲に隠れるように白磁の柔肌が覗いていた。

 熱を帯びた頬に触れる風が心地よい。

 

「こういう夜に月を肴に一人酒というのも乙なものですね」

 

 手にした盃には、月が映っていた。

 その揺らめきは、彼女の心を表しているかのようだった。

 

 ― 酔いのまどろみ 夢か現か ―

 

 盃を傾けるたびに、意識は深い海の底へと沈んでいく。

 

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 これは、夢なのだろうか。それとも、現実なのだろうか。

 ぼんやりとした意識の中で、遠い日の記憶が蘇る。

 あの日の海も、こんな月が浮かんでいた。

 波の音と、砲声が響く中、彼女はただひたすらに、僚艦を守ろうと戦った。

 守り抜いたと思っていた。

 だが、その結末は……。

 

『涼月……』

 

 誰かが、自分の名を呼んだ気がした。

 懐かしい声。

 目を閉じると、皆の笑顔が浮かんでくる。

 もう、会うことのできない、かけがえのない存在。

 まどろみの中で、涼月は再び盃に手を伸ばす。

 

 

「涼月。そこまでだ」

 

 その手をそっと止める影。

 影の主は涼月がいないことに気がつき起きてきた想い人だった。

 静かに涼月の向かいに座ると、そっと彼女の乱れた髪を梳き、襦袢を直す想い人――提督。

 

「夢見が悪かったようだな。顔色が悪い。どんな夢を見たのだ?」

 

 優しく温かな声に、涼月は小さくかぶりを振る。

 

「少し、昔のことを思い出していただけです……」

 

 提督は何も言わず、ただ静かに彼女の手を包み込んだ。

 そのぬくもりが、ぼんやりと霞んでいた意識を現実に引き戻す。

 

「無理はしなくていい。君は何時も頑張ってくれている」

 

 その言葉に、涼月は思わず涙がこぼれそうになるのを堪えた。

 提督は彼女の額にそっと唇を寄せると、静かに立ち上がる。

 

「少し水を貰ってくる。ここで待っていなさい。……どこにも行くなよ」

 

 提督が部屋を出て行き、再び静寂が戻ってくる。

 だが、先ほどの温もりがまだ残っていた。

 その温かさに安堵したからだろうか、再び意識がまどろみの淵へと沈んでいく。

 

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 手からこぼれ落ちた盃が徳利を倒し畳を湿らせた。

 


 

 ふと、気がつけば涼月は再びあの日の海にいた。

 砲火の残滓のような光がちらつき、波の音と共に、確かに聞き覚えのある声が聞こえる。

 

「涼月、大丈夫か?」

「こっちだ、早く!」

「涼月!」

 

 見覚えのある艦影が、声とともに幻のように現れては消えていく。

 満月の光に照らされ、僚艦たちの笑顔が一瞬だけ鮮やかに蘇る。

 手を伸ばそうとしても、指先をすり抜けて、皆、夜の海へと溶けていく。

 

「待って! 行かないで!」

 

 溶けゆく影に諦めきれずに手を伸ばす涼月。後少しで手が届きそう。そう思った瞬間――。

 

「行くな!」

 

 背後から、優しく温かな、それでいてうっすらと透けている腕が彼女を包み込んだ。

 

「行ってはいけない、涼月」

 

 

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 懐かしい香り、懐かしい鼓動。

 

「えっ。……艦、長?」

 

 耳元で、低く優しい声が囁く。

 

「過去に囚われて未来を失ってはいけないよ、涼月。過去に囚われ続けると現在と未来を共に喪う事になる。わかるね?」

 

 懐かしく、信頼できるその声に疑いを抱くことなく頷く涼月。

 

「いい子だ。それを一言伝えたかった。あの時は伝えられなかったからね」

 

 肩を震わせ涙ぐむ涼月。

 

「ではな。あぁ、そうだ。もう一言伝えておかないと」

「え?」

「愛出ずる者は愛返り、福往く者は福来たる。涼月、この言葉を忘れないで欲しい。人を愛し、幸福をもたらす行いは、巡り巡って自分自身に良い結果をもたらすことになるんだ」

「……艦長」

「では、想い人と幸せにな」

 

 その言葉とともに離れようとする腕に涼月が縋る。

 

「艦長、待って! 待ってください!」

 

 必死さを込めた涼月の声に離れかけた気配がその場に留まる。

 

「どうかしたかい?」

 

 腕以外の姿は見えずとも、昔と変わらぬ優しげな声が聞こえる。

 

「最後に一つだけ、一つだけ私の我儘を聞いてください!」

「あまり時間はないけど、それでもいいのかな」

 

 どこか戸惑っている優しげな声が再び耳元で囁かれた。

 

「良いんです。お願いします」

 

 涼月の必死の願いに、声が優しく応える。

 

「良いよ。他ならぬ涼月のお願いなら。どんなお願いかな?」

 

 背後から耳元で囁かれる優しい声に振り向くことなく、

 

「このままお別れの時まで私を抱きしめていてください」

 

 言葉は返ってこなかったが、その腕と気配が涼月を背後から包み込んで行った。

 それが夢であっても、幻であっても、今この瞬間だけは確かに存在していた。

 

 そんな二人を月の光が静かに照らしていた。

 


 

 気がつけば涼月は一人、床に伏していた。

 

「眠ってしまっていたのね」

 

 どこか朧げな意識のまま「あれは夢だったのかしら」と思う涼月。

 だが、手から滑り落ちた盃と、畳にこぼれた酒の痕が、朧げな意識に確かな現実を告げていた。

 障子の外には変わらず満月が輝き、先ほどまでそこに確かにあったはずの、懐かしい気配はどこにもない。一瞬の夢を見ていたかのようだった。

 涼月は、静かに息をついた。

 そして、もう一度だけ、夜空の月を見上げた。

 そこには、提督との逢瀬も、僚艦や艦長といった懐かしい人たちとの再会も、すべてを優しく包み込む満月が輝いていた。

 涼月はそっと唇を開き、誰にともなく呟いた。

 

「……皆、見ていてくれていますか?」

 

 その声は、月の光に溶けていった。

 

 

 障子の向こうから微かな足音が聞こえた気がした。

 涼月は振り返らず、ただ静かに微笑んだ。

 

「おかえりなさい、提督」

 

 

To be continued……

 





あの日の海=坊ノ岬沖




艦長(cv:富山敬)
「行ってはいけない、涼月」

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提督=涼月の想い人(cv:納谷五郎)
「夢見が悪かったようだな。顔色が悪い。どんな夢を見たのだ?」

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①は年齢相応……だと思う。
②の容姿は……まぁ苦労を積み重ねてくればこんな35歳もいるかもしれませんが、こんな35歳(CV:納谷五郎)が部下や同僚にいたら気圧されるなぁ。

さて、涼月の提督の容姿はどっちが良いか……。と考えたが、上だな。



艦長と比べて、提督の容姿は出来たんじゃないかと思う。
軍装はそれっぽくなった(?)と思うが、これ以上無理だった。
AI様々。便利になったもんだ。


容姿作成の指定条件(なんでこんな条件にしたかは聞かないで)

身長198cm、体重85kg、年齢35歳
「機動新世紀ガンダムX」のジャミル・ニートと俳優の北村一輝の顔の要素を組み合わせ、カイゼル髭を生やした姿



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