DOD(ドラッグオンドラグーン)からオリキャラを召喚したら大変なことになった(仮)   作:蜜柑ブタ

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オリキャラ、召喚される。


『プロローグ』 召喚された男

 

 煙いと思った。

 スカイは、ただそう思った。それだけだった。

 煙が晴れた後、桃色の髪の毛の少女が目の前にいたとか、なぜかキスされたとか、そしてキスした後、少女が倒れた。

「ミス・ヴァリエール! あなたは何をしたんですか!?」

「なにも。」

 はげた術師にそう答えただけなのだが、なぜか術師は顔をこわばらせていた。

 だからといってスカイは何も感じないのだが。自分の顔と声が他人どう思われるようなモノであっても。

 そしてふと、額に違和感を感じた。

 額を隠すために巻いていたバンダナを外した。

 バンダナを外すと、そこには禍々しい紋章が彼の額に刻まれている。

 スカイがもといた世界で魔物と契約する禁忌を犯した者に刻まれる呪い。

 スカイが額の紋章を撫でようと指を伸ばした時。

「ほう、珍しいルーンだ。」

 術師の言葉にスカイは、手を止めた。

「ルーン?」

 聞き返した時、桃色の髪の少女が目を覚ました。

「あれ? あたし…、ミスタ・コルベール…、いったい…。」

「おめでとうございます。ミス・ヴァリエール。コントラクトサーヴァントは成功ですよ。」

「えっ? あっ! 本当だわ!」

 少女がスカイの額を見て飛び起きて喜んだ。

 スカイは、わけが分からなかった。

「(何を言っているんだ、こいつらは?)」

 これは、契約者の紋章だ。何か勘違いされているらしい。

「いい! 貴族からあんなこと……っ、されるなんて名誉なことなのよ! 今日からあんたは、私の使い魔だからね!」

「つかいま?」

「うっ…、なにその棒読み…。なんか気色悪い喋り方ね。治しなさいよ。」

「ここは、どこだ? おまえは、誰だ?」

「はあ?」

 スカイのことを自分の使い魔だとでかい態度で言う少女に、スカイは表情を動かさず、そして無機質な声で尋ねた。

 少女は、スカイの喋り方が不快だったらしく顔に出ていた。

 そうこうしていると、ハゲの術師が他の少年少女達に学院に帰るよう指示していた。

 少年少女達は空を飛んでいった。

「空を飛ぶ? 羽もついてないのに。」

「あんたレビテーションも知らないの? どこの田舎から来たのよ。」

「戦場から来た。そういえばいいのか?」

 スカイがそう言うと、少女はますます顔を歪めた。

「もういい、とにかく行くわよ。」

「どこへ?」

「学院よ!」

 学院。つまり何か学ぶための場所だ。

 少年少女達が通っているのだ、そういう場所なのだというのをスカイは理解した。

 スカイがいた世界では、戦争が長く続き、学問学べるような環境はほとんどない。せいぜい兵士を訓練するための教習所みたいな場所があるぐらいだ。

 とにかく情報が足りないので、スカイは、黙って少女についていった。

 

 

 

***

 

 

 

 

 学院は、立派な建物だった。さぞや金がかかっているのだろうとスカイは思った。

 少女の部屋に通され、少女は部屋に鍵をかけた。

「そういえば、あんた名前なんていうの?」

「スカイ。」

「ふ~ん。変な名前ね。私は、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールよ。ルイズ様、もしくはご主人様って呼びなさい。」

「そうか、ルイズ、ここはどこなんだ?」

「あんた話聞いてた? 様を付けなさいよ!」

「俺は、おまえに従属した覚えはない。」

「あんたは私の使い魔なの! ほら、あんたの額にルーンが刻まれたでしょ! あれはメイジが使い魔と契約を結んだ時をつくものなの!」

「これか? これは、違うぞ。」

「はあ?」

「これは、結構前につけたものだ。だから、おまえが言っている、ルーンじゃない。」

「嘘……。じゃ、じゃあ他のところについたのよ、きっと! ルーンが焼き付くはずなのよ! だからどこか熱くなったりしたはずよ!」

「いや、何もなかった。ただ、額のこれ(紋章)に違和感があっただけだ。つまり、使い魔のルーンは、俺にはついていない。」

「そんな……、嘘よ。嘘だと言ってよ…。せっかく、せっかく初めて魔法が成功したと思ったら失敗だったなんて…、しかも使い魔にもなってないなんて…。」

 ルイズは、床にへたり込んだ。そして目からポロポロ涙を零し始めた。

「儀式が成功しないと進級できないのよ! なんで、なんでなのよ! なんで私ばっかりこんな…。」

「そんなの、俺が知ったことか。」

「なんですって!」

 スカイの言葉に涙が引っ込み怒りの形相になったルイズがスカイを睨んだ。

「事実を言っただけだぞ。何が違う?」

「あんた、平民の癖に貴族に逆らって! どうなるか分かってないでしょ!」

「どうなるんだ?」

「あんたみたいなちんちくりんなんてね、私みたいな高名な貴族が一声かければ首と胴が離れるのよ!」

「そうか。それだけか。」

 スカイがそう言うと、ルイズは、目を見開いて固まった。

「それ…だけって……、あんた、正気?」

「正気だ。」

「…こ、怖くないの? 死ぬのよ? 処刑されるのよ? 拷問だってされるのよ?」

「こわい? なんだそれは? むしろおまえの方が、怖がっているように見えるぞ?」

「あんた狂ってるの? 狂人なんて冗談じゃないわ…。」

「俺は、狂ってない。」

「こ、これは、悪い夢よ…。きっと悪夢なんだわ…。そうよ、きっとそうよ。」

 そうぶつぶつ言いながら、ルイズは、一つしかないベッドに潜り込んで眠ってしまった。

「現実逃避しても、意味はないぞ。」

 俺は、そう言葉をかけて、窓の外を見た。

 二つの月が夜空で輝いている。

「……全然違う世界に来たのか。カイム……。」

 スカイは、あの壮絶な戦いの果てに最愛の相棒を“世界”に奪われた従弟のことを思い出し、呟いた。

 

『スカイーー!』

 

 すると幼い子供の声が聞こえ、緑色の光の粒子の塊が窓の隙間から部屋の中に侵入してきた。

「シルフ。」

『わーい! よかったー! スカイ無事だったんだね!』

 シルフと呼ばれた緑色の光は、スカイの体の周囲でクルクル飛び回って喜んでいた。

 シルフは、風の精霊で、スカイと契約した魔物の“一匹”だ。

 シルフがここにいるということは、残りの二匹もこちらに来たということだろう。今のところ痛みも他の感触も伝わってこないので無事なはずだ。

 契約者は、契約相手の魔物と一心同体となる。そして生と死を共にする。どちらかが死ねば、片方も死ぬ。そういう定めになる。

 本来なら一人一匹の契約が基本だが、スカイは、異例中の異例で、三匹の魔物と契約した。

 シルフ。

 アースドラゴン。

 死神。

 この三匹を使役する魔法戦士として、もとの世界では散々暴れ回った。

 スカイは、徐に服の前を外し、胸の部分を出してそこを見た。

「死神…。おまえも来てたか。」

 胸に空いた空洞に潜むモノを確認し、スカイは服をただした。

 残りはアースドラゴンだが、学院に向かってきているはずだ。夜になってシルフが戻ってきたということは、別々の場所に出現したと思われる。

 アースドラゴンは、巨大だ。古竜と呼べるほど長生きした個体で地面下を移動する。移動中、地面の上にあるものに影響を与えず進めるのだからすごい。

 ただ、かなりマイペースなので、のんびりしているに違いない。

『ねーねー、ここどこ? 周りにね、僕の知らない精霊がいっぱいいるんだよ。月も二つあるよ。どこなのここ?』

「分からん。明日にでも、そこにいる小娘に聞けばいいだろ。」

 スカイは、部屋にある椅子にどかりと座り、ベットで寝ているルイズを見た。

 現実逃避して無理やり眠った割にはすんなり夢の中に入れたようだ。どうやら随分と疲れていたらしい。

『スカイー。この字読めないよー。』

 シルフの声を聞いてそちらを見れば、シルフが机の上にある本の一冊を開いていた。

 確かに見たこともない文字だ。

 知らない文字。平民と貴族。知らない魔法。二つの月。

 本当に異世界に来てしまったのだと思い知らされた。

 そうスカイが思った時、また額の紋章に違和感を感じた。そしてスカイは、反射的にルイズを見た。

「………まさか。」

 奇妙な感触に、スカイは、明日起こるであろうルイズの悲劇を予感した。

 今のうちに確認しようかと考えたが、情報が少ない状況を考え、明日に持ち越すことにした。

 

 それがルイズをどん底へ突き落すことになるのだが、スカイは、何も感じない。

 

 彼が契約の対価として奪われたのは。

 喜怒哀楽などのすべての感情だった。

 




無感情って、難しいですね……。
どの程度までが感情に触れるのかそのさじ加減が。

次で、オリキャラ・スカイの設定と、契約した魔物達の設定などを上げます。
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