DOD(ドラッグオンドラグーン)からオリキャラを召喚したら大変なことになった(仮) 作:蜜柑ブタ
朝日が昇る。
スカイは座ったままの姿勢で眠っていた。太陽の光の感触に静かに目を開ける。
血の匂いや腐った鉄の匂いのない環境で眠るのは、久しぶりだった。
しかしそれがかえって眠りを浅くしてしまったらしく、熟睡することはできなかった。
姿勢については、帝国の進撃が始まる前から横にならずとも眠れるように体を慣らしたため苦ではない。
寝息を聞き、そちらを見ると、ベットで眠っているルイズがいた。
こちらはしっかり熟睡できているらしい。
「…シルフ。」
『オッケー!』
スカイは、ルイズを起こすことにした。
指示を受けたシルフがルイズの方へ飛んでいく。
そして一瞬にしてルイズが被っていた布団が風で飛ばされた。ついでにルイズの小さな体も軽く浮いてベットに落とされた。
「ひゃあぁ!」
ベットに落とされた衝撃でルイズが目を開けて短い悲鳴を上げた。
「おはよう。よく眠れたようだな。」
「あ、あんた誰!?」
「忘れたのか? おまえが召喚したんだろ?」
スカイの言葉にルイズは、昨日のことを思い出したようで、頭を抱えた。
「夢じゃなかった…。夢であってほしかったわ。」
「残念だったな。これは現実だ。」
「ねえ、あんた…、その喋り方なんとかならないの? 気持ち悪いのよ。」
「俺は、以前の喋り方を覚えてないんだ。」
「どういうこと?」
ルイズの問いにスカイは、答えなかった。
「それよりも、今日は、学院が休みなのか?」
「え? ああ! 急がないと!」
ルイズは、ベットから飛び降り、昨日から着ていた制服を脱ぎ捨てていく。
そして下着姿になったところで、スカイの方を見た。
「ねえ…、突っ立ってないで着替えさせて。」
「はあ?」
「私は、あんたのご主人様なのよ、私に服を着せなさい! そこのクローゼットに入ってるから。」
「意味がわからん。それと、俺はおまえを主人だと認めてないぞ。」
「ちょ、ちょっと待ちなさいよ!」
スカイは、ルイズを無視して部屋から出て行った。
ルイズの騒ぐ声が聞こえるが、スカイは何も感じない。
部屋から出て戸を閉めると、シルフがスカイの服の隙間から出てきた。
『あの女の子きらーい。殺さないの?』
「気になることがあるからな。まだ殺さないから。」
『えー。』
「あら、あなたは…。」
「ん?」
振り返ると、赤い髪の毛に褐色の肌の少女がいた。
ルイズと同じ制服を纏っているのだが、はち切れんばかりに発育が進んでいるその体のせいで胸が今にもポロリとなりそうなぐらいだ。
彼女の足元に大きなトカゲがいる。しかしただのトカゲではない。尾に火がともっている部分からして恐らく魔物の類だ。
火トカゲは、スカイを睨みつけている。どうやら完全にスカイを敵だと認識しているらしい。
「あなた、ルイズが呼んだ使い魔さんでしょ? ルイズはどうしたのかしら?」
「俺は、使い魔になった覚えはない。」
「そうなの? でもコントラクトサーヴァントは、成功したはずじゃなかったっけ?」
「それは勘違いだ。その魔法は成功していないぞ。」
「でも額に…。」
「これは、随分と前につけたものだ。使い魔のルーンじゃない。」
『そーだそーだ!』
「あら? なにそれ? キラキラ光ってるけど、なんなの?」
「シルフ。風の精霊だ。」
『シルフだよ。』
「可愛い声ね。あなた使い魔を持ってるの? もしかしてメイジだったの?」
「……メイジが魔法使いのことを示すんなら、俺はそうなのかもしれないな。ただ、俺は貴族じゃない。確かに昔は、小国の王族だったが継承権は捨てたからな。」
「あらま、王族だったの? うーん、そうは見えないわね…。」
「十年以上も前の話だ。王位継承権を捨てたのは、神官になるために修行に出たからだからな。俺には、才能があるって周りから言われてたから修行するなら早い方がいいだろってことで。」
「なるほど…。そういう事情があったの。」
「故郷だったその国も…、とうの昔に滅んだけどな。」
「あら…、そうなの。」
スカイが故郷の国が滅んでしまったと口にしたため、赤髪の少女は悪いことを聞いてしまったと思ったのか顔を曇らせ少し口ごもった。
「ちょっと、あんた! なんでツェルペストーと話してんのよ!」
そこへ、部屋からルイズが飛び出してきてスカイの腕を引っ張り、赤髪の少女から引き離そうとした。
「ルイズ~、この人、使い魔になってないって言ってるわよ? どういうことからしら?」
「黙りなさいキュルケ!」
「どうするのよ? 使い魔召喚の儀式が失敗したんなら、あんな進級やばいわよ?」
「失敗なんてしてない!」
「失敗している。」
「あんたは黙ってて!」
スカイが言うと、ルイズがスカイを見上げて怒鳴った。
スカイは、頑なに使い魔の契約が失敗している事実を認めようとはしないことに怒っているらしい。
進級がかかっているのなら必死になるのも分かるが、スカイとしては勘違いされたままなのはしっくりこない。
それと……。
「ルイズ。おまえ、変わったことはないか?」
「黙ってなさいって言ってるの! じゃないとご飯なしよ!」
ルイズは、スカイの言葉に答えず怒鳴り、ズカズカと廊下を歩いて行った。
しかし途中で立ち止まり、スカイの方に振り向いた。
「何してるの! 来なさい!」
「なんで?」
「授業に出るの! 使い魔も連れてかなきゃいけないの!」
「俺は、使い魔じゃない。」
「あんたがいくら否定したって使い魔は使い魔よ。いいから来なさい!」
どうやら何を言っても無駄なようだ。スカイはそう判断し仕方なくルイズと共に教室に向かった。
二人が行った後。キュルケは、何か考えるように顎に手を当てていた。
「…嫌な予感がするわね。」
彼女も何かを予感していた。
***
スカイは、ルイズに連れられて教室に入った。
教室に入った途端に、ルイズの同級生達の視線が集まる。
そしてヒソヒソと話を始める。
スカイは、五感が強化されているためほとんどのヒソヒソ話は聞こえた。
その内容のほとんどはルイズを見下すもので、ルイズは、どうやらこの学院では有名な落ちこぼれらしい。
スカイは、ルイズが使い魔の儀式の成功に固執した理由を理解した。魔法の成功率がゼロの“ゼロのルイズ”という汚名を晴らしたかったからだ。
ヒソヒソ話だけで、この世界が魔法が使えるかどうかをもっとも重要視しているのかを理解した。
「…面倒くさい。」
スカイは、そう思い口に出していた。
「ぶつぶつ言ってないであんたは後ろ。使い魔は席に座っちゃいけないの。」
「座るとは言ってない。」
スカイがそう答えるとルイズが怒りに顔を赤くしたのが、見なくても分かったがスカイは目もくれず教室の後ろに向かった。
やがて教師と思われる中年の女が教室に入ってきた。昨日見たハゲの術師に劣るがそれなりの実力者であると、スカイは思った。
「皆さん。春の使い魔召喚は、大成功のようですわね。このシュヴルーズ、こうやって春の新学期に、様々な使い魔たちを見るのがとても楽しみなのですよ。」
シュヴルーズという教師が笑顔を浮かべてそう言葉を紡ぐと、ルイズだけは俯いた。
「おやおや。変わった使い魔を召喚したものですね。ミス・ヴァリエール。」
シュヴルーズがやや苦笑いになってそう言うと、教室にいる他の生徒達が口々にこう言った。
「ゼロのルイズ! 召喚できないからって、その辺歩いてた平民を連れてくるなよ!」
「そうだそうだ! しかもなんか人形みたいに気持ち悪いし!」
「違うわ! きちんと召喚したもの! こいつが来ちゃっただけよ!」
囃し立てる同級生に向かって、ルイズが怒鳴った。
「(来ちゃったじゃないだろ。俺だって好きで来たわけじゃないんだぞ)」
『(ねーねー。あいつら気に入らないー。だから殺しちゃってもいいよね?)』
シルフが思念話で物騒なことを言って来るので、スカイは、ダメだという意味で服の中にいるシルフを服の上から手でペシっと叩いた。
『あうっ』
シルフが叩かれて声をあげた。シルフの声はよく響くため教室の人間達が一斉にスカイの方を見た。
「…変な声ださないでよ!」
ルイズがスカイを注意した。
しかしこの教室の中でキュルケだけが、声の主が誰何かを知っている。なので口元を隠して笑いをこらえていた。
そしてシュヴルーズが咳払いして、やっと授業が始まった。
スカイは、授業の内容に静かに耳を傾け、情報を集めていた。
この世界の魔法がどのような形式であるか、もととはいえ、一応神官長の器だと噂されたほどの魔法使いだったスカイは、こういう話題を好む。契約者になる前は寝るのも食べるのも忘れるほど勉強に没頭したものだと昔のことを思い出す。
しかし契約者になって感情を失って以来、もう懐かしいという気持ちやその頃何を志していたのか思い出せなくなっていた。ただ過去にそんなことをやっていたという記憶だけしかない。
契約してからというもの、契約前の自分のことは、まるで別人のことみたいになっていた。
「(土、火、水、風。四つの系統に、伝説の系統の虚無か。そして魔法はこの世界の住人達にとって生活と切っても切り離せない。だから魔法使い(メイジ)は尊ばれる。偉そうに貴族って名乗るのもそのせいか。そして魔法使いにも強さでランク分けされている。ラインに、ドットに、トライアングル、そしてスクウェア。使える系統の数で決まるとなると、俺の世界じゃスクウェアだらけってことになるな。)」
自分の世界にいた魔法を使える人間達を思い返し、スカイは、この異世界での魔法がやけに原始的で実戦向けじゃないなと思った。
そしてシュヴルーズが土の基礎の魔法である錬金を復習するということで、教壇の上にある石を真鍮に変えた。
杖を使った時の魔力の流れと詠唱を耳にし、スカイは、やはりこの世界の魔法のレベルは低いと思った。
杖なしで巨大なゴーレムを作って暴れさせたり、アンデッドを召喚する魔法使いを、戦場でたくさん見たし戦ったので余計にそう感じた。
カイムなどは、使っている武器に宿る魔法を使うという特殊な形で魔法を使っていたが、カイムは魔法使いじゃない、剣士だ。確かに杖や鈍器みたいなものは使っていたが、基本は武器を使った近接攻撃だった。杖とはいえ立派な鈍器なのだから。
自分がもといた世界とこの世界の違い。それは、魔法を使うのに貴族も平民関係ないこと。そして古い魔法の形式にこだわっており、新しい魔法の開拓が進んでいないことだ。
わざわざ使い魔を召喚し、自分に従属させるための契約を結ぶという無駄に思えてならない儀式が神聖なもので、進級試験になっているあたり、この世界の平和ボケっぷりが分かる。
スカイがいた世界での、人間じゃないものとの契約は、まさにすべての投げ捨てる命がけなんてもんじゃない、危険だが危険を冒す価値は十分ある代物だ。
スカイは、自分がどれだけ血塗れの物騒すぎる世界にいたのかとぼんやり考えた。
「では、ミス・ヴァリエール。この石を錬金で違う金属に変えてみてください。」
スカイが考え事をしていたら、ルイズがシュヴルーズに指名されていた。
途端、教室中がざわついた。
全員がやめろと口々に言っている。
ついでに机の下に隠れる者やら逃走しようとコソコソ動いてる者すらいる。
ルイズがムキになり、教壇へ行くと、杖を石に向けて、錬金を唱えた。
その瞬間……。
………何も起こらなかった。
「………えっ?」
ルイズがポカンとした顔で杖を構えたまま固まった。
身構えていた生徒達も何も起こらないことに気付いたのか、隠れていた者さえ机の下から顔を覗かせ始める。
「あれ? あれ?」
「ミス・ヴァリエール? ちゃんとルーンを唱えたのですか?」
「と、唱えました! もう一度やります!」
そう言ってルイズは、慌ててまた錬金を行った。
だが何も起こらない。
教室が別の意味でざわつき始めた。
ルイズは、焦って何度も何度も錬金を唱える。しかし何も、起こらない。教壇の上にある石に変化はない。
「あれ? あれ? あれぇ!? なんでどうして!?」
ルイズは、パニックになり頭を抱えた。
スカイは、ルイズをじっと見て、目を細めた。
「……まさか…。」
スカイは、ルイズのもとへ走り、彼女の傍に来た。
「なによ?」
ルイズは驚いてスカイを見上げた。
スカイは、ルイズのブラウスを両手でつかんだ。
「えっ?」
そして一気に両手で左右に破いた、ボタンが飛び、ルイズの肌と下着が露わになる。
「え、あ…、き…、キャアアアアアアア!」
ルイズは、一瞬何が起こったのか分からず固まったが、瞬時に現実を把握し、スカイの手を振りほどいて両手でブラウスを掴んでしゃがみこんだ。
「いきなり何をするのです!」
シュヴルーズが怒りの表情を浮かべ、ルイズを庇いながらスカイに杖を向けた。
スカイは、シュヴルーズに目もくれず、生徒達の声も無視して、ただポツリと呟いた。
「そういうことか……」
スカイは、見た。
ルイズの右胸に、自分の額にある紋章とほぼ同じ形をした痣があったのを……。
「ルイズ。分かったぞ。」
「な、なにがよ! この変態!」
ルイズは、顔を真っ赤にして怒りの表情に涙を浮かべてスカイを睨んだ。
「おまえがやった…、コントラクトサーヴァントだったっけ? あれ……、できたことは、できた…みたいだな。」
「何よ、何が言いたいのよ!」
「自分の右胸を見ろ。」
スカイは、ルイズを指さしてそう言った。
ルイズは、わけが分からないという顔をしていたが、涙目のまま恐る恐るブラウスの隙間から自分の右胸を見た。
そして大きく目を見開く。
「…な、に、これ? この…模様って……。」
「これに似てるだろ。」
スカイは、そう言いながらバンダナを外して紋章を指さした。
ルイズは、自分の右胸の痣とスカイの額の紋章を交互に見て確かめる。
「どうして? なんであんたの、それが…、私に?」
「どうやら…、コントラクトサーヴァントという魔法が、俺の契約の紋章に影響されたかして、ルイズに跳ね返ったっぽいな。」
「けいやく? なによ…、あんた…もう誰かと契約してたわけ?」
「この世界の使い魔の契約とは根本的に違う契約だ。俺がいた世界の契約は、契約を結んだ時に、大切な部分を失うというルールがあるんだ。」
「たいせつなぶぶんを失うって……、ま、まさか……。」
その言葉でルイズは、理解した。そして顔面蒼白になる。
「ルイズ。おまえは、契約の対価として“魔法使い(メイジ)の才能”を失ったんだ。だから、魔法は、二度と使えない。」
「嘘っ」
ルイズは、即座にスカイの言葉を否定しようと首を振る。
しかしスカイには分かっていた。魔法を極めていた彼には、魔法使いの魔力の流れを感じ取ることができる。ルイズが錬金をしようとした時、そこに魔力は、なかった。シュヴルーズがやった錬金の時に感じた魔力の流れがなかった。
「さっきから何度もそこの石に錬金という魔法を使おうとしていただろ? 何も起こらない。何が起こるのかは知らないが、何も起こらないということは…。」
「やめて!」
ルイズが聞きたくないと叫びながら両手で耳を塞いだ。
「もう、おまえは、魔法を使えない人間になったんだ。……大変なことになったな。」
「いやああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」
ルイズは、喉から血を吐きそうなほどの大きな声をあげ、スカイに飛び掛かった。
ルイズの細くて小さい白い手がスカイの首にかかる。
そして。
ゴキッ
嫌な音が教室に響き、スカイの首がありえない方向に曲がった。
大きく目を見開いたルイズが咄嗟に手を離すと、スカイの体は糸が切れた操り人形のように床に倒れて動かなくなった。頭がグニャリと奇妙な方向に向いた状態で。
ルイズは、両手を前に出したまま瞬きすら忘れてそのままの体制で固まっていた。
何が起こったのか、自分が何をやったのか、まったく理解できていなかった。
ルイズは、小さくて細い。
その小さくて細い手で、自分よりも年上の男の首をへし折るなどできるはずがないのだ。
だが現実はどうだ。スカイの首は、先ほど音を立てて折れ、床に倒れたスカイはぴくりとも動かない。
死んだ。
その言葉が教室中を支配していた。
「あ…。」
固まっていたルイズは、自分が不意に発した声で現実に戻り、その瞬間その場にへたり込み、自分の体を抱いてガタガタと震えだした。
「わ、わわわわわ、私……、な、んで…、そんな…そんな強く……、嘘よ…これは、夢、きっと夢よ…、こんな、こんなの…!」
ルイズは、完全に錯乱していた。
「ミス・ヴァリエール…!」
自分の手で人を一人殺したという事実を受け入れられず、ただ現実を否定して首を振る。
涙と鼻水でグチャグチャになり、周りの声も耳に入っていない。
シュヴルーズが生徒に指示を出し、他の教員を呼ばせた。
他の教員が来るまでの間、シュヴルーズは、ルイズを落ち着かせようと懸命に声をかけた。
その時だった。
「……朝はなかったのにな。」
スカイが声を出した。
その声に混乱の渦にあった教室内がまた静まった。
スカイの体から青白い炎のような物が燃え上がった。やがてそれは消えていき、むくりとスカイが起き上がった。
折れたはずの首は元通りになっており、スカイは、首を摩りながらルイズを見た。
ルイズは、ビクッと震えあがり、スカイを凝視している。
「あー、痛かった。」
「あなたは…、いったい……、死んだはずでは?」
シュヴルーズの言葉にスカイは、素っ気なく返答した。
「俺。死ねないんだ。」
スカイは、返答した後、服の前を外し、バッと自分の体をルイズとシュヴルーズに見せた。
その瞬間、シュヴルーズが悲鳴をあげて腰を抜かし、ルイズは、悲鳴すらあげることなく、床に倒れた。
ショックで気を失ったらしい。
ルイズのブラウスが少しはだけ、右胸に刻み込まれてしまった紋章が、ルイズを嘲笑うように白い肌に映えていた。
スカイは、服のボタンをとめながら、ルイズが着替えをしていた時には、なかった紋章がなぜこの場面で浮き上がってしまったのか考えた。
もしかしたら魔法を使えなくなったことを示すために魔法を使おうとしたら浮かび上がったかもしれないと考えた。
やがて他の教員たちが駆けつけ、震えあがっているシュヴルーズに事情を聴き、ルイズを保健室へ運び、スカイを連行して行った。
教室に残された生徒達は、まだざわざわしていた。
キュルケは、嫌な予感がこんな形で的中したことに頭を押さえていた。
すると青い髪の少女がキュルケのところへ来た。
「……ルイズ。魔法が使えなくなった。あの男、首が折れてたのに生き返った。」
「ほんと、びっくりよ。生き返ったのも、ものすごいびっくりしたけど、ルイズは…、なんでまた、急に。やっぱり、あの男のせいよね。」
「彼が言った。『俺の契約の紋章に影響された』って。」
「でも、メイジの才能を無くすなんて…。」
「『俺がいた世界の契約は、契約を結んだ時に、大切な部分を失うルールがあるんだ』。そう言っていた。」
「おれがいた世界って…、あの男、別の世界から来たってこと? まあ、確かに、シルフって精霊を使役してたし…、本当なのかも。」
「しるふ?」
「ルイズの部屋の前でね、見たのよ。緑色の光みたいで、声が子供みたいで。タバサ、あんた、どうする気?」
「あの人に興味がある。コントラクトサーヴァントを歪めるほど強力な契約。どんな契約なのか、知りたい。」
「……あんまり首を突っ込み過ぎるとまずい気がするけど、ルイズを助けるにはそれしかないわよね。私も協力するわ。」
キュルケは、タバサという少女と共に、メイジの力を失ってしまったルイズを助けるために動き出した。
DODシリーズの契約の対価って、よく分からないですよね。
声を失ったり、快楽といった感覚的な物だったり、魅力だったり、歌だったり…、物を食べられなくなったり…。
設定では、その人物にとって一番大切な物が無くなるとなってますが、イゥヴァルトの歌はなんとなく分かるが、カイムがどうして声だったのかいまだに分からない。まあ、主人公だから五体満足じゃないとゲーム的にアウトだったのかな?
契約の力の強大さは、おそらく一方的に使い魔の印を刻むコントラクトサーヴァントより、DODシリーズの契約の方が強いと思うので、ルイズに跳ね返ってしまったという設定にしました。
そして、契約の影響でコントラクトサーヴァントが歪み、ルイズは、DODの契約者のように大切な部分(※ルイズの場合は、メイジとしての才能)を失って身体能力が強化されました。