天元の花と茎   作:新川翔

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プロローグ

俺は決意した。

この身をもって、彼女の為に在ると。

 

───秋の始めに起きたことだ。

俺は彼女に邂逅する。

 

何も聞こえない夜、人々の生活の光に照らされ、我が家のあるマンションに帰ってきた。自身の部屋まで行き、鍵を差し込み、回す。

扉を開けると、明かりのなく暗いいつもの我が家がそこにはあった。『ただいま』も言わずに靴を脱いで鍵を閉め、電気をつけて、夕食の入ったレジ袋をテーブルに置いて、上着を脱ぐ。

とっとと夕食を済ませ、風呂に入って上がり、テレビを見ることもなく、大学の課題を終わらせる為に机についた。

 

「はぁ」

 

深呼吸か、それともため息か。俺はシャープペンをノックして、芯を出した。

終わった頃には、時計はもうてっぺんを指していた。

 

俺は一人用のベットで横になり、大きく溜息をつく。真っ白な天井を見て外からの音に耳を澄ませていた。

夜に響く虫の声が微かに耳を打ち、秋が始まったのを知らせてくれる。そういえば、家の鍵は閉めただろうか。…きっと、閉めていただろう。そんな思考の後、溜息をつく。

 

別に特段、何かあったわけではない。

今日もいつも通り大学へ行って講義を聞き、いつも通り友達と会話して、いつも通り昼食を頂き、いつも通り魔術師して魔術の研鑽……あぁ、今日は忘れていた。

結局は、ほとんどいつも通りの生活だ。だからこそ、つまらなかった。

────『何か特異的なことでも起きないだろうか』

そう考えるのも、暇が日常なこの時期らしい発想だろう。きっと、あと少し経って、仕事に就いたりでもしたら、忙しい日々にそんな願いも考えなくなる。

 

そこで、俺は瞼を閉じた。誰もいない部屋に『おやすみ』と言いながら。

 

朝日が昇り、目を覚ますと、俺の眼前には、ベットのシーツではなく、床のフローリングがあった。こんな事象も、俺にとっては日常である。俺はとんでもなく寝相が悪い。起きたら、頭の向きが180度回転したり、暑くて服を脱いだり、そんなことは日常茶飯事だ。おおよそ、ベッドを転がり続けて転落したのだろう。

冷たい床に手を当てて、重い寝起きの身体を起こす。

壁に掛けてある時計は7時ちょうどを刺していた。閉めていたカーテンを広げ、体内時計を調節し、窓を開けて、朝の空気を1日を過ごすというルーティンを繰り返す………筈だった。

 

「すぅ…すぅ…すぅ…」

 

俺のベットで誰か寝てた。しかも、女性が。しかも、美人。

 

「えぇ……」

 

驚きすぎて引いた。

その女性は、気持ち良さそうに俺のベッドを占領している。取り敢えず、起こすしかあるまい。俺は恐る恐る彼女の肩を軽く叩く。しかし、反応が薄かった。少し唸っただけである。

 

さて、どうしたものか。

よし、ほっとくか。

 

怖いのだ。正体不明の相手には、手の出しようがない。というか、このまま放っておくのが無難のようにも思えた。

だから、これは戦略的撤退……いや、ただの逃げだ。

俺は充電していた自分の携帯持ち、リビング兼ダイニングに移動した。飾ってあるいくつかの絵画に一瞬だけ目を通しながら、テレビのリモコンにスイッチを入れた。朝のニュースが流れているのを背に、朝ご飯の準備するために、冷蔵庫を開けた。

中身を確認するが、なんもない。

次に冷凍庫を開けると、沢山の冷凍食品があった。スパゲッティ、チャーハン、たこ焼き等。しかし、これらは朝食べるには重すぎる。故に今日の朝ごはんはカップうどんとなった。

電気ポットに水を入れ、スイッチを入れる。ニュースでは、『事故による大型ビルの建設作業中止』について報じていた。

カップうどんの蓋をビリリと開ける。

すると、ドアがバキリと鳴る。

 

「これは、うどんの気配!?」

 

先ほどまで俺のベットを占領していた女性がとんでもない速度でやってきたのだ。

 

「あ、えっと」

 

驚きで言葉が詰まってしまう。驚愕のあまりそのまま彼女を見つめていると、すぐに彼女と目があった。

 

「あ、君!昨日は寝床を貸してくれてありがとう。とても寝心地良かったです!」

 

「あ、ど〜も………?」

 

彼女はベットを開けていたのは、寝相が悪かっただけだということを気づかなかったったのだろうか。

いや、普通は気づかない。

 

「あ、寝起きにうるさくてごめんね。うん。自粛します。で、それってうどんよね?」

 

「うどん…ですけど」

 

やっと脳が覚醒した頃、この女性は只者じゃないことに気付いた。

彼女の持つ魔力や浮世離れした服装。これはヒトじゃない。人型の魔力の塊だ。

これは、噂に聞くサーヴァントというものだろうか。とある地方都市で行われるという儀式、聖杯戦争に用いられるという最上級の使い魔。俺の知りうる知識の中で、人の姿でこれほどの魔力を持つのはサーヴァントしかいなかった。

 

充実した設備さえあれば、聖杯なしでも英霊の召喚も可能かもしれないが、俺は英霊召喚なんて芸当は出来っこないし、彼女と俺の間に使い魔としての繋がり(パス)は一切感じられない。よって、彼女と俺は魔術上では、何ら関係ない。

彼女はそんな思考など知らずに話を続ける。

 

「それが朝食?」

 

「まぁ、はい」

 

俺は眠気の覚めた目で改めて彼女の全体像を見た。やはり、美人であった。薄紅色の髪を持ち、綺麗な面持ちで、袖のない藍と赤の着物を着ている。俺は彼女を誘導して食卓の椅子に座ってもらった。心臓が脈打って体の中で反響する。さて、俺は平生を保てているだろうか。なんだって、こんなことは全く予想していなかったのだ。どうやら、こちらに危害を加えることはなさそうなので、ひとまず安心する。しかし、緊張は俺の身体をがんじがらめにしていた。

 

「出来れば、私の分もよろしくお願い出来ますか?」

 

「……分かりました。作りましょう」

 

それでも、胸中の困惑の中に僅かな喜があった。非日常に心が躍るのも、まだ幼さが残っているからだろうか。思わず軽く頰を緩めた。

 

「あ、私の名前は宮本武蔵。よろしくね」

 

「ハァィェァア!?」

 

また驚いた。もう驚きたくないくらいに驚いた。

驚いた俺の反応を見て、彼女は少し悲しそうな表情で口を開く。

 

「まぁ、でも本来の宮本武蔵じゃないんだけどね」

 

「それって、どういうことですか?」

 

電気ポットがお湯を沸かす短い時間の間に問うた。それも、正体不明な彼女についての情報を得ておきたかったからだ。だから、彼女に対する疑いの気持ちは一度、胸の奥に封じ込めて、彼女と質疑応答することにする。

 

「確か、私の出身が本来の歴史じゃないそう。で、何故か私はその世界から飛び出しちゃって、色んな世界を回っているって感じ」

 

本来の歴史じゃない。つまりは剪定事象からの出身か。

剪定事象、ありえない並行世界。ならば、本来は男である宮本武蔵が女であることも有り得るのか。しかし、世界から飛び出して、他の世界を飛び回るなんてことは信じられないと言いたい。

言いたいが、もしそうだとしたら、勝手に俺の家に侵入し、寝床を占領したことが、かなり強引ではあるが説明できてしまうので信じるしかない。

 

「なるほど、そうなんですね。納得です」

 

「え!?信じるの!?」

 

「信じるしかないって感じです。そんな剪定事象が存在しないなんて事は言えないですし。まぁ、世界を飛び回っているなら、鍵を締めたはずの俺の家に不法侵入出来たのも、説明がつかない訳じゃないですから」

 

「そう、なら良かったわ。普通は信じてもらえないし…」

 

ぼやいているような声で彼女は言った。

それにしても、不法侵入し、寝床を奪ったことは謝らないのだろうか。

 

「それは残念でしたね……あ、お湯湧いた。早いな」

 

俺は朝うどんを二人分調理して、四人用のテーブルに持っていった。その後、別の部屋に置いてある予備の椅子も持ってきて彼女と対面する形で座る。うどんの汁の優美な香りが鼻腔をついた。

 

「で、この世界にはどの位居るおつもりなんですか?」

 

「それがね。私にも分からないの。滞在する期間もいつもバラバラで……やっぱりうどん美味しい」

 

食べるのか、喋るのか、はっきりして欲しい。

俺たちは朝陽を浴び、朝食を取りながら会話をする。二人分の声と麺をすする音が部屋の中でするだけで、心が弾む。テレビの音だけしかしない朝がこれほど素晴らしいとは思わなかった。

 

「それじゃあ、ここ周辺を案内しましょうか?」

 

「うん、お言葉に甘えさせて頂きます!ありがとう……そういえば、君の名前は?」

 

彼女の美しい笑顔に見惚れてしまう。あまり女性とのコミュニケーションに慣れていないので、一々黙ってしまう自分に嫌気がさす。

数秒固まった後、答えた。

 

京洛(けいらく)ね。結斗(ゆいと)君ね」

 

彼女は俺の名前を確認し、少し俺も見て。

 

「ありがとう。結斗君」

 

初っ端から名前呼びだった。異性から呼ばれるのは全くもって慣れないので、少し怖じける。

 

「宮本さん。よろしくお願いします」

 

そう、言い返すと、彼女は顔をしかめた。何か不都合そうに口をへの字に曲げている。何か失礼なことでもしてしまったのだろうか。

 

「宮本さんってなんかむずがゆいなぁ。気軽に武蔵って呼んで」

 

彼女の言葉に成る程、と納得する。だが、異性との会話に慣れていない俺には、女性を名前で呼び捨てにすることなんて出来ない。せめて、さん付けで精一杯だ。

 

「…武蔵さん。でいいですか?申し訳ないです」

 

「む…さん付けできたか。まぁ、いいわ。出来ればもう少し砕けて欲しかったけど」

 

「慣れたら、変えます」

 

「おーけー」

 

彼女はそう言うと汁を飲み干し、手を合わせた。

 

「ご馳走様でした」

 

驚異的なスピードだった。

彼女は少なからず3分以内にうどんを完食していた。出来るより早く食べるとは、一体どういうことだろうか。食事を終えた彼女は席を立ち、キッチンの方へお椀を持って行った。

 

「ここに置けばいいの?」

 

「お願いします。そういえば、服はどうしますか?」

 

「あぁ、お召し物?確かに時代に合わせなきゃね。…この時代って多分、21世紀よね?」

 

「そうですけど…」

 

「それじゃあ、ちょっと待ってて」

 

彼女は俺の寝室に入っていった。どうやら、着替えるらしいが、勝手に俺の部屋を使わないで欲しいと思うばかりで在る。それでも、もう言っても遅いので、ここで待つことにした。

その間に俺はケータイで大学に休む旨を一報して今日の天気を確認する。概ね晴れ、気温も丁度いい。多少風が強いが、絶好のお出かけ日和だった。

 

「お待たせ。ごめんなさいね。君の部屋を借りちゃって」

 

「構いませんよ」

 

しばらくすると、彼女が現代風の服装に袖を通して戻ってくる。

赤い長袖の肩出しニットに踝が見えるくらいの長さの藍のジーパン。随分と着こなしているため、昔の人とは思えない馴染みようだった。見惚れて身体が固まる前に俺は視線を下に落として自分の着替えを取りに行った。

8時半頃、歯も磨き、身支度を整え、玄関に立った。彼女は刀を袋に入れ、バックパックを背負い俺の後ろに立っていた。靴の先を叩く音だけが聞こえる部屋に彼女の声が発せられた。

 

「…その…ご両親は?」

 

「……数年前に、事件で」

 

「…それは、残念ね。…ごめんなさい。嫌なこと聞いちゃって…」

 

「大丈夫ですよ」

 

風で少し重くなった扉を開ける。外から流れる風はどこか乾いていて、背筋を少し震わせる。朝方だからなのか、肌寒い。まぁ、発達した昨今の天気予報もたまには外れるだろう。俺は武蔵さんが出てから、その扉の鍵を閉めた。

 

俺が住んでいるのは、都心周辺にある住宅地に囲まれた全六階のマンションだ。この地域は都心の周辺であるので、出勤する人達が沢山住んでいる。距離は電車を使って30分足らずで到着する程だ。

その都心には、オフィス街だけでなく、大型デパートや家電量販店、娯楽施設が一通り揃っており、やろうと思えば、一日中遊べるだろう。俺たちは電車で移動し、動き始めた都会へと足を踏み入れた。平日故のせわしなく動く人波の中、ポツンと取り残されている。彼女は目を輝かせていた。好奇心が刺激されているのか、口が少し、笑っている。

 

「それじゃあ、案内よろしく!」

 

彼女は俺に美しい笑顔をこちらに向けてきた。

 

「分かりました」

 

俺は案内役にはやや心細い声で答えてしまう。

 

 

俺は夕方にかけてこの街を紹介して回った。夕方といっても、もう、空の殆どは闇に染まっており、あと数分で夜になるくらいには遅くなっていた。

西の空はオレンジ色に染まり、東の空は闇に溶けている。俺はこの街を紹介するついでに彼女から彼女の旅のことについて聞き出していた。

彼女の話を聞くからに、世界を超えて旅をしているのは本当のように思えた。彼女の語る冒険譚は奇想天外でとても嘘のものではないと思えたからだ。

さらに、話の内容から彼女の人物像というのも見えてくる。

簡単に説明すると、基本的に非人間であるが、世話焼きな番長剣士といったところだろうか。

俺は彼女の物語に興味が湧いたので、まるで記者のように彼女を質問攻めにしてしまう。だが、彼女も別に嫌そうではなかった。きっと、自身の旅の話をする機会が少なかったのだろう。どこか彼女は嬉しそうに見えた。俺は気になった所を容赦なく質問していくのだが、ふと失礼な質問をしてしまった。

 

「旅って寂しいですか?」

 

その時は、それが失礼なものだと気付くのに数秒を有してしまった。寂しいはずに決まっている。

道先を指定できないということは、分かり合えない人とも出会うことは沢山あっただろう。天変地異の自然災害にも遭遇したこともあるだろう。一人で旅をしていたのならば、自分のことを支えてくれる付き人もいるわけがないのだ。さらに、彼女は一度行った世界線にはもう2度と行けないらしいので、いつか彼女は全ての世界線に見捨てられて、何もない終着点に向かってしまうのではないのだろうか。

俺は恐る恐る彼女の顔を伺う。

「まぁ、寂しいけど、別に落ち込んだりはしないわ」

 

俺の心配を切り捨てて、彼女は素っ気ない顔でそう言う。

 

「うん、まぁ、最後にもしかしたら、っていう不安がないわけじゃないし、一人旅は寂しいけど、その分楽しいことも結構あるものよ。結末を見て落胆するよりは、過程を楽しんだ方がいいじゃない?」

 

確かに、その通りだ。俺は彼女が急に長く喋り出したのに少々驚きながら納得する。

だが、世の中にはその意見に対する反論が存在する。

 

「でも、世の中結果が全てですよ」

 

俺はどこか彼女を試すつもりで聞いていた。勿論、自分が人を試せるような立場の者ではないことは十分に承知している。しかし、試さずにはいられなかった。

俺は自身の人生についての問題を遠回しに彼女へ相談していたのだ。

 

「確かに結果的には、なんていう言葉もあるけど、それは客観的な視点によるもの。

そして、人生は感情論で主観的なもの。主観がやり遂げたって感じられればいいのよ。『終わり良ければ全て良し』ってやつね。

だからって怠けるのもどうかと思うけど、悲しい最期でも、恐れず、欲張りに、楽しく、自由に生きていければ、きっとそれはいい一生な筈。()()()()()()を繰り返しているよりは十分にマシじゃない?」

 

俺はこの言葉でハッとした。

つまり、俺は空虚で陳腐な生活に嫌気がさしていた筈なのに、そのルーティンから抜け出すのをどこかで怖がっていたのだ。俺には線路から脱線する欲が無かった。『何か特異的なことが起きないだろうか』なんてよく考えられたものだ。

 

「武蔵さん」

 

俺は立ち止まった。

この瞬間だ。俺が決意したのは。俺は彼女の思想に心底惚れてしまったのだ。

俺は両親が死んでから、ただ生きることを目指とした為に、なんの変哲のない毎日を過ごすことになった。それが悪い訳じゃない。安泰という言葉は後ろ向きの言葉では決してないからだ。きっと安泰な生活を送れば、その生き方に合った最期が迎えられるに違いない。それも悪いことじゃない。

だが、この俺には、安泰な最期など()()()()()()()()。最期は破滅であると定義されているからこそ、中身を求めるべきなのだ。滅びに怯えてなどいられない。彼女の言葉が、俺のトリガーと成る。

そして、思った。それはふと湧き出た本心だった。

───彼女から最も近い距離彼女の生き様を見たいと。

 

「『師匠』って呼ばせて下さい」

 

自然に言葉は出ていた。心からの本音が腹の底から込み上げて、口から吐き出される。俺は深々と頭を下げた。この際、周りの人のことなど関係ない。

俺は、彼女の考え方に惚れたのだ。数秒した後に顔をゆっくり上げると、彼女は固まっていた。

 

「えっと、その、良いの?なんで?」

 

俺はふと浮かんだ言葉を口にする。

 

「貴方の…考えに惚れたからです」

 

すると、彼女は急に慌て出す。

冷静だった面持ちを崩して、ふためいている。

 

「ほほほほほほ!惚れっ!?え!本当に良いの!?」

 

彼女が聞き返した瞬間、恥ずかしさが爆発した。自身が言った言葉を省みたのだ。

気持ち悪い。普通、惚れたなんて言うかこのアホ。

 

「あ、貴方の考え方に惹かれたってことです!」

 

俺は同じ旨の言葉に言い直した。

本当に申し訳ない。誤解を招く表現というのは本当に恐ろしい。

俺はすぐさま表現を訂正し、彼女を説得した。背中に冷や汗が垂れる。その気持ち悪い感触を俺はとても不快に感じた。

だが、ここで疑問が湧く。俺は確かに『考えに惚れた』と主語を明記していたはずである。なのに彼女は、この剣豪『惚れた』という言葉に過剰反応したのだ。

彼女は気を取り直すかのように一度深呼吸をして、口を開く。

 

「それで、弟子になりたいんだっけ?…うん、分かったわ。君を弟子にとります!」

 

「え?」

 

あっさりすぎて拍子抜けした。

この決断の早さ、尋常じゃない。そういえば、本来の宮本武蔵は後進の教育に熱心だったという。そこは彼女も同じということだろうか。

 

「でも、師匠呼びはやめてね。恥ずかしいから」

 

彼女はそう付け加えた。やはり、彼女は自身に対して堅苦しい言葉をあまり良いとは思わないらしい。上の者に丁寧な言葉遣いを敢えてしないのは慣れないが、時間をかけてゆっくりとそれに合わせよう。

 

「これからよろしくね。結斗君」

 

「よろしくお願いします」

 

俺たちはまた歩き出す。

だが、呪いは俺の命運を絶望に蝕み始めていた。




どうも、熊之助です。
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次回の更新は25日0時を予定しています。
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