ツッコミどころ満載ですが、軽い気持ちで読んでいただければ幸いです。
それと、短編でありながらショートショートです。
最近になって、工藤新一が学校に来なくなった。幼馴染の毛利蘭さんが言うには、難事件を解くために暫く学校を休むとのこと。
学校舐めとんのか。
思ったが口にはしない。席が前後ということもあって、それなりに仲の良かった間柄だ、普通に心配だってする。
今の発言だって、それで進路は大丈夫なのかという意味で他意はない。
まあ、そのうちひょっこり帰ってくるだろうし、その時は変わらずに接してやろうと思う程度には、俺も工藤のことを気に入っているのだ。
☆ ★ ☆ ★ ☆ ★
父親の誘いで、やって来たパーティー会場。
アメリカの有名な女優、クリス・ヴィンヤードとか、その辺りの有名どころが集まるような場所にどうして俺がいるのだろうか?
うまい飯が食えるという言葉に騙された俺がバカだったよ。やっぱり裏がありやがった。
何でも元々は父では無く別の人宛だったのが巡り巡って父に来たらしい。
そんな招待状を誰かに渡す人も人だが、それを受け取って出席する父も父だ。肝が座りすぎていてちょっと引く。
そして俺を巻き込んだことは絶対に許さない。
とは言ったが、所詮俺のような一介の高校生何ぞを見ている人もいないわけだから、肩身は狭いが結構楽だ。飯がうまい。
母さん用にタッパーに入れていくつか持ち帰ろうかな?流石にマズイか?
なんて考えながらウロついていたら、俺と同じくこの場では少し浮いている少年少女がいた。
これ幸いと声をかける。
少女は警戒して少年の後ろに隠れ、少年はえ?なんでお前いんの?って目で俺を見た気がするが気にしない。俺がこの場にふさわしくないのは俺が一番知ってる。
自己紹介をしたところ、少年は江戸川コナン、少女は灰原哀というらしい。因みに俺の自己紹介は却下された。なんでや。
なんでも江戸川くんは毛利さん家に居候しているらしく、また工藤の親戚というのもあって俺のことを知っていたのだとか。へー。
他にもいくつか会話したあと、流れで一緒に行動することになった。正直、ちょっと肩身狭かったから嬉しい。
さて、時折子供二人が好きそうな食事をとってあげたりしながら時間を潰しているのだが、なんか視線を感じる。
俺を見ているわけではない。多分俺の足元にいる二人だ。まあ、俺と違って見た目麗しい将来有望な美少女美少年だからね。子役かなんかだと思って見てるのかな?
そう思い視線の元を辿ればそこにいたのは桝山会長とかいう偉い人。
あんな人でも子供に興味があるんだ、とちょっと失礼なこと考えて、なんとなく違和感を覚えた。
なんというか、興味本位で見ている割には目が血走ってるっていうか、かっぴらいている。
しかも桝山会長が見ているのは灰原ちゃんの方だ。
いや、別にだからどうってわけじゃない。同い年くらいの孫がいて重ねているのかもしれないし、何か思うところがあって見ているだけかもしれない。
ただ、目が血走っている。
パソコンみたいなの開いてめっちゃ検索している。
何かヒットしたのか、薄気味悪い笑みを浮かべている。
そして今度は捕食者の目で灰原ちゃんを見た。
いや、別に何でもない。
最近見た漫画で、金持ちが女子供を金で買うような悪役が出て来たな。とか、考えてない。
ああいうのをロリコンって言うのかな、とか思ってない。
ホントだよ?嘘じゃないよ?
まあ、一応。本当に念のために、灰原ちゃんの近くを離れるのはやめておくけど。
アレだよ?迷子になったら危ないよねって意味だから。他意はない。
そんな感じで、ちょっと警戒心を強めながらまた色々ウロついてたら急に人の波ができた、理由は分からないけど、なんかイベントが始まるらしい。
それに巻き込まれて江戸川くんが流されていった。灰原ちゃんはまだ近くにいる。
なんとか手を伸ばそうとして、灰原ちゃんの背後からハンカチを口に当てようとしている
蹴りを入れたのは、ほぼ条件反射。
蹴られて盛大に尻餅ついた変態を指差して、コイツ誘拐犯ですって叫んだ俺は悪くない。
後で聞いたが、事情聴取したらクロロホルム染み込ませたハンカチと、拳銃が変態の持ち物から見つかったらしい。
え?なんで現場じゃなくてニュースなのかって?逃げたからだけど、何か悪い?大丈夫、灰原ちゃんは連れて逃げたから。あれ?これじゃ俺が誘拐犯じゃ……。
☆ ★ ☆ ★ ☆ ★
母さんが借りてた本の期限が今日だったとかで、どうしてか俺が図書館まで返すことになった。
因みに両親は仲良く旅行中。お土産期待してます。
現在俺は図書館に行くためにバスに乗っている。休日だけど、結構空いてたから一番後ろの窓際に座っている。バスって基本二人席だからボッチには辛いぜ。
バス酔いしないよう窓の外見てたら、少し先のバス停にいつかの美少年美少女がお友達と、保護者であろう小太りのおじさんと一緒に立っていた。
灰原ちゃんと一瞬目があったような気がするが、まあ気のせい気のせい。仮にあったしても俺との思い出=変態に襲われたって感じで思い出しそうだから、関わらない方がいいだろう。
元気よく乗車して来た子供たちは何が楽しいのかテンションが高い。聞こえた会話から判断するに、これからスキーに行くのだろう。
子供たちは元気にスキー。俺は図書館。成る程、これが年をとると言うことか。感慨深いね。
また暫く揺られていると、次のバス停に着いた。乗車して来たのは、何人かの大人と、そして我が校の教師であらせられるジョディー先生と保健室のイケメン新出先生の二人。咄嗟に身を隠したから、多分俺の存在はバレてない。
別にやましいなにかをしているわけではないけど、教師のデートに生徒が遭遇するとか、お互いに気まずいだけだからね。隠れるのが吉です。まあ、目があっても向こうが俺を生徒と判断するかは知らんけど。
ほら、俺私服で印象変わるから。決してクラスじゃ目立たないとか、そんな理由じゃない。決してね。
脳内で言い訳を繰り返していたが、それは突然の発砲音に遮られた。どうやらバスジャックらしい。本、今日中に返せるかな。
バスジャック犯に携帯没収されて、本当にやること無くて周りをさり気なく見ていたら、お隣に座っているニット帽の目つきの鋭い男性の目が一瞬だけ細められたのが見えた。
視線の先には江戸川くんと灰原さんが座っていた座席が、窓ガラスで反射して写っていた。
まさか、ね。
そんな訳はないと思うが、なんせあの二人だ。前例はある。
勿論それはあくまでも推測だし、なんなら妄想だから、疑っているわけではない。
無いんだけど、この男性、ちょっと笑ったんだよね。それも嬉しいって言うより、危ない感じで。
前門のバスジャック犯、となりのロリコン(もしくはショタコン)、俺史上例を見ない地獄が幕を開けた。
あっ、ロリコンって言っちゃった。
バスジャックは見事失敗に終わった。なんか最後爆発したし、腰が抜けたのか取り残された灰原ちゃん抱えて逃げたら見事に巻き込まれて全治1ヶ月の大怪我をしたけど、まあ問題は無かった。
心配する両親に子供を庇ったって言ったら困った顔されたけど、まあ、見捨てるよりマシだよね。俺超頑張った。
☆ ★ ☆ ★ ☆ ★
漫画の新刊が出るらしいので、大型スーパーに自転車で買い物に来た。あんまり来ない場所だから本屋を見つけるのに少し手間取ったが、お目当ての漫画は手に入った。家に帰ったら早速読もう。
なんならこのまま昼食も食べて行こうかと食事処を見て回っていたら、なんかジョディー先生と毛利さん、鈴木さんがいた。
クラスメイトに休日に遭遇、しかも昼時は確実に気まずい。そう思い気をきかせた俺は颯爽と降りエスカレーターに乗り込んだ。
アレだよ?別に顔合わせて向こうが俺を知らなかったらどうしようとか、そんなことは考えてないよ?ほんと、気を使っただけだから。女性の園に足を踏み入れない紳士なだけだから。
ただ、焦っていたせいか、また道に迷って気づけば地下駐車場まで来ていた。
まあ、外に出ればどこも同じだし、そんなに気にせず改札まで歩いていたら後ろから猛ダッシュで少年が走って来た。ってか江戸川くんだった。
よほど余裕がないのか、命令口調だったが、要約すると人が死んでたから出入り口を塞いでおいて欲しいとのこと。
成る程、それは確かに一大事。口調の荒さは焦っていてついついそうなったのだろう。あまり気にする事はせず、言われた通り出入り口に陣取りついでに警察に連絡をいれておいた。
もしかしたら既に電話しているかもしれないけど、呼ばないよりはマシだろう。
さて、警察関係者がいっぱい来たが既に俺はお役御免だ。駐車場で俺が見たことは既に全部伝えたし、興味本位で殺人現場に居残るほど酔狂な性格でもない。大人しく自転車拾って帰ろうとして何故か小太りのおじさんに声を掛けられた。
なんでも今日この場に来たのはデパート内の病院に病人・灰原ちゃんを連れてくるためだったが病院は閉まっていて、ようやく知り合いの医者・新出先生に連絡がつき自宅で見てもらえるようになったが、車がエンストして動かないとかどうとか。それを江戸川くんに相談したら俺が自転車で来てるだろうからその荷台にでも乗せて送ってもらえと言われたらしい。
なぜ俺が自転車だとばれた。聞けば工藤が何か教えたらしい。まあ、お得意の推理だろう。もはや予知みたいになってて怖いが。
で、流石に荷台に病人はあれだから、おじさんこと阿笠さんの車にある椅子を利用して簡易的なチャイルドシートを作って送ることになった。
そこは阿笠さんがやってくれるそうなので、取りあえず俺はダッシュで薬局まで行って冷えピタとかマスクとか、スポドリとか買いまくった。途中ジョディー先生達に声をかけられたような気もするが総スルーだ。緊急事態だから仕方ない。態度悪い奴と取られても文句は言わない。
地下駐車場に戻れば既に改良された俺の自転車がそこに、既に灰原ちゃんも装備されている。流石に仕事が早い。
流石に外は寒いから汚いが俺の着ているコートとマフラーも灰原ちゃんに装着して、いざ出発。
鍵は貸してもらったし、工藤の家の隣なら場所も分かる。後ろに負荷がかからないように細心の注意を払い、丁寧に漕ぎ始める。
そう言えば、江戸川くんが新出先生には十分注意して欲しいと言ってたのはなんなんだろう?
大体十分くらいが経過して、漸く目的地に到着した。足が滅茶苦茶痛い。ペダルも若干壊れた。まあ急いでたからね、しょうがない。
玄関前にはすでに新出先生がいたのでそのまますぐに布団まで運んだ。なんか新出先生の歩みが淀みなかったが、今は気にしない。
結構複雑な阿笠さんの家で迷わず進めるってどうなのとか思ってない。多分、頻繁に来ているんだろう。家主の許可を取ってるかは知らないが。
診察が始まったので一度部屋から出る。相手は子供とは言え少女だ。紳士としての行動、大事。
だが、部屋を出る直前に見えた新出先生のあの顔。完全に獲物を見据えた目をしていたんですが。
え?違うよね?そんなわけないよね?
なんだか二人きりにすると危険な気がしたのでドア前にスタンバってわざとらしいくらいに咳き込んでやった。
新出先生が医者になった理由って……。やめよう。これはあくまでも妄想だ。江戸川くんが変なことを言ったせいだ。おかげでロリコンにしか見えなくなったぞ!
結局、江戸川くんと阿笠さん、あと何故かジョディー先生が帰って来たので俺は帰ることにした。因みに新出先生は診察以外は何もしていない。部屋から出てきた時本当に一瞬だけ苛立った目を向けてきたのは果たして俺の咳がうるさかったからか、別の理由か。前者だと信じたい。
阿笠さんにはゆっくりしていけと言われたけど、俺がここにいても出来ることないし、普通に邪魔だから帰るしかないよね。あと、真冬の外を薄着で自転車トばしたせいで…ね?
どうでもいいが、新出先生が江戸川くんを見る目も随分アレだったんだけど。何と言うか、愛おしいものを見る目だったんだが。もしかして新出先生はショタコ……いや、何でもない。
あと、阿笠さん家を出て家まで自転車押してたら駐車している車が見えたんだけど、運転席に座ってたのがいつか見たニット帽に鋭い目つきのロリコ…おじさんだったんだが、偶然だよね?
………ストーカーじゃないよね?
あ、もちろん翌日は風邪で倒れました。やった!これで新出先生と顔を合わせずに済むぞ!(ポジティブ)
☆ ★ ☆ ★ ☆ ★
父に頼まれて、父の友人の家に荷物を届けに来た。木馬荘とかいうアパートの大家らしい。…木馬って聞くとつい叫びたくなるのは俺が決闘者だからだろうか。木馬アアアアア!
地図アプリを頼りに歩みを進めること数十分、漸く見えたそこは、燃え尽きていた。なんでや。
刑事さんがいたから事情を聞いてみれば、何でも昨夜放火されたらしい。マジかよ。
取りあえず入院している病院だけ聞いたのであとは父にでも連絡しようとしたところ、急に袖を引かれた。
何気なく下を見れば何故か満面の笑みを浮かべた江戸川くんがそこに。もしかして……地縛霊?
などと冗談を言っている場合ではない。なぜここにいる江戸川くん?それによく見てみればバスの時の子供達もいるし、それと灰原ちゃんも。
なんでも、詳しく理由を聞けば大家さんの息子さんに昨日依頼を受けて今日来てみれば燃え尽きていたのだとか。
大家さんの息子か、確かミニカーが好きなんだっけ?あれ?それは大家さんの趣味だっけ?
何気なく思い出したことを呟いてみれば、なんか江戸川くんがハッて感じの顔をした。何か閃いたみたいだな。確か工藤も閃いたら似たような顔してたし。
さて、じゃあ俺は帰るか。と、今度こそ立ち去ろうとすればまた袖を引く感覚が。
まだなんかあるのかと見れば、そこには江戸川くんではなく灰原ちゃんがいた。
何やら言いにくそうに俯いているためその真意は分からないが、何かあるのは間違いないだろう。
なんだろ、ついにロリコンによる実害が出たのかな?それは俺に相談されても困るんだけど。
そう言えば、灰原ちゃんが近づいてきたことでそれを目で追ったのだろう、俺にも視線が突き刺さっているため、誰かが灰原ちゃんを見ていることに気づいた。
視線のもとを辿ればそこにはアパートの住人らしい三人の男性が。うち二人は明らかに別の方向を見ているため、こちらを見ているのは消去法的に薄目の眼鏡の男性だ。
雰囲気は知的な感じだが、いや、寧ろ勉強し過ぎておかしくなったのかな?目を細めていればバレないとでも思っているのか、ガッツリ灰原ちゃんを見ている。
どう考えてもロリコンなんだが、これも俺の被害妄想なのか……?だが近くに警察いるし一応言っておいた方が…。
少しだけ迷っていると灰原ちゃんに声をかけられた。なんだ、やっぱりこの子も気づいているのかな?
けど大人に相談も出来ないし、友達にはもっと相談できないから
と、思ったが内容は特にそんなことは無く。何故か礼を言われた。
なんの話?
聞いてみたら、色々だって。俺、なんかしたっけ?普通に覚えがないんだが。
いや、正確には灰原ちゃんと出会ったときは高確率で
とは言え子供が精一杯感謝を述べているのに、それを突っぱねるほど俺はゴミ屑ではない。笑顔で答えておいた。
……何故か例の
事件はあっさり解決した。江戸川くんが工藤みたいにかっこよく解いてみせたのだ。
ただ、問題はその後の
こいつ……まさか、灰原ちゃんの居場所を探る気か……!?
いや、もちろん俺の勘違いの可能性は普通にあるけど、でもこの人スゲー怪しいんだよ。
子供たちの中にいたもう一人の少女に向ける視線と灰原ちゃんに向ける視線が明らかに違うし。なんなら江戸川くんに向ける視線も違うし。
怪しい、怪しすぎるぞ…!
流れに乗って俺も阿笠さんの家に行くべきか…?いや、そもそもこの人がロリコンだと決まったわけでは…。だがここで帰って後でニュースで誘拐事件とか見るのも嫌だし…。
で、結局ついて行った。もともと灰原ちゃんが俺にお礼がしたいらしかったからそれを理由にした。寧ろ灰原ちゃんが理由を作ってくれた気がしないでもない。やはり彼女も気づいているのか?怯えた目でみてるし。そしてそんな彼女をみてニヤリと笑うロリコン。実害が無い以上通報しても煙に巻かれるだけか…。クッ、これが法で裁けない悪か…!
灰原さんに作ってもらったケーキは旨かった。あ、どうでもいいけど灰原ちゃん呼びは却下された。江戸川くんは爆笑してたけど本人的には気に入らなかったらしい。そしてちゃん呼びした時目ん玉かっぴらいたロリコンェ。マジで通報したい。
あと、そのロリコン(大学院生←大丈夫か日本の未来)は図々しくも阿笠さん家に住まわせろとか宣ったから110番しかけた。11くらいまで入力したところで江戸川くんに止められたから通報できなかった。ナズェジャマスルンドェス!!エドガワサン!!
その場は工藤邸を貸すということで決着がついた。哀れ工藤。久々に帰ったら壁一面に少女の写真が貼られていないことを祈ろう。
☆ ★ ☆ ★ ☆ ★
最近転校生が来た。名前は世良真純。本人曰く高校生探偵らしい。どうでもいいけど、それって職業なの?探偵だけじゃダメなの?
その世良さんだが、俺の右斜め前の座席。つまりは工藤の右隣りの席に座っている。
俺が窓側の一番後ろとかいう最高の座席だから、結構端の方だ。なぜその席にしたのかは知らないが。
一応俺の隣は一列空いてるんだよ?人数が5で割りきれないから俺の座席だけ飛び出てて寂しいんだけど。
閑話休題
そういう座席の関係もあって、世良さんはよく俺に話しかけてくる。なお、内容はすべて工藤についてだ。
まあ、同じ高校生探偵としては気になるんだろう。いいライバル意識だ。こいつは伸びるな(上から目線)
とは言え俺が知っている工藤はただの高校生の工藤だ。たまに学校で起きるちょっとした事件をどや顔で解くこともあるが、基本探偵の工藤に関して俺は知らない。
だが、そんな俺目線の工藤だからこそ新鮮味があるのか、しつこいくらいに聞いてくる。何この子怖い。
しかしそんな彼女も職業女子高校生探偵(女子高校生が職業になるかは知らない)であるため放課後は忙しいらしい。だからこのしつこい追及も放課後になれば終わるのだ。
そんなことを考えていた時代が僕にもありました。現在放課後、世良さんは俺の隣で工藤談義で一人盛り上がっております。
傍目から見ればクソリア充に見えなくもなくなくないわけでもないかもしれないが、実際甘さなんてものは微塵もない。誰かぁあ助けてー!
そんな声が聞こえたのか、突如として世良さんは黙り込んだ。もしかして俺の願いが通じたのか。そう思ったが、よく見れば世良さんの目は先ほど以上に輝いている。獲物を見つけた野生の目ともいう。
視線の先を追えば、そこには江戸川くんの姿が。
おい、まさか、お前も……!?
そんなバカな。そう思いながらも俺の経験は
そして事実として、世良さんは駆けていった。
その様は、友達のもとに走って向かう女子高生ではなく、縄張りに入った獲物に向かう、肉食動物であった。
などと軽く現実逃避をしている場合ではない。このままでは江戸川くんが危ない。
彼にもしものことがあれば、俺は両親に顔向けができないぞ。
そんなわけで俺も全力ダッシュ。
何やら自宅に来ないかと江戸川くんを勧誘している危ない女子高生と、明らかに警戒している顔つきでそれを見ている江戸川くんの間に割って入る。
何やらぶつくさ文句を言う世良さんを無視して連行する。
大丈夫、まだ高校生だから、大丈夫。
寧ろ高校生で既に年下趣味に目覚めているのはやべーんじゃねえの?
一瞬だけそう思ったが、直ぐに思考の隅へと追い払った。
大丈夫。世の中にはもっとヤベーのがいるから。うん、大丈夫。ダイジョウブナンダ。
☆ ★ ☆ ★ ☆ ★
父の頼みで喫茶ポアロに向かっている。なんかポアロのマスターに本借りっぱなしだったから返して来てって言われた。
なんで俺が、と思ったがコーヒー代貰ったから大人しく従っておいた。
喫茶店で一人コーヒーを嗜むのってカッコいいけど恥ずかしいからね、その理由を作ってくれた父には本当頭が上がりませんわ。
道中女子高校生らしい写真をにやにや眺めながらシェリーシェリー言ってる銀髪で長髪のヤベー奴がいた気もしないでもないが、きっと気のせいだ。
少し歩いて到着した喫茶ポアロ、出迎えてくれたのは噂の看板娘……ではなく金髪褐色のお兄さん。なんだろう?バイトの人かな?
案内されるままに席に着き、注文を聞いて来たので先に要件を告げた。
残念ながら今マスターは買い出しに行っていて不在だとか。その為俺はコーヒーを飲みながら時間を潰している。
バイトの人は渡しとくと言ってくれたが、ここは俺が直接渡すのが礼儀だろうと断った。
…礼儀なら父が渡せとか言わない。お互いに社会人だから忙しいんだよ。うん、そういうことにしておこう。
さて、美味しいコーヒーに舌鼓を打っているとふとバイトの人から不穏な気配を感じる。
何気なく視線を向ければ何やらテレビを睨んでいた。
因みにテレビでは今話題の歌手がアメリカに来い来い歌っていた。
そしてそれを親の仇のような目で睨むバイトの人。
これはFBIの陰謀か?日本のほうが素晴らしいに決まってる。おのれ赤井ぃぃぃ!と何やらぶつぶつと呟いているが。
どうしたんだろ?疲れてんのかな?
カランと鈴が来客を告げると直ぐに笑顔を作っていたあたり仕事熱心ではあるっぽいし、やっぱ疲れてんだろうな。顔も整ってるからもしかしたらそっち方面で面倒事でも起きたのかも。
まあ、人間色々あるしな、と自分を納得させて客に目をやれば、なんと江戸川くんがいた。
江戸川くんも俺に気づいたのか、一瞬だけ驚いた顔をしたが直ぐに笑ってこっちまで走って来た。なぜかその笑顔に恐怖を感じたが。
そのまま流れで相席することになったから、丁度持ち合わせもあるしケーキを奢ってあげた。何やら気を使われたが、なに、気にすることはないよ。
……ただ、江戸川くんにちょっと妙な視線を向けるバイトの人が気になっただけだから。
江戸川くんが視線を向ければ笑顔を見せるんだけど、ちょっと視線を逸らせば食い入るように見てるんだよあの人。
一挙手一投足まで見逃すまいとしているみたいで正直滅茶苦茶怖い。モテそうな外見なんだから女にいけよ!
だが、それに気づいていないのか江戸川くんは笑顔で俺に話しかけてくる。そしてその度に聞き逃すまいと耳を傾けるバイトの人。
なにこのカオス空間。帰りたい。
☆ ★ ☆ ★ ☆ ★
親戚の家に荷物を届けてきたら日が暮れてしまった。
しかも運の悪いことに財布の残金が行の交通費しかなかったために歩いて帰るはめになった。
距離的にはそこまで遠くないがまず間違いなく9時は過ぎるだろうな。明日の宿題がまだ残っていることを考えると正直気が重い。
両親は出張で今日は帰ってこないため迎えが呼べないのは痛いな。いっそ自転車でくれば良かった。
夜の米花町を眺めながら歩いていると、明らかに速度超過なスピードで大通りを一台の車が隣を過ぎ去っていった。
なんだなんだと目で追うと、交通事故が目の前で起きた。
マジか、やっぱ米花の夜は世紀末だな。
ふざけている場合ではないだろう。俺同様に事故現場を見ていた人間は興味深そうにそれを眺めているが、良くて野次馬、悪ければただの通行人だ。事実スマホで写真を撮っている人間はいても通報している人はいない。
正直それに苛立ちはあるが今はそれどころではない。急いで119番通報をして要件を告げ終え、次は警察に通報だと110番をうつのとほぼ同じタイミングで世良さんがバイクで人を吹っ飛ばした。
おいおいマジか。俺は同級生を通報しなければならないのか。
だが、同級生だからこそ見過ごすわけにもいかない。
俺の中の天使と悪魔が小競り合いを始めたが、それは何処からか湧いて出てきた江戸川くんに頬ずりをする世良さんを目撃するとともに終結を迎えた。
よし、通報しよう。
これは通報しなければならない。
よく見てみればあのバイトの人も大学院生もいるから一斉検挙出来るかもしれない。
これで日本も少しはマシになるだろう。
なお、結局警察が逮捕したのは吹っ飛ばされたおばさんだった。
なんでや!もっとヤバい奴おるやろ!後ろ!後ろの大学院生捕まえて!
☆ ★ ☆ ★ ☆ ★
父に連れられて家族三人でベルツリー急行とかいうのに乗っている。
なんでも都合が悪くなって行けなくなったお得意さんが、どうせならって譲ってくれたらしい。
いつも思うが父の交友関係はどうなっているんだろう?
どうせ聞いても分からないから聞かないけど。
そんなわけで俺はベルツリー急行を満喫していた。時に景色を楽しみ、時に食事を楽しみ、そしてゆったりとした空間で読書を楽しむ。
やばい、俺の休日充実し過ぎッ!
途中騒がしくなった時もあったが、ベルツリー内では推理ゲームをするらしいから多分それだろう。
ゲームに参加する気のなかったうちの家族は特に気にすることなくまったりとした時間を過ごしていた。
そう言えば、電車内を見てなかったな。
ふと思いついたので、その直感に従いちょっとした冒険をすることにした。
男は何歳になっても冒険が大好きなのだ。
いくつかの車両を見て回っているが、ほとんどの構造は同じみたいだ。
食堂車は少し変わっていたが、それくらいだろう。
何か面白いことはないのか、期待しながら次の車両のドアを開けると、軽い衝撃が襲ってきた。
なんだろうと見てみれば、尻もちをついている灰原さんがいた。凄く怯えた顔をしているが、何があったんだろう?
ふと、奥を見てみればニヤついた顔をした大学院生がいた。
こ い つ だ
俺がスマホを取り出すのと、
右手を痛みが襲い、スマホが弾き飛ばされた。
このロリコン、戦闘も出来るとかふざけてんの?
だが、だからといって逃げるわけにはいかない。目の前で子供が襲われているのに見捨てるなんて、出来る筈もない。
体育の柔道くらいでしか対峙した経験はないが、足には自信がある。
最初から戦う気はない。灰原さんを抱えて車掌のもとまで辿り着けば俺の勝ちだ。
ポーズだけは戦闘の体勢をとって、狙いには気づかせない。
どうせ隙なんて見せやしないから、無理やりこちらで作る。
結論から言えば、俺の企みは成功して失敗した。
大声出せばビビるだろうと息を吸い込んだら、予想通り焦った顔して近づいて来たからその顔面にチョコレートを投げつけてやった。ポケットに入っててよかった。
一瞬だけひるんだからその隙に灰原さん抱えて逃げて、そしたら大人の女性と出会ったから通報してくれと頼もうとして、そこで俺の意識は途絶えた。
ガスみたいなのぶっかけられたから、もしかしたらあの女性もグルだったのかもしれない。
目が覚めたのは何処かの個室だった。急いで外に出ようとしたが、火事があったとかで人の渋滞が出来ているせいで身動きが取れない。
俺一人しかいない個室はやけにだだっ広く、少女を変態から救えなかった無力な俺を責めた。
と、シリアスで終わる筈だったが、そうは問屋が卸さない。
電車が止まったので人ごみに紛れて下車していると、なんと灰原さんが阿笠さんに背負われているではありませんか。
驚いて二度見すると目が合った灰原さんに笑われた。阿笠さんには苦笑いされた。
手招きされたので近寄ると、落としていた俺のスマホを渡してくれた。
それと、あの大学院生とは鬼ごっこをしていたのだと説明された。
正直その説明で納得するのはきつかったが、そういうことにして欲しいと懇願する灰原さんを疑うのも心苦しいのでそういうことにしておく。
まあ、次に見かけたら容赦なく通報するけど。
☆ ★ ☆ ★ ☆ ★
いつもと変わらない教室、だと思ったがよく見れば席が一つ多い。また転校生でも来るのだろうか?まあ、別にいいけど。俺の隣の席はやめて欲しい。緊張するじゃん。
人もまばらに増え始め、にわかに騒がしくなり始めた教室内をボーっと眺めていると、何やら廊下が騒がしくなってきた。
何事かと視線を向ければ、まるでそれに合わせたかのようなタイミングで開くドア。
その先に立っていたのはいっそ懐かしさすら感じる端正な顔立ち。自信満々な顔で、幼馴染の毛利さんと軽口をたたき合う名探偵。まだ一年も経ってはいないのに、既に数年はあっていない気がするのは果たして何故か。ダイジョウブ、カンチガイデス。マダ、イチネンモタッテマセン。
なんか頭が痛くなったがまあいい。
迷いなく俺の前の席に荷物を預けた工藤は、また少しだけ毛利さんと話すと、大人しく席に座った。
俺から何かを言うことはない。所詮俺と工藤は席が前後程度の仲だ。有名人の工藤とクラスに一人はいる準ボッチの俺。久々に登校して周りにワチャワチャされている工藤に、そこに割って入ってでも声をかける気はない。
まああれだ、昨日まで前の席が空席だったせいでこっそり寝ることも出来なかったから学校に来てくれて嬉しい。だって寝れるし。他意は無い。ツンデレでもない。
鳴り響くチャイムに工藤に群がっていたクラスメイト達は蜘蛛の子を散らすように席に戻る。乱暴な歓迎が終わりもみくちゃにされた工藤はといえば、ふてくされたように、めんどくさそうに、それでも嬉しそうに笑っていた。多分、それは俺しか知らない。馬鹿め、後ろの席というのは意外と見えるものなんだぞ。ばれないように喜ぶならもっと周囲に気を払え。注意力が足りんのだよ。
意外な一面を見たような気がして、けど所詮俺がそれを知っても意味はない。鈴木さん辺りが知ればからかうだろうが、それは俺のキャラじゃないし。大人しく脳の片隅にでも保存して、そしてその内忘れよう。
少しだけ温かい気持ちになっていると、ドアを開けて先生と、その後ろをなんか茶髪の美人さんが入って来た。あー、あれが転校生か。
朝の挨拶を軽く済ませた先生は、少しだけ場を盛り上げて転校生を紹介した。名前は、宮野志保。誰もが見惚れるような綺麗な顔で簡潔に自己紹介を終えた転校生は、そのまま空いていた席、俺の隣の座席についた。途中工藤とアイコンタクトみたいなのとってたけど、もしかして知り合い?
これは転校生と幼馴染間で修羅場が勃発するかも。やべー、次の休み時間は急いで避難せねば。
くだらない計画を立てながら、窓の外を見る。鬱陶しいほどに澄み渡った空に興味はないが、逆をむけばあの綺麗な転校生が座ってるからね、こっち見るしかない。
まあ、どうせ俺との間になにかはない。あるとすれば工藤くらいだ。クラスメイトの男子数名は狙ってるみたいだが、うん。身の程を弁えろ(辛辣)。
「…ねえ」
「ん?」
聞こえた声に振り返りながら返事をして、そこで漸く声をかけてきたのが転校生だと気づいた。やっぱり綺麗な顔をしている。モデルでもやってんのかな?サイン……をもらう勇気はねえな。
その転校生は、ほんの少しだけ言いづらそうに視線を逸らして、けど、直ぐに覚悟が決まったのかまっすぐにこっちを見て
「あなたの名前を、聞いてもいいかしら?」
それぞれの物語。
原作24巻 アニメ176~178話「黒の組織との再会」
原作29巻 アニメ230~231話「謎めいた乗客」
原作41巻 アニメ338~339話「4台のポルシェ」
原作60巻 アニメ509~510話「赤白黄色と探偵団」
オリジナル
オリジナル
原作76巻 アニメ671~674話「探偵達の夜想曲(ノクターン)」
原作78巻 アニメ701~704話「漆黒の特急(ミステリートレイン)」
オリジナル 組織崩壊後
(主人公から見た)黒ずくめの組織
ジン:女子高生の全裸妄想してポエム作るヤベー奴
ベルモット:小学生を執拗に付け回し、電柱破壊する女子高生をエンジェルとか素面で言ってのけるヤベー奴
ピスコ:少女誘拐未遂犯
ライ/赤井秀一/沖矢昴:少女をビビらせ、その怯え顔を肴にバーボン嗜むヤベー奴
あの方:ロリショタな同胞を集めて組織を結成したヤベー奴
因みに主人公がアポトキシンの存在を知った時の反応
「ああ、ついに養殖のロリショタに手を出したか」
これは酷い
バーボン/安室透/降谷零:ピスコが少女誘拐未遂で逮捕されたと知ってファッ!?てなった人。その後女子高生にご執心のジン、小学生を守れとパワハラしてくるベルモットをみて組織に長居をするとやべーことになると察した。
なお、主人公に自分も同格だと思われていることを知ったら泣く。
世良真純:女子高生にしてすでにショタに目覚めたヤベー奴。
江戸川コナン/工藤新一:変態どもに狙われる可哀そうな子。と思われているなんて微塵も思っていない名探偵。踏み込み過ぎず離れ過ぎずな距離にいてくれる主人公のことは工藤新一時代から気に入っている。友達だと思っている(一方通行)
灰原哀/宮野志保:変態どもに狙われる可哀そうな子。と思われていることにはなんとなく気づいている。何かと助けてくれる主人公のことは気に入っている。
――ここから先飛ばしていいです――
主人公:裏設定で中学2年の時、病弱だった当時小学校三年の妹を亡くしたというのがある。彼にとって年下が守るべき対象なのはこのため。
また、僅かな動作から思いを読み取ろうとしてきたため観察眼は高い。ベルモットクラスの表情の変化を見抜けたのはこのため。ただし導き出される答えはおかしいのが玉に瑕。
両親がよく彼を外に連れ出すのは、一時期ショックのあまり引き籠ったから。それを知っているため主人公も親に感謝している。
主人公のテーマは見返りを求めない献身。
妹に笑いかけて欲しかったわけではなく、妹に笑って欲しかった。その願いが人格形成に関わり、見返りを求めないようになった。ある意味迷惑なやつ。
死にたいわけではないのに子供が危険な目に合っていれば躊躇わず飛び出すのも危険視されている。
単独行動を好む人。
因みに、実はピスコの逮捕に関わったために組織から狙われていた。灰原さんたちが主人公に近づけなかったのはこのため。
銃とかは使わずあくまで交通事故という体で殺されそうになったが、さらりと全部回避していた。車?電柱を使えば回避余裕でした。
これに対して主人公
「やっぱ米花は事故率たけーな」
などと供述しており、気づいている様子はない模様。