二周目提督がハードモード鎮守府に着任しました   作:ベリーナイスメル/靴下香

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一章之閑話
夕立のぽいぽいdays ①


「提督さーん! おはようございますっ!」

 

「ぬおっ!?」

 

 時雨と龍田さんは朝から鎮守府近海の警備でいないっぽい!

 天龍さんは昨日の夜中に警備担当だったからまだ寝てる!

 

 だから今日お休みの夕立が提督さんを起こしに来たっぽい!

 

 お休みだけど一人で居ても仕方ないから今日は一日提督さんのお手伝いをするっぽい!

 

「お、おはよう夕立……でもさ、流石に寝てる相手にダイブはちょっと……ほら俺の14cm砲の事もあるしな?」

 

「え? 提督さんも艤装を装備してるっぽい!? わぁー! 見せて見せて!」

 

 提督さんは普通の人間さんだよね? なのに艤装を装備出来るなんてすごい!

 夕立、ますます提督さんの事を尊敬しちゃいそう!

 

「これあかんやつや」

 

「あかんやつ……? もしかして股間っぽい? 股間に装備してるっぽい?」

 

 あ、これかな? 確かに膨らんでるっぽい! 

 わ、すっかり発射準備オッケーね! 寝巻き破いちゃいそうだから脱がさなきゃ! これも秘書艦のお仕事っぽい!

 

「ちょまっ!? 悪かった! 悪かったから!? すぐに着替えて行くからそっちで待ってて!?」

 

「でも夕立、提督さんの艤装が気になるっぽい~」

 

 夕立、これでも砲のお手入れは得意なんだから。

 

「じ、自分の装備だからなっ! 自分でちゃんと手入れしないと駄目だろう?」

 

「む。確かに一理あるっぽい。それじゃあ隣の執務室で待ってるね」

 

 なんだか慌ててた提督さんがようやく安心したっぽい? うーん、何なんだろう?

 

 時雨が帰ってきたら聞いてみようかしら?

 

 

 

「時雨と龍田の予定帰投時刻はヒトマルマルマルって言ってたな? 今がマルナナマルマル……三時間後か」

 

「天龍さんも皆が帰ってきたら一度起きるって連絡板に書いてたっぽい」

 

 鎮守府正面海域の制海権を確保してから、龍田さんを中心に防衛ラインの再構築、再設定に最近は忙しい。

 基本的に龍田さんが新たに足を安全に伸ばせる海域と資源分布の確認して、時雨と一日交代で夕立が龍田さんについていくようにしてるの。

 確認してる龍田さんの護衛はもちろん、資源を見つけたら一緒についていった夕立か時雨が積めるだけ積んで帰ってくる。

 

 天龍さんはそういった作業が終わるまでの間夜間警備をしてくれてるの。

 

 本格的な遠征とかはまだ出来てないけど、あの戦艦ル級が補給ポイントにしていただろう場所が見つかって、ほんとに少しだけど資材に余裕が出来たって提督さん喜んでたっ!

 提督さんが嬉しいと夕立も嬉しいっぽい!

 

「そかそか。そしたら皆で出迎えような」

 

「はいっ!」

 

 あ、えへへ。頭撫でてくれたっぽい! 嬉しいっぽい!

 

 提督さんは夕立の頭をよく撫でてくれる。

 最初から全然嫌じゃなかったけど、最近はなんだか胸もぽかぽかするようになってとっても気持ちいいっぽい。

 

 ……でも、時雨の前で撫でて貰えた後、時雨がすっごい羨ましそうと言うか、なんと言うかな視線で見てくるのが怖いっぽいぃ。

 

「しかしまぁなんだな。出撃を意識しなくなってから随分と余裕が出来たな」

 

「夕立は出撃したいっぽい~。……でもしばらく出撃しないんでしょう?」

 

 したくても出来ないけど。

 もう燃料も弾薬もすっからかんだったし。今は徐々に増えてきてるけどそれでも本当にゆっくり。

 

 やっぱり建造で戦力を増やすのを目標にしつつ、資材備蓄に務めるっぽい。

 

 そんな中でもえっと……週に一回は必ずオフの日を作ろうって提督さんが言った。

 月月火水木金金じゃないっぽい! 時雨なんかは、心配そうにしながらも昨日のオフを満喫してたっぽい! 提督さんの隣でずっとニコニコしてたっぽい!

 

「あぁ。やっぱり現在の戦力でこれ以上先に行くのは危ないだろうからな。いや、この鎮守府正面海域だったら平気だったのかって言われると首を横に振らざるを得ないんだけども。……ほんとに良くやってくれたよ」

 

「えへへ。夕立にお任せっぽい!」

 

 また撫でてくれた! も~提督さんは何処まで夕立を褒めてくれるっぽい~? 感激して涙が出そう~。

 

「ともあれ備蓄やら何やらが終わったらまた出撃してもらうさ。まだまだ先になるとは思うが次は南西諸島海域を目指すことになると思う。その時は、頼んだぞ? 夕立」

 

「はいっ! 夕立、提督さんの為にもっと強くなっておくっぽい!」

 

 うー、撫でるの終わりっぽい。

 でも怠けてられない。夕立、難しいことはよくわからないからあんまりお役に立てないけどお茶位なら時雨に教わって用意出来るからね提督さん!

 

 

 

「で、その口元についた涎はなんだい?」

 

「うぅ~つい居心地が良かったっぽいぃ」

 

 海に出てた時雨達を提督さんは一人で迎えに行った。

 ……起こしてくれてよかったのに~。

 

「あはは、うん。気持ちはわかるし、何より今日はお休みなんだから責めてもないけどね」

 

「でもでも、夕立もお出迎えしたかったっぽい!」

 

 ここに提督さんと一緒に来た時はみかん箱と薄っぺらい座布団しか無かったけど。妖精さんが作ってくれたソファーが気持ちよくてついつい寝ちゃった。

 起きた時はヒトヒトサンマル。慌てて執務室を出たら食堂に皆居た。

 

 天龍さんはもう一眠りするって言ってお部屋に戻って、龍田さんは提督さんに報告と今後の海域調査の相談。

 

 時雨もヒトヨンマルマルからもう一度龍田さんと海に出るっぽい。

 

 初めてのお休みだからなんだか調子が狂っちゃうっぽい。

 

「時雨ー。お休みって何すればいいっぽい?」

 

「そうだね。やっぱり身体を休めるのが一番なんじゃないかな?」

 

 身体を休める。

 でも夕立全然疲れてないっぽい。

 

「時雨は提督さんの側にずっといてたけど、それで身体を休められたの?」

 

「う、うん……。僕、提督と一緒にいる時が一番楽と言うか、気が休まると言うか……そ、そんな感じだから」

 

 わかるー。夕立もそうだからついつい寝ちゃったもの。

 

 ほんとに、ここは居心地がいいっぽい。

 前、時雨と一緒にいた鎮守府とはぜんぜん違う。

 

 こんなに提督さんとお話したことも無ければ、働くことも、休むことも無かった。

 

 今こうやってお休みの日の過ごし方に頭を悩ませるなんて、あの頃の夕立は思ってもみなかったろうな。

 

 不意に、白露の事が頭に過る事がある。

 

 こんな風に過ごしている夕立を見たら、怒るっぽい? それとも……呆れられちゃうっぽい?

 

 そんな事を考える。

 

 あの時沈むつもりだった夕立を提督さんが助けてくれて。

 もし、白露が沈んじゃう時の提督が提督さんだったら、白露も助けてくれたのかな?

 

 そう思うと尚更、白露に申し訳ない思いでいっぱいになっちゃう。

 

 夕立が未熟で、考え無しに突っ込んで……それを無理にフォローしようとした白露。

 

「――」

 

 あの時夕立に向かって言った言葉は未だに思い出せないっぽい。

 

 もしかしたら、恨み言だったのかも知れないし、もっと別の言葉だったのかも。

 

 よく、わからない。

 

「ねぇ時雨。今の夕立を白露が見たら……どう思うっぽい?」

 

「……白露が、かい?」

 

 そう聞いてみれば時雨は静かに目を閉じて考え込んだっぽい。

 

 ちょっと、嫌なドキドキがする。

 

 夕立より、時雨のほうが白露とは長い付き合いだった。

 その時雨が思い浮かぶ言葉なら、そうなんだと思っちゃうっぽい。

 

 恨み言ならどうしよう。

 

「やっぱり……」

 

「まだまだ足りないわ! いっちばんの幸せを目指しなさいっ! ……かな?」

 

 怖くなってやっぱりいいって言おうとしたら、時雨がそれを遮った。

 

 そして言われた言葉に目が点になる。

 

「うん。そうだね。そんな感じだね。いつでも一番を目指してた白露だから……まだまだ今の夕立が幸せには見えないんじゃないかな? 自分(白露)の事を気にしているようじゃ、ね」

 

「……」

 

 うん。そうだったっぽい。白露はいつでも一番に拘ってた。

 

 そっか。そんな風に言ってもらえるっぽい?

 

「まぁ僕にもおんなじこと言ってそうだけどね白露なら。私を気にしてる限り私を追い抜けない、なら私が一番だって」

 

「時雨にも? そっか」

 

 あぁ、思い出したっぽい。あの時白露は――

 

 ――私の代わりに一番になってね。

 

 そういってたっぽい。

 

 瞬間、瞼が熱くなった。

 

 どうにも堪えられないから、上を向いて必死に目を見開いてみる。

 

「夕立」

 

「んっ、なぁに? 時雨」

 

 すごく優しい声で名前を呼ぶ時雨。思わず溜まった涙が零れちゃいそう。

 

 そして声色を変えずに言ってくれた。

 

「頑張ろうね」

 

「うんっ……! 頑張るっぽいっ!!」

 

 頭の中で浮かんだ白露は、いっちばん良い笑顔で笑ってくれた。

 

 

 

「提督さん」

 

「ん? どうした?」

 

 今日もいつもの訓練。

 

 それが終わって、提督さんと二人汗をタオルで拭く。

 

 最近では十回やってようやく一本取れる位にはなれたっぽい。

 

 提督さんは、すごい。

 

 他の人を知らないから提督さんがどれ位の腕かとかはわからないけど、すごいことはわかる。

 

 だって、夕立が狙ってる事を尽く看破して潰してくるのだもの。

 

 時雨なら避けるかまともに受けるかするはずの攻撃。

 それを提督はわかった上で夕立の上を行く発想で潰してくる。

 

 一本取れるようになったって言ったけど、正直取らされているって気がするっぽい。

 

「夕立、もっと……もっと強くなるっぽい。ここで一番になれるくらい」

 

「どうした急に?」

 

 心配そうに顔を向けてくる提督さん。

 

 ……ほんとに、夕立は恵まれてるっぽい。

 

「ううん。思っただけっぽい。夕立が皆を守るんだからって思っただけっぽい」

 

「なんだそりゃ。だけど嬉しいよ、ありがとうな」

 

 夕立の頭を撫でる提督さんの手はやっぱり温かくて。

 

 そう。思っただけっぽい。

 まだまだ弱い夕立だから。皆を守りたいと思ったなら、皆より、誰より強くならなくちゃいけないから。

 

 だから、提督さん。

 

「これからもよろしくおねがいしますっ!」

 

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