絶対零度の熱き漢   作:ケツアゴ

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活動報告でのヒロイン投票 ただいまアーシアが僅かにリード




第十一話

 転生悪魔の昇級制度など革新的な政策が行われつつあるが、それでも悪魔社会は旧態依然が否めない。結局、力を持つのは純血悪魔、七十二柱の一族だ。だが、そんな中でもジェラの評価は高かった。

 

「……何故純血悪魔でなくハーフ悪魔として生まれたのか、と、言いたくなるよ」

 

 これは純血主義のとある貴族の言葉だ。氷と風以外の形で魔力が使用出来ず転移でさえも特殊な魔法陣頼り故に欠陥という二文字が揶揄の意味もあって付けられてはいるが、それでも歴代最強の白龍皇と称される。そして、人の身でも極めれば魔王や神すら打ち破れるという神滅具を宿す彼は十代半ばにして素の力のみで最上級悪魔の領域に足を踏み入れている事を言葉にしないまでも認める貴族は存在する。当然、純血主義の中にさえ……。

 

 

 

 

 

「……活躍のほどは聞いているのよ。ええ、とっても誇らしいと思うの。でも、流石にこれはちょっと……」

 

 そんなジェラだが、ただ今正座の姿勢にてお説教を受けている真っ最中である。冷や汗を流し大人しくしている彼の周囲の空間は僅かに歪み、偶然近寄った宙を舞う埃が鉄の塊に変化したかのように床に激突する。明らかに重力が増しており、その理由がジェラに説教している彼女にあるのは明らかだった。ジェラのお世辞にも良いとは言えない内容の成績表を片手にポプラの彫刻が施された杖の先端に魔法陣を出現させて彼を見下ろしている。

 

「あ、あの、母ちゃん。そろそろ姉ちゃんが出るゲームが始まるっすから……」

 

「あらあら、大丈夫よ。貴方なら耐えながらでも観られるわ。じゃあ、重力を更に増すわね。え~いっ!」

 

 気合いの入っていない掛け声とは裏腹に常人なら圧死するレベルにまで増大した重力がのし掛かる中、ジェラは姿勢を崩さず画面を見つめる。この状況を自分の咎として受け入れる意向の彼だが、其処にストップを掛ける声が掛かった。

 

 

「ジェネット、その辺にして下さいな。ジェラはもう直ぐ私の眷属になるのですし、他の人の目もありますのよ? 私の顔を立てると思って……」

 

 本来ならば関係者用の観覧席に向かうはずのレイヴェルだがジェラを見捨てられずこの場に留まっていた。成績に対する懲罰という親子の問題だからか黙っていたが流石にこれ以上は看破できないと言葉に強い意思を乗せて抗議する。最後に弱くなる辺り、目に入った成績の内容にぐうの音も出ないのかもしれないが。

 

 一方、ジェネットは人差し指の先を口元に当てて首を傾げて考え込む。数秒後、ジェラに掛かっていた重力は消え去った。

 

 

「もう。レイヴェル様に頼まれたら断れないわ。ジェラ、ちゃんとお勉強しなくちゃ駄目よ? レイヴェル様を支えなくちゃいけないのだから」

 

「分かってるっす、母ちゃん! 俺は生涯レイヴェル様に寄り添い支え続けるっす! 鍛錬も勉学も気合いを入れていっそう励むっすよぉおおおおおおおっ!」

 

「うふふふふ。分かってくれたら嬉しいわ。ほら、私ってお父さんと駆け落ちして家を捨てた身だから家の誇りがどうかとは言えないけど、それでもオーケアニスの血を引く冥府の名門魔術師の一族の末裔の名を……あっ、そうそう。忘れる所だったわ。ていっ!」

 

 再び呑気そうな掛け声と共に魔法が放たれる。ジェラとレイヴェル、そして術者であるジャネットの周囲にのみ何らかの結界が張られ、徐に取り出した鏡には少女の姿が映っていた。レイヴェルではなく、少々妙な感じのする彼女は鏡の向こうからジェラに手を振ってきた。

 

『ジェラ兄さん、久し振りでやんすね! ……そっちは彼女さんでやんすか?』

 

「わはははは! そうだったら嬉しいけど違うっすよ、ベンニーアちゃん。この方は俺が眷属になることにしたレイヴェル様っす。それと最近会ったばっかじゃないっすかっ!」

 

『あっ、そうっすか。どうも。自分はジェラ兄さんの従姉妹で半死神のベンニーアって者でやんす。今日は叔母さんに頼んでカーラマイン姉さんの戦いを観戦させて貰いやすね』

 

「は、はぁ。……えっと、初めまして」

 

 ジェラの発言か、はたまた少女の正体が理由か戸惑った様子のレイヴェル。従姉妹だから不思議ではないが妙に楽しそうに言葉を交わす二人を見ながら冥府の住人を観戦させて大丈夫かと思ったが、周囲が無反応なので先程の魔法の影響だと理解する。

 

「じゃあ、そろそろ始まるのでレイヴェル様は……どうかしたっすか?」

 

「……ちょっと此処で観たい気分ですの。何か不都合でもありまして?」

 

 関係者用の部屋にとジェラが口にする前にレイヴェルは正座を解いた彼の横の席に腰掛けた。ジェラの問い掛けに自分に伝えられてない事があった為か少々拗ねた様子。

 

「無いっす! 寧ろ一緒に観戦できて最高っすよ」

 

「あら、それは良かったですわね。そうそう。私、今後の……」

 

『……ジェラ兄さん、ジェラ兄さん。今度親父に黙って日本に遊びに行く予定っすけど、案内してくれやすか?』

 

 だが、直ぐに機嫌を直し微笑んだ時、ベンニーアが思い出したように提案する。会話に割って入られた形のレイヴェルが何か言おうとした時、穏やかな声が響いた。

 

「静粛に。もう試合が始まりますよ。騒ぐ子は……(めっ)! ですからね?」

 

 あくまでも穏やかで呑気さを感じるが三人は即座に画面に集中する。子供を叱るような言い方だが、何故か物騒な文字を感じ取った三人であった。

 

 

 

『ライザー・フェニックス様の『兵士』三名リタイア』

 

 ゲームは中盤に差し掛かり、リアス側は小猫を撃破されるも兵士を六名、戦車を一名倒すなど優勢に進んでいた。元々懸念事項であった人数差はジェラがレイヴェルの眷属となる予定も相まって婚約後の両家の力の上昇を危惧した者達による政治的工作、リアスの意思を尊重したい誰かの思惑も絡まって封印された僧侶と未使用の駒の分はゲームに出ていないことで大幅に縮まっていた。

 

「……ふぅ。何とか勝てそうかな?」

 

 今回、準備期間の上にこのような人数調整をされた事に憤慨していたリアスを何とか宥めるなど気苦労が多かった木場だが、部室棟の方面からライザーの陣地である新校舎に向かう途中で遭遇した三名を危なげもなく撃破。このまま一誠達と合流しようと思った時、熱気を感じ思わず飛び退く。彼の正面、新校舎がある方向から真っ赤な刀身を持つ剣を構えたカーラマインが悠然と向かって来ていた。

 

「確かジェラ君のお姉さんの……」

 

 

「……ふむ。まあ、あの馬鹿のオマケみたいに聞こえるが仕方ないか。実際、彼奴の方が生意気にも強いし、奴は奴で宿しているドラゴンの異名で呼ばれているしな」

 

 まるで煌々と燃える炎を間近で眺めているかのような熱気を顔面に浴びて吹き出した汗を手で拭いながらも目の前の相手に集中する。肌がチリチリと刺激され、向こうの景色が熱気で歪んで見える中、刀身も僅かに揺らいでいるかに見える。いや、実際に揺らいでいる。それは短剣に纏った炎の魔力であった。

 

 呼ばれ方が気に入らなかったのか僅かに眉を顰めるも直ぐに肩を竦めたカーラマインは刀身の先を木場に向け、足に力を込めて何時で飛びかかれる姿勢を取る。木場も直ぐに構えるが双方ともに相手の動きを伺っているのか動かず、カーラマインは焦れったそうに口を開いた。

 

「ええいっ! ノルマとして自分と同じ消費数の相手を撃破か撃破に貢献しろと言われて出て来たが待ちはやはり性に合わんっ! この前戦った聖剣使いはもっと突っ込んで来るタイプだったぞ!」

 

「……その話、詳しく話して貰えるかな? どっちにしろ口を割らせるけどさ」

 

 木場の表情が変化する。殺気さえも感じさせるそれをカーラマインは真正面から受け止め、未だ悠然と立っていた。

 

「……むっ。何か地雷を踏んだ気もするが……うん、何か舐められている気がして腹が立つし終わらせるか」

 

 カーラマインの足の裏が地面から離れ、木場は咄嗟に迎え撃とうとする。だが、煙のように視界から彼女は掻き消え、背後から着地する音が聞こえた。

 

 

 

 

 

「ああ、言い忘れていたな。私が考えた異名は『紅蓮剣』。この技の名と同じだから覚えておけ。それと戦った二人だが、確か青い髪の『手の平』?と栗毛のイ、イ……忘れた」

 

 必死に思い出そうと腕を組んで唸る彼女の背後で木場が前のめりに崩れ落ちる。肩から脇腹に掛けて斜めに入った切り傷からは血ではなく炎が吹き出し、服を燃やしながら光の粒子に包まれて木場は消え去った。

 

『リアス・グレモリー様の『騎士』一名リタイア』

 

「さて、ノルマはこなしたし終わるまで待つか。残ったのは全部相手にするとライザー様も言っていたしな。惚れた男の見栄を最後まで張らせるのも良い女の条件だ」

 

 遠方から聞こえる爆発と雷の音に耳を傾けながら座り込むカーラマイン。何時しか眠りこけていた間、リアス側に回復役が居ないので秘薬を持ち込まなかった女王がやられ、最終的に譲渡の能力で強化されたリアスと朱乃によってライザーが倒されてしまった。

 

 

 

 

 

 

「……あらあら。惚れた相手に見栄を張らせるのは大切だけど、其れで油断して負けたとか仕方のない子ねぇ。ちょっとお仕置きしないと」

 

「か、母さん勘弁してくれ……」

 

「あっ、勿論ジェラもよ? 久し振りに二人揃って叱ってあげるわね」

 

「ぎゃー!? 母ちゃん、許してっ!」

 

 ゲーム後、こんな親子のやりとりがあったとか無かったとか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……よう。久し振りだな。ちぃーっと頼みがあるけど良いか?」

 

《うへへへへへへぇえ。久し振りじゃねぇかぁ、ラタトクスゥウウウウウウ。まぁた悪だくみかよぉおおお》

 

 その頃、ラタトクスはとある龍の前に立っていた……。




感想 活動報告の意見お待ちしています

私、前大量に作品消したしたじゃないですか。ある方のコメントが堪えたんですが・・・・今日ふと違反者一覧見たらその人がいました うん、少しだけすっきり

アカウントの重複だとか 
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