絶対零度の熱き漢   作:ケツアゴ

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さてヒロイン本当にどうしようか…… 




第三話

「なあ! あの化けモンは一体何なんだよっ!? ってか、何処に連れて行く気なんだっ!?」

 

 バスの一件から続く異常事態の連続に性欲以外はごく一般的な一誠は耐えきれず困惑しながらもジェラに付いて夜中の学園内に入り、普段は用が無い旧校舎へと進んでいく。怪談物の舞台になりそうな軋む廊下に古めかしい通路、ビクビクしながら進んだ時に我慢できずに問い掛ければ人の良さそうな明るい笑顔を向けられた。

 

「大丈ー夫! 兵藤の疑問にはぜーんぶ答えてくれる人がこの奥に居るっすから。あっ、でも同じ種族だし見た目で差別は駄目っすよ? 人間で言うなら肌の色とか目の色で差別するのと同じっすからね。入るっすよ、リアス様ー!」

 

「種族? ってかリアス様!?」

 

 歯を見せて快活に笑いながら親指で指したのは廊下の奥の一室、中から誰かが居るらしく物音が聞こえてくる。ジェラがノックすれば中から扉が開いて正面に置かれたソファーに座る紅い髪の少女。一誠の朧気な記憶が克明に蘇る。死の間際、自分の前に現れたリアスだ。

 

 ジェラの発言に対する驚きや疑問は目の前で微笑む少女によって掻き消され、先程言われた全部教えてくれるというのがリアスの事だろうと理解した。

 

「ご苦労様、ジェラ。紅茶でも飲んで行くかしら?」

 

「お気持ちだけ頂いて帰るっす。今夜は撮影があって。料理長が録画したタイトルマッチも観たいっすし。……いやー、憧れるっすよねっ! 俺も将来的には出たいっすけど……じゃあっ!」

 

 夢を語る純粋な少年の表情で憧憬を語ったジェラは腕時計に視線を向けて慌てて掛けだしていく。その背中にリアスの背後に立っていた朱乃が呟いた。

 

 

「皮肉な話ですわよね。ゲームで活躍するには力が必要で、その力を付けすぎたから出場権が手に入らないなんて」

 

「私も彼のことは昔から知ってたし、出来れば加えたかったわ。……あっ、ごめんなさい。じゃあ兵藤君、何から話しましょうか? 先ずは座ってちょうだい」

 

 促されるままに座る一誠。未だに混乱覚めやらないが、どうしても尋ねずにはいられない。拳を震わせて握り締め、やや前のめりに身を乗り出した。何時もの彼ならリアスの胸や太股に視線を送るが今は浮かぶ疑問への探求心がそれに勝った。

 

 

 

 

「俺に何があったんですか? あの女は誰なんですか? 松田は、他の人達は……どうして殺されたんですか?」

 

 悲壮さすら感じさせる表情で問い掛けるが、薄々気付いていた。あの女が言った言葉から分からされて、無意識に否定して考えないようにしていた。

 

 

 

 

 

「もしかして俺が狙われて巻き込まれたんですか……?」

 

 どうか否定して欲しい、一誠の顔はそう語っていた……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……三人共、分かってるわね? 私達にはこれしか道は無いのよ」

 

 一方、町外れの廃教会にて一誠を狙った女、堕天使レイナーレが側近の堕天使達に思い詰めた顔で語っていた。視線を向けたのは起死回生の可能性である少女。元々は飛躍の道具であったが、今は最後の希望となっている。

 

「……道に迷って到着が遅れた時には焦ったな。ミッテルトが偶々見掛けたから良かったが……」

 

「とんだノロマだったっすよ。ウチが案内する時も周囲をキョロキョロ見回して、怪我した餓鬼に神器を使おうとした時は焦った焦った」

 

「……閉じこめておくべきでは? 連れてきた人間共もあのイカレた奴以外が帰ってしまいましたし……」

 

 ドーナシークやカラワーナ、ミッテルト、この三名の堕天使もレイナーレ同様に追い詰められている様子。焦燥と苛立ちを込めた視線が向けられたのは八つ当たりでクシャクシャにされた新聞。先日のバス事故についてバス会社の運営体制に何か問題があったのではとの憶測や……軽傷で済んだ生存者が一人いる事が記事にされている。あの状況で軽傷で済む奇跡の確率の低さも理解しているし、ネット上の無秩序さが唯一の生存者の個人情報を無遠慮に曝している。

 

 

 

「大勢を犠牲にした上で任務失敗。帰り次第処分を受ける様にとの勧告が来るなんて。この町に白龍皇が居るから万が一で揉めないように町の外で始末するって指令だったけど……このまま帰ったら私達はお終いよ。何とか虚偽の報告で誤魔化せる間に……」

 

 まだ運は尽きていない、と、四人は再び少女の部屋に視線を送った……。

 

 

 

 

 

 

 

「ふははははははっ! これで終わりだ、忌々しい魔法少女よ。我が新技で逝くが良いっ!」

 

 高い場所に立ち、龍の飾りをつけた白いマントに目元を隠す白い仮面を付けたジェラが大業な動きで両手を左右に広げれば視線の先、氷の兵隊達と戦う女の周囲に霧が立ちこめる。魔法少女を思わせる服とステッキの彼女の周囲に漂うのは霧ではなく、霧よりも細かい氷の粒。遙か上空、雲の中でしか存在出来ない大きさの氷は周囲に広がり、少女が戸惑った様子で周囲を警戒すればパチパチと何かが弾ける音が響く。同時に数ヶ所で何かが光った。

 

「まさか雷雲を地上で作り出したというのっ!? そんな馬鹿なっ!?」

 

「正解だ。では、褒美に死を贈ってやる。アイスボルトォオオオオオオオオオオオッ!!!」

 

 大きく広げた両腕を技名と共に前に突き出せば氷の衝突によって生じる静電気の量は一気に膨れ上がり、氷の霧は少女を包むように密集する。高密度に蓄えられた雷電が一気に解放され地面さえも砕きながら周囲を明るく照らした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやー! どんなのかなって思ってたけど凄い技だったよ、ジェラちゃん! これは放送が楽しみだね」

 

 非常に明るい話し方で台本片手にジェラに話し掛ける少女こそ魔王レヴィアタン。今回は彼女の趣味を兼ねた番組『マジカル☆レヴィアたん』の撮影に来ていた。因みにジェラの役は今のシーズンの敵である四天王最強の男ブリザードジェネラルだ。

 

「でもでも、本当に良かったの? お仕事とか修行とかで時間使うのに人気が出たからって出番増やしちゃって……」

 

「大丈夫っすよ、レヴィアタン様! 寧ろ撮影は魔王クラスと本気で戦える貴重な機会なので感謝してるっすっ!」

 

「そう? なら良かった~」

 

 このレヴィアタン、名をセラフォルーと言ってソーナの姉であり、ジェラからすれば主家の長女。そんな彼女が少し気にした様子で尋ねれば本当に大丈夫だと笑って返す。セラフォルーも安心した様子でジェラの隣の椅子に腰掛ける。今はスタッフが荒れすぎた撮影現場の修繕に追われていた。

 

「それにしても本当に強くなったね! 私の空いてる枠に入れたかったけど駒が足りなかった程だし。……あのね、転生悪魔の貴族から養子縁組の話がきてるんだけどさ……どうする?」

 

「うーん、断っていただいた方が助かるっすけど、レヴィアタン様の命令なら従うっすよ? 俺、シトリー家には父子共々お世話になってるっすし、だから関係する家の中から主を捜してるんっす!」

 

 少しだけ不安そうに提案するセラフォルーだが、杞憂だとばかりに意志を伝えるジェラ。明らかに彼女はホッとした様子だ。

 

 

「うん、分かった! じゃあ今後も色々甘えさせて貰うけど大丈夫だね?」

 

「勿論っすっ! 漢なら恩人の為なら例え火の中、水の中! どんな命令もこなしてみせるっすっ!」

 

 嬉しそうに笑うセラフォルーと胸をドンッと叩いて歯を見せて豪快に笑うジェラ。二人が話していると整備が終わったとスタッフが呼びに来る。今夜の撮影はまだまだ続くようだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あっ、師匠が言ってたんすけどリアス様の新しい眷属が赤いのらしいっすよ? まあ、俺は師匠や先輩達の信念に乗っかって安易に争うんじゃなくて、自分の信念の為に必要なら戦うって決めてるっすけど」

 

「い、いきなりだなぁ。でも、アルビオンは別に良いの? やっぱり愛弟子が可愛い?」

 

『……愛は余計だ。それに此奴はそっちの方が力を発揮する。……半減に対するポリシーも理解できるしな』




活動報告で募集やってます 今回技が出ました

感想お待ちしています 前回のは明日書きます
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