絶対零度の熱き漢   作:ケツアゴ

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うーん、昨日は感想少なくて残念 今回も会話が主です


第六話

「正真正銘、これで最期だぁあああああああっ!」

 

 この日もマジカル☆レヴィアたんの撮影日。ブリザードジェネラルとの最終決戦を拡大スペシャルで行うとあって撮影に熱が入っている。

 

 凍らされた地面から伸びる氷の足枷によって拘束されたセラフォルーの上空に出現したのは氷山と呼ぶべきサイズの氷塊。もっとも面積が広く鏡のように平らで輝く面を下にして、山頂に経つジェラ演じるブリザードジェネラルの風の魔力を推進力にして圧殺せんと迫っていた。

 

「……負けない! 私はこんな所で負けないんだからっ!」

 

 ステッキを上空に向けセラフォルーは渾身の魔力を放つ。属性は氷。高速落下する氷山の勢いに触れた瞬間から砕かれるも勢いは上がり続け、やがて衝突面に罅が入る。

 

「何だとっ!?」

 

 ほんの僅かだが、其処から内部に進入したセラフォルーの魔力によって氷山は内部から砕かれ、散らばった状態で氷結されていくではないか。そしてついに山頂部分を貫いたセラフォルーの魔力がジェラを飲み込んで天高く昇っていった。

 

 

 

 

 

 

「いやー! 流石はセラフォルー様っすねっ! 同じ氷の魔力使いとして非常に参考になるっすっ! 新技も思いついたし、この仕事受けて良かったっすっ!」

 

 あの後、咄嗟に自分を内部を空洞にした氷塊に閉じ込めてセラフォルーの氷の魔力を防いだジェラは僅かに服に霜が付き髪が凍ってしまった状態で陽気に笑う。

 

「えへへ! 褒めて貰えると照れちゃうね。でも、本当に大丈夫? どこか痛くない?」

 

 ジェラに湯気が上がるコーヒーのマグカップを差し出したセラフォルーだが、照れ笑いの後に心配そうにする。どうも何時もの撮影に比べて本気を出しすぎたのではと珍しく反省していた。実際、ジェラが凍らせた大地は上から更に強固で冷たい氷に覆われスタッフの幾人かは風邪を引きかけている程だ。

 

 

「大丈夫ー! ほらほら、こんなに元気っすっ!」

 

「わっ!?」

 

 ジェラは一切躊躇うことなくセラフォルーの脇を持って軽々と持ち上げる。ビックリしてか声を出すセラフォルーだったが、下心を感じさせず心配しないで良いと示すだけのつもりだと理解したのか、仕方ないなぁ、とでも言いたそうな常日頃とは違った笑みを向けた。

 

「もー! 幾ら私が美少女だからって女の子を急に持ち上げたら駄目だよ? めっ!」

 

「うっすっ! 反省しますっ!」

 

「おっと、何時もみたいに頭を地面に叩き付けるお辞儀はしなくて良いから、次の撮影現場まで運んでいってくれる? 次のシーズンに繋がる大切なシーンだし、移動で服を汚したくないな」

 

 悪魔の翼を出してジェラの腕から逃れたセラフォルーは躊躇うことなく肩車をさせ、足をバタバタさせながら目的地を指差した。

 

「じゃあ、レッツゴーだよ!」

 

「出発しんこーっすっ!」

 

 セラフォルーの足を持って陽気に駆け出すジェラ。顔を太股で挟まれたり後頭部に当たっている部分の感触にも特に悪心を感じた様子もない。そんな中、セラフォルーは少しだけ心配そうな声で訊ねた。

 

 

「ねぇ、あの子ってまだ使い魔のままなの? 私、あの子嫌いだなー」

 

「うーん。ラットは俺の親友っすし、毎月絶対に儲かる話を持ってきてくれるっすよ? まだ配当は貰えないらしいけど、結果が楽しみっすっ!」

 

「……うーん。心配しちゃうなー。君は私くらいにしっかりした女の子とくっ付いて貰わないと」

 

「わははははっ! そりゃ良いっすね! まあ、彼奴は全知全能だからお金を稼ぐのは間違いないっすよ。それに大規模な負債背負って池に沈められそうになったところを助けたら、一生恩に着る、って言ってたっすもん! 恩義に報いるとかまさに男っすっ!」

 

「……うん、本当に君って馬鹿だよね! まあ、もしもの時は私に任せて。でも、もうお金は預けちゃ駄目だからね?」

 

 ジェラの頭をペチペチ叩きながら言い聞かせるセラフォルー。ジェラも元気よく頷いた。

 

 

 

 

 

 

「あっ! 何時もなら見え見えのおべっか使うのに今日は居ないんだね、そう言えば。おかげで気分がスッキリするから忘れてたよ」

 

「今日はリアス様の所にお嬢様と一緒に行ってるっすっ! 理由はセラフォルー様に知られないようにしろって言われてるから話せないっすけど」

 

「も~! 本当に君は馬鹿だよねー」

 

「うっすっ! 頭を使うことも重要ですし、精進するっすっ!」

 

 更に気合いを入れるジェラを見て笑いながらもセラフォルーは溺愛するソーナが自分に秘密にする事は何なのか思案するのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぐれ悪魔祓いに襲われ、あわやという瞬間! 颯爽と登場した俺が蝶のように舞い蜂のように刺す大活躍! まるで義経の八艘飛びの如しだぁ! 恐れおののいた敵は許しを請いながら逃走し、見事二人を救ったって訳だ。さささっ! 謝礼をいただこうか!」

 

 フリードとの戦闘から一夜明けた放課後、オカルト研究部の部室にて喋る栗鼠が一誠と匙の頭の上を飛び跳ねながら誇張した話を大業に語る。命の恩人には変わりないのであえて指摘しない二人だが、調子に乗った栗鼠を横から伸びたソーナの手が掴んだ。

 

「ラタトクス、無駄話はそれまでです。大体、貴方はジェラから毎月それなりの給金が支払われている筈ですが?」

 

「はんっ! 戦いなんて面倒なもんは頭脳労働のオレの仕事じゃねぇーんだ。業務外だから報酬を貰って当然だろ? んな事も分からないから姉貴よりも胸が小さ……ギブギブ。出ちゃう、中身出ちゃう」

 

 ソーナの手の力が強まりラタトクスは手足を必死に動かして逃れようとする。まるでコメディ映画のワンシーンの様だ。何とか謝罪と訂正によって開放されたラタトクスはゼィゼィと息を切らせながら近くの椿姫の頭上に避難した。

 

「ったく、世界樹に住み着き万能の知識を有するオレになんって仕打ちだ。悪神ロキに並ぶトリックスターだぜ?」

 

「悪戯が過ぎて世界樹から逃げ出し、詐欺に失敗して借金を踏み倒そうとして捕まった間抜けの間違いでは? ……それで何か情報を持っていますね? 二人を襲った男をはぐれ悪魔祓いと呼んだでしょう。話しなさい、今すぐに」

 

 両前足を左右に広げ溜息を吐きつつも自らを褒め称えるラタトクスだが、慣れた様子のソーナはあくまで冷静に対応する。その顔をチラッと見た彼はあからさまに舌打ちをして肩を竦めた。

 

 尚、ガラが悪いが栗鼠なので可愛くしか見えない。今も小動物が必死に自分を強く見せようと無駄な足掻きを見せているかの様だった。

 

(……可愛い)

 

 リアスの眷属である小猫やラタトクスとの付き合いが短い眷属達が撫でたい欲求に駆られる中、渋々ラタトクスは話を始めた。それは何日も前、一誠がリアス達と顔合わせを行った日の翌日の事だ。ラタトクスは見るからに訳ありの少女に声を掛けた。

 

 

 

(……こりゃ神器を使えるな。それにシスター服ってのが怪しい)

 

 舎弟にしている(つもりの)人外の家を訪ねた帰り、シスター服の少女を見掛けたラタトクスは神器の気配を感じ取り、何か利用できると踏んで話し掛けた。

 

 

「よう嬢ちゃん。道に迷ってるなら神様の代わりにオレが導いてやろうか?」

 

「きゃっ!? 栗鼠さんが喋りました! 凄いですね。あ、あの、実は教会に行きたいのですが……」

 

「お、おう。動じないな、アンタ……」

 

 流石にもう少し何かあるだろうと思いつつラタトクスは少女、名をアーシアの頭に乗って彼女が探す教会へ案内所する。ラタトクスの誇張まみれの話を鵜呑みにするお人好しと世間知らずに戸惑いながらも教会が見えた所で頭から飛び降りた。

 

「んじゃ、オレはこの辺で帰るぜ。……もう少し相手を疑うことを覚えな」

 

「はい! 最後までご親切に有り難う御座います」

 

 忠告に対して素直にお礼を言ってくるアーシアに、こりゃ駄目だ、と此処まで来ると逆に感心するラタトクスだが、少しだけ気になって教会に忍び込んだのだ。そして、重大な情報を手に入れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、無料公開は此処まで。続きが聞きたいなら出すもん出して貰おうか! 取り敢えず今月の小遣い全部な。どうせ実家から大量に貰ってんだろ? ケケケ」

 

「塔城さん、貴方の使い魔は猫でしたね? 少し早いですが餌の時間にしましょう」

 

 揉み手をしながら金銭を要求するラタトクスの尻尾を摘まんで持ち上げたソーナは表情を変えずに小猫に差し出す。目がマジだと告げていた。

 

「ぎゃー!? 嘘嘘っ! 言います言います!」

 

「なら、最初から言いなさい」

 

「……ったく、酷い扱いだぜ。オレの扱い酷くねぇ?」

 

 解放されたラタトクスは今度は匙の頭上に避難して恨みがましそうにソーナを見るが一瞥されただけで慌てて目を逸らした。

 

 

 

 

「なら、相応の態度をなさい。それに貴方の人格は信用に値しませんが、情報収集能力と情報に対する真摯さだけは評価しているのですよ?」

 

 ソーナは最後まで淡々と言い切る。ラタトクスの扱いに慣れきった態度であった……。




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