ストライクウィッチーズの世界に転生して人型ロボットを造って乗る男の話。   作:メガテニスト(偽)

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第7話

1937年の初夏。あのヒスパニアでの戦いが始まって1年で、戦いが終わって半年近くがたった。

 

新たに設立された魔導甲冑研究所で、俺は光武の新しい魔導エンジンや武装に関して研究を行っている。

半年では微々たるものだが、魔導エンジンの改良は少しづつ進み、新たな大型魔導エンジンの開発もめどが立ちそうだ。

とはいえ俺にとってはそちらはあくまでもおまけである。本命の研究は別にある。

 

 

海外へ輸出された光武なのだが、どうやらそれらを解析したデータをもとに新たな魔導甲冑を作る動きがあるらしい。

通常の魔導エンジンの技術と、戦車に搭載するエンジンの技術を流用、その二つを合わせた魔導エンジンを作ろうというのが主な流れだ。

また、火砲に関しても既存の火砲を流用して装備する事になるとも聞いた。

俺のヒスパニア戦役での戦術を大いに取り入れた装備である。

早速試作が作られたそうだ。とりあえず前例に倣えということでこれまた俺のヒスパニア戦役での部隊編成によく似た編成、すなわち陸戦ウィッチ10人ほどにつき一機の編成での試験運用が始まるらしい。

その隊員の中には俺がいた分隊の隊員もいるらしい。

 

ヒスパニア戦役での戦訓と言えば、光武を陸軍に納入、ないし海外に輸出する際、既にヒスパニア戦役での出来事をとりいれた改造をしてあった。

平たく言えば光武のエンジンとストライカーユニットのエンジンとの連結を可能としていたのである。

この改造は光武の起動魔法力の大きさの問題を解決するためのものであった。

 

要するにまずストライカーユニットで増幅した魔法力で光武のエンジンを起動させてしまおうというものである。

一度起動さえしてしまえばそこまで大量の魔法力を送る必要もなく、陸戦ストライカーのエンジンはストップして光武のエンジンだけで動かすこともできるし、二つとも使って魔法力の出力をさらにアップさせることもできる。

逆に陸戦ストライカーだけを起動したまま待機状態にして燃料の節約もできる。

光武のパイロットを途中で交代する際は今度は光武のエンジンからのフィードバックで陸戦ストライカーを起動してコクピットから降りれる。

これは航空ストライカーにも使え、発着装置の代わりとしても使える。出来る限り重量を落としておきたい航空ストライカーと違って積載量にそこまで厳しい制限のない魔導甲冑はバッテリーを積んでいる。これによって航空ストライカーのエンジンの起動に必要なクランクを回せるのだ。

 

余談だが、光武のエンジンとつないだ際に、陸戦ストライカーのエンジンからの排気は光武のエンジンの排気口から出ていくようになり、コクピット内部の換気システムも導入されたので、一酸化炭素中毒や窒息は起きにくいようになっている。

 

 

 

1937年七月七日。ようやく目的のものの開発の目処がたった。もう一息で完成させられるかもしれない。

 

しかし、その完成を待つことなく戦乱の時は訪れた。

舞鶴にて敵襲があった。飛行型の怪異だ。数は3。章香とその教え子が出撃。

そしてその途中、別働隊が三体現れた。章香の活躍によりどちらも撃退されたもののその報告を受けて空母鳳翔・赤城を中心とする96式艦上戦闘脚装備のウィッチ部隊が出撃。扶桑を俄かに戦争の空気が包み始めた。

 

動員令により俺もウィッチとして召集を受けた。光武の研究や開発のこともあるが、実戦経験のある俺を研究に回すよりは実戦で戦ってもらう方がいいと判断したのだろう。

 

ヒスパニア戦役での部隊の損耗率の低さをあてにしているのかもしれない。

とりあえず俺はウラル方面へと戦いに行くことになった。

 

余談だが、召集を受ける際、陸軍に入るか海軍としていくかで大いに揉めたが最終的に陸軍所属となった。

実家の父の目がちょっと怖かった。

 

研究をいくつか他の所員に任せて、工場に一つだけある光武の生産ラインのことも任せて出発する。

 

 

 

扶桑海を渡り、大陸を長い時間かけて移動してようやく前線より少し後方にある基地に到着した。

そこで、格納庫にもう一つ光武があるのを見つけた。あれは以前陸軍に売却した光武か?

その時、コクピットから少女が出てきた。

どうやら光武の試運転をしていたらしい。整備員が光武に寄ってきてエンジンの点検などを始めていた。

(ちなみに一時的な点検時は光武を座らせて固定する。エンジンの高さも下がるし立っているより姿勢が安定するので点検しやすくなる。

移動時やパーツ交換などの本格的な点検の際には寝転ばせる。)

 

それを尻目に俺は基地の司令の元へと向かった。

基地の司令に着任の挨拶をすると俺の配属が伝えられた。

俺は装甲歩兵第3中隊の第二小隊に所属するらしい。ちなみに隊長は別の人だ。まあ当然だ。士官学校も行ってないし、俺にいきなり人を率いろといわれても困る。ついでに、俺だけ唐突に別の任務(本国から送られてくる光武用の武装の試験など)が課せられ、小隊と行動を別にする可能性があるので抜けられると困る隊長などのポジションは別の人がやるべきだということだ。

 

配属が伝えられた後、一人の少女が入ってきた。先ほどの少女だった。

「紹介しよう。君と同じ、光武のメインパイロットを務める横山一美君だ。」

「扶桑陸軍装甲歩兵第3中隊第一小隊の横山一美です。階級は大尉です。ヒスパニア戦役の英雄にして光武の開発者とこうしてお会いできて光栄です。」

「自分は北郷一郎軍曹です。英雄なんて大それたものではありませんが、よろしくお願いします。」

 

互いの自己紹介が終わると司令は、

「お互いのあいさつが済んだようだな。では各自、小隊へ合流したまえ。その後、一週間後の1300時に小隊同士での模擬戦を行う。場所は基地の演習場だ。」

「了解しました。」「了解しました。」

「では、いきたまえ。」

「では、失礼いたします。」「失礼いたします。」

 

司令室を出て、指定された場所で小隊と合流する。

小隊長の名前は西沢恵子。階級は少尉。そのほか8名の小隊員がいた。

小隊長以下、数名の隊員とあいさつを済ませると、さっそく連携の訓練をすることになった。

小隊と一緒に連携する場合この小隊における俺と光武の主な役割としては基本的に足役と壁役である。

小隊長の指示に応じて素早く動けるようにしなければならない。

小隊長は基本的にタンクデサント兼光武の車長のような役割をすることになる。

シールドが普通の陸戦ストライカーよりも強いとはいえそのシルエットの大きさから狙われやすい光武の上に乗って戦うことはかなり危険である。その車長の役割を自ら務めるとは大胆な人だ。

(狙われやすいやつの背中に隠れるのも危険じゃないのかって?この場合上にいる分目立つため狙われやすいという意味である。)

小隊長曰く、光武の上から見ることで位置の把握と指示がしやすくなるとか。

 

連携を取りつつ光武の特性に対しても話しておいた。

まず一つ。平地は苦手だということ。戦車のような壁の役割をするわりに平地は苦手とは、と思われるかもしれないが人型であることの弊害である。前も言った通り前方投影面積が大きく被発見率が高いのである。

匍匐状態であるならば前方投影面積も小さくなるしシールドの範囲を絞って強固に張れるが、機動性が大幅に下がる。

魔法力も有限なのだ。できるだけ使わないようにするに越したことはない。できるだけ平地は避けるべきなのだ。

また、沼地なども接地圧の関係上不得意である。

逆に得意な地形は障害物が多く、起伏の多い地形。森の中や山岳路などである。手足があり、身体能力も高い光武ならば踏破、もしくは待ち伏せできる地形が多く、また、砲を打つ場合において仰角、俯角ともに制限が少ないのである。(大口径砲等はまた話が別だが。)

要は奇襲がしやすいのである。

例として、戦車では稜線の裏側にいる敵を撃つ場合、俯角が足りないので乗り出さなければならず、その身をさらさなければならないし、乗り越えて撃つまでに逆に撃たれる可能性が高いが、(それ故避けるべきと書いてある戦車の教本がある。)

光武はキューポラと砲だけ出して狙いをつけて撃つだけで済む。

最も適しているのが市街地戦である。3次元的な機動によって射線が多く取れる。

建物に登るのならば陸戦ストライカーをつけた陸戦ウィッチだってそれ以外の歩兵でもできるのだが、上るスピードが違う。それに火力も。高所を素早く取れることは様々なことに有利なのだ。

 

第二に射程距離が違う。普通の陸戦ストライカーをつけた陸戦ウィッチの使う砲は当然ながら取り回しのために短い。それ故に砲口径が小さく、初速が小さいので砲を撃っても射程が伸びにくい。魔法力で初速を速くすれば今度はそれに使った分どこかが犠牲になる。それが破壊力の分なら本末転倒だろう。

陸戦ウィッチは小銃も使うがそれの射程も小銃そのままなので知れたものである。

また小口径故に風の影響を受けやすく照準補正のような固有魔法でも持たない限り長射程を攻撃するのは難しい。

光武は野戦砲などをほとんどそのまま使用しているので射程距離もそれに準ずる。また、砲弾自体もおおきいので風の影響を受けにくく、固有魔法による照準補正などがなくとも長射程にあてやすい。(まあ当てるのは才能と努力が必要だが。)

有効射程も大きいのでやろうと思えば砲撃支援などもできる。(とはいっても一門による砲撃支援などたかが知れてるが)

まあその有効射程を生かそうと思うのなら味方との連携が必要になる。それゆえに今こうして訓練が必要ということだ。

そのほかもいろいろあるがとりあえず戦いにおいて重要となるのはこの二点だろう。

 

光武の特性を聞いた西沢隊長はそれを基に訓練内容を考えた。ひとしきり小隊長の指示通りに訓練を行っていく。

普段の訓練とともに一週間でできるだけの連携を訓練していく。

俺は光武に加えて陸戦ストライカーの習熟も行わなくてはならない。光武が使えない場合はこれが俺の生命線になるかもしれないのだ。

 

また、光武は小隊員全員が一度は搭乗した。ストライカー連結システムにより光武を使える陸戦ウィッチの数は増えたのだ。それに光武は感覚的に動かせるが陸戦ストライカーとはまた違った役割が求められる。訓練しない手はない。それに起動魔法力の大きさは解決したが使い続けている間要求される魔法力は相変わらず多い。

変われる人物と交代しながら使い続けることもあるだろう。その人物は多いに越したことはない。

 

一週間後の13時。いよいよ模擬戦である。弾はペイント弾。今回持たされた砲はラ式三七粍対戦車砲。あれ?なんだかとてもなじみのあるものな気がするぞ?それとは別に機関銃として恵式二〇粍機銃一型を渡された。

 

ぶっちゃけ3.7 cm PaK 36(ドアノッカー)とエリコンFFであった。

エリコンのほうはともかくとして3.7 cm PaK 36のほうはヒスパニア戦役でとてもお世話になった砲である。

それと今回の光武には近接戦闘用に二振りの扶桑刀を持たせた。光武の大きさに合わせている特注品だ。

 

相手の光武は砲として九十式野砲、75mmのとても優秀な砲である。火力に何だか差がありませんかね?

機関銃は同じものを。相手も扶桑刀を装備していた。

 

お互いに所定の位置について開始の合図とともに模擬戦が始まった。

全員の撃破判定もしくは降伏で負けということになっている。

「まずは陸戦ストライカーによって索敵。相手より先に相手を見つけるわよ。開けた場所には出ないように。

 相手のほうが砲は優秀。開けた場所での打ち合いになったらまず負けるわ。

 なので森の中を移動する。これは相手もわかってるでしょう。だから…」

 

 

 

森の中を匍匐しながら移動していると通信が入った。

「こちら甲。敵を発見した。光武から11時の方向、距離は500。約3名以外光武の護衛をしながら森の中を移動中。」

「やっぱりね。守りを固めてるわ。光武の巨体は森の中でも目立つから、陸戦ストライカーがあちらの光武の周囲を索敵することによってこちらの陸戦ストライカーの奇襲を警戒。攻撃を防いだところで光武の火力によって撃破する心算ね。

こちらの光武による奇襲はできないと考えているでしょう。あれだけ周囲に目を光らせてるんだもの。」

「どうします?」

「そうね…。作戦は…。」

 

 

 

森の中を移動していた第一小隊。突然草むらから突然敵が現れ発砲してきた。

もちろん模擬戦の相手の第二小隊である。あらかじめ周囲の警戒をしていた小隊員はすぐさまシールドで防ぎ、反撃する。攻撃が失敗したとみるや即座に後退し始めた敵に、九〇式野砲によるペイント弾が襲い掛かり2名が撃破判定を受けた。

すぐさま追撃に移る。あからさまな陽動であることに気が付いていたが、周囲に光武の隠れられる場所はなく、

相手の陸戦ストライカーは全員後退しているのを確認しているため、陸戦ストライカーによる奇襲はないものと判断。地図によれば相手の逃げている方向には沼地があったはずだ。光武をそこでまくつもりなのだろう。

そう判断してちょっとした地面の違和感を見逃してしまった。

 

後ろから音がしたと思うと光武が現れて発砲してきた。周囲に光武が隠れられると思われる場所などなかっただけに、警戒はしていたものの反応が遅れた。反応できたのは横山大尉のみであった。

第二小隊の光武の機銃掃射によって2名が撃破判定を受けた。横山大尉は機銃掃射はシールドで防いだものの範囲漏れしたものが陸戦ストライカーのウィッチに当たったのだ。そこからの勝負は早かった。まず第一小隊の光武が小隊員を守るように第二小隊の光武の前に出た。そこに第二小隊が全員反転してきたのである。

第一小隊は挟み撃ちにされた。容赦なく放たれる弾丸にシールドを張らなくてはならない第一小隊の陸戦ストライカー。つまり陸戦ストライカーはくぎ付けにされたのである。

ここで陸戦ストライカー同士、光武同士の戦闘になった。

味方から飛んでくる弾は敵が防いでくれているので流れ弾だけ注意しながら一気に距離を詰めて接近戦に持ち込んだ。

機銃と砲を捨てて身軽になると二振りの扶桑刀を抜いて切りかかる一郎機。横山機も素早く反応して扶桑刀を抜いて防ぐ。

体勢を立て直される前に仕留めるために猛攻を仕掛ける一郎機。その勢いに押されて勝負はついた。

苦し紛れの横なぎをシールドで防がれ、一郎の一刀は同じようにシールドで防いだもののもう一刀を防げなかったのである。

光武が撃破判定を受けたことで全員が降伏。第一小隊の負けとなった。

 

 

「くぅ~!まさかあんなに早く穴掘って潜ってるとは!噂に聞いていたけどほんとにこんな使い方もできるのか!」

「陸戦ストライカーの延長線にある兵器としてみていたことによる弊害ね。常識を覆されたわ。」

それはまあ普通、兵器をそんなことに使うなんて思わないだろう。だができるのだから仕方がない。そしてできるのなら積極的に活用すべきだろう。

 

 

「双方ともに素晴らしい戦いだった。この調子で前線でも頑張ってもらいたい。」

司令のお褒めの言葉の後に、これから両方の小隊は前線に行くことを伝えられた。

怪異の進行も本格的に始まり、戦いも激しくなってきたので期待しているだそうだ。

 

模擬戦の後、第一小隊との交流をした。

「本日はとても参考になりました。ありがとうございました。でも、次は負けませんよ?」

と横山大尉。

そして翌日、俺たちは基地から離れて前線へと向かったのだった。

 




戦闘描写は難しいZOY☆

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