ストライクウィッチーズの世界に転生して人型ロボットを造って乗る男の話。 作:メガテニスト(偽)
魔導レーダーによる防空線が築かれる前のこと、
爆撃機型の怪異による夜襲があった。
防空のために航空基地にいた俺が魔導レーダーの反応があったことを受けて基地司令部に連絡。
直ちに航空ウィッチたちが出撃した。
夜間の戦闘において、目視はとても難しい。それにより機位を見失うこともあった。
怪異は何とか倒されたらしいのだが…。
「参ったわね…。機位を見失った。これじゃ帰れないわ…。」
爆撃型の激しい抵抗と回避運動もあって部隊は機位を見失ってしまったようだ。
俺はそのことを無線で聞くと、司令部に許可をもらってウィッチたちに無線をつないだ。
「こちら、○○航空基地。ただいまから貴官たちを基地に誘導する。
方位320へ向かってくれ。」
「了解。」
細かく指示を出すことで基地に正確に誘導していく。
「あ!見えました!○○航空基地です!」
夜間の場合着陸も難しくなる。高度と速度を細かく伝えていく。
それに従い航空ストライカーは調整していく。
そして、機材の破壊もなく全員無事に着陸できた。
航空ストライカーをはいた飛行隊長から、
「ありがとう。おかげで助かった。」といわれた。
余談だが、これ以降、航空基地の高射砲の光武はレーダーによる無線誘導なども仕事になったらしい。
1938年5月。
長嶋飛行脚の魔導甲冑研究所の研究成果である魔導レーダーと誘導砲弾の成果を受けて陸軍は光武と魔導レーダー、誘導砲弾の大幅な増産を決定。同時に、急遽再編成と前線の後退を決定した。
レーダーを装備した光武はいくつかが砲兵の管轄。その他の光武を今までと変わらない装甲歩兵部隊の管轄となる。
俺は装甲歩兵部隊のほうだった。とはいってもレーダーも装備している。
レーダーの使用は任意で切り替えられるので使ってないときはいつものように戦車のような役割を、
使ってるときは早期警戒レーダーと射撃レーダーと対空砲の役割になる。
同年7月、
戦線の再構築によって防空線を構築すると“怪異の核”の情報を基に陸軍は大規模な反攻作戦を実施。新型歩兵戦闘脚も投入したこの作戦は逼迫した戦局を打破すべく実施されたはずだったが…
怪異の攻勢の前に反攻作戦は失敗。航空ウィッチと、光武と陸戦ストライカーを装備した陸戦ウィッチたちの奮闘によって前線の崩壊は免れたものの防空線ごと前線の後退を余儀なくされた。
大幅に後退した前線と作戦以前よりさらに悪化した戦況を鑑みて大陸側に暮らす皇国民の大規模な避難が開始される。
皮肉にも前線の後退による防空線の範囲の縮小によって光武とその情報を受けて砲撃する高射砲による防空砲火の密度が増していたことにより、また、航空ウィッチの奮戦もあり空から侵攻してくる怪異は防空線で進行を食い止められていたことと、怪異の活動が小康状態だった幸運が重なり、避難は順調に進んでいった。
怪異の侵攻は浦塩と
戦線への大規模な侵攻はあったものの前線が崩壊することなく持ちこたえていた。
しかし、8月。膠着していた戦線において異常が起きた。
兵士の間において“山”と称されている巨大怪異。これまでも小型怪異を引き連れて攻め込んできたが、今の前線を構築してからは空と陸の両方の必死の迎撃により撤退を繰り返してきた。
その山が今ひとたび動いたのだ。ただしその進行ルートは今までの怪異の行動から大幅に外れていた。
浦塩の西。荒漠地域と呼ばれる大昔、怪異の侵攻によって滅ぼされた国があった地域、今では人が住めなくなってしまったその地域を侵攻してきたのである。
浦塩周辺の防空を担当していた光武がレーダーの範囲に入ってきた怪異の反応を確認。
続いて対馬にある基地の光武のレーダーによっても確認、
それを受けた航空機による偵察によってその侵攻が確認された。
目標は荒漠地域を通過して対馬方面へ向かっている。前世で言う朝鮮半島を抜けて扶桑海を越えるつもりだろう。
直ちに大本営会議が開かれた。
その会議においていろいろあったようだが、“山”が海を渡り始めると陸海共同で迎撃することになった。
航空ウィッチによる挺身作戦。鋼鉄の塊といっていい軍艦を怪異へのおとりとして使用して多数の小型ネウロイを引き付け、
手薄となった巨大怪異の核を少数精鋭のウィッチたちで叩くという大胆な作戦。
当然のことながら艦を提供する海軍から猛反発があったものの陛下の名代として会議に参加していた皇女殿下の鶴の一声で承認。作戦へと動き出した。
巨大怪異の洋上の侵攻速度はその巨躯ゆえか遅々としたものであるが、進行ルートから対馬、引いては扶桑本土に到達するのは時間の問題であった。即座に軍艦が集められ、また、光武以下地上の対空戦力を、大陸の前線を最低限構築できるだけ残して対馬へと集結。
作戦が失敗したときは対馬を本土防衛の壁とする。そういう作戦だ。
俺達の中隊も対馬へとまわされた。とはいってもこの作戦は航空ウィッチたちと艦船が要だ。
彼女たちがうまくやってくれれば俺たちに出番はない。作戦の成功と彼女たちの無事を祈る。
対馬の海岸から戦闘が行われている方角を見る。作戦決行日、戦闘が行われている場所では台風に襲われていた。
いつもなら対岸の島は見えるが台風で見えなくなっている。つまり戦闘の経緯はわからない。
「大丈夫でしょうか…。」
犬房がそんなことをつぶやいている。
「さあな。俺たちとしてはここで作戦の成功を祈るしかない。」
その時、
「報告!巨大ネウロイの撃破に成功したそうです!」
よかった。扶桑は勝ったのだ。これで戦いは終わる。この時は戦いが終わったことに安堵していた。
後になって、海軍の上層部の陰謀によってウィッチたちごと怪異の殲滅を図る作戦が進んでいたこと、
それを止めるために章香が重傷を負っていたことを知った。
だけどそのことに怒りを感じる前にもっと大きな絶望が迫っていた。
巨大怪異殲滅の一週間後。同型の巨大怪異が同じルートを通って扶桑本土に向かっていることが確認された。
「あーあ、これは生きて帰れないかも。とんだ貧乏くじひいちゃったなあ。」
大陸のほうからゆっくりと近づいてくる巨大怪異を見ながら犬房がつぶやいた。(地上型怪異の上陸もありうるので護衛として陸戦ストライカーも小隊ごと来ることになっていた。)
無理もない。途方もない大きさに無数の小型怪異を引き連れているのだ。
集結させたとはいえ地上の戦力だけでどうにかなる相手とは思えなかった。
大陸で撃退した時も航空ウィッチの奮戦もあってのことだったのだ。
それに殲滅された巨大怪異との戦いでついた傷が全く癒えていない。
文字通りあれは決戦だった。巨大ネウロイに対抗できる戦力のすべてだったのだ。
海軍の第一戦隊はその艦の数を半数以上減らし、航空ウィッチはすべて合わせても前回の半数程度だった。
数を減らしていなかったのは、海軍の第二戦隊だけだった。
海軍の堀井海軍大将は今ひとたび訪れた好機に息巻いていた。
前回は魔女どもに手柄を取られたが今度こそは艦隊の砲撃によって怪異を殲滅してみせん。
海の存在感を殿下にも上覧いただける絶好の機会だ。何としても今度こそはわれらの手で決着をつける。
魔女どもはその数を減らし満足に動けない。こちらの作戦を何としても通す。
はたして、その作戦は承認された。第一戦隊、第二戦隊を集結させた艦砲による一斉砲撃。
航空ウィッチたちの部隊は陸軍は対馬で、海軍は母艦で待機することとなった。
9月10日。ついに作戦は決行されることとなった。
海軍も自身の作戦が認められたとあって出し惜しみはなかった。
航空機の偵察の情報を基に艦隊を射撃位置へと移動させる。
全艦隊が狙いを定める。
「弾種!試式対空榴散弾!」
ネウロイ用の殺傷半径の広い対空榴散弾を装填する。そして、
「砲撃開始!」
きれいに同じ方向を向いてほぼ同じ角度の艦砲が次々と火を噴いた。
砲弾は敵めがけてまっすぐに飛んでいく。
対空榴散弾がはじけた。弾頭に入っていた小さな榴弾が空にばらまかれそして次々と爆発していく。
爆風が巻き起こり、煙に覆われた。弾着観測機は爆発が収まってから近づいていく。そして煙が晴れていく。
すさまじい威力の砲弾を食らった怪異ははたして、健在であった。
小型の怪異は爆発に巻き込まれて大きくその数を減らしていたもののまだかなりの数が残っている。
そして生き残った小型の怪異たちは一斉に艦隊に襲い掛からんと移動し始めた。
その姿はまるで蝗害時のバッタの群れのようだった。
「いかん!急いで戦闘機を全機発進させろ!航空ストライカーもだ!地上の航空戦力にも支援を要請しろ!
第二射、装填急げ!」
駆逐艦が前に出て対空戦闘を行おうとする。その時、巨大怪異が光った。
そして、前に進んでいた吹雪型の駆逐艦が一隻光に襲われ、光の当たった部分が消滅したかと思うと爆発。真っ二つになって炎上しながら海へと沈んでいった。
「…なんという…ことだ…。」
唖然とするような威力だった。防御の薄い駆逐艦とはいえ軍艦に変わりはない。それが一撃で沈んだ。
先だっての同型との戦闘の報告書で知っていたが目の当たりにするととんでもないものだった。
とはいえひるんでいられない。ここでわれらがやらねば本土が危ないのだ。
「第二射装填完了!」
「よし!第二射、放て!」
目の前で敵に次々と攻撃が当たっていく。しかし、傷つけることはできても倒すには至らない。
敵は傷を負ったそばからすぐに修復していく。
そして足を止めることなくゆっくりとこちらに近づいてくる。
取り巻きの小型怪異たちも対馬へと向かってきた。交戦距離には至っていないがそれも時間の問題だ。
既に飛行場から航空ウィッチたちと戦闘機が迎撃に向かった。
望遠鏡で巨大怪異のいる場所を見る。
海軍の砲撃で取り巻きは大きくその数を減らされた。そして残ったやつも大半が海軍に襲い掛かり、
対馬にもかなりの数が飛んできている。
今やつの周りにいるのは中型怪異が一体と数えられるくらいの小型怪異だけだ。
俺に、ある作戦が浮かんだ。だけど覚悟が決まらない。
「私たち、勝てるんでしょうか…。」
不安をこぼす犬房。犬房に問いかけた。
「なあ、犬房。」
「はい?なんですか?」
「ここで俺がこの絶望的な戦局をひっくり返して一発逆転勝ちをもたらしたら、お前、俺に惚れる?」
「こんなときによくそんな妄言が吐けますね。絶望で頭がおかしくなったんですか?」
とてつもなく冷たい目で見られた。
「俺は正気だ。見ろ。こんなに手が震えてるんだぞ。」「コクピットの中じゃ見えませんよ。」
「で、どうなんだ?」
犬房ははぁ、とため息をつくと、
「そりゃ大半の女の子は憧れるんじゃないですか?」
「お前はどうなんだよ。」
「はいはいそうですねー、惚れちゃうかもしれませんねー。…これでいいんですか。」
「…ああ。ありがとう。」
覚悟は決まった。
「じゃあちょっとここを離れるので代わりに予備機の光武でここ頼む。」
「はあっ!?ちょっと!どこに行くんですか!?」
「決まってる。
ちょっとあのデカ物倒して扶桑救いに行ってくる。」
「ちょっ!?なんですかそれ!?ああ、もう!後でどうなっても知りませんからね!」
光武を急いで航空基地へと急がせる。数分で航空基地に着くとそこにはリベリオン(前世で言うアメリカ合衆国)のダグラスDC-3という輸送機があった。スカイトレインの愛称がついている。これは扶桑がリベリオンからノックダウン生産で作っていたものの一つだ。
積載量も見たことがある。好都合だ。これなら光武を運べる。荷物も積みこむ前だ。
俺は待機していたパイロットに話しかけた。
「誰だ!?持ち場を離れてこんなところで何をしている!」
「なあ、悪いがこいつをあのデカ物の上まで運んでくれないか?」
「何を言っている!何をするつもりだ!」
俺はこれからやろうとしていることを話した。
「…正気か?」
「このままじゃ恐らく負ける。そうなれば扶桑の本土にあのデカ物は来る。そうなれば…。
…頼むよ。今しかないんだ。今行かなきゃどうにもならないんだ。」
真剣な表情で相手を見つめる。パイロットはとても考え込んでいる。
「…わかった。運んでやる。ただし、絶対に倒せよ。わかったな。」
「ああ!わかった!感謝する!」
「待ちたまえ。」
唐突に誰かが話に割り込んできた。
「失礼だが話は聞かせてもらったよ。」
「!あなたは…。」
以前、魔導レーダーを受け取った基地の司令だった人だ。
「君がしてることは重罪だ。わかるかね?君は生きて帰ってきても重大な処罰を受けるだろう。死刑もありうる。…それでもいくというのか?」
「はい。」
「決意は固いようだね…。わかった。作戦を許可しよう。」
「…!ありがとうございます!」
燃料を補給して必要なものを急いで積み込んでいく。光武の足は切除して積み込んだ。必要ないうえにデッドウェイトにしかならなかったからだ。
光武から必要のないものを全部降ろして代わりのものを載せていく。
光武を入れる際にちょっと入らなかったので金属操作で無理やりスカイトレインに穴をあけて入れて戻した。
必要なものを入れると積載量ぎりぎりだった。しかし、飛べないことはない。
光武を乗せた輸送機が飛び立つ。目指すは巨大怪異の上空。
陸軍の航空ウィッチたちは小型怪異とすでに交戦していた。
その中には扶桑海の三羽烏と呼ばれた3人もいた。
「苦労して倒したってのにまた現れるなんて…ね!」
「おまけに航空ウィッチは前回の半数以下、しかも海軍の子らは別行動。こりゃいよいよまずいことになったね。」
そんなことをつぶやいている。
こちらに来た敵の数は少ないとはいえこちらもそう多いわけではない。
それでも次々に倒していく。
そんなとき、上空を輸送機が1機飛んで行った。それを見逃すウィッチたちではない。
「何あれ輸送機?なんで輸送機がこんなところに?」
「しかも基地から飛んできていたぞ。どういうことだ。」
そんな時、無線が飛んできた。
「聞こえるか?こちらは対馬基地司令。飛行隊に通達する。半数を残して基地より飛び立った輸送機を護衛せよ。繰り返す。基地より飛び立った輸送機を護衛せよ。」
「輸送機って今通過していったやつ?なにをするつもりなのよ!」
「わからない…けどやるしかない。聞こえた!?第1小隊と第2小隊はあの輸送機の直掩について!」
「了解!」「了解!」
数が減ることで更に厳しいものになるだろう。しかし、それでもやるしかない。
上空5000mほど。スカイトレインを小型怪異が襲っていた。
積載量ぎりぎりで、更にスカイトレインは速度の出る機体じゃない。小型怪異を振り払えるはずもなかった。
光武で撃退しようにも積載量の関係で必要最小限の武装しかつめ込めていない。今使うわけにはいかないのだ。
光武のシールドで耐えるしかなかった。
激しい猛攻が続く。意識外から小型怪異に襲われた。まずい!シールドが間に合わない!
しかし、怪異は攻撃することなく、銃撃によって落とされた。
見ると航空ウィッチたちがスカイトレインを攻撃してきている小型怪異を攻撃してくれている。
スカイトレインを援護してくれるようだ。
「救援感謝する!あのデカ物のところまで護衛してくれ!あいつの上空に行きたいんだ!」
「了解。」
ありがたい!これで更に成功率が上がった!これだけ人が動いてくれたのだ、絶対に成功させてみせる!
敵の本拠近くまで来た。“山”の近くには中型怪異と小型怪異が飛んでいた。最低限の護衛だろう。
俺はウィッチたちに、
「危険を承知で頼む。あの取り巻きたちを引き付けてくれないか?引き付けてくれるだけでいいんだ。」
「それはいいけど、あいつの真上まで行って何をするつもり?」
「決まっているだろう。あいつを倒す。」
「どうやって?あなたもコアが見える魔眼持ちなの?」
「いや。そんな大それたものはない。」
「はあっ!?じゃあどうやって…。」
「決まってる。大火力でコアごと吹き飛ばすのさ。」
「まさか…!無茶だ!死にに行くようなものじゃないか!正気の沙汰じゃない!」
「無茶でもなんでも、ここまで来たんだ、やるしかないさ。妹だって死を覚悟で砲弾に身を晒したんだ!俺が怖気づいていられるか!」
「あんた、北郷の…。」
「…っ!勝手にしなさい。全機!取り巻きを引き付けるわよ!」
「…ありがとう。」
航空ウィッチたちは高度を落として中型怪異へと攻撃。そのまま引き付けてくれた。あとは俺の番だ。敵の本拠の上まであと少し。俺はここまで運んでくれたパイロットに話しかけた。
「俺が降下したら速やかに離脱してくれ。」
「了解した。」
会話が途切れる。
「こいつの貨物室は荷物を積み込むのに不便だな。」
「・・・・・・・・・。」
「生きて帰ってきたらもうちょっと便利な輸送機でも作ってみようか。その時はいの一番に乗せてやるよ。」
「…それは楽しみだ。」
「それじゃ、俺はもう行くよ。ここまでありがとう。」
そう言って俺は輸送機から飛び降りた。
陸軍の航空ウィッチたちが敵の護衛を引き付けているとき、敵の本拠に向かってあるものが落ちるのが見えた。
「あれは…。」
光武だった。足はないが光武が敵に向かって真っすぐ落下していくのが見えた。
光線をシールドではじき、砲撃で砲台を黙らせながらどんどん速度を増す光武。
…そして敵との距離がゼロになり、大爆発を引き起こした。
爆発により巨大ネウロイは木っ端みじんに吹き飛んだ。あの様子ならコアごと吹き飛んでいるだろう。
中型ネウロイたちも同時に姿を消した。つまり、私たちはこの戦いに勝利したのだ。
ある一人の、尊い犠牲によって。
穴吹智子は目の前で起こった光景を素直に喜ぶ気になれなかった。
「…報告。輸送機からの光武の特攻により巨大ネウロイの消滅を確認。光武の搭乗者の生死は不明。
おそらく死亡したものと…。」
「いや、生きてるからね?死んでたらもっと美談になったんだろうけど。」
目の前を一人の男が飛んでいた。
「ぎゃあああああああ!!早速化けて出たあああああ!?」
「死んでないって言ってるだろう!」
「だって足がないじゃない!」
「よく見ろ、ストライカーユニットをつけてるだけだ!」
「あ、あら、ほんとだわ…。」
「おい、どうした!なにがあった!?状況を報告しろ!」
通信の先の人物から問いかけが来た。
「す、すいません。光武の搭乗者の生存を確認!生きています!」
それだけ伝えると通信を切った。
「どうやって!なんで生きてるの!?」
「生きてちゃ悪いのか?」
「いやそうじゃないけど…!」
「私も聞きたいわ。一体何をしたの?」
「何って…、ただ光武を敵に突っ込んで爆発させただけだが?」
「もうちょっと詳しく!」
「わかった。経緯を追って話していくと…。」
敵の本拠の真上。そこを光武で落下していく。俺は持ってきていた武装、3.7 cm PaK 36に砲弾を込めて狙いをつける。重量と目的の関係でこれしか持ってこれなかった。砲弾も8つのみ。
それを敵の砲台、あの光線を放っている場所に叩き込む。
一発目。ドンピシャ。敵の砲台を一つ黙らせた。それと同時に敵のビームはこちらへと向いた。
光武のシールドではじく。とてつもない威力だ。
しかし、光武のシールドは防いでくれた。第一射を打ち終わったようだ。続く第二射が来る前に次々に砲弾を叩き込む。第3射、第4射とくるがそれらも全部はじいてくれ、砲弾を砲台にすべて叩き込んだ。
それにより沈黙する砲台。役目を終えた砲を投げ捨てる。
そしてコクピットを開けて俺は外へ飛びだした。
出ると俺はすぐさまコクピットを閉めて落下する光武にとりつく。俺の足には航空ストライカーがついていた。
そして航空ストライカーは光武と接続されていた。
航空ストライカーの飛行魔法と身体能力強化により光武の落下ルートを制御していく。
少しでも成功率を上げるため、ぎりぎりまで光武に張り付いて制御する。
ものすごい勢いで敵との距離が縮まっていく。その時、敵の砲台から光線が再び飛んできた。最初に沈黙させた砲台だった。
まずい!このままでは作戦が失敗するかもしれない。しかし、もはや後戻りはできない。
航空ストライカーの接続を通して光武からの魔法力でシールドを発生させる。
シールドで光線をはじいた。いまだに速度を上げながら敵との距離を測り慎重にタイミングを見計らう。
まだだ…。まだ…。もう少し…。
今!
そのタイミングで光武のエンジンにある操作をする。そして100mほどに近づいた時、
俺は光武に小さい代わりにかなり強度を強くしたシールドを2秒ほど張り続けるように設定して、光武と航空ストライカーの接続を解除!そして機体強度を越えかねないスピードに加速して今にも光線を放とうとした砲台を、
刀で切りつけた!
「チェストおおおおぉぉぉぉ!!!」
俺の実家は別に示現流ではないが咄嗟に出たのがこの言葉だった。
あまりのスピードで切りつけたせいで刀は折れ、また、腕の骨が折れた。
だが、そのおかげで敵の攻撃にさらされることなく光武は敵と接触。
シールドの強度と落下速度のスピードで敵を貫通してほどなく大爆発を引き起こしたのだった。
その後、敵の爆発による破片を避けるためギリギリまで高度を下げて急いで脱出した。
これが起きたことの全容である。
そう、俺がとった作戦とは光武を爆弾にした急降下爆撃だったのである。とはいってもだいぶ変則的ではあるが。
ちなみに爆発は、光武のエンジンの意図的な暴走による爆発と光武のウェポンラックに満載にしてあった魔法弾の弾頭の誘爆によるものである。
「いやあ、急降下爆撃なんてヒスパニア戦役でやったきりだったからうまくやれるか不安だったけど意外とやれるもんだねえ。」
わっはっはと笑いながらそう言う北郷一郎の話を聞いてその場にいた全員が思ったという。
“やっぱりこいつ頭おかしい”と。
かくして、扶桑海事変は終息を迎えた。
戻った俺は直ちに拘束。軍法会議にかけられたが、なんか割り込んできた皇女殿下の、
「その方、敵前における辱職ノ罪とその他諸々の罪、許し難し!しかし、挺身によって敵を撃滅してきた功、誠に大儀である!
よって、本来なら死刑のところであるが、禁錮、1週間の刑に処す!」
というありがたいお言葉をいただいてほぼ不問に近いこととなった。
予想以上に短いな!?死刑から減軽しすぎじゃないですかね?と、思ったが藪蛇なことなので思うだけで口には出さなかった。
禁錮刑の期間が過ぎて解放されると真っ先に章香のお見舞いに行った。
幸い、命に別状はなかった。しばらく車いす生活になるそうだが。
「よっ、章香。お見舞いに来たぞ。」
「兄上、来てくださったんですね。」
少しばかり他愛のない話をする。いろんなことを取りとめもなく。
「ところで兄上、聞きましたよ。
ほぼ自爆に近い急降下爆撃をなさったそうですね?
ちょっとその話、詳しく聞かせてもらいましょうか?」
尋問により速やかにやったことの詳細を話すと怒られた。
「もう少し御身を大事になさってください!万が一のことがあったらどうするのですか!」
「いや、まあ、その…。」
言い訳もできずに怒られる俺である。妹が体張ってこの状態になったことは知っているが言うと逆上しそうだったので言わないでおいた。こういう時、男はつらい。君子は地雷に近づかない。
「まったくもう、死んだらどうするのですか…。」
…参った。妹に泣かれる羽目になるとは。いつも明朗快活で男勝りな今の性格になってから泣いている姿はあまり見なかったというのに。
「…すまなかった。」
それしかいう言葉が見つからなかった。
扶桑海事変の後、一時的な招集に応じていただけだった俺は除隊。長嶋飛行脚に戻ると、また光武の開発に戻ることになった。
聞くところによると、扶桑海事変での活躍により光武の注文は海外からも増えているようだ。
また、海外製の魔導甲冑も徐々に数を増やしているという。魔導レーダーと光武の高射砲部隊による防空の成果を見た結果らしい。少なくとも実用的な電子的なレーダーが開発されるまでは増え続けるだろう。
禁錮刑から解放された後、軍を除隊する前に犬房が訪ねてきた。
どうやら飛行適性が認められて飛行学校に入学できるらしい。
「よかったじゃないか。がんばれよ。」
「はい、それで…、あの、特攻する前に…その…。」
とたんに口ごもる犬房。もしかしなくてもあのことだろう。それと、特攻じゃない、急降下爆撃だ。
「あー、なんだ、あれは、その、俺を慕ってくれるかわいいあの子のためならもしかしたら勇気が出るかもしれないという意図であって別にお前でなくてもよかったという割と最低な感じのやつだから忘れてくれて構わないというかなんというか…。」
「知ってますよ。あー、よかった、これで私が惚れてるなんて勘違いしてたらかわいそうだからちょっと気になってたんですよ。これで一安心しました。」
「なんだとこんにゃろう。」
「あはははは、じゃ、お元気で。」
「ああ、そっちこそな。」
「まったく、デリカシーのない。ちょっとは見直してもいいかもって思ったのに…。」
とある航空基地。そこにある航空機が飛んできた。すこし奇妙な形をしていた。
まず主翼は地面からかなり離れた高いところに、そして胴体が太く、地上高が低かった。後部にはスロープも兼ねた荷物の搬入路が。主輪を収める場所もあった。
航空機から一人の男が出てきてあるパイロットに話しかけた。
「やあ、新たな輸送機の試験をしてもらいに来たんだが、ちょっとあなた、頼めませんかね?」
主人公を活躍させる都合のために出てきてすぐやられるネウロイ君と
自爆させられた光武君かわいそう。
追加。最後に出てきた航空機はいつものパク…先取り戦術です。
輸送機の決定版、ハーキュリーズ。
ハーキュリーズはターボプロップエンジン(つまりジェットエンジン)?こまけぇこたぁいいんだよ!(エンジンだけ違うものになってます)
これを作るまでに、
北郷(*^◯^*)「中島飛行機さん!こういう感じの飛行機作って欲しいんだ!この特徴から外れなければ好きにしてもらって構わないんだ!」
中島飛行機「うーん、(親戚関係の会社に当たる長島飛行脚の社員さんだからなんとかしてあげたいのは山々だけどうちではこれに見合うエンジンもなければ新たに開発することが今は無理なので)不採用!」
北郷(*^◯^*)「そうですか、残念なんだ!」
北郷(*^◯^*)「陸軍さん!陸軍さん!こういう感じの輸送機が便利でいいと思うんだ!陸軍さんでも検討してみて欲しいんだ!」
陸軍「うーん、飛行脚は作ったことあっても飛行機は作ったことないんやろ?素人の意見を聞くのはなぁ。」
(*^◯^*)「そうですか。残念です…。」
(*^◯^*)「困ったんだ…。飛行機なんて作ったことないしエンジンもよく知らないんだ…。別の扶桑の航空機メーカーを回ってみたけどどこにもにべもなく断られたし…。
うーん、こうなったら外国の伝手を頼るんだ!」
ヒスパニア戦役で知り合ったアドルフィーネ・ガランド「ほう、輸送機。しかも便利な。」
(*^◯^*)「そうなんだ!でもエンジンも作ったことなければ船体も作ったことないんだ!とりあえずエンジン以外は試作してみたものを渡すから一度検討してみて欲しいんだ!」
カールスラントの技術者「男は度胸!なんでも作ってみるものさ!
ということでエンジンをつけた試作機を一つ作ってみたところ、なるほど…短距離離着陸と荒地での離着陸にも適性があって未整地での運用もできることがわかりました。しかも貨物の取り扱いもこれまでのものと違ってやりやすい。
まだまだ改善すべきところはあるもののこれは画期的ですよ…。」
アドルフィーネ「なるほど…よしっ!開発に取りかかれ!北郷、君も開発に協力してもらう。いやとは言わせないぞ。」
(*^◯^*)「わかったんだ!こちらからの申し出だし、エンジン開発でもなんでも手伝わせてもらうんだ!」
アドルフィーネ「ん?今、なんでもって…」
(*^◯^*)「…というわけなんだ!しばらく戻れないんだ!」
長島飛行脚「ふぁっ!なんでそないなことになっとるんや!
とりあえず技術交流で行ったことにしとくから頑張ってきいや!」
中島飛行機「でも飛行機作りのことやし、こっちの社員として派遣したことにしておいて、そっちでの住まいの手配と、手伝いに何人か派遣するやで。」
(*^◯^*)「何から何までありがとうございますなんだ!」
そんなわけで固有魔法を存分に活用しつつ開発は進んでいき…。
カールスラントの技術者「やりましたよ!ついに完成です!」
アドルフィーネ「でかした!では早速試験をしよう!」
(*^◯^*)「あ!それなら扶桑にいいパイロットがあるんだ!光武を敵の上空まで運べる奴なんだ!」
アドルフィーネ「ん?光武を敵の上空まで?あっ(察し。おかのした。」
という経緯があって上の場面に続く。
扶桑海事変のあの時、私は後に零型輸送機として採用されることとなるリベリオン製の輸送機に乗って対馬へと物資を運んでいた。
航空基地で待機していると唐突に光武が近づいてきて、男の声で
「申し訳ないがこいつを乗せて敵の上空まで運んでくれないか?」
などと言われた。私は唐突すぎる申し出に困惑した。
それに目の前の光武が何をするつもりなのかがわからなかった。
訳を聞くと目の前の男は急降下爆撃の要領で光武を敵に落として爆発させて倒すのだという。
正気の沙汰とは思えない作戦に私は気は確かかと思ったが
コクピットから顔を出した彼の目は死を覚悟している目だった。
私はこの男にかけることにした。
そこに話を聞いていた基地司令の許可が降りて私たちは素早く光武を輸送機に乗せると大空へと飛び立った。
基地司令の号令で航空ウィッチたちが私たちを援護してくれた。
あの輸送機は速度が出ないため怪異を振り切れなかったし、この時光武は必要最低限の武装しかなかったため、攻撃を耐えるしかなかったと思っていたが彼女たちに守られて輸送機は敵の上空へ到達した。
彼は、この輸送機は荷物を運び入れるのに不便だ。帰ってきたら新しい便利な輸送機でも作ろうか。作ったらいの一番に乗せてやると約束した。
そして、その五秒後、光武は輸送機から飛び降りた。
その後の光景を私は一生忘れないだろう。
光武は、流れ星となったのだ。
私は光武を投下したらすぐさま離脱するように言われていたが離れなかった。あれを見届けることは義務のように感じていたからだ。
シールドを張りながらぐんぐんと落ちていく光武。すぐさまそれは小さな点になっていった。しかし、私にはシールドの光によってずっと見えていた。その光景はまるで流れ星が落ちていくようだった。
山と呼ばれた巨大な怪異は光線を放っていたが爆発したかと思うと砲台が破壊されてて光線の数がすくなくなった。四つとも破壊された後、しばらくして、運命の時が訪れた。
砲台がまた光線を打ったかと思うと、そのすぐあとに一際強い光を放った光武。そして大爆発が起こった。
爆風と閃光の嵐が過ぎ去ったあと、見てみると山が消し飛んでいた。
取り巻きの怪異も姿を消していた。勝ったのだ、我々は。
私は、載っている輸送機の高度を下げ始めた。
あの男は生きて帰るといっていた。ならば時間の許す限りは探して帰ろうと思った。あの爆発だ、生きている方が珍しい。だが、あれを成功させた男だ。もしかしたら。そう思った。
結果的にそれはすぐさま終わった。あの男は航空ウィッチとともに飛んでいたのである。自らの足にはいた航空ストライカーによって。
彼はこちらに気がつくと手を振った。
彼の名は北郷一郎。後に伝説の男となるものだった。
『扶桑海の流れ星』著ー