ストライクウィッチーズの世界に転生して人型ロボットを造って乗る男の話。   作:メガテニスト(偽)

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第11話

1939年。黒海に突如現れた怪異の巣。

そこから現れた軍勢は瞬く間に欧州を包み込んだ。

9月1日、怪異はダキアに上陸。黒海周辺の狼男の伝承から怪異を「ネウロイ」と命名。

同月、ダキア、モエシア陥落、オストマルクもトランシルバニアを残して陥落。

同月、ネウロイ、オラーシャに侵攻、スオムスにも飛行型ネウロイが飛来。

カールスラント、オストマルクとの国境線に非常防衛体制を敷く。

 

 

 

現地のオラーシャ軍に要請を受けてセヴァストポリにて従軍していた俺は、最初の侵攻で傷ついた要塞の応急的な修復を手伝いながら待機していた。

 

最初の襲撃ののち、ネウロイはダキアのほうへ戦力を集中させていた。

一週間ほど大規模な襲撃はなく、その間にオラーシャ軍は大規模な軍勢をセヴァストポリに向けるべく編成を行っていた。

 

しかし、これは嵐の前の静けさだった。

一週間でダキアが陥落するとその大量の物量の矛先はセヴァストポリに向いた。

堅牢な要塞も空からの攻撃には弱く、また、ネウロイの攻撃はたやすく人類の兵器を壊していった。

この要塞はそこまで対空に力を入れておらず、高射砲も少なかったことが被害に拍車をかけた。

オラーシャの黒海艦隊の必死の応戦もむなしく、艦隊は数を減らしていき、街は、要塞は傷ついて行った。

そして、3日ほどでまず南側部分は壊滅状態。放棄された。その後4日間北、東方面に立てこもり抵抗していたが、

これ以上の防衛は困難と判断。撤退することとなった。

この電撃的な猛攻に、救援は間に合わなかった。

 

「撃てぇ!撃てぇ!奴らを撃破するんだ!」

街中ではすでに小型ネウロイが上陸。町を我が物顔で闊歩していた。

野戦砲部隊などが必死に応戦しているが物量の前に押され気味であった。

次々と司令部に届く戦況の悪化を知らせる報告。それに必死に対応していた。

「司令!空から攻撃が来ます!」

「高射砲部隊に応戦させろ!」

「だめです!無線で連絡しましたがさきほどの攻撃で沈黙!艦隊もすべて沈没しました!」

「なんということだ…。航空ウィッチの部隊はどうした!」

「彼女たちも応戦してくれていますがここ連日の連戦で疲弊してるのと相手の数が多すぎて対処できていません!」

「くそっ!救援も恐らく間に合わん。もはやこれまでか…。」

 

「空から攻撃が来るぞ!気をつけろ!」

空を飛んできているネウロイの砲撃でトーチカが吹き飛ぶ。

ネウロイのビームは強固な防御をものともしない。大量に築かれたトーチカもネウロイの前では無力だった。

「くそっ!これでもくらえ!」

機銃で空へと攻撃するが、傷ついたそばから修復して全く効果がない。

やがてネウロイの赤い部分が輝き、

「あっ・・・・・・。」

第二射が放たれた。思わず目をつぶる兵士。

 

 

しかし、ネウロイの光線は兵士を焼くことなく、

 

 

「すまない、他の戦線も手いっぱいでな、ちょっと遅れた。」

 

セヴァストポリを守る巨大で小さな壁に阻まれていた。

 

背中に増加されたさやのような籠と、キューポラのあるハッチから、一緒に来ていた高射砲部隊員の生き残りが下りて配置に着いた。

このさやのようなかごは、光武の機動力を存分に発揮すると普通の人間には張り付き続けることが困難なことを受けて増設した。

俺は即座にレーダーを発動して必要な情報を取得し、それを伝える。

「距離、1000!高度3500!速度時速300km! 信管は3秒!1分で支度しろ!」

「了解!」

一人が算定具に情報を入力し一人が信管をセット。砲弾を装填する。

「発射まで5,4,3,2,1、発射!」

射出された砲弾はネウロイの未来位置へと飛んでいき、そこで爆発。爆風と破片でネウロイを蹂躙する。

「弾着!目標、撃破しました!」

「やった!“ドレッドノート”がやってくれたぞ!」

「俺たちも地上のやつらをぶっ潰すんだ!」

 

「俺たちも砲撃で奴らを倒すぞ!次、目標距離…」

正直言って高射砲で一体や二体倒したところで焼け石に水である。

数が多すぎるのだ。空を飛ぶ奴は小型もいる。比較的大型を攻撃することで空の援護をすることくらいしかできない。

 

 

何時間か戦い続けいるうちに無線が入った。

「こちら、セヴァストポリ司令部。ケルチ半島、ヤルタもすでに陥落したとの情報が入り、これ以上の防衛は困難と判断された。上層部は撤退命令を出している。我々はクリミア半島中央部、後方基地のシンフェロポリの味方と合流。ペレコープ地峡を通って脱出する。その際、民衆の避難を優先させる。民衆が避難した時点で我々も撤退する。」

 

どうやらクリミア半島は敵の手に落ちることになったらしい。

俺たちは指定された合流地点からほかの味方と合流すると、シンフェロポリへと移動。

シンフェロポリで味方や民衆と合流するとクリミア半島の北、半島と大陸を結ぶペレコープ地峡へと向かった。

既に半包囲状態にある今、早急に脱出しないといつまでも持たない。合流すると即座に移動を開始した。

 

黒海で戦闘が開始した時点から民衆の避難は始まっていたのだが、ここまで早く落ちるとは思っておらず、

まだ避難が完了していなかった。昨日になってようやく避難する民衆の最後の便が出発。それを護衛しつつ俺たちも撤退することになる。

 

移動すること数日。ようやくペレコープ地峡に着いた俺たち。ここに来るまでにネウロイの襲撃が散発的にあった。そのたびに矢面に立って戦う。航空ウィッチの応戦と地上の頑張りにより何とか撃退してきた。

 

ペレコープ地峡ではまだ民衆が避難を完了していなかった。これでは撤退できない。つまり、ここで俺たちは民衆の避難が完了するまで戦わなくてはならない。司令部が指令を下す。

 

「我々はここで民衆の盾となる。総員、戦闘配置に着け!」

 

ペレコープ地峡はその立地から黒海と腐海から以外では唯一のクリミア半島への通過点となる。

そのためかなり重要な地点であり、堅牢な要塞が築かれていた。奥深く、また幅が5kmから7kmと狭いこの地峡は地上の迎撃に向いている地点といえる。

俺たちはペレコープ地峡の要塞にいた部隊と合流してここでネウロイを食い止めるのだ。

 

 

「奴らが来たぞ!総員!戦闘開始!」

ネウロイ達が来た。航空型のネウロイは俺がレーダーで先に発見して既に航空基地に連絡を取っていたことにより、航空ウィッチたちが迎撃に向かってきてくれていた。

俺たちは地上の相手に専念できる。さあ、ネウロイどもかかって来い!

 

 

 

~ある兵士の記録~

ペレコープ地峡にて、クリミア半島から撤退してきた部隊と合流した我々は民衆の避難が完了するまでここで交戦し続けることになった。民衆はペレコープ地峡にある二つのルートから逃げている。一つはメリトポリからザポリージャ、ドニエプロペトロスク、ハリコフへと逃げるルート。もう一つはヘルソン、ムィコラーイウへと逃げるルート。ムィコラーイウからさらにハリコフとキエフに逃げるルートに分かれる。

我々はこのうちムィコラーイウへと逃げるルートを担当する。

しかし、オデッサは陥落。ムィコラーイウもすでに攻撃を受けているという。もしかしたら途中でヘルソンからクリヴィー・リフへ直接行き、ハリコフへ逃げることになるかもしれない。

無事に逃げてくれるといいのだが。

 

 

ネウロイの地上型が進行してくる。設置された対空砲や野戦砲、戦車、そして陸戦ストライカーがネウロイを阻む壁となる。その中に魔導甲冑…マギウスアーマーが混じっていた。まだまだ扶桑以外では少数しか生産されておらず、数も少ないものであり、こんなところで見るのは珍しいものだった。

聞くところによるとあれは扶桑の最新型らしい。そんなものが何故あるのかと聞けば、たまたま来ていたセヴァストポリの戦いに巻き込まれたらしい。なんとも不幸な野郎だ。(なんと操縦者は男のウィッチだった。)

 

戦闘が始まった。奴らは瘴気とともに来る。そのため、普通の部隊は少し後ろから戦わねばならない。

つまり、ウィッチを、少女たちを矢面に立たせることになるのだ。

たまに自分の無力さが恨めしくなる。せめてできる限りの援護を行わねば。

 

戦いは始め順調だった。奴らは物量で押してくるが、この地峡は狭い。一度に来れる戦力も限られていた。

陸戦ウィッチたちは懸命に戦ってくれている。魔導甲冑もその巨体に見合った性能で砲撃を受け止め、お返しを叩き込んでいた。我々も精いっぱい大砲による援護を行った。

被害は少ないとは言えなかったが、いける。我々はここを守れるのだと思っていた。

 

しかし、一週間後。状況は変わった。ムィコラーイウが落ちたのだ。つまり、このままでは私たちは地上のネウロイに挟み撃ちにされてしまう。早急に脱出しなければならなかった。

後ろの味方はすでに撤退を開始している。我々も早く脱出せねばならない。ノーバカホフカからメリトポリへ、そしてザポリージャまで後退する。

しかし、その最悪のタイミングで、奴は現れた。大型の地上型ネウロイ。

 

味方の撤退はまだ完了していない。我々が今ここで撤退すれば追撃され、被害は甚大なものになるだろう。

ここを死守せねばならなかった。

 

 

大型のネウロイはそのでかい体に違わぬ装甲と攻撃力だった。遠くからでも攻撃を届かせ、多くの野戦砲や高射砲がやられた。

陸戦ウィッチの攻撃も遠くからではその装甲を貫通できなかった。我々の高射砲や野戦砲も打ち込んだが、奴はその傷を即座に修復していく。

じりじりと詰められていく距離。その時、何かが大型ネウロイに向かって突っ込んでいった。

 

光武改だ。扶桑の魔導甲冑が敵に向かって突っ込んでいった。

バカな。そんなことをすれば滅多打ちにされる。

しかし、彼は全面からくる攻撃をかわし、シールドで防ぎつつ反撃で取り巻きのネウロイを倒していった。

光武改にはタンクデサントとして陸戦ウィッチが複数名乗っていて、彼女たちも砲撃で進行を助けていく。

誰かが言った。

「我々もあいつを援護するぞ!」

その言葉で彼が進んでいく方向の雑魚どもを攻撃していく。彼らの進行を妨げる者たちを排除するのだ。

 

そして、彼は陸戦ウィッチたちが飛び降りたのを確認して、更に素早い機動を取った。

大型のネウロイに肉薄するとまずはその足を扶桑刀で切りつけた。

倒れこむ大型ネウロイ。彼は倒れた奴の頭に大砲を突き付けて放った。

至近距離で撃たれた砲にご自慢の装甲も意味をなさなかった。一撃で頭を吹き飛ばされた奴は消滅した。

 

大型を仕留めた光武改は一緒に来ていた陸戦ウィッチと横隊を組み、じりじりと下がっていく。

その撤退を支援していく。彼らがある一定まで下がると、奴らはあきらめたのか追撃をやめて撤退した。

我々は助かったのだ。

 

その後、味方の撤退が無事完了。我々もそれに合わせて後退することになった。

戦いが終わり、交代している途中、あの魔導甲冑に興味を覚えた私はセヴァストポリから来た兵士に尋ねた。

あの魔導甲冑は兵士たちの間で親しみと敬意をこめて“ドレッドノート”と呼ばれているらしい。

なるほど、通常の陸戦ストライカーに比べてあの巨体だ。それから繰り出される砲撃と防御。

それらが与える安心感。人型というのもなんだか親しみを感じさせる。

まさにドレッドノートと呼ぶにふさわしいものだった。

 




おまけ。

兵士たちのつぶやき。
「それにしてもよくあれだけぽんぽん高射砲を当てられるな。あれ。」
「俺もそれ気になって聞いてみたら、本人曰く、当たれ!と念じながら撃ってるらしい。」
「なんだそりゃ。それで当てられるなら俺達だってもっと当たってるさ。」
「大方魔法でも無意識に使ったんじゃないか?」
「違いない。俺らにゃ到底無理だな。」「そうだな。」


光武の模型。
『扶桑海の閃光』の公開後、一躍人気となった穴吹智子。
扶桑では智子をモデルとした扶桑人形が作られた。
智子は扶桑で最も有名なウィッチの一人であり、特に同性に人気があったことから、智子をモデルとした扶桑人形は年頃の少女への贈り物として喜ばれた。

その陰でひっそりと光武の扶桑人形、というより模型が発売されていた。
扶桑での一般受けは悪かったが、軍人、元軍人からの人気は絶大で、男の子の土産物として喜ばれた。
扶桑よりも海外での売れ行きがすごく、兵士たちの間でお守りとしてはやったとか何とか。
時に奪い合いになることも。ついでに、自分の好きなようにペイントしたりトレードマークを描くことが流行ったりもした。
海外では直接守られた人も多いことから一般受けも悪くなく、家のお守りとしておかれることも。

飾っていた光武人形が勝手に動き出して泥棒を退治したなどというほら話まで出た。
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