ストライクウィッチーズの世界に転生して人型ロボットを造って乗る男の話。 作:メガテニスト(偽)
今回は導入部分。
第1話
目を覚ますと、そこは見知らぬ天井であった。
状況の把握もできないまま霞みがかったようなはっきりとしない頭でぼうっとしていると、見知らぬ女性がそばに来て、
「まあ、ようやく目を覚ましたのね。具合はどう?」
などと聞いてくるのでとりあえずまだ頭がぼうっとしていると伝えたところ、女性は私の額に手を当てて
「無理もないわ、まだお熱が引いてないみたいだし。おととい急に倒れてから丸一日眠り続けていたのよ。」
と言った。はて、そんな大変なことになっていたのかと他人事のように思ったが熱のせいか何も考えられない。
「喉は乾いてない?何か食べたいものはある?」と訊ねられ、喉は乾いているが食欲はないと伝えると、
「そう…じゃあ今水を持ってきますから無理せずに横になってなさい。」
と言って部屋から出て行ってしまった。横になりぼうっとする頭で辺りを見回すとやけに古風な部屋にいることに気づいたがそれの意味することも考える頭を持たないまま、意識は闇の中へと落ちて行った。
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のちにわかったことだが、どうやら私はいわゆる「転生」といったものをしたらしい。正確には意識が他人の体を乗っ取ってしまったというのだろうか。前世の死因ははっきりと思い出せぬ。そもそも前世というが、死んだのかどうかすらもわからない。が、とりあえず現代の知識と経験といったものを持って今この場にいることだけははっきりと言える。
前世(とりあえず仮称として「前世」と呼び習わしておく)では自動車などの機械工をしていた。この業界に入ったきっかけは幼い頃に見たロボットのアニメやゲームである。そこから自動車などの機械のことに興味を持ち自然とそれに関係することを学び職を機械工とした。また、工作に関しては趣味として様々なものを作ったり原理を調べたりしていた。
ちなみに大人となってからもアニメやゲームなどのサブカルに関しては触れていた。特にこれといってなんということもない人生ではあった。
簡単に前世のことに語った後は、今現在、私の置かれてる状況について説明しようと思う。
現在は20世紀初頭、1925年。実に私の前世の100年近く前となる。私は9歳の少年、
この少年…、といっても今は私なのだが、生まれてすぐに両親を亡くし、親戚であるこの家に引き取られたというなかなかにハードな生い立ちをしている。(ちなみにどうやって知ったかというと少年の記憶のようなものが思い出すような形で浮かんできた。御都合主義万歳。)
このことは引き取った家の養父と養母が話している所を偶然聞いて発覚したらしく、その事を訊ね、それを養父と養母に認められてから少し遠慮がちになっていたが物心ついた頃からの両親といえば今の両親でしかなく、親の愛というものを感じていたので、しばらくすれば吹っ切れて今はなかなかわんぱくだったようだ。
とまあ、この体の元の持ち主の経歴を思うと、当初は他人の人生を乗っ取った感じが大いにしてかなりの罪悪感を感じていたが、さりとてなんとかする方法もわかるはずもないのでやがてあきらめてせめて精一杯生きようと心に決めた。
北郷一郎少年が引き取られたこの家だが、軍人だか武家の家系であるらしくなかなかに大きい。自宅に道場などもあって父親や母親が稽古をつけている姿をよく見た。また、私には義理であるが妹が一人いる。名は…
「兄上ー。」「
名は北郷章香。年は私より一つ下である。物心ついた時からお互いにいるためかよく私の後についてきては遊んでとせがまれることも多い。実に可愛い妹である。
「じゃあコマ回しでもやるか。」「やったー!」「じゃあちょっと片付けるから少し待ってろ。」「うん!」
そう言って私は周りにあったものを片付け始める。
「ねえ、兄上、今度は何を作っていたの?」
「ん?今作っていたのはだな…。これだ。なんだかわかるか?」
「あ!鉄砲のおもちゃ!」「あたり。」
そう言って取り出したおもちゃの銃のスライドを引いて引き金を引くとバネの力によって軽い金属の弾が発射された。
「わ!当たった!ねえ、ふみかにも貸してー!」
「ああいいぞ。ほら。だけど人に向けて打っちゃダメだぞ。」
「うん!」「じゃあ、あの木を的にしてうってみな。」
章香に銃と弾を渡してやるとそれで遊び始めた。軍人の家系だからかはたまた本人の気質か男の子の好む遊びを章香はよくする。
ちなみになぜ子供である私がこのような物を作れるかというと、この世界には「魔法」というものが実際にあるらしい。使い魔と契約することで魔法が使えるようになるらしく、魔法を扱える者を「魔女」と呼ぶそうだ。
この「魔女」は女性が圧倒的に多く、男性はほとんどいないらしいが珍しくも私は男性でありながら魔法を使える「魔女」というわけである。また、固有魔法という物があり、私は金属操作を固有魔法として持っている。かなり精密に操作でき、形も自由自在に操れる。
それを生かし工作としてこうして物を作っているというわけである。材料は歩いているとたまに落ちている鉄の破片などを拾い集め続けたものなどを使っている。
章香が遊びに夢中になっている隙に片付けを進める。片付け終わり、章香のところに戻ると少し難しい顔をしていた。訊ねてみると、
「あんまり狙ったところに飛ばないの。」
「ふーむ。てっぽうを構えてみな。」「うん。」
言われて一度てっぽうを構える章香。
「なるほど、いいか章香。まずはこう構えるんだ。」「こう?」
「そう。それで…。」
章香に説明しながら遊んでいくうちに日は暮れていく。その後、皆で夕食をいただき風呂に入って就寝した。
これは幼い日の日常の中の一つである。尋常小学校(今で言う小学校)に通いながらこのような日々を過ごし、やがて家でも剣道などの武道の修練を習い始め、また、せっかく使えるのだからと同時に魔法の修練も習い始めた。なかなかに忙しかったが、また楽しくもある日々だった。
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--呪術というものがある。とある学者の言うことではそれは類感呪術というものと感染呪術というものに二分出来るらしいとか。
なぜ唐突にこのようなことを話したかというと、まず、ある日道端でとある魔女が魔法力によって人形を自在に操り、人形芝居をしているところを見て興味を覚え、その魔女にどういう魔法を用いたのか尋ねたのである。
その魔女曰く、これは扶桑(この世界における日本のこと)に伝わる魔法の一種で呪術と呼ばれるものだという。丑の刻参りがわかりやすい例だろうか。人を模した人形を呪うと呪いの対象も呪われるというアレである。ようはよく似た物にはお互いに影響し合うというものである。これが類感呪術。これによって自分の体の動きに合わせて人形を動かしているのだそうだ。
ただしこれだけでは自在に動かすのに足りないので人形に自分の髪の毛や使い魔の毛を混ぜることによって魔力を通しやすくしているのだそうだ。
人形を自在に操る様に俄然興味の湧いた私は、私にも使えるのかと尋ねたが、
「固有魔法じゃないから学べば誰にでも扱えるわ。だけど残念ながら魔女じゃない子には使えないのよ。」
と言われ、
「僕は魔女です。その証拠に、ほら。」
と魔法力を使って見せるとその魔女はとても驚き、
「珍しいこともあるものねえ。」
と言ったが、その後、親切にもその呪術を教えてくれた。早速練習してみたが最初だけあってあまりうまくいかない。それでも毎日暇を見てこっそりと人形を動かす練習をした甲斐があってそれなりに動かせるようになった。
そこで次はもう少し大きめの人形に挑戦してみた。どうやらサイズに合わせて必要な魔法力も増えていくようでそれまでの人形を操っていた時とは違いすぐにバテてしまった。それでも挑戦し続けるうちにだんだんと動かせる時間が増えてきた。
そこでいよいよこれを習った目的である、ブリキで作った人形…つまりロボットのおもちゃを動かしてみようとしてみた。
我ながら実にしょうもない理由で習ったものではあるが、やってみたかったのだからしょうがない。また、金属操作でも同じことはできるだろうという指摘もあるだろうがそれとはまた感覚が違うので一概に同じとは言えない。とりあえずやってみたかったそれだけである。
結果は、それほど芳しくないものであった。動かすことはできたもののただの金属には魔法力が通りにくく、動かしたづらかったのである。要するに効率が悪かった。通りやすくしようにも髪や血液などを混ぜられるはずもない。
魔法力が通りやすい金属。それで作るところから始めなければならない。そういえば、魔法の教練で魔法力をものに込めることをやったなと思い出し、早速魔法力を込めたブリキで作ってみて、それを操ってみた。
感染呪術というものにおいては物質を混ぜる方が通りはいいとは親切な魔女さんからは聞いていたが魔法力でも代用自体はできるようだ。先ほどよりも少ない魔法力で動かせるようになり、効率が良くなった。
しかし、布と自分の髪の毛などを混ぜて作った人形よりも動かしづらかったので出来ることならもっと滑らかに動かせる方法を探したい。
なぜそこまでするのかと問われると純真な男の子の性としか言いようがない。手足のように人型のロボットを動かしたいのである。
出来上がったブリキのおもちゃで遊んでいると母に呼ばれたのでいろいろな発明品を置いてある物置(いつもここで発明したりしている)を片付けて夕食の支度の手伝いをしにいった。
ブリキのおもちゃでも動かせるようになり、このままいけば人型の大型ロボットすらも動かせるようになるかもしれない。
しかし個人の魔法力には限界があり、私はそれが人よりも多い方ではあったが、もっと大きいもの、もっともっと大きいものにしていけばいずれ限界は来る。それを解決することができるものがあるかもしれなかった。魔導エンジンというものである。
エンジンと、魔法力増幅装置を組み合わせたもので、これにより、より大きな魔法力が発揮できるというものである。今の魔女はストライカーユニットと呼ばれる現代の箒を使うことがほとんどである。それ故に魔法の教練をしてくれる先生から聞いたことがあった。
生前、エンジン関係には親しんできたこともあり、興味津々ではあったのだがしかし、まだ幼い子供故にストライカーユニット自体を使ったことはなかった。
手が届くかもしれないのに届かない。そんな状況は私の頭の中に常にどこかストライカーユニットのことがあるという状況を作り出した。思いは募っていき、ある日、先生にストライカーユニットを見せて欲しいと嘆願した。
「師匠!是非!是非!僕にストライカーユニットを見せて欲しいのです!お願いします!何でもしますから!」
その願いに師匠は、
「え、ええ、いいわよ。」
と実にあっさりと返事をした。興奮した私の様子に若干引き気味であった気もする。
「本当ですか!ありがとうございます!」
実に嬉しそうだった私の様子に苦笑しながらも先生はストライカーユニットを持ってきてくれた。
私は実物を目の前にして興奮冷めやらぬ様子で目の前のストライカーユニットを舐めるように見回した。その様子に、
「何がこの子をそんなに駆り立てるのかしら…。」
と若干あきれた様子の先生であった。そして私に、
「履いてみるかしら?」
と尋ねた。
「いいのですか?!」
「ええ。それは歩行脚だから飛行脚と違って初めてでもそこまで危なくないし。それに、もうそろそろ教える頃合いとも思っていたから。」
「やったあ!ありがとうございます!」
「ふふふ、そんなに喜んでくれるなら私もこの子もうれしいわ。」
そんなこんなで早速ストライカーユニットを履いてみることになったのである。この時のストライカーユニットは後の宮藤理論によって作られたものではないため、原動機をランドセルやリュックサックのように背負うタイプであった。
先生に教えられて各部の点検ののちにエンジンに火を入れる。そして魔法力をエンジンに送るとさらに大きな魔法力がこちらに返ってくる。
この時こう思った!おお!これだ!これなら!この方法ならもしかすると巨大ロボットだろうが動かせるかもしれない!私は大いに感動していた。
そんな私の胸中の野望は分からずとも大いに感動している様子を見た先生は、苦笑しながらも、私の手を取り、
「ゆっくりと歩きなさい。まずはそれで歩くことに慣れることから始めるわよ。」
とストライカーユニットを使った教練を始めた。
はじめての教練が終わったのち、私は先生に尋ねた。
「先生!魔導増幅器とはどのようにして作っていて、どのような原理で働くのでしょうか!」
ストライカーユニットを使っている最中、こっそりとエンジンの仕組みをちゃっかりと調べていた私なのである。(ちなみに固有魔法の金属操作によって調べた。この魔法は金属製品の中身を触れただけで調べられたのである。)
エンジン自体は普通ではあった。だから魔法力増幅装置の方を尋ねたのである。
「まっ!もしかしてそれが目的だったのかしら?本当に呆れた子ね!」
「まってください!確かにそれも目的の一つではありましたが…!」
怒らせてしまったかと思い慌てて弁解を始めるが、
「ふふふっ、本当に機械の好きな子供ね。」
…どうやら少しからかわれたらしい。
「私も使い方は知っているけれど仕組みはよく分からないの。ごめんなさいね。」
「そうなのですか…。」
しかし、知れただけでも一歩前進である。時間はあるのだ、これから調べていけばいい。
「けれど、知り合いにストライカーユニットの整備や開発をしている人がいるわ。その人に会いにいきましょう。」
「いいのですか!」
「ええ。魔法の授業もとても勤勉にこなしてるし。それに、あの子も君みたいな機械が大好きな子が来てくれたらきっと喜ぶわ。」
何という僥幸!これが落として上げるということか!一気に気分が上昇に気流に乗った私であった。我ながら何とも現金なものである。
次回の授業の日に一緒に行くという約束をしてウキウキ気分で家に帰る。
「ただいま帰りました!」
「あらお帰りなさい。魔法の授業は終わったのね。まずは手を洗ってらっしゃい。」
「はい!」
ウキウキ気分は隠していないし、隠せてもいないようで、
「…何かいいことあったのかしら。」
と目をパチパチとしながら呟かれてしまった。それは妹にも分かったようで、
「お帰りなさい、兄上。何かいいことあったの?」
「んー?ふふふ、内緒だ。」
「あーっ、イジワルー。」
「まあまあ、ほらっ、章香。お人形さんだぞ。」
魔法力による操りの練習に使った人形を取り出すと、魔法で人形を操ってみせる。
「わあっ、人形が動いた!ねえっ!どうやったの?章香にも教えて!」
「いいぞこれはだな…。」
説明していなかったが章香もこの前魔女となった。人形の操り方を章香を教えてやる。操るところを見守っていると、少し苦戦しており、動きがたどたどしいがそれでも動いた。それがうれしいようで
「わあっ!できた!ねえねえ!章香にもできたよ!」
「ああ、こんなに早くできるなんてすごいぞ、章香!」
「えへへ…。」
と笑っていた。ここまで喜んでくれると私もうれしいものだ。
ひとまずここまで。続きは後日。