ストライクウィッチーズの世界に転生して人型ロボットを造って乗る男の話。   作:メガテニスト(偽)

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今回もとくに戦いませぬ。

あと、御都合主義万歳!


第2話

待ちに待ったこの日が来た。今日は先生と約束した日だ。

いつも授業を受けている建物に行くと先生が待っていた。

「待っていたわ。それじゃ、いきましょうか。」

「はい!」

先生に言われてついていく。

 

ちなみに、建物を空けておいて大丈夫なのか、他に生徒とかいないのか、という質問もあるであろうと思うが、この先生は母の知り合いで、少し前に上がり(大抵の魔女は20程になると魔法力が弱まり、魔力障壁を張れなくなったくらいに退役する)を迎え軍を退役したばかりであった。

今の私の意識がこの体に宿った後に魔女として覚醒した私を、両親は周りが女子ばかりの魔女の学校に通わせるのも精神的に悪影響を及ぼすであろうと思い、さりとて魔法力を使えるなら正しい扱い方を覚えていた方が良かろうとも思い、さてどうしようかと悩んでいたところ、退役したと聞いて、それならばこの子に教えてはくれまいかと頼んだのである。

 

そういった経緯で習っているので、他に生徒はいない。じゃあ普段はどうしているのかと聞かれると、バーをやっているようである。軍にいた時の知り合いが来るのでなかなか繁盛しているそうだ。父も母と一緒にたまに飲みに来るとか。

私は先生が店を開けない日にこうして教わっているのである。

妹は魔女の養成学校にキチンと通っている。

 

 

話が逸れた。先生について行った先には長島飛行脚という会社があった。

「ついたわ。ここよ。私は陸戦ウィッチだったけど、ここの中島という人が軍にいた頃からの知り合いだったの。」

「そうなのですか。」

 

入った先で先生は受付の方に話しかけた。

「ごめんください、池田和美(いけだかずみ)と申します。中島真里さんはいらっしゃるでしょうか。」

「はい、中島さんですね、少々お待ちください。」

 

受付の人が奥の部屋に入ってしばらくすると別の女性とともに現れた。

 

「和美!久しぶりね!元気してた?」

「久しぶり。ええ。中島の方は?」

「私はいつも元気さ!ところでそっちの子供は?」

「紹介するわね、この子は北郷一郎君。北郷さんから頼まれて今魔法を教えてる子なの。」

「北郷一郎です!よろしくお願いします!」

「えっ、てことはこの子は男の魔女なのかい!?珍しいこともあるもんだねえ。」

「そうなのよ。魔女の訓練学校に行かせるのも精神的に辛いだろうってことで私が頼まれたってこと。」

「ふーん。そうなのかい。で、どうしてその子を連れてここに?」

「そうなのよ。実はね、この子とても工作や機械いじりが好きみたいでね、この前ストライカーユニットを見せたところ、興味津々になっちゃって。魔導エンジンの仕組みや原理を聞いてきたのよ。それであんたなら教えられるかもしれないってことでここに来たわけ。あなた、こういう子好きでしょ?」

「そういうことか。なあ、坊ちゃん、ストライカーユニットの仕組み、知りたいかい?」

「はい!とても!その代わり僕にできることならなんでもお手伝いします!だから、お願いします!」

 

勢いよく返事して頭を下げると、中島さんは笑って、

 

「ははっ、こりゃ元気な子だ。それに熱意もある。よし、わかった。教えてあげるからこっちに来な。」

「ありがとうございます!」

「よかったわね、それじゃ私は後でね…。」

 

帰ろうとした先生の肩を中島さんが掴んで引き止めた。

 

「まあまあ、せっかく来たんだからさ、ちょっとテストに付き合ってくれよ、なあ?」

「くっ、やっぱりこうなったか…。」

「昔は空戦ストライカーユニットも使ってたこともあるしさあ、シールドは張れなくなったけどまだ飛べるだろ?な?ちょっと手伝ってくれよ。今テストパイロットが足りてないんだよ。」

「はあ、仕方ないわね、まあ、こっちから頼み事してるんだしこれくらいはいいか。」

「おう、それじゃ、こっちだ。ついてきてくれ。」

 

中島さんについて行くとそこには真新しいストライカーユニットがあった。

 

「今製作してる最新鋭機ってやつでね、こいつをテストしてもらいたいのさ。おーい!新しいテストパイロット連れてきたからこれと一緒に飛行場に連れて行ってくれ!」

 

近くを通りかかった人が中島さんに呼ばれて、トラックにストライカーユニットを乗せ、先生を助手席に乗せて飛行場に向かって行った。

 

「んじゃ!後は任せたぜー!…さて、じゃあ私達も行くか!」

「はい!」

 

 

再び建物の中に入り、中島さんについて行った部屋に入ると、そこには様々な部品があり、ストライカーユニットが組み立てられていた。

 

「ここでストライカーユニットを組み立ててるんだ。別のところで作られたエンジンなどの部品をここに持ってきてる。それで…、あった。これが魔導エンジンだ。こいつをバラしながら解説していこうか。」

「えっ、いいのですか?大切なものでは?」

「いいんだよ、こいつは送られてきたはいいものの失敗作だったからね。どうせバラしちまうのさ。」

 

その後、中島さんに実物を使った魔導エンジンの解説を聞いた。私はそれを一言一句聴き漏らさまいと集中していた。

 

曰く、魔導エンジンにはあらかじめ魔導理論による術式が込められてるそうだ。例えば、これにより飛行術式を魔導エンジンに込めることで飛行魔法を習得していないものでも飛行魔法により空を飛べるようになるのだとか。

また、魔法力増幅器についても詳しい理論を聞いた。

 

「とまあ、これが魔導エンジンの仕組みってわけだ。わかったかい?」

「はい!」

「いい返事だ。…そろそろテスト飛行も終わった頃かな。迎えにいこうか…。ん?」

 

中島さんは何かに気づいた様子で視線をそちらに向けた。釣られて視線の向く方向を見ると、男の人が二人なにやら揉めている様子。中島さんはそちらに向かい、

 

「なにがあったんだい?」

と尋ねた。すると、

「発注ミスで部品が足りないんですよ。連結させる部分なんでかなり重要な部品でこのままじゃ完成できません。」

「なんだって?参ったね、あれは今日中に完成させておきたかったんだが…。」

 

どうやらあのストライカーユニットが問題のもののようだ。少し近づいて見てみると、ネジを入れるために空けてある穴があるが、ネジが締められていない部分がある。足りない部品というのはこれのネジのことだろうか。触って金属操作で解析してネジの大きさと長さを調べてみた。

 

「あ、こらっ!ダメだよ触っちゃ!」

 

すぐに引き離されてしまったが、ネジの大きさはわかったので、そこら辺の作業台の上に無造作に置かれている、破損して使えない部品を手に取ると、今度は、

 

「あの、これ少し使ってもいいですか?」

と使っていいか許可を尋ねた。

「一体何をする気だい?」

「これで部品を作ります。」

「できるのかい?」

「はい。」

そう返事すると男の人は呆れた様子で言った。

「どうやってやるってんだ全く…。」

しかし、中島さんは、

「よし、いいよ、やってみな。」

「いいんですか?!」

「どうせ今はお手上げだしね、なら賭けてみるのもいいだろ。」

許可をもらったので、壊れた部品を先程の穴に合わせたネジに金属操作で加工した。

 

「どうですか?ネジの頭はどの形にすればわからなかったのでとりあえずプラスのネジにしました。」

 

ネジを一本渡すと早速はめていく。

 

「バッチリです!」

 

それを聞くと足りない分を全部加工して渡していく。なんとかストライカーユニットは完成したようだ。

 

「やるじゃないか!助かったよ。だけど、今度は勝手に触らないようにな!」

 

とお礼と同時に釘を刺されてしまった。まあ当たり前である。反省。

 

 

今度こそと飛行場の方向に向かうと、ちょうどトラックがこちらに走ってくるところであった。

 

「おう、お疲れ!どうだった?」

「いいデータが取れましたよ!これから改良部分の検討をしないと!」

「和美もテストご苦労さん。久々に空を飛んだ感想は?」

「そうね、ま、悪くない気分だったわ。」

「そりゃよかったよ。」

 

技師の人と別れて二人は話しながら移動していく。どうやら応接間のようで、椅子に座った二人は話に花を咲かせている。

邪魔するのは気が引けたので私もちょこんと椅子に座り、黙ってお茶をすすりながらじっとしていた。

最近は剣道の稽古や魔法の授業に工作とやりたいことが多すぎて忙しかったのでたまには何もせず、何も考えずにこうしてお茶をすすっているのもいいかもしれない。

 

 

その後も話は続き、時間は流れていき、そろそろお暇することとなった。

帰り際に思い切って私はこう切り出した。

「あの、すみません!」

「ん?何だい?」

「その、またここに来てもいいですか?邪魔にならないようにしますから!僕にできることならなんでもお手伝いもします!」

「ええっ!?」

私の唐突な申し出に先生はびっくりしていた。

中島さんは笑って、

「そう来ると思ってたよ。」

と言った。そして私の顔を覗き込み、

「一郎くん、一つ聞かせてほしい。…物作りは好きかい?」

「はい!とても!」

「そうか、…よしわかった!ここに来るときは私の名前を出しな!私が責任を持って面倒を見る!」

「本当ですか!ありがとうございます!」

 

正直流石に断られるかとも思っていた。だからとても嬉しい。

目の前で聞いていた先生は慌てて中島さんの手を引っ張っていった。

 

「いいの?子供を連れ込んだりして。」

「いいんだよ、ああいう熱意のある子がこの業界には必要なのさ。

 

……それに、正直に言うとあの子の魔女の能力はとても有望だ。伸ばしてやりたいのさ。」

「真里…。そう、じゃあ何も言わないわ。」

 

話が終わったのか二人は戻ってきた。そして、中島さんに見送られて先生と二人で工場を後にした。

 

帰る道すがら、ふと立ち止まり、こちらの顔を覗き込むようにして先生は聞いてきた。

「ねえ、物作りは、好き?」

「はい。」

先生の顔を見ながら返事をする。先生は真剣な顔…というわけではなかった。微笑みながらの質問であった。

しばらく無言で見つめあっていたが、

「そう、ならよかった。」

と言って先生は顔を前に向けてまた歩き出した。

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーー

 

初めて長島飛行脚を訪れてから何年か経った。

あれから私は剣道の稽古も、魔法の授業も欠かさず学び続ける傍、長島飛行脚に通い続けていた。

私が来ることに初めはいい顔をしていなかった長島飛行脚の人達ではあるが、度々困った時に、金属操作で手助けをしたり、魔法力による身体強化を生かして一緒に重いものを運んだり、また、他のテストパイロットの方に飛び方を教えてもらって飛行テストを手伝ったりしているうちに打ち解けていき、今では、

「おう、一郎、来たか。」

「一郎君!ここ頼む!」

「一郎、これ、食うかい?」

と親しげである。

 

また、時折エンジンの開発をしている工場に行って魔導エンジンのテストを手伝ったりしたこともある。お陰で魔導エンジンのことも詳しくなった。

 

そんな12歳のことである。私は魔法力増幅器の材質なども調べて、長島飛行脚を手伝って時折もらえたお駄賃で材料も揃えた。(ちなみに合金の比率なども金属操作で分かる。悪用すれば産業スパイである。そんなことしないが。)

そこでいよいよ自分だけの魔導エンジンを作成しようと決めたのである。

それは夏休みのことであった。

 

どうせ作るのならできるだけ大きなものにしよう。そう決めた私は前世の知識を活かして出来る範囲で高性能化を図り、飛行脚や歩行脚に使われているエンジンよりも大型のものを設計した。

固有魔法の金属操作を活かして設計図通りに精密な部品を作り、組み立てていく。

初めに完成したものは設計図が間違っていたのかあまりよろしくないものだったので原因を探って設計図の手直しをするとバラしてまた組み立てていった。

そうして失敗しては設計図を書き直して組み立て、失敗しては設計図を書き直して組み立てのトライアンドエラーを繰り返してようやく完成した。

 

「出来た…!!!やった…!!!」

苦労の末に作り上げたエンジンを前にして感動もひとしおであった。私は小躍りしたい気分を抑えて燃料を入れて魔法力を送った。

大型化の影響で、始動するのにかなりの魔法力が必要ではあったが無事に起動した。しかし、その分大量の魔法力が増幅されているが肌で感じる。大成功だ!

 

ちなみに、何に使うわけでもなく起動したためその大量の魔法力は溢れかえりそうになり、制御できなくなりそうになったので慌ててエンジンを止めたのは余談である。

 

 

 

完成したエンジンを前にして有頂天であった私ではあるがはたと気がついた。これを載せるものが完成していないのである。長島飛行脚のお手伝いをしている合間にもブリキから鉄に材質を変えながらも人形作りとそれを操る練習はしていたのだが、まずはエンジンがなければどうしようもないと、ある程度の大きさで止まっていたのである。

 

夏休みが半分終わった八月初頭のことだった。プラモを作っていたこともあり、まずは造形から決めることにした。人型であるのはもちろんのこと、どのようなデザインにしようか、…そんなことを考えていた時、

家に帰ってきていた父が居間でくつろいでいた。そして何かを見ていた。

父に尋ねると、

「これは大正浪漫の時代の読み物だ。」

と言った。

大正浪漫。その時、わたしの脳裏に浮かんできたものがあった。大正浪漫を背景にしたロボットや恋愛など、さまざまなテーマを盛り込んだゲーム。そう、タイトルは…そう、『サクラ大戦』であった。

わたしが生まれた頃には少し昔のゲームではあったが、とあるきっかけがあって一時、ハマっていたことがある。ロボ(パワードスーツが近いが)である光武も味のあるデザインで好きだった。今でも鮮明に思い出せる。

設定も霊子と蒸気機関で動くというもので魔法力で動かすこれにぴったりであろう。搭乗者の動きをトレースする仕組みでもある。

わたしにはこう言った外観のデザインの経験などはなかったし、この際だから丸パクリしてしまおう。個人的なものだし、後の世に残るはずもなし、きっと許してくれるだろう。(と思いたい。)

 

思い立ったが吉日。そうと決まれば早速記憶からデザインを掘り起こして設計をしなければ。今の技術では再現できない部分もあるのでそれと打ち合わせながら作る。

方向が定まったことによりわたしはとても興奮していた。

 

「…また何か企んでいるようだな。」

「いいじゃありませんか。あの子の作るものは大概見ていて飽きませんわ。」

 

後ろで両親のそんな会話が聞こえた。

 

 

後顧の憂いを断つべく、夏休みの宿題はさっさと終わらせてしまった私は早速光武を作り始めた。デザインは決まっているので後は中を作る。

 

大型にした分重くなってしまったエンジンを支えるために、構造はモノコックではなく丈夫に作った骨材に鉄板を貼り付けていく方式にした。また、胴体はかなり簡易的にしてある。

手足は胴体とは別に作っていく。取り替えやすく、また、運ぶ時に分けて運べるようにするためだ。(どこに運ぶとか聞かれても困るが実用性っぽいのを追求するのもまた浪漫である。)

支える足は太めに、接地面積も大きくなるように。

手は肩から手首までは丈夫にするために雑…もとい、簡素な造り。手首から先だけが細々とした造りにした。

魔法力が動力なので関節はモーターなどが付いていない。だから可動域を人間と同じにしたほかは摩擦を軽減するように工夫しただけである。

 

元ネタの光武においてエンジンの配置は背中であった。だが、エンジンが重くて背中にするととてもバランスが悪かった(サクラ大戦における最初の人型蒸気、スタアと同じである)ので、重心が下に来るようにエンジンは股間のあたりに配置することにした。燃料タンクは断熱処理してその上に位置する。

コクピットは燃料タンクと背中合わせにしてエンジンの上に配置。そのためエンジンをかけるとちょっと内部気温が上がる。

 

この数年で魔法力に関する新しい技術も覚えた。術式を刻む技術である。魔導エンジンの技術であるがこれを応用して骨材に操るための術式を刻んだのである。

これによってより精密な動作ができるようになった。

魔法力も通りやすく、機体の上から直接魔力障壁を張ることもできる。

強化の術式も刻んだのでエンジン起動時は耐久性の向上のほか、見た目よりも怪力を発揮できる。

 

 

機体は夏休みも終わりの八月三十一日、ようやく完成した。名前は元ネタである光武をそのままいただいた。

外観は全体的なシルエットは元ネタのものに近いがなにせ色々と自分好みに変えてあるため所々違う。

完成した時は達成感と疲労で感動をする間もなかったが、翌日改めて見ると心の底から喜びが湧いてきた。ドキドキしながら搭乗する。

 

 

起動する前の点検をおこなってからいよいよエンジンに火を入れる。

かかった!その力強い鼓動はコクピットにも伝わってくる。

そして挙動を確かめる。まずは手だ。ゆっくりと握りしめる。

動いた。続いて腕を動かす。まるで自分の手のようだ。

そしてつぎはゆっくりと足を動かして…歩けた!

自分の足で動くように動いている!右足、左足また右足と一歩ずつ進んでいく。そして物置から庭に出た。

 

 

 

ちょうど章香が帰ってきていたようだ。驚きのあまり口をあんぐりと開けている。

章香の方へと歩いていく。放心状態で動けないらしい。光武で一歩手前くらいの距離まで近づくとようやく口を動かした。

 

「な、なんじゃこりゃああああ!!!??」

 

大声で叫び驚きを表現している。その叫び声を聞きつけて家にいた母が飛び出してきた。そして光武を見るなり、

「あら、まあ…」

と呟いた。流石の母もこれには驚いたようだ。

コクピットのハッチを開けて顔を出すと、

「兄上!?ではこれは兄上の発明品ですか!?」

と章香が尋ねたので母と口を揃えて、

「兄上が発明好きなのは知っていましたがこんなものまで作るとは…。」

「一郎が発明好きなのは知ってたけどこんなものまで作るとはねえ。」

と呟かれてしまった。

そのあと、章香も乗った。

「まるで鎧でもきてるみたいに自在に動かせますね!」

というのが感想だった。

 

 

 

ちなみに、翌日、光武は夏休みの宿題として持って行ったら先生に怒られた。是非もないよね。

 

「君が発明好きなのは知っていたがこんなものを学校に持ってくる変な子だとは思わんかった。」

とのこと。




もう一度言おう、御都合主義万歳!

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