ストライクウィッチーズの世界に転生して人型ロボットを造って乗る男の話。 作:メガテニスト(偽)
追記。ネウロイと書かれていた部分を怪異に。このころまだネウロイじゃなかった…。
前回の戦闘から3か月ほどたった。各国からの支援はさらに送られてきて、それを基にしたウィッチや兵器の活躍によって怪異に支配されていた地域は次々に開放されていった。
ヒスパニア戦役は終わりを告げようとしていた。
俺が所属している部隊は怪異に支配された街の開放をするため進軍。同地域にいる怪異をせん滅することとなった。
相変わらず光武に乗って戦っているほか、連合軍の機材が余っていた場合に一時的に貸与されて航空ウィッチとしても戦った。とはいっても爆撃の数を増やすためのものが多かったが。
しかし、カールスラントの新戦術、急降下爆撃やジュゼッピーナ・チュインニ曹長の跳躍爆撃(スキップボミング)など、見るべきものは多かった。(できるとはいっていない)
だんだんと寒さが厳しくなってきた頃、怪異の活動が鈍ってきたのを好機としてスペインで最も冬の気温が低い都市、テルエルを奪還すべく襲撃することとなった。ここは怪異に支配された地域のうち、突出した状態であり、ここを奪還すれば内陸と沿岸部との連絡線が短縮できるのである。
また、2つの川の合流地点の近くにあり、水を苦手とする怪異に対する前線として使いやすかった。
しかし、補給の不備があり、事前の空襲や砲撃がなかったため最も厳しい戦いを強いられることとなった。
テルエルは標高3020mの高地にあり、険しい渓谷、歯のような形をした山頂、湾曲した尾根といった険しい地形に囲まれた自然の要塞だった。
テルエルの歯と呼ばれる、テルエルの西にある峰に対峙する陣を張った連合軍は、全方位から町を包囲。
そして街に突撃をかけた。
俺も街に突撃する部隊の一員として参加。光武は魔法による強化でかなり頑丈かつ運動性能が高いため、こういった地形ですら踏破できる。とはいっても弾薬の補給や、その大きな魔道エンジンを動かすために必要な燃料など、戦車並みの兵站が必要なので突出はできない。
だからって補給物資を乗せたトラックを光武で持ってトラックが走破できない地形を越えさせられるとは思わなかった。
この時、陸戦ウィッチの補給物資を乗せたトラックも運んでいる。5台ほどのトラックをその都度往復しながら運んで、その後一緒に街の外を包囲。合図で全員が街に突入する手はずなのでそれを待って突撃。
この時、光武は普段は水や食料を入れている場所に陸戦ウィッチや光武の火器の弾薬を。背中の部分に命綱を結び、ウィッチたちが捕まるポイントを増やしていた。
もうお分かりであろう。陸戦ウィッチをタンクデサントのように載せて運んだのである。
陸戦ウィッチも歩兵であるし、時速30kmくらいで移動できる。
身体能力も高いが、それでも能力向上には限度がある。(というよりそこまで高く割り振っても無駄なのである。いちいちエンジンの回路いじって魔法力の割り振りを変えないといけないし。)
光武は動かすための呪術系の魔法力に割り振るリソースを考えても、なお陸戦ウィッチたちの使うストライカーよりも身体能力強化がかなり強い。ジャンプで3mとかざらに跳ぶ。
なので走破できる地形が陸戦ウィッチより多い。それを利用して普通の進軍ルートでは通れないところから奇襲をかけるのだ。
なお、走破しているとき、
「なかなかスリリングな体験だったわ…。」
「酔いそうです…。」
との感想をいただいた。
戦いは1週間ほど続いた。今回は市街地戦でもあったのだが、キューポラから見る以外では横や後ろの確認は体ごと動かさねばならぬ光武はどうしても後ろから攻撃されたり横から攻撃されたりするのに弱い。(まあそれは大概の戦車や人間もそうなんだけど。)
そこで戦車随伴歩兵とかタンクデサントみたく陸戦ウィッチを連れて行ったことが輝くのである。
街に侵入した後、陸戦ウィッチとともに進軍。10人ほど連れてきていたのだが、俺を前面にして陸戦ウィッチは後方や側方の警戒。敵を発見したらすぐさま敵の方向に俺が出て味方の壁としてシールドを張る。
また、俺と味方による一斉砲撃によって敵をすぐさま粉砕する、という戦術をとった。
敵の別方向からの同時攻撃や、奇襲で俺がシールドを張れないときは味方のシールドによって防ぎ、同様に反撃する。
また、俺が注意を引き付けてる隙に味方が回り込んで側撃したりもした。
魔法力の無駄遣いはしたくないので障害物を利用してシールドの節約をすることもある。
機動に関しても、陸戦ストライカーが時速30kmほどに対し光武は時速60kmほど出せるので、味方の無線による要請によってすぐさま移動するときは光武につかまって移動した。
また、建造物の耐久性が十分と判断したら建造物の上に上って移動したり奇襲を仕掛けたりもした。
弾薬が無くなれば撤退して補給を受ける。それを繰り返した。
戦果としては俺は1週間で怪異を小型中型合わせて10体ほど。分隊としては30体倒した。
被害は陸戦ストライカーが1機故障したくらいで全員生き残った。
驚くべき損耗率であった。大戦果である。
しかし、他の部隊ははかなり消耗したみたいで、再編することになりしばし攻勢に出ることはない。
今回のことで俺達の分隊は表彰と受勲することとなり、俺は分隊と組んだまま行動することになった。
今まであっちこっちの隊に回されてきたがようやく落ち着ける。
部隊の再編が終わった後はすぐさま攻勢に出ることになる。俺たちの部隊は次はマドリードから西へ攻め入る師団に入ることになるそうだ。
今回の戦いで怪異は多数の兵力を送っていたらしく、かなり戦力を減らしたらしい。今回の戦いは趨勢を決定付けるものの一つとなった。また怪異は寒さにより活動もかなり鈍くなっている。連合軍は年内に戦役を終わらせる見込みのようだ。
早く戦役が終わればいいと思う。そのために俺もできうることをしなければ。
~~とある分隊長の日記~~
10月○○日。
連合軍はテルエルに進軍することとなった。その際、私は陸戦ウィッチの分隊の分隊長として編成されることとなった。11人編成で一人は何と男だった。名前は北郷一郎。階級は軍曹。扶桑からブリタニアに行く途中にヒスパニア戦役に巻き込まれて志願したのだという。
男のウィッチというだけでも珍獣なのに彼はゴーレムみたいなストライカーユニットを使っていてさらに珍獣度を増していた。
我々の分隊は単独で別の特異なルートから包囲に参加、街に突入する。その際の進軍に北郷軍曹の使っているストライカー(名前は光武だそうだ。)によって予定されていた地点まで移動した。これではまるでトラックストライカーだな。と思った。
10月○×日。
突入の合図があって街に進軍する。この際も光武の背中に捕まって移動。予備の弾薬もこの中に入っているのだというのだから本当にトラックみたいだ。
街中に入ると光武から降りて進軍。こいつは前方以外の視界が悪くて外の音も聞こえづらいので陸戦ウィッチの手助けが必要だそうだ。
なんてことはない、ただのヴァッフェントレーガー(武器運搬車)の護衛をしつつの進軍というだけか。
そう思っていた。
しかし怪異三体が唐突に目の前に現れた時その考えを改めることになった。
遮蔽物がない状況での遭遇だった。敵はすでに射撃体勢に入っている。
まずい。そう思ったとき光武は私たちの前に立ってシールドを張った。
怪異が一斉に砲撃する。そのどれもがシールドの前にはじき返されていた。
そして光武が3体のうち1体に3.7cm砲をぶち当てると怪異は一撃で撃破されていた。
光武が砲撃した時点でハッとなった私は全員に一斉に射撃するように命じた。
同一目標に火力を集中することで数を減らす。残った一体が反撃としてもう一度撃ってきたがその強固な壁の前に阻まれ私たちを傷つけることなく散っていった。
私は、いや、私たちは認識を改めざるを得なかった。あれはヴァッフェントレーガーなどではない。
あれは戦車だ。歩兵の動きのできる戦車。鋼鉄の壁。その頼もしさに安心感を覚えた。
10月○△日。
昨日の戦いぶりを見て分隊員の一人が私も光武に乗りたいなどと言い出した。
私はその隊員を叱ろうとしたが、北郷軍曹は、
「じゃあ、乗ってみるか?」
といった。畜生、私も乗ってみたいのに。
しかし、言い出したその分隊員は魔道エンジンを起動できたはいいもののそれだけでそれなりの魔法力を使ってしまっていた。大きい分起動にもかなりの魔法力がいるらしい。
その分隊員は少なくはないが多いというわけでもない普通の魔法力量だった。
結果、1時間ほどすると魔法力が切れてしまった。
北郷軍曹はその様子を見ていろいろとメモをしているようだった。
「これから先エンジンの改良すると要求される魔法力が増えるしそこが課題か…。」
「光武自体の稼働時間はよくても搭乗者の乗っていられる時間が短いな…交代制で乗らせるべきか…。」
「それなら小隊もしくは分隊に1つの割り当てで運用すれば何とかなるか…。」
実験もかねて乗らせたのか…。とりあえず北郷軍曹の頭をはたいておいた。
10月×△日。
街での戦闘が始まって一週間がたった。光武は相変わらず頼もしかった。
私たちの前に立っては敵の攻撃を防ぐ壁役として、無線要請を受けて移動する脚として、そして固い敵を増幅された強大な魔法力と砲で粉砕する攻撃役として。
この一週間私たちは光武を主体として動いていた。全員がウィッチとはいえたった11人で動くのはあまりに無謀なことだ。それだというのに私たちは一人もかけずに、むしろ怪異を30体も仕留めるという大戦果を挙げていた。
一度突発的に遭遇して近接戦闘になったことがある。前方のほうで索敵していた私は怪異の足による攻撃を一度目は防いだが吹き飛ばされ二度目が来そうになった時、光武が怪異に体当たりを仕掛けた。
ネウロイは吹き飛ばされて壁にぶつかった。それでも健在だったが味方の砲撃を食らって撃破された。
吹き飛ばされて怪異のいる方向を見た時、怪異と私の間に割って立つ光武の背中を見た。とても大きな背中だった。
それだけじゃない。怪異と戦う際にいつも私たちの前に立って私たちを守るその背中はとても大きかった。
私は心の中でその立ち姿を‘ギガントワンド’とこっそりと呼んでいた。巨人の壁。その頼もしさはみんなが感じていることだった。
後、こっそり光武のことを‛アイゼンギガント’と呼んでいるのも内緒だ。
テルエルの戦いは終わり私たちは勝利した。しかし被害は大きく、しばらく攻勢には出られないようだ。
私たちの部隊は表彰と受勲されることとなった。とても誇らしい。
が、それ以上に分隊は解散せずに運用されることが決まったことがうれしい。
またしばらくこの‛アイゼンギガント’と戦える。その安心感は計り知れないものだった。
持ち上げますよー、持ち上げる。
とはいえ加減がわからない。