トリッパー列伝   作:ADONIS+

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ナジマ(ドラゴンボール)

 男も女もいないナメック星はつまんない星。『ドラゴンボール』でブルマがそう言ったように、ナメック星人は人間からは面白みに欠ける存在に見える。

 

 ナメック星人には性別がないから男も女もいない。だから恋愛という習慣がない。原作でもピッコロは恋愛を理解できていなかったし。ナメック星人が口からタマゴを生んで数を増やすという単性生殖を行う。更に食事もいらず、水だけを飲んでいればいい。

 

 つまりどういうことかというと…。

 

「つまらん」

 となる。

 

 俺の名はナジマ、ナメック星人だ。といっても前世は日本人の青年でこの『ドラゴンボール』の世界にトリップしたトリッパーだから他のナメック星人とはちょっと違う。

 

 かつてナメック星で天変地異が起きる直前に、俺はナジマというナメック星人に憑依した。結果として人間であったころの記憶を持ちながらナメック星人になってしまった。

 

 彼は性別がない上に食欲もないナメック星人に馴染めなかった。これは下手に記憶を持ってしまったが故だろう。

 

 ナジマはナメック星人の人生に飽きてしまった。そんな時に監察軍と接触して彼等と行動を共にするようになった。そしてナメック星はナジマが離れている内に天変地異が起こり壊滅的な被害を受けることになった。

 

 ナジマは龍族のナメック星人だから戦闘タイプではない。その戦闘力も3000程度だが、それでも気の扱いに長けた者であることには代わりはない。

 

 最初はブリタニア帝国の貴族達に気の制御のコーチをすることになった。その内、貴族の間でも気の扱いに長けた者が増えていくと、ブリタニア帝国内の一つの惑星を貰いその星をナメック星と名付けた。

 

 ブリタニアにあるナメック星は重力が約0.98Gと本来ならば移住に適していたが、太陽が三つもあって夜がないという環境から移住リストから外れていた。そこで、ナジマは元のナメック星に近い環境のこの星に住むことにした。

 

 ナジマは龍族であるためドラゴンボールを作れる。その際、ドラゴンボールの初期調整でかなえられる願いは一つで、複数の人間を一度の蘇らせることができるようにした。但し同じ願いはかなえられないので、死んだ者を二度蘇らせる事はできない。つまり初期の地球のドラゴンボールとほぼ同じ設定にしていた。

 

 デンデのように願いを三つかなえる事ができるようにすることも出来たが、そういうパワーアップはドラゴンボールに負担が掛かりすぎる。下手をして邪悪龍がブリタニアに出現したら一大事。その為、シドゥリもドラゴンボールに関しては釘を刺しているほど。

 

 勿論、一度願いをかなえたら100年間はドラゴンボールを使わなければ問題ないので、俺の作ったドラゴンボールは一度願いをかなえたら100年間はただの石になるようにしている。つまりどうあっても100年に一回しか使えない。

 

 俺はドラゴンボールを乱用するつもりはないが、それでもフリーザのような悪人がドラゴンボールを無理やり使おうとする恐れがあるのでその為の処置だ。ついでにドラゴンボールは、ナメック語で言わないと神龍の呼び出しや願いをかなえる事ができない。

 

 シドゥリはドラゴンボールの存在をナメック星人以外に口外しないようにいった。やはりドラゴンボールを悪用されるのを恐れてのことだろう。ピラフ大王のように世界征服などに使われたら厄介だ。その為、ブリタニア帝国ではシドゥリ以外はドラゴンボールの存在を知らないし、監察軍でもトリッパーしか知らぬことだ。

 

 そういえばシドゥリはドラゴンボールには興味を持たなかった。彼女は不老長寿となったとはいえ紫外線を克服したわけでない。あくまで対応手段で紫外線を防いでいるだけだ。てっきりドラゴンボールで弱点を克服したがるかと思っていたが、そのつもりはないようだ。

 

 それとなく聞いてみたが、あまり意味がないからだった。というのもシドゥリは並の魔導師や騎士では束になっても歯が立たないほど強いが、フリーザやセルといった規格外の強者が相手だと、例え紫外線を克服していてもあっさりと殺されてしまう。つまり中途半端な強さだった。

 

 更にシドゥリにとって問題なのは紫外線よりも、長生きをすることによる精神の摩耗だった。こっちの方がよっぽど問題で、紫外線の克服は優先度が低いらしい。

 

 そういえばシドゥリは『魔法少女リリカルなのは』の主役、高町なのはとフェイト・テスタロッサの二人を妻にしていた。まさに両手に華。おまけに側近の貴族達は美少女揃いで、夜伽などもよくやらせているらしい。他のトリッパーも、なのはやフェイトが好きという人が多かったので、シドゥリは羨ましがられていたな。

 

 ……なんだろうこの落差は。こっちは性別はない、というか憑依してから性欲がなくなったのに、シドゥリはハーレムで選り取りみどりな性生活を満喫している。なんかむかつく。

 

 

 

 それは兎も角、その後俺は龍族の子を七人産み、それぞれにドラゴンボールを預けて管理させた。その七人はそれぞれが子を沢山産み、各地に散って村を作り長老となった。そして俺はナメック星の最長老として皆に敬われた。

 

 他のナメック星人たちは村で集団生活をしているが、俺はナメック星にいるときは単独で生活していることが多い。

 

 現在の俺以外のナメック星人はナメック星で静かに生活している。ドラゴンボールを秘匿する必要があるので、ナメック星人が他の者とむやみに接触するのは望ましくない。だからナメック星人しかいないナメック星で生活するのがいいだろう。

 

 それにかつて地球に漂着したナメック星人も地球人の邪悪さに影響されて心に僅かな魔を持つようになってしまった。この事から人間に影響を受けない生活をする方が望ましい。

 

 俺? 俺は最初から手遅れですよ。初代のピッコロ大魔王のような悪ではありませんが、純粋ではありません。前世の影響を思いっきり受けている。そういった意味では俺は人間に近い。そんな俺はたまに監察軍やブリタニアに行くことがある。やはり刺激の少ない生活だけだと息切れしてしまう。

 

 他にナメック星人の特長としてあげられるのは分離や融合が出来ることができる事だ。最もトリッパーの場合は魂が上位世界人の物のためにそれが出来ないから俺は無理だ。

 

 トリッパーの魂に下位世界の住民の魂を混ぜる事や、トリッパーの魂を加工することはその特性から不可能なのだ。その為、かつて地球にいたナメック星人のように自らを分離することや他のナメック星人と融合することはできない。これはフュージョンやポタラによる合体も例外ではない。

 

 魂の加工に関しても、例えば月姫の世界の死徒になろうとしても、その魂を変質させることができずにそのトリッパーはそのまま死んでしまう。これは予め死神に注意されている事だ。

 

 ちなみにブリタニアの覚醒者は魂ではなくあくまで脳を変質させるだけなので問題ないらしい。こうしてみるとトリッパーも色々と制限があるようだ。普通にしていれば特に問題ない事ですが。

 

 

 

「最長老さま、監察軍の方に向かわれるのですか?」

 

 一人のナメック星人が尋ねてきた。長老の一人が私の護衛として送ってきた戦闘タイプの若者だった。戦闘タイプというだけあってかなり強く、戦闘力48000もあった。とはいえドラゴンボールの世界ではたいしたものではない。

 

「ああ、私が元いた世界によく似た並行世界に新しく“赤”の候補が見つかったらしい」

「赤ですか?」

 

 トリッパー以外には創作世界の事は秘密ですから、監察軍はあちこちの世界にいる特殊な資質を持つ者を集めて支援していると説明していた。赤い制服はその証明というわけだ。勿論、資質の内容は極秘事項。

 

「しかもそれが超サイヤ人らしい」

「なんと超サイヤ人ですと!?」

 

 やはり驚いたか。無理もない、超サイヤ人の事はナメック星人にちゃんと伝えている。宇宙最強の戦士という肩書きは伊達ではない。

 

 しかし、そのトリッパーはサイヤ人で原作開始の七年も前だというのに、既に超サイヤ人になっているらしい。原作で孫悟空が超サイヤ人に覚醒する20年も前なのに超サイヤ人の領域にいるそのトリッパーはただ者ではない。

 

 超サイヤ人は、あちこちの創作世界の強者達の間でも飛び抜けて強い存在。つまりチート・オブ・チートともいえる。

 

 確かにナメック星人のトリッパーがいるから、サイヤ人のトリッパーが現れてもおかしくないが、いきなり超サイヤ人として発見されるとは思わなかった。それにしても原作未登場の超サイヤ人か。面白いね。一度見てみたいものだ。

 

 監察軍では『ドラゴンボール』の世界への干渉は慎重になっていた。それはあの世界には規格外の化け物がうじゃうじゃいるからだ。下手なことをして甚大な被害を受けるのは困る。

 

 あの世界は生物としての強さが質量兵器を圧倒しているから自分たちの兵器がどこまで通用するかはなはだ疑問だ。というより玩具扱いで蹴散らされるのが目に浮かぶ。

 

 しかし、トリッパーと最初に接触するのは同じトリッパーだと決まっている。これは自分たちの世界が、上位世界の創作物を元にした物であることを伏せる為に必要な事だった。

 

 今回は別の並行世界とはいえ一応同じ『ドラゴンボール』の世界にトリップしたナジマがトリッパーとの接触を頼まれることになるだろう。




解説

■ナジマ
 漫画『ドラゴンボール』の世界のナメック星人に憑依したトリッパー。元々『ドラゴンボール』が大好きでGTまで網羅しているので、ドラゴンボールの副作用を特に恐れていた為、ドラゴンボールに一種の安全装置を仕込んでいる。名の由来はオナジマイマイ。
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